At The Living Room Reloaded

忙しい毎日の中で少し足を止めてみる、そんな時間に聴きたい素晴らしい音楽の紹介です。

My Thing / Tuomo

2007-07-28 | Free Soul
少し久しぶりに新譜から紹介。フィンランドの男性ヴォーカリストTuomoによるソロ・デビュー作です。当地のクラブ系レーベルであるJupiterからのリリースながら、意外にもこれがクラビーな要素を廃した正統派の白人ソウル~AOR。まるで往年のジョン・ヴァレンチやエリック・タッグのような、フリーソウル趣味全開の偽スティーヴィー・サウンドに仕上がっています。その傾向が特に顕著なのが、先行7インチとしてもカットされたA-5のDon't Take It Too Hard。跳ねたリズムと豪快なホーン・アレンジ、それからヤング・ソウル風の歌声が気持ちいい最高のナンバーです。もしもこれが90年代中盤にリリースされていたら、Nick LoweのCruel To Be Kindらと並ぶ必殺のフロア・シェイカーになっていたこと間違いなしでしょう。また、高揚感に満ち溢れたB-3のSo Surrealはアーバン・メロウなAOR。ゴスペルライクな女性コーラスも神秘的な好曲です。こういう類の音は現在の日本のフロアーでは求められていないのかもしれませんが、個人的には今でも大好きなので全然アリで。むしろ最近のツマらないNu Jazzよりも、こう言ったサウンドの方が非常に好感が持てます。要するに僕は、こういう風にブラック・ミュージックを昇華して、適度に洗練させた音が好きだということですね。ハンドクラップが楽しげなB-6のI Won't WorryやスタイリッシュなA-6の26辺りもかなり良い感じ。ピアノ一台の伴奏でゴスペル調に歌うA-7のPuddle Of Loveも好きです。一聴すると普通のポップス・アルバムのようですが、ここまで全体を通して雰囲気の良い作品は意外と少ないもの。フリーソウル・フリークはもちろんのこと、金澤さんが紹介しているライトメロウなAORが好きな人にもオススメです。ちなみに最近、国内P-VineからCDでも発売されたそう。気になった方は、とりあえずご試聴してみてください。
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Moonscape / Michael Garrick Trio

2007-07-23 | Hard Bop & Modal
本当は書かないでおこうと思っていたのですが、最近一部で非常に話題になっているようなのでやはり紹介。オリジナルが99枚しかプレスされなかった激レア盤という触れ込みで売られている、イギリスのピアノ奏者マイケル・ガーリックの64年Airbone盤です。この再発盤もなにやら500枚のみのプレスだとか…。これが希少性に価値を見出す日本人のツボを突き、市場から一瞬で消えてなくなりましたね。このまま、また幻盤になってしまうのでしょうか。さて、そんな曰くつきの本作。内容的にはモーダル・ジャズと言うよりもフリー寄りの前衛ジャズになっています。おまけにガーリックによるピアノのタッチも無機質で硬質。おそらく聴く人によって好みがかなり分かれる作品なのではないでしょうか。少なくともジャズ初心者の人にとって聴きやすい作品では決してないはず。かく言う僕自身もフリーや前衛は苦手な方なので、アルバム1枚通して聴くのは少ししんどいです。そんな中で個人的にわりと気に入っているのがB-1のA Face In The Crowd。どこか翳りのあるアップテンポのワルツ・ジャズなので、使い方次第ではDJプレイでもいけそうですね。先日紹介したフランシー・ボランのトリオにも近いタッチで、これぞヨーロッパのピアノ・トリオという雰囲気を持った曲に仕上がっています。モーダルなバラード仕立てのA-3、Sketches Of Israelもなかなか良いですね。静寂の美学と言うか、ジャケットの質感をそのまま曲に投影したかのような綺麗な曲。あまり変わったことをやっていないため、おそらく作中で一番聴きやすいのがこの曲だと思います。真夜中のBGMにも最適。僕はこの曲が家で聴きたくて本作を買いました。ただ、アルバム全体としては、やはり広く一般にオススメするのは憚られる内容なので、購入の際は是非一度ご試聴の程お願いします。音源のレアリティーのみを目当てに購入するのも違うと思うので…。
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Free For All / Art Blakey & Jazz Messengers

