At The Living Room Reloaded

忙しい毎日の中で少し足を止めてみる、そんな時間に聴きたい素晴らしい音楽の紹介です。

Jazz Quintet 60 / Same

2008-12-23 | Hard Bop & Modal
ようやくオリジナルで手に入れることの出来たジャズ・クインテット60のEP。普段このブログを見て下さっている方には説明不要だと思いますが、1959年暮れに吹き込まれた彼らの記念すべきデビュー作です。音源自体はSteeplechaseからリリースされたAxenというCD/LPで聴くことが出来るので、これまでなかなか本腰入れて探す気になれなかった一枚なのですが、実物を見てしまったら最後、そのジャケットのあまりの格好良さに抗えず結局買ってしまいました。ここ半年近く、しばらく高額レコード購入は控えてたはずなのに…(笑) ちなみにこのEPに収められた4曲。何年か前に初めて聴いたときには、実はあまり好きになれませんでした。当時まだ今ほどジャズをしっかり聞き込んでなかったことと、例のMetronome盤が彼らの音として脳内にインプットされてたことで、何となく古臭い演奏に感じてしまったんですよね。ところがその後ある程度ジャズを真剣に聴くようになってから、ふと聴きなおしてみるとあら不思議。今まで古く退屈だと思っていた演奏が突然光輝いて聴こえるではありませんか。今になって考えてみるとあの瞬間が、僕にとっての一つの転機だったのではと思います。言ってみれば、それまで単にクラブ・ミュージックの一環としてジャズを聴いてた自分が、ジャズそのものにのめり込むようになったきっかけですね。そういう意味でこの4曲は自分にとってちょっと思い出深いものになってます。さてさて、内容の話をすると、まずオスカー・ペティフォードのペンによるA-1のMessage From Oscarに始まり、中盤アップテンポの2曲を挟んで、最後はしっとりとしたバラードで締めるという構成が見事。単なる曲の寄せ集めではなく、EP一枚でしっかり自らの世界観を確立しています。例のAxenとは曲の並びが若干違います(A/B面が入れ替わっているため)が、本来きちんとこの順で聴くのが正しいのではないかと。と言うかこの順序で聴かないとB-2のWhat's Newが引き立たず、ただの地味な曲で終わってしまいます。ここまでの動の部分があるからこそ、この曲の静の部分が生きてくるのではないでしょうか。わずか18センチ四方に収められた宇宙、そんな表現がぴったりハマる一枚です。同じく今年購入した2枚のEP(Top Jazz/Domino)と共にきっと、これからも末永くお付き合いしてもらうことになるでしょう。
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Holiday In Studio vol.1 / Bent Axen Trio

2008-12-20 | Hard Bop & Modal
またも久しぶりの更新ですいません。最近あまりレコードを買ってないこともあって、なかなかブログ書くことが出来ずもどかしい思いですが、これからも時々はこうして新着記事を書いて行こうと思っていますので、良かったらたまには除いてみてください。さてさて、そんなわけで本日紹介するのは、アクセン=ロストヴォルド=モーセホルムのトリオによる61年作品。便宜上、ジャズ批評のEP特集に合わせアクセンのリーダー作扱いにしましたが、クレジットに明確なリーダー記載がされているわけではないので誤解のないように。この3人でのトリオ演奏と言うと他に、アクセンのPoll Winner 59とロストヴォルドの「馬車」(共に澤野工房からアナログで再発済み)がありますが、以前リリースされたモーセホルムのベスト盤添付ディスコグラフィーによると、どうやら本作はそれに続く吹き込みとなるようです。収録された4曲はいずれもトラッド曲ばかりですが、録音の良さもあり非常に聞き応えのある一枚に仕上がっていて、お気に入りの作品ですね。軽快なテンポでスイングするA-1のBilly Boyからして最高ですが、個人的には何と言ってもB-2のNobody Knowsに惹かれます。目を閉じるとまるでコペンハーゲンの街並みが浮かんでくるような、叙情感溢れる演奏が魅力です。近頃やたらと目にすることの多い「北欧ならではの透明感」という形容は、本来こういう演奏にこそ相応しいものではないかと思ってみたり…。モーセホルムとロストヴォルドのデュオで始まるB-1のGo Down Mosesは、収録曲中でも一際ビターな味わいの佳曲。この中で一番デンマークらしいのはこの曲でしょうか。さらに、まるでクリスマス・ソングのような雰囲気で始まるA-2のLock Lomondは今の時期の気分にもぴったり。何というか、全体に隙のない一枚と言えると思います。ちなみにリリースはJazz Quintet 60作品と同じくTop Jazzからですが、こちらも同様に後発のDomino盤があったりするのでしょうか。どうやらvol.2の方は赤ジャケのTop Pop盤があるようですが…。と言うか、このTop Jazzの4枚ってどこかでまとめてCD化はされたりはしないのかな。アナログは時々見かけるのですが、汚い盤が多くてちょっと困り者です。この盤も3回くらいスルーして、ようやくそこそこ綺麗な盤にありつけました。
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