At The Living Room Reloaded

忙しい毎日の中で少し足を止めてみる、そんな時間に聴きたい素晴らしい音楽の紹介です。

On The Move Again / Margriet Eshuijs

2005-10-30 | Free Soul
公式HPなんかもあるので、おそらく現在も現役で活躍しているのであろうオランダの女性シンガー、Margriet Eshuijsによる79年リリースのアルバム。まぁ時代柄というかアルバム全体の雰囲気はかなりクリスタルでアーバンなので、今聴くと若干恥ずかしい部分もあるのですが、一曲だけフリーソウルな佳作が入っていたので紹介。ジョニー・ブリストル絡みでも知られるTavaresのカヴァーとなるA-2のIf That's The Way You Want Itがそれです。軽快なギター・カッティングと美しいピアノに導かれて始まる込み上げ系ミディアム・バラード。僕はあいにくオリジナルを聴いたことがないので、比べてみることは出来ないのですが、このヴァージョンはソウルフルなバラードなのにも関わらず程よい感じでリズム・セクションが跳ねていて、演奏もとても都会的でフリーソウル・ライクなため、おそらくフロアでの使用も可能かと思われます。Odia CoatesのI'll Just Keep On Loving You辺りが好きな人なら気に入るはず。アフター・アワーズに気持ちよく映えそうな名演です。あまり見る盤ではないかもしれませんが、見かけたらチェックしてみてください。まぁわざわざ高いお金を払う必要もないと思いますが…。何かのコンピだかミックステープにも収録されている模様です。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Freedom Jazz Dance Book II / Various Artists

2005-10-29 | Club Music
お馴染Schemaレーベルから先日リリースされた秀作コンピ。前作からはアナログではNicola ConteとGerardo Frisinaのスプリット12インチが一枚切られただけでしたが、今回は未発表曲が多いせいか2LPとしてもリリースされています。当然僕が持っているのもそちらの方。全体に同じような曲が多く、よく言えば「まとまりのある」悪く言えば「個性のない」一枚です。Jukka EskolaとDalindeoのRicky-Tick勢が収録されている他は、全てSchema内のアーティストの新録でまとめてあるのですが、驚くべきことにSoulstanceやS-Tone Inc.までモダン・ジャズ志向にシフトしているようです。彼らにはもう少しエレクトロなイメージがあったのですが、レーベルのカラーに合わせての方向転換と言ったところなのでしょうか?人気のP.Fedreghini & M.BianchiによるC-2のStarsは女性ヴォーカルを配したボッサ・ハウス。Blu Night In Africaという彼らの曲と似た印象を受けます。決して悪くはないのですけれど…。ただこのコンピの拾い物はD-2に収録されたQuintetto Lo GrecoによるYes And No。Wayne Shorterのカヴァーになるようですが、2管でぐいぐい引っ張っていくスタイリッシュなサンバ・ジャズでかなり良い感じ。この一曲のためだけにでも買う価値ありかもしれません。クラブ的な要素はほとんどない完全生音なので、モダンジャズ好きな方にもオススメです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Good Morning Susie Soho / Esbjorn Svensson Trio

2005-10-26 | Contemporary Jazz
現代ジャズを代表するスウェーデンのコンボ、Esbjorn Svensson Trioが2000年にリリースした出世作。彼らの作品を紹介するのはSeven Days Of Fallingに続き2回めですが、やっぱり何だかんだで好きだったりするのです。ただ、決して分かりやすい作品ではないことは確か。彼ら自身はジャズのトリオですが、いわゆるモダン・ジャズと言うのとも少し違った雰囲気で、どちらかというとプログレッシヴ・ロックの枠でくくった方が良いかもしれません。考えてみればプログレって当時は物凄く前衛的な音楽だったんですよね。ジャズっぽいプログレというかプログレっぽいジャズと言うか、まぁその辺りの感じ方は人それぞれなのでしょうが…。ベースとなる音は繊細で透明感があっていかにもヨーロッパという感じなのですが、そこに様々なエフェクト処理が施されているために、いわゆる澤野辺りのピアノ・トリオとはまた異なる世界観が形成されています。ちなみに一曲挙げるとすれば文句なくM-9のSpam-Boo-Limbo。刹那的な情緒に満ちたピアノと硬質なドラム、そして効果的なエフェクト使いは完璧の名にふさわしい一曲。須永辰緒さんの「夜ジャズ」でも1曲目に収録されていたあの曲です。ただ、ジャズ初心者向けというような評論をよく見かけますが、これは明らかに上級者向けだと思いますよ。現代音楽が好きだったらチェックしてみるべき一枚です。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Metropoli / Idea 6