2007-07-17 | Hard Bop & Modal
こちらもブルーノートのブレイキー作品。最近、Jazz Next Standard誌にも掲載されていた64年盤です。この時期のブレイキーは他レーベルでの活躍が主だったようで、メッセンジャーズとしてブルーノートに作品を吹き込むのは約3年ぶり。ちなみに本作の一つ前に当たるのがちょうど先日紹介したBuhaina's Delightとのことでした。片面2曲ずつの計4曲と、収録曲がいずれも長尺作品なためクラブ向きではないかもしれませんが、全曲水準が高くなかなかのお気に入り。背徳感たっぷりのピアノ・フレーズで始まる冒頭A-1のタイトル曲からして格好良いですね。モーダルかつアグレッシヴな各ソロと、捲くし立てるようにドラムを叩くブレイキーの超絶ドラム・ワークが一体化して、何やら物凄い演奏になっています。僕の持つしょぼいコンポでもこれほどの迫力なのだから、良いスピーカーで大音量で聴いたらどういうことになるのやら…。高揚感を煽る高速モーダル・バップのB-1、The Coreもなかなか。迫力の3管が怒りにも似た感情でソロを吹きまくっています。言葉の定義は良く分かりませんが、こういう曲ってもうスピリチュアル・ジャズと読んでしまって良いのではないでしょうか。B-2のPensativaはがらっと曲調が変わってリラックスしたボサノバ。とは言え本場ブラジルのボサノバとは違い、根底にあるのがモーダル・ジャズなため、それほど明るい雰囲気の曲ではないのでご注意を。通常のボサノバが昼下がりのカフェに似合う音楽ならば、こちらは照明を落とした夜のラウンジ向けと言ったところでしょうか。個人的にはこの曲が一番好き。美しくも儚いテーマ部はもちろんのこと、ピアノ・ソロが特に絶品で耳を奪われます。これまでモーニンやチュニジアのイメージが強くて敬遠していたブレイキーですが、後期になるとこんなモーダルな曲もやっていたりするんですね。再発ならば普通に買えると思うので、僕みたいにブレイキーが苦手だった人も騙されたと思って聴いてみてください。
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Just Friends / Paul Gonsalves and Tubby Hayes

2007-07-16 | Hard Bop & Modal
Boom-Jackie-Boom-Chickでクラブ・シーンでも一躍名の知れた存在となったポール・ゴンザルヴェスと、UKジャズ黄金期を代表する名テナーのタビー・ヘイズによる共演盤。録音は65年、英Columbia/EMIからリリースされています。総勢9名と若干大きめのコンボ編成ではありますが、おそらく後期タビーの作品としては、本作が最も内容的に良いのではないでしょうか。少なくとも個人的にはワン・ホーンのMexican Greenが苦手なこともあって、こちらの盤を押したいところです。何と言っても冒頭を飾るA-1のTupaが最高。少しラテンがかった覚えやすくキャッチーなテーマはインパクト抜群で、フロアでも即戦力間違いなしでしょう。メイン2人によるソロも当然良いのですが、その後に続く掛け合いパートがまた素晴らしく、ついつい何度も連続して針を落としてしまいたくなる一曲です。ひたすらサイドで援護射撃に務めるデューカーを始めとした3管も良い感じ。また、若干タイプは違いますが高速ハードバップのB-4、Mini Minorも格好良いですね。同郷でもあるロニー・ロスの人気曲Cleopatra's Needleにも近い雰囲気を持った曲で、こちらもフロアの盛り上げに一役買うことが出来るはず。ちなみに本作が録音された65年と言うと、ちょうどレンデル=カーのクインテットにより名盤Shades Of Blueがリリースされたのと同じ年ですね。積極的にモードを取り入れ独自に昇華した彼らと比べ、いまだ(良い意味で)保守的なプレイを続けるゴンサルヴェスとタビー。いずれも当時のUKを代表するトップ・プレーヤー同士の共演盤であるだけに、その辺りを対比させながら2枚を聴いてみるのも面白いかもしれませんね。なお本作の二年後、この2人は再び顔を合わせ1枚のレコードを吹き込むことになります。そちらのリード・トラック、Don't Fall Off The Bridgeはジャイルスのコンピにも収録されているので、興味があれば是非。最も個人的には断然本作の方が好きですが。
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Buhaina's Delight / Art Blakey & Jazz Messengers

2007-07-14 | Hard Bop & Modal
少し久しぶりとなるメッセンジャーズの紹介。モーガンが抜け、ウェイン・ショーターが中心となった3管編成による新生メッセンジャーズが61年冬に吹き込んだ一枚です。ブレイキーと言うと「モーニン」や「チュニジアの夜」のようなファンキー&アフロ・キューバンなイメージが強い人ですが、この頃になるとそのサウンドは徐々に洗練され、次第にモーダルな楽曲も演奏していくようになります。たとえばA-2のContemplationのようなナンバーでその傾向は非常に顕著。まだファンキーさの残るA-1のBackstage SallyやB-2のShaky Jakeなどにおいても、どこか抑制の効いた知的な演奏が印象的です。一般的なメッセンジャーズのイメージに最も近いと思われるA-3のタイトル曲ですら、豪快なハードバップの中にモーダルな雰囲気がちらほら。曲自体の雰囲気がそれとなく名曲Alamodeに近かったり(特にフュラーのソロは激似です)と言うこともあるのでしょうが、以前とは確実に何かが違うメッセンジャーズの姿がここにはあります。もちろんブレイキーのナイアガラ・ロールは健在ですが(笑) さて、そんな本作における最大の聴き所はラストのB-3に収められたMoon River。「ティファニーで朝食を」のテーマとして広く知られるあの名曲の高速ジャズ・カヴァーです。このおよそメッセンジャーズらしくない選曲に最初は戸惑いましたが、いざ聴いてみるとこれが非常に素晴らしい出来栄え。ブレイキーの作り出す絶妙なスウィング感と、曲自体の持つ爽やかさが高次元で融合した正にミラクルな一曲です。パーティーの終わり、明け方が迫ったフロアで大音量で聴いたら、さぞ気持ち良いことでしょうね。もしかすると数ある名曲名演を抑え、彼らの曲で最もフロア・ユースなのはこの曲なのかも。正直そんな風にすら思えて来ます。先日再発されたバッソ=ヴァルダンブリーニらのCrazy Rhythmあたりとも相性抜群。「泣きながら踊れる」そんな感動的な一曲です。オリジナルはともかくとして、日本盤であればわりと良く見かける一枚なので、見かけた際には是非聴いてみてください。タバコの煙が揺らめくジャケも最高に格好いいです。
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Here And Now / Art Farmer - Benny Golson Jazztet

2007-07-14 | Hard Bop & Modal
アート・ファーマーとベニー・ゴルソンの2人を双頭リーダーとして、60年代初頭に短期間だけ結成された「ジャズテット」による62年のMercury盤。例のJazz Next Standardの最新刊にも書かれていましたが、わりとどこにでもある安いLPです。何でもメッセンジャーズが3管になったのは彼らの影響とのこと。そう言った意味では活動時期こそ短かったものの、ジャズ界における功績は大きかったのかもしれません。音楽的にも洗練されていて良い感じ。最も上手にまとまり過ぎていたために、当時の一般ファンにはあまり受け入れられなかったそうですが。たしかに曲を聴いていると、これは少し玄人向けかなと言う気がします。3管編成ではあるものの派手さがあまりなく、むしろ非常に上品でスマートな作品。そう言えばジャケットもどことなく洗練されているような。特に官能的なバラードであるB-2のRuby, My Dearや、モーダルなA-4のWhisper Not辺りには、そのような感覚がひときわ表れていますね。今日みたいな雨の日に静かに家で聴くにはぴったり。ロリンズの復活を称えて快活なハードバップを聴かせるB-4のSonny's Backなども良い感じです。ただ、やはり白眉はA-3のRiche's Dilemma。3管による迫力のテーマと、エキゾチックなアフロ・キューバン系ドラムが印象的なフロア向けの一曲です。華やかなのにどこはかとなく漂う哀愁が魅力的。ファーマー~モンカー~ゴルソン~メイバーンと続く各ソロも素晴らしく、特に冒頭を飾るファーマーのトランペットが抜群です。どことなくウミリアーニによる「禁じられた欲望」のサントラ盤にも近い雰囲気。最もあそこまでの緊張感はさすがにありませんが。ただ、いずれにしろ値段のわりに良いアルバムであることは間違いないので、もし見かけた際には是非試聴してみてください。ちなみに国内盤でもアナログで何度か出ているようです。
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Octeto De Cesar Camargo Mariano / Same

2007-07-14 | Brasil
サンバランソ・トリオのピアニストとして知られるセザル・カマルゴ・マリアーノが、グループ解散後に吹き込んだジャズ・サンバの佳作盤。原盤はSom/Maiorだとのことですが、20年ほど前にRGEから正規再発が出ていて、僕が持っているのはそちらの盤です。CDでは国内のボンバからもリリースされていますね。この手のホーン入りジャズ・サンバ作品としては珍しく、アグレッシヴなソロの取り合いではなく、重厚な管楽器のアンサンブルと繊細なピアノのコントラストに重点を置いた作風になっていて、良く言えば全体のトータル・バランスに秀でた一枚。最もその分だけ、いまいちインパクトに欠けた作品ということもまた事実ですが…。サンバランソのセルフ・カヴァーであるA-1のSambluesやA-2のSambinha辺りは、バピッシュな高速ジャズ・サンバでそれなりに悪くはないものの、やはりどこかOs Cobrasをスケール・ダウンしたような感が拭えません。A-4のDesafinadoも今ひとつ洗練さに欠けた仕上がりで微妙。同じような編成の演奏でも、個人的にはセルメンのヴァージョンの方が遥かに好きです。ただ、そんな中にあって唯一気に入っているのはB-2のVem。収録曲中で最もジャズ度の高い曲で、歯切れの良いホーン・アレンジが抜群のワルツ・ナンバーになっています。欧州ジャズ的なアレンジで聴かせるマリアーノのピアノも相当に格好良く、僅かの時間で終わってしまうのが惜しいほど。途中のフェイドアウトなしで、このまま5分くらい続いてくれても全然良かったと思うのですが。その他では、モーダルなジャズ・ボッサで綴られるB-3のPrá Machucar meu Coração辺りもなかなかの出来かな。高値を出してオリジナルを買うほどの価値がある盤ではないと思いますが、再発で安く見つけたら買ってみてもいいかもしれませんね。
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A Tot Jazz 2 / Tete Montoliu Trio

2007-07-12 | Hard Bop & Modal
スペイン生まれの人気ピアニスト、テテ・モントリューによる65年録音作。例のJazz Next Standard誌の新刊に掲載された盤の続編ですね。Concentricという当時の新興レーベルが原盤に当たりますが、オリジナルはそこそこ高値で取引されている上、そもそもかなりレアな一枚なので、よほどのマニアでない限りFresh Soundのリイシュー(LP/CD共にあり)で充分かと思います。またCDのみですが、同じFresh Soundから前作と2in1形式でA Tot Jazzのコンプリート盤がリリースされたそう。こちらは普通に店頭に並んでいると思うので、興味のある方はこちらで購入しても良いかもしれませんね。65年と微妙な年代の作品と言うこともあり、内容としてはやや前衛がかったモーダル作品。ただ、それほど聴き難いものではないのでご安心を。どこか金属的な音の質感といい、むしろ典型的なヨーロッパ産ピアノ・トリオと言ってもいいかもしれませんね。ジョルジオ・アゾリーニの演奏で有名なM-6のSometime Ago辺り、かなりIQ高めな仕上がりになっているので好きな人も多いのではないでしょうか。メリー・ポピンズで知られるM-1のChim Chim Chereeは、ギド・マヌサルディのトリオにも通じる硬質なジャズ・ワルツ。甘さの全くない大人な演奏が良い感じです。複雑なリズム・パターンでプレイされるM-3のSecret Loveは、一夜の終わりを締め括るのに相応しい官能的なナンバー。アフター・アワーのフロアーに良く映えそうですね。個人的なお気に入りはM-2のPolka Dots And Moonbeams。収録曲中では地味な方ですが、とろけそうなほど美しく優しいピアノの音色が最高で、何度も聴いているうちにはまってしまいました。ちなみに、いかにもジャズらしいジャケット・ワークも好きです(「1」のは嫌いですが)。そのうちFresh Sound盤で状態の良いアナログを見つけたら買うつもり。それまでは、とりあえずCDの方で我慢しようと思います。
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Jazz I Svergie '80 / Fredrik Noren Band

2007-07-08 | Contemporary Jazz
現在も活動を続けるスウェーデンのドラマー、Fredrik Norénを中心としたバンドの1980年録音盤。比較的最近の人たちと言うことであまり詳しくは知らないのですが、ジャケ裏のライナーを読にでみたところによると、どうやらこの年のスウェーデンにおける「ベスト・ジャズ・グループ」に選出されたバンドだそうです。そして本作はそんな彼らのデビュー作。DragonやFour Leafと並ぶ彼の地の有名レーベルCapriceよりリリースされています。ちなみに編成はテナーとバリトンによる2管クインテット。年代的にはフュージョンを通過したいわゆるネオ・バップに位置づけられる作品なのかもしれませんが、80's特有の音質的な「軽さ」がさほどなく、60年代のジャズと合わせて聴いても違和感のない一枚になっています。やや展開が単調に感じられる点はまぁご愛嬌(笑) その点を差し引いても80年代の作品としてはなかなかに楽しめる一枚なのではないでしょうか。以前、夜ジャズ<裏>に収録されていたA-2のIdaが、ややラテンがかったキャッチーなジャズ・ダンサーで良い感じ。印象的なテーマを持ったフロアー向けの曲です。Don Rendell=Ian Carr QuintetのTan Samfu辺りの雰囲気が好きな方にはオススメ。これからの季節にも良く似合うのではないでしょうか。グルーヴィーなベース・ラインで始まるスピリチュアルなB-3のHelena's Songもなかなかの佳曲。やはり若干アフロ~ラテン気味のドラム・プレイが気持ちいいです。こちらはSleep Walker辺りが好きな人に良さそうですね。途中でテンポ・アップして高速4ビートに変わるところなんて、どことなく名曲Ai-No-Kawaに通じるところがありますし。なお、それほど良く見る盤ではありませんが、もし見つけることが出来たならば安めの価格帯で手に入れることが可能です。間違っても高い値段で買わないように。
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Going Classic / Francy Boland

2007-07-08 | Hard Bop & Modal
独Vogueから1971年に録音された2枚組みアルバム。このVogueからのJazz Jointシリーズだと、クラブ世代においては、以前取り上げたSahib Shihab名義による「2」の方が圧倒的に知名度が高いと思われますが、実はボラン名義のこちらの「1」も「2」に決して引けを取らない裏名盤だったりします。と言うよりも、ホーム・リスニング用としてはむしろ本作の方が実用性が高いかも。ストリングスも入っていますしね。ビッグバンド編成時の豪快な演奏とは異なり、ここで披露されるのは非常に洗練された優美なプレイ。クラーク&ウッドによる阿吽の呼吸のトリオ作品とベルリン弦楽団を迎えたオーケストラ作品が、1曲置きに半分ずつ収録されているものの、両編成の録音がともにボランの美学に満ちた非常に美しい作風になっているため、通して聴いていても全く違和感がありません。ただ、個人的にはやっぱり、どちらかと言うとトリオの演奏の方が好きだったりするのですが。スリリングなジャズ・ワルツで始まるA-1のNight In Warsawから、もう完全に世界観に引き込まれてしまいます。地味ながら異常に洗練されたA-3のI'm All Smilesや、クレジット記載こそされていないものの明らかにサディがパーカスで参加しているD-1のThe Girl And The Turkあたりも最高。そして何と言っても絶対の名演はC-2のNight Lady。ジョニー・グリフィンのLPを始め、CBBBの定番レパートリーとして何度か吹き込まれているこの曲ですが、個人的にはここでのトリオ演奏が一番しっくり来ます。軽やかにスウィングしながらも独特の郷愁感を持ったボランのピアノが素晴らし過ぎ。ちなみにここでは触れませんでしたが、ストリングス入りの曲の方も全編オシャレでかなり良いです。ついついワインでも飲んでしまいたくなる甘く優美な一枚。ダンディズムではなくロマンチシズムに浸りたい時には、こういうアルバムを聴くのも良いかもしれませんね。
コメント (2)
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