再開第一弾は今もっとも旬なこのLPを。昨年末にタワーレコード限定で念願の銀盤化が行われた間宮貴子嬢の1982年作です。復刻前から内容を知っている方には最早説明不要だと思いますが、J-AOR界隈では非常によく知られたレア盤で、とにかく全編に渡りクオリティが非常に高いレコード。金澤寿和さんが書いたLight Mellow和モノ669に端を発するこの辺りのレコードは正直玉石混交で、いくら演奏が良くても声と歌詞が古臭くて今聴くと恥ずかしいような盤も多数あるのですが、このLPについては演奏・歌詞・ヴォーカルの三拍子がパーフェクトという稀有な一枚です。最も一般に全く知名度がないところを鑑みるに、発売当時はあまりセールスが振るわなかったと思いますので、今聴くからこそ逆に良いのかも知れませんが。。。個人的な印象としてはルックスを含め10年早かった古内東子と言った感じ。この雰囲気は正にアーバン・メロウ。80年代特有のクリスタルで過剰なまでのゴージャスさは良い意味で少ないものの、70年代のようなアナログな質感でもなく、音数は少なめながら非常に洗練された90年代的なAORをやっています。時代柄ボトムは90年代のそれと比べ弱いものの、全体的な質感としてはインコグニート辺りの洗練されたアシッドジャズに近い印象。貴子嬢自身のヴォーカル・ワークもまた素晴らしく、この辺りの和モノとしては理想的な声質。吉田美奈子や大橋純子のようなこの時代特有の太い声質ではなく、かと言って変に癖があるわけでもなく、日本人女性として最も適当な声を持っています。全英語詞であるB-5のWhat A Broken Heart Can Doを聴いても、一聴して日本人が歌っていると分かる声質は、欧米の女性にはない一つの魅力。やはり同じ日本人なので、この手の声が聴いていて一番耳に綺麗に響きます。同じ曲の日本語バージョンであるA-1のタイトル曲、クラブOBに人気のある跳ね系AORのA-3「真夜中のジョーク」辺りがキラー曲としてよくピックアップされますが、個人的に一番好きなのはA-2「チャイニーズ・レストラン」。しっとり系でライトメロウな好曲です。ちなみにB-2のOne More NightはMr.Melodyで有名な香港のTeresa Carpio(杜麗莎)が日本制作のLPで歌っていたりもするので、興味がある方は探してみてください。とりあえず全編に渡って好曲揃いの一枚。いつまでプレスされ続けるか分からないので、在庫あるうちに購入ください。アナログは昨今のJ-AOR人気から非常に高い値段が付いていますので。
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あいにく盤質悪く購入しなかったのですが、多分結構珍しいものだと思います。
それでは今後とも宜しくお願いします。