2005-10-23 | Hard Bop & Modal
Paolo Scottiが運営するイタリアの新進ジャズ・レーベルDeja Vuから驚愕の一枚が届きました。このブログでも何度も名前を挙げているイタリアン・ジャズ界のゴッド・ファザーGianni Bassoをリーダーとするセクステットの新録。おまけに他のメンバーも、トロンボーンのDino Pianaを始めイタリアの古参ジャズ・プレーヤーばかりで固められていて、演奏者だけ見たら最近のアルバムだとは到底思えない作品です。この面子を揃えて新譜を発表したというだけで、Paolo Scottiは凄すぎでしょう。で、肝心の曲の方ですがオリジナルとカヴァーを上手い具合に織り交ぜながらも、基本的にはクラブ・ユースというかミッド~アップ・テンポのナンバーばかりで、なかなかに良い雰囲気です。特に気に入っているのはA-2に収録されているNew Bornというラテン気味の曲。勢いがあるというわけではないのですが、どことなく昨年リリースされたNicola ConteのThe In Betweenにも通じるオシャレな雰囲気で良いです。ただ、タイトルにもなっているA-1のGino MarinacciカヴァーであるMetropoliはあまり好みではないかもしれません。決して悪くはないのですが、あの完璧なオリジナルと比べてしまうとどうしても見劣りしてしまいます。それとフルートがミュートのトランペットに差し変わっているというのも残念ですね。まぁこのアルバムがリリースされたことによって、オリジナルが再発されることを望むことにしましょう。無理ですかね・・・?
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Kids Are Pretty People / Vladimir Shafranov Trio

2005-10-21 | Contemporary Jazz
クラブ畑じゃないコンテンポラリーなジャズからもう一枚紹介。今や日本では押しも押されぬ大人気となったフィンランド在住のピアニストVladimir Shafranovの2年ぶりのアルバム。彼と言えば澤野工房の看板アーティストなわけで、このアルバムも当然アトリエ・サワノからリリースされました。本当は今月アタマにリリースされるはずだったのに、なんだか出荷直前にトラブルが発生したらしく発売が若干延期されましたが、遅蒔きながらこうして手元に届いて良かったです。さて、アルバム通して聴くと相変わらずシャフラノヴ節というか、期待通りのヨーロピアン・ジャズらしい繊細なピアノ・トリオが楽しめるわけですが、とりあえず当ブログ的にオススメしたいのはM-8のBrigas Nunca mais ''No More Flighting''という曲。クレジット見る限りジョビンのカヴァーらしいです。これがかなり心地よいアップ・テンポのジャズ・ボッサで、まさしくAt The Living Roomな雰囲気。4ビートとボサノヴァの巧みな切り替えも秀逸で、とにかくピアノの音色が余りにも美しすぎます。クラブプレイには全く向かないかと思われますが、まぁ何もクラブでかかる音楽だけが素晴らしいと言うわけでもないので、たまには気分を変えてこういうのも聴いてみてはいかがでしょうか?高速4ビートのM-10、Cup Bearers辺りもなかなかに気に入っています。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Angel Eyes / Stefanie Schlesinger

2005-10-20 | Contemporary Jazz
Dusko Goykovichなどの音源も所有しているドイツの老舗ジャズ・レーベルEnyaから、昨年のこの時期にリリースされたCDオンリーの珠玉のサロン・ジャズ・ヴォーカル集。元々はクラシック畑で育ってきたという美人女性シンガーStefanie Schlesingerによる3rdアルバムです。正直言って僕は彼女のことを全く知らないのですが、先日アプレミディ・セレソンにて試聴したところ偉く気に入ったので購入してみました。何はなくともとりあえずM-1のSay That You Love Meが素晴らしいです。ヴァイブとアンニュイなポエトリーに導かれて始まるミッド・テンポなジャズ・ボッサ。全編でヴァイブを担当しているWolfgang Lackerschmidのオリジナル曲なのですが、まるで古くからのスタンダードのように聴こえるから不思議です。込み上げ系のメロディや間奏のピアノもなかなかに良い感じ。雨の日に部屋でおとなしくしていながら聴きたい曲と言った趣かな。3拍子で優しく奏でるM-6のFour Sweet Wordsもクラブ向けではないけれど、聴いてると落ち着く名曲です。ちなみにこちらもLackerschmidのオリジナル・ナンバー。全体的にクォリティが高いので部屋や車で流し聴きしていると良いかもしれません。こういうクラブ系じゃないコンテンポラリーものにも時々凄く良いアルバムがあるので、CDもあながち侮ってはいけないなと思う今日この頃です。Celesteの再発カタログが好きな方なんかだときっと気に入ること間違いなしでしょう。可愛い女の子にもぜひ聴いてもらいたいアルバムです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Make It Last / Cradle feat. Aloe Blacc

2005-10-18 | Mellow Hiphop
商業主義のメインストリーム・ヒップホップがどんどん下らないものになってるのに対して、近年のアンダーグラウンド・シーンの盛り上がりは過去に類を見ないものとなっています。特に今年はヒップホップの当たり年で、一時のブームでなく一生聴き続けられそうな素晴らしい楽曲が次々とリリースされているわけですが、この12インチもそんな中の一枚です。気鋭の日本人クリエイターCradleとEmanonのAloe Blaccによるコラボレーションである本作は、D.M.R.を始め多くのレコード屋がリコメンド中の大注目作。Keith SweatのR&Bクラシックスをもじった女性コーラスやサンプリングの上を切なく奏でる生ピアノが配された極上のエモーショナル・トラックの上に、Aloe Blaccの暖かいフロウが乗る最強の一曲です。昨年話題になったCrown City RockersのSidestepにも通じるソウルフルな作品で、聴いているとその美しさの前に本当に溜め息しか出ません。それにしてもNujabesやDJ Mitsu The Beats以降のアンダーグラウンドな国産トラックメーカーのクォリティの高さには毎度驚かされるばかりです。もうトラックだけに関してならヒップホップも本場と完全に肩を並べられる域にまで達していますね。ここで時々紹介しているようなメロウ・ヒップホップ好きはマストです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Emcee Five 2 / Emcee Five

