At The Living Room Reloaded

忙しい毎日の中で少し足を止めてみる、そんな時間に聴きたい素晴らしい音楽の紹介です。

Last Exit / Christian Gaubert

2006-03-31 | Free Soul
神戸ディスク・デシネ主催のProduction Desineeレーベルから、Pierre Maizeroiに続くリリースとなったのが本作。クリスチャン・ゴベールなるフランスの作・編曲家による79年の作品です。いわゆる仏産レア・グルーヴと言った趣で、正直なところアルバム通して好きというわけでもないのですが、それでもB-1のSweet Marylineは捨てがたい一曲。このアルバムが発掘された当時、一部でオデッセイ以来の衝撃と言われていたのも何となく納得がいくアーバン・ファンクの傑作です。言われてみれば確かにBattened Shipsと少し雰囲気が似ているかもしれませんね。高らかに鳴り響くホーンが否応なしに高揚感を盛り上げるフロア・キラーです。どことなくMichel Fugainの諸作なんかにも近い雰囲気もあります。要するにこの感じがフレンチ・フリーソウルということなのかもしれませんが…。それにしてもディスク・デシネは本当にフレンチもののマイナー盤に関して強いなと改めて思います。僕はそれほどフレンチものを持っているわけではないので、この調子でガンガン再発してもらえると助かりますが、オリジナルを高額で買った人からしたら溜まったものではないですよね。僕自身、先日VividからSvante Thuressonが再発されてしまった時には、結構なショックを受けましたし…。こんなマニアックなものまで再発されてしまうとは、本当にもう次は何が再発されるか分からない状況ですね。最近は怖くてレア盤に手が出せません。
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Lead The Way / Soulstance

2006-03-30 | Club Music
先日紹介したLo Greco兄弟による本体ユニット、Soulstanceの4枚目のアルバム。前にも書いたとおりQuintetto~名義でのリリースが控えているためもあり、このアルバムはそれとの差別化を図るためと思われるダンス・ジャズ集。同レーベルの作品としては、昨年リリースされたGerardo FrisinaのThe Latin Kick辺りに近い肌ざわりです。実際Lo Greco兄弟はGerardo Frisinaの諸作にも大きく関わっているので、この展開はまぁ想定の範囲内と言ったところ。曲単位で言えばB-2のCrossroadsやC-1のEclipse、C-2のSpecial One辺りはアフロ・キューバン~ラテン風味のジャズ・ダンサー佳作と言った趣きですね。もっとも前にThe Latin Kickの項でも書いたとおり、僕はこの手のサウンドが若干食傷気味なので、あまり好きな感じではないわけですが…。ただ、そんな僕でも思わず耳を奪われてしまったのが、アルバム中では異色と言えそうなD-1のMoon Vision。Alice Ricciardiなる女性をスキャットで起用した、美しくもモーダルなジャズ・ワルツです。同郷のMarco Di Marcoのトリオ作辺りを思わせるAt The Living Roomな音作りには、ただただ溜め息をもらすばかりと言った感じ。あまり強烈にオススメ出来る盤ではないと思いますが、このブログを見てる方々ならば、この1曲のためだけに買っても損はしないかもしれません。
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O Som Do Julinho / Julinho

