At The Living Room Reloaded

忙しい毎日の中で少し足を止めてみる、そんな時間に聴きたい素晴らしい音楽の紹介です。

Looking For ''The Good Life'' / Audy Kimura

2013-02-28 | Hawaii
ハワイ生まれの日系3世アーディ・キムラによる1982年の1stアルバム。見た目が完全に日本人のオジさんなことに加え、オリジナルのLPはジャケットも本人の顔写真のアップなので、きちんと内容を知っている人でないと手を出し辛い一枚だと思われますが、冴えないジャケットとは裏腹に内容的には非常に充実しており、実はコンテンポラリー・ハワイアンの中でも屈指の名盤だったりします。彼の存在を知らない人が聴いたら、そのルックスからはとても想像できない甘い歌声と、アイランドリゾート感に満ちたライトメロウな音作りにカルチャーショックを受けること請け合い。以前紹介したロビー・デューク同様、見た目で敬遠すると損する類の作品の筆頭です。収録曲ごとに見ていくと、ソフトなボサノバで始まる冒頭A-1のMellow Kind Of Loveがまず絶品。なんでも1973年にアーディが初めて書いた自作曲とのことですが、人生初のオリジナル曲でここまでのクォリティの曲を作ってしまうなんて尋常ではありません。続くA-2のLovers & Friendsは当地のラジオ局KIKIでパワープッシュされ、7週連続チャートNo.1に輝いたという曰くつきのバラード。同系統なB-1のFallingにも言えることですが、アーディ自身のヴォーカルもさることながら生音で演奏されるストリングスが素晴らしいですね。フリーソウル~カフェ世代に受けが良さそうなのはB-3のSeabird。心地よいフルートに誘われるミディアムテンポのボサノバ風AORで、以前disques dessineeが強烈にプッシュしてたブラジルのSSWパウロ・ムニツあたりが好きな人なら、まず間違いなくツボでしょう。ゆったりした曲調なのでフロア向けではありませんが、午後のカフェでのんびり聴くのには良いかと思われます。と言うかそもそも全編捨て曲なしなので、午後のカフェのBGMで何気なく流しておくのに最適な一枚と言えるでしょう。紛うことなきリコメン盤です。なお、ちなみにこちらに掲載したジャケットは当時EPIC/SONYからリリースされていた国内盤のもの。下で謎のポーズをとっている本人は余計ですが、こちらのジャケの方が作品のイメージに近いと思うので、今回は敢えて国内盤別ジャケを掲載してみました。街の中古レコード屋さんでも比較的安く転がっていることが多いので、興味のある方はぜひ探してみてください。
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Nossa Imaginacao / Don Beto

2013-02-27 | Brasil
数年前から一部メロウグルーヴ愛好家に注目されているのが、ブラジリアンソウルやブラジリアンAOR等と呼ばれる70年代~80年代のブラジル産ポピュラー音楽。広義ではカフェブームの頃に流行ったジョイスやタニア・マリアらと同じ、いわゆるMPB(Música Popular do Brasileira)の範疇に属する音楽なのですが、近年人気のあるこれらの作品群は、もう少しストレートに同時期のアメリカンポップスを指向しているのが特徴で、さながらブラジル産シティポップスと言った趣となっています。特に人気のある作品については、ボサノバに代表されるブラジル音楽らしさも希薄~皆無なものが多数を占めるため、ポルトガル語で歌われているということを除けば、モダンソウル~AORファンでもほとんど違和感なく聴けるものがほとんど。そして、そんなブラジリアンAOR作品の中で定番にして決定版な一枚が本作です。まるでサイケデリック・フォークでもやりそうなジャケットに誰しも最初は騙されると思いますが、内容的には全編に渡りアーバンかつライトメロウかつグルーヴィー。正にフリーソウル世代が求めるAORの要素が詰まった作品と呼べるかと思います。そう言った意味で個人的に一番作風が近いと感じているのはアーチー・ジェイムス・キャヴァナーによる1st。あれが好きならまず間違いなくハマる作品でしょう。特にA-4のタイトル曲やB-2のTudo Novamenteあたりは、このジャンルのパーティーにおいては完全にアンセム化しているナンバーなので必聴かと。個人的にはB-5のRenascendo Em Mimが一押し。以前も書きましたが、リチャード・ステップのCaught In A Whirlwindと相性抜群な絶品アーバンミディアムダンサーで、自作コンピでも2曲続けてフック的に使わせて頂きました。英語の曲の中にふと入るポルトガル語が良いアクセントになるので、そういう意味では非常にDJ向けの作品と言えるかもしれません。ちなみにLPは大手Som Livreから出ているものの多少レアな上、ブラジル盤の特性上きれいな盤に出会うことは稀です。国内盤/輸入盤ともに現在ではCDでもリイシューされていて音質的にも良好なため、こだわりのない方はそちらでの入手がお勧めかと。まだ廃盤扱いにはなっていないと思うので、容易に手にすることが出来ると思います。
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Spaceark / Same

