At The Living Room Reloaded

忙しい毎日の中で少し足を止めてみる、そんな時間に聴きたい素晴らしい音楽の紹介です。

Tropical Knights / Same

2014-07-27 | Hawaii
前回紹介したTropical Knightsが93年にリリースした2ndアルバム。おそらく彼らの作品中、コンテンポラリー~AOR視点での人気がもっとも高いのが本作かと思われます。メンバー的には1st時と同じで相変わらず全体的にバラエティに富んだ楽曲が収録されていますが、なんと言ってもM-3のYou Aloneが奇跡的。David Choi(デヴィッド・チョイ)なる人物が吹くサックスに導かれる開放的な南国ナンバーで、AOR~レアグルーヴ好きならば、ほぼ確実に一発でノックアウトされることでしょう。どうやらコンガ担当のゲスト・ミュージシャンであるEdward Chang(エドワード・チャン)により製作されたナンバーのようですが、パーカッショニストが作った曲だけあってアレンジが非常にグルーヴィー。個人的にはアラスカのArchie James CavanaughやマルチニークのPierre Maizeroiと並び、この手のグルーヴィーAORとしては完璧な一曲と思います。正直この一曲のためだけにでも購入する価値がある作品かと。ちなみにこの曲以外ではM-7のLove So Unkindがサマー~Nalu系のカラパナ・フォロワー的アイランド・メロウでなかなか。ジャジーなアルト・サックスと控えめなシンセ、さらにアコギのゆったりしたストロークと甘いヴォーカルと来れば、いわゆるPre-AORファンはまず間違いなく虜になることでしょう。既にメインストリームではアシッド・ジャズ~グラウンドビート以降のビートを強調した楽曲が主流な90年代の楽曲ながら、こうしたPre-AOR的ナンバーが普通に入っているところがコンテンポラリー・ハワイアン最大の魅力。例によってスモール・レーベルからのリリースではありますが、いちおう自主制作ではないようなので、前回紹介の1stよりは若干手に入れやすいはず。気になる人は是非聴いてみてください。このところの異常気象で半ば亜熱帯と化している東京における、これからの季節のBGMとしても最適だと思います。
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The Quest Begins / Tropical Knights

2014-07-26 | Hawaii
90'sコンテンポラリー・ハワイアンを追いかけている人にとっては比較的有名かと思われる4人組バンド、Tropical Knightsによる1991年の1stアルバム。ジャワイアンありポップスありトラディショナル風ありと収録曲がバラエティに富んでいるため、なんだか少し掴みどころのないバンドではありますが、ジャケット含めアルバム全体を包むアイランドな空気感が妙に心地よく実は意外とお気に入りの作品だったりします。個人的には以前ここで紹介したタツノオトシゴジャケのKaliokaiを90年代風にしたバンドというのが第一印象。ソフトなラテンのリズムとアコースティックギター、軽やかなフルートで始まるM-1のPalisaが流れた瞬間、部屋は南国の空気に包まれます。AOR目線での注目曲はM-3のJoanelle'S Song。カラパナ~サマー系統のコンテンポラリー・サウンドをもう少しローカライズしたようなバラードで、シンセの音色と爽やかなコーラスが心地よい一曲となっています。年代的なところもあり、Naluあたりの音にも近い雰囲気。この良い意味でチープな雰囲気は、いわゆる90年代コンテンポラリー・ハワイアンの典型的なサウンドと言えるでしょう。続くM-4のKwajaleinはカントリー・コンフォート~カントリー・リヴィング風のアイランド・ポップス。緩めのカッティングギターと控え目なピアノが美しいナンバーで、こちらも好感度高めです。さらに波の音と雷鳴のSEで始まるM-6のKailua Rainはインストゥルメンタルのアイランド・フュージョン。派手さはないものの、なんとなくテンダー・リーフあたりに通じる曲調なので、海岸沿いのドライブで流れてきたら気持ちよさそうな隠れ名曲です。既に廃盤となって久しく、おまけに後の2枚と異なり自主制作盤のため、amazonでは異常な高値が付いていますが、どこかで安く見かけたら聴いてみると面白いかもしれません。
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Lava Rock / Kalapana

2014-07-21 | Hawaii
少しずつ夏本番が近付いてきたので、少し久しぶりにこのブログでは定番であるカラパナの作品を紹介。いわゆるリュニオン(再統合)後の2作目となる1987年リリースのアルバムで、以前紹介した前年のHurricaneと同じく彼らの数あるアルバム中でも話題に上がりにくい作品の一つです。いちおう当時の日本ではそれなりに注目されていたようで、日本フォノグラムからMercuryレーベル扱いでジャケットを差し替えたLPとCDが発売されていますが、本国では自主製作でひっそりとカセットとCDがリリースされたのみ。確証はありませんが、おそらく掲載したこちらの本国ジャケット仕様ではLPのリリースはないものと思われます。ただ、国内盤のどこか冴えないジャケットより、こちらの本国盤ジャケの方が圧倒的にクォリティが高いので、マニアならばこちらの輸入盤購入がお勧め。国内盤と比べて1曲多く収録されているため、お得感もありますしね。その追加収録された楽曲とはM-9のIn Your Eyes。マッキー・フェアリー製作の激甘AORバラードです。後に日本オンリーで発売されたマッキーのソロ作Romantic Story 11:30 p.m.と同じテイクではありますが、単純に曲自体が素晴らしいため何度も繰り返し聴きたくなる名曲。お馴染みマイケル・パウロのサックスによる援護も完璧です。その他の曲ではマラニがリードを取るM-5のSecrect Words Of LoveとM-11のI'll Be Over Youがなかなかに良い感じ。前者は込み上げ系のミディアムロック、後者は得意のバラードになっており、いずれもハワイの風を感じることが出来るアイランド色濃厚なナンバーでお勧めです。アルバム自体の珍しさが要因となり、アマゾンあたりでは凄い値段で売られていますが、海外から直接購入すればそれほど高くなく手に入れることが出来ると思うので、気になる人は探してみてください。ちなみに僕はこの輸入盤CDと国内盤LP、おまけに国内盤CDとまさかの同一盤3枚所有。別にそこまで特別な思い入れがある盤というわけでもないのですが、気づけばこんなことになっていました。さすがにダブり過ぎなので、とりあえず国内盤CDだけでも処分しようかな…。
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恋のファンフェアー / 星野 みちる

2014-07-13 | Japanese AOR
一部の耳が肥えた邦楽リスナーの間で、ここ最近支持を集める女性シンガー・ソングライターが彼女。どうやらAKB48の初期メンバーのようですが、一気に注目を浴びることになったきっかけはそうした出自に由来することでなく、昨年リリースした自身名義での1stアルバムに収録されていた「私はシェディー」という曲です。Rah BandのClouds Across The Moonを下敷きにした(と言うよりほぼ忠実に再現した)この曲の完成度が非常に高く、おまけにDJのはせはじむとマイクロスターの佐藤清喜が全面的に製作に関わっているという事実も加わり、彼女の名前は界隈で一気に知れ渡ることに。その彼女が昨年1枚シングルを切った後、次なるプロジェクトとして掲げたのが今回紹介盤も含む4ヶ月連続のシングル・リリースです。僕自身、昨年のアルバムが話題になった時点で一応ある程度の注目はしていたのですが、今回の4ヶ月連続シングルでいよいよ本格的に聴かなければいけないなというのが正直な印象。1stアルバム時点では件の「私はシェディー」含め全体的にエレポップ~テクノポップ路線だったため、個人的には趣味ど真ん中からは外れていたのですが、今回のシングル群はいずれも往年の渋谷系サウンドとなっており、渋谷系OB的にこれは無視できないわけです。巷ではシティポップスとかナイアガラとかフィリー・ソウル風歌謡とか色々言われていますが、要は全盛期のオザケン・サウンドそのもの。あの頃オザケンにハマっていた人なら懐かしくなること間違いなしでしょう。4枚の中でもっともポップ志向が高く一般受け良さそうなので、ここではこのシングルを掲載しましたが、他の3枚もそれぞれクォリティが高いためまだ聴いていないという人は要チェック。来週これらシングル曲を中心としたアルバムがリリースされますが、実はアルバムに収録されないカップリング曲にも名曲が隠れているため、気になる人はシングルを探しましょう。本作とこの前にリリースされた「雨の中のドリーマー」に関しては、80年代女性アイドル風なジャケットのアート・ワークも素晴らしく、敢えてアナログで所有する価値ある一枚かと思います。
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サマーブリーズ / カンケ

2014-07-02 | Japanese AOR
このブログ開始以来初めてとなる8cmの短冊シングルCD紹介。1997年と98年に一枚ずつシングルをリリースした後、表舞台からは姿を消し裏方に回ったミュージシャンによるデビュー作。あいにくリアルタイムでは聴いていないのですが、この度どういうわけかディスク・ユニオンのThink!から7inchカットされるということで興味が涌き、なんとなく購入してみることにしました。実際聴いてみた感想としては、まぁ可もなく不可もなくと言ったところ。たしかに全体的に山下達郎っぽい(と言うか、ほぼそのままな)音作りになっていているため、初めて聴いたときのインパクトはそれなりのものがありますが、残念ながらそれ以上のサムシングを感じることは出来ないので、DJプレイのアクセントで飛び道具的にかけるくらいが関の山というのが正直なところです。歌声まで本人に似せているというわけではないですが、10年早かったジャンク・フジヤマというのが個人的な印象。ちなみに僕としてはどちらかと言うと、Loveland, Island風で人気のあるM-2「レッツ・キッス・ベイビー」よりも、ミディアムアップで瑞々しく弾ける表題曲であるM-1の方が好み。どうやら当時カネボウのCMソングとしてタイアップされていたようで、言われてみれば確かにそんな感じですね。オリジナルのシングルはやや高騰しているので、わざわざ買うほどの一枚かどうかと言われると微妙ですが、冒頭にも書いたように今度リイシューされるようなので、興味のある人は聴いてみても良いかもしれません。正直なぜCDや配信ではなくアナログで復刻するのかは疑問ですが、おそらく一部でニーズがあるのでしょう。ちなみに僕の場合アナログで購入欲が涌くのは、元々アナログでリリースされた作品とジャケの雰囲気から音に至るまでアナログ時代の質感を完璧にトレースしている作品だけなので、ジャケットも音も思いっきりCDっぽいこの作品は多分買いません…。
コメント (2)
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