2006-03-24 | Brasil
今から2年ほど前に英What Musicから再発された本作は、ブラジル音楽コレクター達に幻の一枚と噂される激レア盤。トランペット奏者であるJulinhoことJulio Barbosaが、唯一残したリーダー作として知られている作品です。全編インストのジャズ・ボッサなのですが、最近よく僕が紹介しているような「ブラジルのハードバップ」的演奏ではなく、比較的ラウンジーで落ち着いた雰囲気の演奏が繰り広げられています。全体的に気品があり、どことなくヨーロッパ的な匂いもチラホラ。B-3のTema Pro Gaguinhoや続くB-4のMenina Florを始め、気持ち良さの中にも少しばかりの陰影を秘めた大人な曲が多数収録されている好盤。今日みたいに曇り空の午後にはこういうレコードをかけながら、のんびりと過ごすのもいいかもしれません。全体的に速すぎず遅すぎずといったテンポの曲ばかりで、正にAt The Living Room的な名盤と言えるでしょう。そしてジャズDJに人気があるA-5のCaminhandoはやはり飛び切りの名曲。ややアップ気味なテンポの中を駆け抜ける、哀愁に満ちた三管のテーマが美しいです。フロアをがんがんに盛り上げるというタイプの曲ではないでしょうが、うまくプレイすればとても気持ちよく踊れそうなジャズ・サンバ。言うまでもなくユーロ・ジャズなんかとの相性も最高です。オリジナルはともかく再発はわりとどこにでも売っているので、チェックしてみてください。ちなみにCDでもリリースされているようです。
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Reflections / Quartetto Lo Greco

2006-03-22 | Contemporary Jazz
Soulstance名義での新譜も先ごろリリースされ、4月にはQuintetto Lo Greco名義でのCDも控えているLo Greco兄弟による2003年リリースの作品(ちなみに録音は2001年らしいです)。当然ながらリリース元はイタリアのSchemaなのですが、アナログのリリースはなくCDのみです。まぁ昨年の暮れにQuartetto ModernoとShcema Sextetが突然アナログ化されたので、これもそのうちアナログ化されないとも限りませんが…。肝心の内容の方はと言うと、基本的にはテナー・サックスを従えたワンホーン・カルテットで、かなり本格的なモダン・ジャズをやっています。「夜ジャズ」な感じでなかなか宜しいかと思うんですけれど、どうもワンホーンだと野暮ったく感じてしまうのが残念。やっぱり管楽器を入れるなら個人的には2~3管が望ましいです。ただ例外はフルート。ピアノ・トリオ+フルートのカルテットだと、どことなく小洒落た感じになるので好きなんですよね。と言うわけで、このアルバム中で最も気に入っているのはM-3のGiant Steps。先日紹介したNew York Jazz Sextetも取り上げていたコルトレーンの曲です。New York~と比べてグッと洗練された質感になっていて、これぞ正にヨーロピアン・ジャズと言った趣き。「洒落ている」という形容がよく似合う大人のジャズ・ボッサです。どこにでも置いてある類のCDではありませんが、見かけたら買ってみても面白いかと思います。
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All That Jazz / Group Six Players

2006-03-21 | Hard Bop & Modal
De Wolfeなどと並ぶUKの名門ライブラリー・レーベルKPMに残されたモダン・ジャズの佳作集。この時期のKPMのジャケは全てこの緑色の同じデザインで、探す方からしたら難儀なわけですが、そんな苦労を惜しんでも探してみる価値があると思われるのがこの一枚。ちなみにカタログ・ナンバーは1014番となっています。David Leeなるコンポーザーを中心としたGroup Six Playersなるセクステットによる録音となっていますが、ライブラリー音源と言うのは匿名性が高いために、実際のところの参加ミュージシャンの詳細は不明。ただ僕が聴いたところによると、あのTubby Hayesが絡んでいるという話です。さて、全体的にはBGM向けのイージー・ジャズというような今作の価値を高めているのが、A-1に収録されたTime Checkという曲。高らかに鳴り響く3管ホーンのイントロからして格好良過ぎるミディアム・ファーストのモーダル・バップ。「夜ジャズ<裏>」にて終盤のハイライトに収録されていたあの曲です。何と言ってもテーマ部分のメロディが高揚感と気品に満ちていて素敵。もちろん各ソロもイカしてます。DJ的には3分25秒というタイトな尺も魅力的なのでしょう。ライブラリーと言うことで市場にはあまり出回っていないのでしょうが、渋谷界隈では時々見かける一枚です。値段もまぁそこそこ。ヘタな再発モノを何枚か買うなら、こういう特A級の1曲を買ってみるのもいいと思います。オススメ盤。
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Hideo Shiraki / Same

2006-03-15 | Hard Bop & Modal
我が国におけるモダン・ジャズの黎明期に活躍した天才ドラマー、白木秀雄による1958年の初リーダー作。まず58年の時点で日本において既に、これほどまでのクォリティを兼ね備えた作品がリリースされていたと言うのが凄いです。同時代のUS産ジャズに少しも引けをとらない確かなテクニックとアレンジ力が秀逸。怒涛のようなドラム・ソロから始まる高速ハードバップのA-1、I Got RythmからグイグイLPの世界観に飲み込まれていきます。そして続くA-2のMoritatがまた素晴らしい。2管クインテットに小野寺武司のコンガを加えたセクステット編成で演奏されるこの曲は、ミディアム・テンポのアフロ・キューバン・リズムがご機嫌なフロア・シェイカーです。こういうグルーヴィーな曲は、やはりクラブで大音量で聴きたいものですね。また、そのスタイルから和製アート・ブレイキーと形容されることもある彼ですが、B-4ではそのブレイキーの代表ナンバー(作者はD.ガレスピー)であるA Night In Tunisiaも披露。あのブレイキー盤にも引けを取らない抜群の快演で、聴くものを楽しませてくれます。特にコンガの小野寺氏とのコンピは秀逸。ちなみにこのLP、オリジナルは人気もあり結構高いです。十年位前にWaveから再発がリリースされているので、マニアじゃない方はそちらでどうぞ。このWave再発シリーズ、作りも良くかなりオススメです。同シリーズの他の盤も是非聞いてみたいものですね。
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New York Jazz Sextet / Same

2006-03-14 | Hard Bop & Modal
トランペッターのArt FarmerやピアニストのTommy Flanaganを中心として、ごく短期間だけ結成されたジャズ・コンボであるNew York Jazz Sextetによる(おそらく)唯一の録音作。その他のメンバーで僕の知っている人は残念ながらいないのだけれど、いずれも当時の中堅所のプレーヤーが集まっているそうです。録音時期が1965年ということで、いわゆる50年代ブルーノート的なゴリゴリのハードバップではなく、全体的に丸みのある華やかな演奏が繰り広げられている佳作。特に美しくも儚いピアノとフルートの旋律、Marie Volpeeの気だるいスキャット・ワークが印象的なB-1のGiant Stepという曲が良い雰囲気です。先日発売されていた須永氏による「夜ジャズ<裏>」にも収録されていましたね。このテープを聴いて最初に自分の中で引っかかったのがこれでした。テンポ的にも速すぎず遅すぎずに良い感じ。聴いていて気持ちいいです。某中古チェーンで1000円以内で当時の国内盤を見つけたわけですが、オリジナルが果たして高いのかどうかは知りません。ただ、いろいろ調べてみたところこのテイチクからの国内盤はどこでも割と安いそう。ジャズの旧譜って高い盤が多いのが若者泣かせだと思っていましたが、安くても良い盤ってのもやっぱりあるんですね。そして、鬼のような高額レア盤とこういうどこにでもある盤を1つのテープに収めている辰緒さんは改めて凄いなぁと実感。
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Sambossa 5 / Same

2006-03-11 | Brasil
数ヶ月前からディスク・ユニオンなどを中心に話題となっていたブラジル音楽の大型リイシュー企画が遂にお目見え。残念ながらアナログでのリイシューはなく、全25枚全てがCDのみでの発売となりますが、だからと言って見逃すのではもったいなさ過ぎる好企画です。で、その25枚の中でも特にジャズ・ファンに評価されそうなのがこの盤。Sambossa 5による65年の1stアルバムですね。サバービアやプレミアム・カッツで紹介されている2ndもかなり内容が良いそうなのですが、こちらの1stも充分に素晴らしい。ジャズ・ボッサと言ってしまっては語弊がありそうなくらい、60年代ハードバップからの影響が色濃い熱い演奏が全編で繰り広げられています。MeirellesやOs Cobras辺りの音が好きな人にはストライクでしょう。一般にピアノ・トリオが圧倒的に多いジャズ・ボッサの中で二管クインテット編成と言う点や、全ての曲が短尺で2~3分で終わるところもフロア的にはポイント高いと思います。M-2のDiagonalをはじめ格好いい佳作揃いの1枚ですが、個人的に最も気に入っているのはラストに収録されたM-12のTensão。ヨーロッパのハードバップなんかとも相性が良さそうな高速調のモーダル・ジャズ・ボッサ。こういう曲はもはやブラジルのハードバップと呼んでしまって構わないと個人的には思っているのですがどうでしょう。ボサノヴァのゆるい感じが好きな人が、こういうの好むとも思えないし…。ジャズファンにこそオススメの1枚です。
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One I, Two Eyes / Wei Chi

2006-03-09 | Club Music
挑発的な唇ジャケットが秀逸な本作は、CompostのWei Chiによる2004年の1st。レーベルの看板コンピGlücklich IVに収録されていたHeavenという曲が当時話題となった人と言えば分かる方もいるでしょうか。そのHeavenから実に4年を経ての唐突なリリースで、発売当時にそれほど話題になったわけでもないので、この2LPは日本国内においてはほとんど流通しておらず、今となっては入手するのが困難な一枚になってしまいました。かく言う僕自身も発売当時に買い逃したために、今日まで手に入れられなかったのですから…。発売時にも試聴していて実際に何度か購入を試みたのですが、何となく決め手に欠けていて悩んでいるうちにSold Outになってしまったという苦い思い出がある一枚です。で、肝心の内容の方なのですが、これぞ正にCompostと言うようなフューチャー・ジャズが満載。正直この手の音は食傷気味なわけですが、ほぼ全編でフィーチャーされたMerit Ostermannなる女性ヴォーカリストの歌声がキュートで、聴いていてそれほど嫌味な感じは受けません。特に4つ打ちとも相性が良さそうなC-1のDreamや、メランコリックなピアノやストリングスが心地良いC-2のPray For Peaceはなかなかに上出来ではないかと…。時期的にシーン全体が本格的にモダンジャズへ回帰していく直前の作品なので、フューチャー・ジャズ期における最後の遺産と呼べるかもしれません。
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Bossa De Disco / Cover Lover Project

2006-03-08 | Brasil
上出優之利なる人物を中心としたこのCover Lover Projectは巷で密かに話題となっている企画ユニット。90年代後半のカフェ・ブーム以降ボサノヴァがオシャレな音楽として認知されて以来、過去の音源をボッサ・スタイルでアレンジ/演奏してしまおうというこのような企画はこれまでも幾つかあったし、このプロジェクトもそうしたものの一貫という枠で捕らえて問題ないでしょう。そんなわけで根本的には昨今の癒しブームに乗った安易な企画物なわけですが、これがなかなかに良い感じの佳曲揃いなのだから油断できません。ディスコ系の曲をカヴァーしているということもあって、全体的にボッサと言うよりもMPBテイストが強め。そのせいか、どことなく70年代辺りの和製AOR的な懐かしくも甘酸っぱい雰囲気が全編から感じられます。Jazztronik参加で知られるArvin Homa Aya嬢やAsa Festoonをヴォーカリストで起用していることもあり、クラブ人脈の人たちにも馴染みやすいのではないでしょうか。個人的に気に入っているのはM-3のDancing Queen。アップ・テンポでアコースティックなMPBで、大ネタながらもうまく使えばクラブ・プレイも可能かと思われます。パーティーの終盤、明け方のフロアでこんな曲が流れてきたら気持ち良さそうですね。ちなみにレコード発売があるかと思い多少購入を見送っていたのですが、どうやらCDのみのリリースのようです。
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