全部で16枚ある伊CetraレーベルのJazz In Italyシリーズ。イタリアにおけるモダン・ジャズ黎明期の貴重な記録として知られる本シリーズですが、リリース媒体がEP(N.13だけはLPのようですが)のみということ、またどの作品も一様に演奏と録音の技術が高いこともあって、今ではかなりの高額で取引されているようです。中でもセルジオ・ファンニのN.3、モダン・ジャズ・ギャングのN.6、ディノ・ピアーナ+ジャンニ・バッソのN.9辺りはクラブ系リスナーにもわりと知られているので、もしかしたら若くてもお探しの人も多いのではないでしょうか。さて、そんな中でこれはたまたま安価で見つけたので購入した一枚。同シリーズの記念すべき第一作目ですね。ドラマーのフランコ・モンディーニを中心とした2管のピアノレス変則カルテットによるスタンダード曲集で、初期バッソ=ヴァルダンブリーニ(Jolly盤辺り)にも通じる快活なウェスト・コースト・サウンドが気持ちいい作品です。それもそのはず、ベースとトロンボーンには当時バッソらのサイドを務めていたアゾリーニとピアーナが参加。はい、納得ですね。ピアノレスと言うことで最初は不安になりましたが、いざ実際に聴いてみるとピアノがいないことなど気にならない快演揃いで、特に縦横無尽に吹きまくるピアーナが良い感じ。いつもは主役の二人がいない分だけ逆にその演奏の巧さが際立っていて、彼のトロンボーンが聴きたい人には打ってつけの一枚です。アゾリーニのウォーキング・ベースも心地良いA-SideのBag's Groove、同じくバッソ=ヴァルダンブリーニ楽団に参加していたアティリオ・ドナディオとのフロントが微笑ましいB-1のAll The Things You Are、使い方次第によってはクラブ・プレイもいけそうなB-2のThere Will Never Be Another Youと、収録曲はいずれも高水準の出来。Rearwardレーベルから以前出ていたコンピが好きな人などはきっと気に入るのではないでしょうか。出来れば他の作品も全て聴いてみたいところですが、残念ながらどれも高価。ここは一つ、ぽろっと安く出てきた時を待って地道に集めていきたいと思います。
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