2005-10-16 | Hard Bop & Modal
こちらはそのEmcee Fiveの(当時としては)未発表音源となる60~62年のプライヴェートなスタジオテイク集。こちらも前述の1同様に荒削りながらクォリティが相当高い内容で、正直オクラ入りになった理由が全く分からない一枚です。特筆すべきはA-2のMike's Dilemma。Don Rendell = Ian Carr Quintet名義によるTan Samfuにも通じるミッド・テンポの絶品ラテン・ジャズで、BPM的にも即クラブプレイ可能かと思われる名演です。美しいピアノに導かれて始まる軽快な4ビートのバップ・スウィングであるB-2のLefty's O'groats(もしかするとLefty's Tuneの誤植かもしれません…)辺りもかなり小気味良くてとても気に入ってます。ちなみに最近オークションで若干高値で売られているのも発見しましたが、99年の数量限定再発ながらHMVのサイトで今でも普通に定価で買えるようです。半信半疑でオーダーした僕のもとにもきっちり届いたので、きっと皆さんでも買えるはずです。もっともどれだけストックが残っているか分からないので、興味のある方はなくならないうちにどうぞ。ちなみに内容&ジャケ含めて僕は2枚のうちではこちらの方がより気に入っています。1より気品に溢れるプレイが聴ける気がするんですよね。もちろん1も全然素晴らしいのですけど…。ヨーロッパのハードバップが聴きたい人には超オススメ盤です。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Emcee Five 1 / Emcee Five

2005-10-16 | Hard Bop & Modal
後にDon Rendellとクインテットを組むことになるイギリスのトランペット奏者Ian Carrが、それ以前にキーボーディストである弟のMike Carrらと結成していたグループがこのEmcee Fiveです。グループとして残した録音は少ないものの、ブリティッシュ・ジャズ牽いてはヨーロピアン・ジャズの創成期を知る上では、その音源はきわめて価値がある内容と言えるものでしょう。この10インチはそんな彼らが唯一残した61年録音のEPであるLet's Take Fiveという作品を数年前に日本企画で復刻したものです。オリジナルが手元にないので分かりかねますが、おそらく内容としてはLet's Take Fiveと全く同じであると思われる6曲入り。ちなみにジャケットのアート・ワークもほぼ同じですね。曲の方はと言うとまさにハードバップの王道と言った趣で、英国紳士のダンディズムが全編から伝わる素晴らしい作品ばかりです。スウィンギンな高速ハードバップであるA-1のThe One That Got Away、それからアフロキューバン・ビートであるA-2のStephenson's Rocketが生音ジャズ系のDJとしてはおいしいかと思われます。もちろんクラブ視点で捕らえなければ、その他の曲もどれも素晴らしいのですけれどね。ちなみに次に紹介する2の収録曲を加えたBebop 61という編集盤のLPも87年にリリースされているよう。須永氏なのが雑誌で紹介しているのがこちらの盤ですね。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

I Piaceri Proibiti / Piero Umiliani

2005-10-16 | OST / Library
須永氏がDouble Standardに掲載したりミックス・テープに収録したせいもあって、最近はたまに見かけてもとんでもない値段で売られていることが多い一枚。トロバヨーリやピッチオーニと並び称されるイタリアン・チネ・ジャズ界の巨匠、ピエロ・ウミリアーニによる63年の映画「禁じられた欲望」のサントラ盤です。演奏にあのBasso = Valdambriniが絡んでいることでも知られていますね。あまり知られていなそうですが、実はこれ廃盤ながら日本企画でCD再発されていて、僕は探しに探して先日そちらをようやく購入しました。M-1のStorie Proibiteからして重厚なジャズといった感じで格好いい。そして例のテープ収録曲であるM-5のNotte In Algeriaは本当に文句のつけようのない素晴らしさ。チネ・ジャズという次元を軽く飛び越えてこれは完全にハードバップでしょう。同タイプでM-12のL'orgiaも高速バップで最高。アグレッシヴに攻め込むホーンが格好良過ぎです。それからサバービアで紹介されているダバダバ・スキャットのM-6、Night Twistもフロア向けじゃないにしろかなりノリのいいグルーヴに包まれた名演だと思います。というか年代的なものもあるかもしれませんが、この手のサントラにしては全体に本格ジャズ度がかなり高い盤なので、サントラ・ファンというよりもむしろモダン・ジャズ愛好家に聴いてもらいたい一枚です。ただ冒頭にも書いたとおりアナログは激レアで本当に高いですけれどね…。ちなみにNotte In Algeriaだけで良ければEasy Tempoのコンピにも収録されていますよ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする