At The Living Room Reloaded

忙しい毎日の中で少し足を止めてみる、そんな時間に聴きたい素晴らしい音楽の紹介です。

Get In Touch With Yourself / Swing Out Sister

2014-11-30 | Acid Jazz~UK Soul
90年代当時からの洋楽ポップス・ファンなら誰でも知っていると思われる、スウィング・アウト・シスターによる1992年リリースの3rdアルバム。90年代のクラブではM-3のAm I The Same Girlがメジャー系UKソウルとして大人気だったので、僕と同世代くらいならばそちらのルートで知った方も多いことでしょう。リリース当時はまだ小学校低学年だったため、当然僕もクラブ経由の後追い世代です。ただ、Am I~はともかくその他のアルバム収録曲を真剣に聴くのは実は今回が初めて。10年くらい前に一度トライしてみたことがあるのですが、その時は90年代特有のサウンドをどうにも耳が受け付けなかったんですよね。モロに80年代後期サウンドな1stや、同時代のピチカートファイブのように往年のポップスを当時の質感で見事に甦らせた2ndはすんなり聴くことが出来たのですが、この3rdはどうも苦手で自分の中で寝かせていました。ただ、最近また自分の中でUKソウル熱が再燃していることもあり、もう一度チャレンジしてみようと引っ張り出してみたらこれが大当たり。長く音楽ファンをやっていると誰でもこういうことあると思いますが、過去に苦手だった音がすんなり受け入れられるようになるときというのは、自分の世界観が広がったような気がして非常に気持ちいいものです。閑話休題。さて気になる(?)アルバムの中身はと言えば、当時全盛期だったクラブ・サウンドの質感を取り入れた見事な90年代ポップス。今の気分的に気持ちいいのは彼らなりのアシッドジャズを聴かせるM-5のWho Let The Love Outや、開放的ながらもどこか切なさのあるメロディーが気持ちいM-11のDon't say the wordあたりでしょうか。トレード・マークのおかっぱ頭を伸ばしたコリーンも昔は苦手だったのですが、今ならすんなりと聴くことが出来ます。例によってブックオフだったら確実に250円のはずなので、聴いたことないという人は是非チャレンジしてみてください。ちなみに本作ではなく2nd収録曲ですが、彼らのWaiting Gameという曲のPVは、僕がこの世でもっとも好きなPVだったりします。
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Somethin' To Talk About / Gota & The Heart Of Gold

2014-11-24 | Acid Jazz~UK Soul
前回からキャロル・トンプソン繋がりでこんな作品を紹介。屋敷豪太のソロ・プロジェクト「Gota & The Heart Of Gold」による1993年のアルバムです。僕がこの日本人ドラマー/プロデューサーの名前を知ったのは10年ほど前の大学生の頃。ちょうど聴き始めたばかりのフリーソウルのコンピで、本作にも収録されているM-4のSomedayを聴いたことがきっかけでした。それまで日本人の本格クラブ系ミュージシャンと言えば、せいぜいキョート・ジャズ・マッシヴやモンド・グロッソ、それからマンデイ満ちるにU.F.O.くらいしか名前を聴いたことがなかったので、当時大学生だった僕は、このGotaなる謎の日本人ミュージシャンの存在に非常に驚かされたものです。後にいろいろと勉強していくうち別に謎でもなんでもなく、ミュート・ビュートやメロンのメンバーとして日本のクラブシーン黎明期から活躍しているばかりか、UKに渡りSoul II Soulやシンプリー・レッドにも参加するシーンの重要人物だと知っていくことになるのですがそれはまた別の話。この日本人離れしたグルーヴの持ち主は僕の心に強く残ることになるのでした。なんだか思い出話みたいになってしまいましたが、件のSomedayはついこうして昔語りをしたくなるようなノスタルジーに包まれた素晴らしい一曲。ヴォーカルは例のキャロル・トンプソンです。同系統で言うならばスノウボーイのGirl Overboardと双璧をなすグルーヴィー・UKミディアムソウルの大傑作。90年代当時のクラブの空気感に親しんだ人でこれ嫌いという人は、おそらくほとんどいないはずです。ちなみにこの曲があまりに良すぎるためその他の収録曲が霞んでしまいますが、アルバム全体を通しても良質なクラブ・ミュージック作品であるため誤解なきように。当時の日本のメジャー音楽シーンと言えばtrfがまだ出始めの頃だったというのに、その時から既に最先端のジャンルでワールドワイドに通用する日本人ミュージシャンがいたという事実に驚きです。今なら安く買えるので知らないという人は是非聴いてみてください。
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Free / Carroll Thompson

2014-11-16 | Acid Jazz~UK Soul
ジャネット・ケイやサンドラ・クロス等と並ぶUKラヴァーズ・ロック・クイーンがこのキャロル・トンプソン。ラヴァーズ・ロック界の大御所であることはもちろんですが、彼女の場合、屋敷豪太のプロジェクトやジムノペディ引用で知られるムーヴメント98、それからコートニー・パイン作品などにも参加していたりもするので、UKソウルファンからも馴染みが深いことでしょう。本作はそんな彼女が1994年にCDオンリーでリリースした4thアルバムです。録音こそロンドンで行われているもののリリースは日本の東芝EMIからで、そもそも製作自体も日本人が主導。個人的にこの手の日本独自企画盤は、いかにも「ビッグインジャパン」という印象を受けるため敬遠しがちなのですが、たまたま安く売られていたので買ってみたら意外にも大当たりでした。基本的には前3作で見せたスウィートなラヴァーズ路線を踏襲しつつも、数々のコラボで得た経験を生かしUKソウルに歩み寄った珠玉の作品集。レゲェ特有のアーシーな雰囲気は微塵もなく、非常に都会的な質感になっているため、80年代のブラコン~AORファンでも普段聴いている音楽の延長として違和感なく受け入れられるかと思います。初見で収録曲をチェックするとM-1のタイトル曲やM-7のClose To Youあたりのいわゆる洋楽名曲カヴァーに目が行きがちですが、実は全体の2/3を占めるオリジナル曲のクォリティが何気に高く、特にM-2のTouching The SkyとM-4のNever Be Lonelyは彼女の代表作であるI'm Still Waitingに勝るとも劣らないアーバン・ラヴァーズの大名曲。個人的には曲のアレンジもさることながら、どことなくハワイのロイヤル・ガーナーに通じるこの美しい歌声が大好きでついつい何度も繰り返し聴きたくなります。レア盤でもなんでもないのでアマゾンでは普通に1円で売っていますが、クォリティは下手な高額盤より遥かに上。少しでも気になる人は悩む前にまず買いましょう。普段このブログを読んでいる僕と感性が近い方ならまず間違いなく一発でハマるはずです。
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The Payback CD / James Brown

2014-11-11 | Acid Jazz~UK Soul
アシッドジャズ~UKソウルの流れでこんな盤を紹介。ここを普段見ている人にはあまり馴染みがないかもしれませんが、おそらくカナダのみでリリースされたと思われるジェイムス・ブラウンの編集盤です。JBの編集盤は古今東西にわたり山ほどリリースされていますが、本作はそんな中でも80年代にUKのUrban Recordsで製作されたいわゆるメガミックスに焦点をあてた珍しい作品。このあたりのメガミックス作品は権利関係の問題からかデジタル音源ではこれまでリイシューされておらず、聴こうと思ったらリアルタイムでリリースされたCDを探すしかないのですが、ジャンルの特質上レコードでのリリースが中心であることに加え、発売時期がLPからCD移行期でもあったためCDの製作数自体がそもそも非常に少なく、いざ探してみると想像以上にレア。本作もご多分に漏れず相当に稀少な一枚なのですが、かつてMuroさんのミックスCDにも収録されたThe Payback Mix (Keep On Doing What You're Doing But Make It Funky)の他、ノーマン・クック絡みとして知られるPayback (The Final Mixdown)とShe's The One (Funky Drummer Remix)が一挙に収録されているため、パフォーマンスは相当に高い作品となっています。特にShe's The One (Funky Drummer Remix)については他でデジタル音源がないため、聴こうと思ってもアナログが聴ける環境にない人は本作を探すしかありません。ちなみにその他の収録曲はI Got You (I Fell Good)とCold Sweat(たぶんどちらもオリジナル音源)、そしてお馴染みGive It Up Or Turnit A Loose (Remix)。収録曲順がまた非常に抜群で、通して聴ける素晴らしい一枚に仕上がっています。ヒップホップやレアグル関係の古参リスナーはよく「ジェイムス・ブラウンが基本だから聴くように」と言いますが、いざ巷に溢れている編集盤を聴いてピンと来ずJB離れを起こしてしまうのもまた事実。本来、そういう人にこそこのCDをおススメしたいと思うのですが、いかんせんマニア以外にとっては入手難易度が高すぎですね。ヒップホップ畑の人がJBに期待する音は間違いなくこの辺りなので、以前紹介したIn The Jungle Grooveのボーナス・トラックとしてでも復刻すればそれなりのニーズあると思うのですが。。。
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He Loves You / Paprika Soul

2014-11-04 | Acid Jazz~UK Soul
このところ何故だか自分の中でアシッド・ジャズ熱が再燃しているため、たまにはこんな90'sの定番作品を紹介。DJ Alan Barnes(アラン・バーネス)とAndy Spiller(アンディー・スピラー)からなるイギリスのユニット、Paprika Soul(パプリカ・ソウル)による1993年の12インチです。CDしか聴かないようなリスナーには馴染みがないかもしれませんが、90年代中~後半にかけてクラブ界隈で一斉を風靡したナンバーで、いわゆるジャイルス・ピーターソン絡みでないアシッド・ジャズ~UKソウル作品としては大定番。オリジナルは言うまでもなくSeawindの有名曲ですが、僕の場合はじめてこの曲を聴いたのがこちらのヴァージョンだったこともあり、正直オリジナル以上に思い入れが強かったりします。12インチには全4ヴァージョン収録されていますが、それらの中で群を抜いて人気が高いのがA-2のJazz Mix。MuroさんのDiggin' Heat 99にも収録されていた好ミックスです。おそらく生ではなくシンセによる演奏だと思いますが、美しいピアノと間奏のトロンボーン・ソロが心地よく、音質面でやや野暮ったさの残るオリジナルを綺麗に昇華した都会的なナンバーです。また同系統のミックスながら、よりシンセサイザー色が強いA-1のDodgy Bossa Mixもやはり完成度が高く、DJプレイで考えるならば前後の曲次第でどちらをかけるか決めるのが吉かと。まだインターネットが一般的でなかった時代にはそれなりの値段が付いていましたが、今では非常に安価で買えるので聴いたことがない人はチェックしてみると良いかもしれません。ちなみにあまり知られていないと思いますが、件のJazz Mixは2000年に国内インディーズからリリースされたBrand New PassionというコンピCDにもこそっと収録されているため、CD派の方はこちらでどうぞ。このところ自作コンピを作る際は極力クリアなデジタル音源を使うことをモットーとしているため、こないだ作ったコンピへ収録した時はここから音録りしています。この後リリースされた99年バージョンはともかく、このオリジナルがCDでフルコーラス収録されているのはおそらくこれのみかと。Amazonでなら普通に1円で買えるので、ぜひポチってみてください。
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Chasin' / Freedom Suite

2014-11-01 | Acid Jazz~UK Soul
当時、宇田川町のポール・ウェラーなどと呼ばれていたWack Wack Rhythm Bandの山下洋を中心としたバンドがこのフリーダム・スイート。リリース元が瀧見憲司主催のCrue-L Recordsだということもあり、一般的には数多ある渋谷系インディーズ・バンドの一つとして語られることが多いですが、ピチカートやフリッパーズ・ギターに代表されるオシャレ系グループとは毛色が異なる正統派のロック(と言うかモッズ)・サウンドを奏でるバンドなので、僕らのような後追い世代だとイメージと前評判だけで聴いてみてその無骨さに驚く人も多いことでしょう。僕自身、音楽の裾野が広がった今でこそ普通に聴けますが、十数年ほど前、当時ライムスターとのコラボでヒットしていたWack Wack Rhythm Bandからの流れで初めて聴いた際には大いに面食らったものです。さて、本作はそんな彼らによる1995年の7inch盤。マキシCDスタイルでリリースされた2ndミニアルバムSomething in the airと同日発売ですが、実はこちらのアナログ盤にのみジョニー・ブリストルのI Wouldn't Change A Thingカバーが収録されているというのは、その筋では有名な話でしょう。ジョニー・ブリストルの原曲ではなく、当時フリーソウル・シーンで人気があったコーク・エスコヴェードによるカバー(止マッテタマッカ-D.L. Remix- / Lunch Time Speaxのビートネタ)が下敷きになっており、かなり良い雰囲気のカバーに仕上がっています。コーク版には入らない間奏のフルート・ソロが非常にフリーソウルらしく、個人的にはお気に入り。山下洋自身がフリーソウル・ムーヴメントの中心人物の一人であるため、別の作品ではオデッセイのOur Lives Are Shaped By What We Loveをカバーしていたりもしますが、やはり本命はこれでしょう。残念ながら今のところCDにはなっていないようですが、何かの機会にコンピにでも収録されれば嬉しいですね。何気にそれなりに人気があるみたいなので見つかりにくいかもしれませんが、気になる人は探してみてください。
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