At The Living Room Reloaded

忙しい毎日の中で少し足を止めてみる、そんな時間に聴きたい素晴らしい音楽の紹介です。

I'll Make You Feel Real Good / Aura

2016-06-29 | Hawaii
FMI(Fusion Music, Inc.)なるレーベルから1979年にリリースされたアルバムで知られる、ハワイの男女混成バンドAuraによるシングル盤。一応Platinum Pacific Recordsなるレーベルからのリリースとなっていますが、規格番号がPPR-1001-EPS(A面)とPPR-1002-EPS(B面)なので、おそらく限りなく自主盤というか私家盤に近い位置づけの作品と思われます。製作年次の記載はありませんが、タイトル曲では往年の角松敏生のようなバキバキの打ち込みサウンドをやっているので、録音されたのはおそらく1980年代後半。言うまでもなく超マイナー盤なのですが、このところのコンテンポラリー・ハワイアンブームに乗じ、ちらほらと中古市場で見かけるようになりました。僕自身はと言うと、前々から存在は知っていたものの、よく試聴曲として紹介されているタイトル曲にまったく食指が動かなかったためこれまでスルーしていたのですが、カップリングで収録されたB-3のBaby Got To Have Youが実は思いっきりアイランド・メロウな超名曲と言うことに気づき、慌ててネット通販で購入した次第。この手のAORがかったアイランド・メロウ・ナンバーとしては、ヘンリー・カポノのレア曲Love Isと並ぶ屈指の名曲です。元々1979年のLPやその後にParadiseレーベルからリリースされたThe Feeling's Right(リイシュー盤CDではボーナストラックとして収録)でも素敵なアイランド・メロウ・ナンバーを披露していた彼らですが、本作ではそれをさらに洗練させたような雰囲気となっており、有り体に言って最高。この手のコンテンポラリー・ハワイアン・ファンの琴線に触れること間違いなしの一曲となっているので、興味のある方は市場に流れているうちに購入しておくことをお勧めします。ちなみにクレジットを見ると"From LP"なる文言が確認できるのですが、もしかして彼らの2nd LPが存在するのでしょうか。それともお蔵入り? 詳細不明なのでもしも詳しい方いらっしゃれば是非ご教示頂きたく。。。なお僕が購入したのは12インチですが7インチも存在する様子。件のBaby Got To Have Youはどちらにも収録されているので、特にこだわりなければ素直に先に見つけた方を購入することをお勧めします。
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Hey, Human / Frisco

2016-06-25 | Free Soul
ジャパニーズ・ロックステディ~レゲエ・バンド、Frisco(フリスコ)による少し前にリリースされた新譜。先日何か新録モノで面白い音源はないかと、いろいろネット・サーフィン(死語?)してたところ見つけた一枚です。ジャパレゲ界には疎いので正直あまり詳しいことまでは分からないのですが、なんでも98年に結成されたグループとのことで、今となってはなかなかの古参。僕自身は知りませんでしたが、2011年にリリースされたアルバムに入っていたジャミロクワイのVirtual Insanityカバーがスマッシュヒットした後、2012年にアナログオンリーでリリースしたSly, Slick & WickedのSho' Nuffも即完売になったとのことなので、巷では結構人気があるようです。さてさて本作はそんな彼らが2年ぶりにリリースしたシングル。Sho' Nuff同様Hong Kong Elevatorsなるインディー・レーベルから、アナログ・オンリーでリリースされています。タイトル曲は1stアルバムが激高額盤として知られる甘茶ソウル・グループ、Brief Encounter(ブリーフ・エンカウンター)が77年にリリースしたシングルB面曲のイントロを巧みに引用したインストのロック・ステディー・ナンバー。ちなみに引用部は90年代ジャパニーズ・ヒップホップ好きにはフリックの「時代特急」ネタとして親しまれています。これだけでも抜群に素晴らしいのですが、さらに注目なのがB面のWalk on the Wild Side。A面のインストとほぼ同じオケ上でLou Reed(ルー・リード)の代表曲を歌っています。歌うのは沖縄出身の多和田えみなる女性R&Bシンガーなのですが、これが曲よし声よし雰囲気よしの超名カバー。ほとんどアイディア一発勝負だと思うのですが、ここまでパズルのピースがパチッとハマると見事と言う他ありません。ロックステディー好きはもちろんのこと、フリーソウルや甘茶ファン、そしてレアグルーヴファンまで広くアピールできる素晴らしい一曲。CD化の予定はないとのことなので、気になる方は買えるうちに買っておきましょう。
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Multiverse / Hiroshi Watanabe

2016-06-12 | Detroit Techno
既に20年以上のキャリアを誇る日本人トラックメーカー兼DJ、ヒロシ・ワタナベ氏による本人名義での3rdアルバム。デリック・メイが主宰するTransmatレーベルから11年ぶりにリリースされたアルバム作品ということで、一部マニアの間では話題になっているようです。最もその11年前リリースとされているアルバムはデリック自身が編纂したコンピレーションなので、単独作品という意味ではスウェーデンのストックホルム在住のAril Brikha(アリル・ブリッカ)が1999年に発表したデビュー作"Deeparture In Time"以来17年ぶり。と言うかこのレーベルでミュージシャン単独のアルバム作品は、本作を除けばアリル・ブリッカのものしかなかったはずです。まぁこのTransmatはそもそも、活動初期のデリックが自分の音源を発表するために設立した非常に私家的なレーベルで、今となっては既に実体はなくなっているため、その辺りを気にするのも野暮かもしれませんが…。閑話休題。で、肝心の本作の内容ですが、これがイマドキちょっと珍しいくらいの超正統派デトロイト・テクノ。録音機材や環境の違いによりやや洗練された質感にはなっていますが、アルバム一枚通して見事なまでにデトロイト・テクノしています。中でもとりわけ素晴らしいのはM-4のThe LeonidsとM-6のHeliosphere、そしてM-9のField of Heaven。洗練されたパッドの音色はカール・クレイグ、荒々しいシンセ・ストリングスやピアノ使いはデリック・メイ、そして全体を覆うコズミックな雰囲気はマッド・マイクを思わせます。良い意味で先人達の作ってきたサウンドをオマージュ的に「良いとこどり」をした作風となっているので、90年代当時デトロイト・テクノに熱を上げていたリスナーならまず確実に一発でやられるはず。この間紹介したJoaquin Joe Claussell(ホアキン・ジョー・クラウゼル)の作品と並び、往年のハウス~テクノ系リスナーなら抑えておいて間違いのない一枚。世代的には30代中盤~40代の人がどんぴしゃだと思います。かつて最新型の音楽であったこの手のサウンドも、悲しいことに既にオジさんのものになりつつありますが、まぁ良いものは良いものということで興味のある人は是非聴いてみてください。
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