2013-02-25 | Free Soul
ジャケットとタイトルに偽りありな、カリフォルニアの白黒混合アコースティック・ソウル・バンドによる1stアルバム。数年前RARE GROOVE A to Z誌に2ndが掲載されて以降、巷での評価が逆転した感がありますが、以前は本作の方がサバービア掲載盤として人気の高い作品でした。ちょうど一昨年末から昨年の今ごろにかけ、Creole Stream Musicからどちらも相次いで再発されたので、おそらく手にした方も多いことでしょう。僕自身もリイシューがきっかけで改めて両者を聴き比べてみましたが、個人的にはやはりこの1stの方が好みという結論に達しました。たしかにアーバンメロウというキーワードで捉えるなら2ndの方が適しているのは明白ですが、あちらはどこを切り取っても同じ金太郎飴のような作品なので、正直聴いていてあまり耳を惹く曲がないんですよね。おまけにアーバンメロウ路線と言い切るには、いまいち垢抜け切れていないヴォーカルもマイナスポイント。そう言った意味でソフトなアコースティック・ソウル路線の本作の方が、彼らの魅力を存分に味わうことの出来る一枚かと思います。もうA-1のEverybodys Tryingから伸びやかなミディアムナンバーで気持ちよさ全開。同系統で聴かせるA-3のFever PitchやB-2のOur Love Will Lastもなかなかです。世間的には「西海岸」「白黒混合バンド」という2つのキーワードから半ば脊髄反射的にAORバンドと位置づけされているようですが、全体を覆うマットな質感含め、もう少しストレートにブラック・ミュージックをやっているので、そのあたりが気になる人は要注意。どちらかと言うと、70年代の黒人バンドがちょっとロック~ポップスを齧ってみたというイメージの方が近いサウンドです。そういう意味では非常にフリーソウル的。あの当時求められていた音そのものなので、サバービア誌に掲載されたのも頷けます。なお気になる入手難易度は、1stに関してのみ言うなら中の上あたりというところ。ジャケ違いのプレスもあるし、それほど強烈にレアというわけでもないと思います。おまけにアメリカ以外でもリリースされていたようで、僕が持っているのはなぜかブラジル盤。もっともさらに他の国でもリリースされているのかどうかは分かりませんが。。。ちなみに実はCDリイシューから遡ること数ヶ月前にitunesにもアップされているので、興味のある方はまずはそちらでチェックしてみてもいいかもしれません。
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Hard Candy / Ned Doheny

2013-02-25 | AOR~BES
誰が呼び始めたのかAOR四天王の一人として名高いネッド・ドヒニーによる1976年の代表作。その筋では言わずと知れた基本盤で既に語り尽くされた感のある作品ですが、レアグルーヴ以降のAORファンの中にはこの手の基本を通過せず、いきなりマニアックな方向に流れていく方も少なからずいると思うので、改めて紹介しておきます。かくいう僕自身も最近まで本作をまともに聴いていなかったうちの一人。ようやくきちんと向き合ったのは、恥ずかしながら1年ほど前です。なんというか同じAORという表現でも、いわゆるリアルタイム派と呼ばれる昔からのファンとレアグルーヴ~フリーソウル以降のファンの間では、その言葉の意味するフィーリングに微妙ながらも明確な差違があるので、僕らのような後発組はリアルタイム派がリコメンするこの手の基本盤については、どうしても懐疑的になってしまい敬遠してしがちなんですよね。リアルタイム派の方々の中にはそのあたりの機微がいまひとつ理解できていない人が少なくないため、そこにジェネレーション・ギャップが生じるわけです。たとえばエアプレイやペイジズ、それからスティーリー・ダンあたりはどれだけ薦められてもいまいち好きになれないけれど、このネッド・ドヒニーや初期ボビー・コールドウェル、そしてボズ・スキャッグスのJojoあたりはどまんなかでツボ。僕自身がそうなので例に挙げましたが、同じように感じている人は少なからずいるのではないでしょうか。と、いつになく前置きがかなり長くなりましたが、本作最大のハイライトはA-3のEach Time You Pray(邦題:愛を求めて)。ホイチョイ映画「波の数だけ抱きしめて」でも中山美穂演じる真理子がかけていた、ライトメロウなミディアムアップ・ナンバーです。ネッド・ドヒニー自身のヴォーカル含め全ての演奏が高次元で融合された奇跡の一曲。フリーソウル指数もかなり高くとっつきやすい曲なので、若いリスナーでも自然と耳に馴染むはずだと思います。名盤と呼ばれるだけあって他の曲も当然悪くはないですが、この曲に関しては雰囲気がずば抜けて今風。少し探せばすぐに手に入る作品なので、まだ聴いたことがないという方はぜひチェックしてみてください。
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Shoebox Full Of Secrets / Andy Pawlak

2013-02-25 | Neo Acoustic
いわゆるネオアコと呼ばれる作品群の中にも様々な種類のサウンドがありますが、本作はその中でもダニー・ウィルソンと並びAOR色の強い一枚。ニューキャッスル出身のシンガーソングライター、アンディー・ポーラックによる1989年にリリースされた唯一のLPです。これまでネオアコはあまり真剣に聴いてきていなかったため僕自身はこの作品の存在を知りませんでしたが、当時からそれなりに人気のあった人のようで翌年には日本盤CDがリリースされている模様。また大手Fontanaよりリリースされているためか、LP→CD移行期の作品ながらオリジナルのLPもよく見かけるので、入手は比較的容易かと思います。内容的にはネオアコ経由のポップス~AORと言った雰囲気で、シングルにもなっているA-1のSecretsやA-3のMermaidsを始め全編にわたり名曲がずらり。ネオアコ作品に共通するナイーブな思春期テイストはそのままに、美しいポップス・サウンドをやっています。スタイル・カウンシルやブロウ・モンキースあたりのUK産80'sポップスをもう少しネオアコ寄りにシフトしたという表現が近いでしょうか。ピアノとアコギを中心とした繊細な音作りが非常に美しく、あの頃サバービア・スイートに胸をときめかせていた元渋谷系の方だったら間違いなくハマるはず。収録曲はどれもレベルが高いですが、その中でもとりわけ素晴らしいのはB-3のEskimo Kissing。どことなくロードムービーを思わせる叙情的な雰囲気が堪らないミディアムテンポのポップスです。この手の音としてはダニー・ウィルソンのMary's Prayerと双璧。以前ネオアコ関係をまとめたコンピを作ったとき一曲目に使わせてもらいました。この辺りのネオアコ作品はいわゆるブラコン~AORサウンドとは一味違うので、その手のファン層からは無視されていると思いますが、これはこれで良質なポップスとして良いと思います。というか同じ時期の本家AORはバラードばかりで食傷気味なので、個人的にはむしろこういう音のほうが好み。とにかく良いアルバムで入手も容易なため、ぜひ一度、変な先入観を持たずに聴いてみてください。ジャンル関係なくポップなサウンドが好きな方なら、きっと気に入ると思います。
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Native Boy / Animal Nightlife

2013-02-18 | Neo Acoustic
80年代にUKで活躍したポップス系バンドのアニマル・ナイトライフ。本作はそんな彼らのおそらく1stシングルとなる1983年の作品です。復活後のブログでこの手のサウンドを紹介するのは初めてですが、実はこの辺りの80~90年代のUKポップスはクラブジャズのバブルがはじけた後、一時期よく聞いていたジャンル。ネオモッズやネオアコからアシッドジャズ、さらにはドラムンベースや西ロンドン系に至るまでの流れをしっかりと辿っていくと、UKのクラブ音楽史を俯瞰で眺めることが出来るので興味深いです。90年代中盤までのクラブミュージック黄金期の音についてはこれらUKサウンドと、元ネタを含めたヒップホップやR&B、そしてシカゴ・ハウス~デトロイト・テクノの流れを抑えておけばとりあえず一通り網羅できるので、最近の若いリスナーでクラブミュージック史全般に興味のあるという僕のような奇特な方は、この三方向から同時に聴いていくと面白いかもしれません。閑話休題。いきなり話が大きく反れましたが、このアニマル・ナイトライフはそんなUKポップス史のなかでネオアコとアシッドジャズを繋ぐ上でのミッシングリング的なバンド。TrickeryがクラブヒットしたKalimaに近い立ち位置のバンドでありながら、あそこまで極端にジャズには走らず、もう少しAORというかポップスの要素も入っているという稀有な存在です。特にこの1stシングルについてはその傾向が顕著。都会的なヴィブラフォンの響きが気持ちいいスウィンギンなジャジー・ナンバーで、大人のポップスとでも言うべき高い仕上がりを誇る一曲になっています。AOR/ネオアコ両者の特徴を兼ね備えながらジャズとも相性が良く、おまけにプレイの仕方によってはこの曲のみでフロアの空気を一転させ得る雰囲気を持つ曲なので、DJ的な意味での汎用性も抜群。先日紹介した自作コンピにはこのシングルからではなくアルバムバージョンを選曲しましたが、そちらも負けず劣らずの完成度です。ちなみにシングルバージョンについては残念ながらCD化されておらず、聴く手段は今のところアナログのみですが、アルバムバージョンについてはベスト盤CDで聴けるのでCD派の人はそちらでどうぞ。少し調べてみたところamazonではアホみたいな高値がついていましたが、僕は某店で普通に1000円で買いました。
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Hometown 85 / Various Artists

2013-02-17 | Hawaii
ビッグアイランドことハワイ島の港湾都市ヒロでリリースされたオムニバスの編集盤。おそらく地元のスタジオと思われるWave Tech Studios、ヒロにあるAM局のKHLO、そしてThe Boys Club Of Hiloという当地の少年団組織の三者協賛により1985年に制作された一枚です。ハワイのオムニバス系コンピと言えば先日紹介したHome Grownシリーズが非常に有名ですが、本作もわりとそれに近い雰囲気の作品。ご当地の無名若手ミュージシャンによる、観光では味わえないハワイの地元の音を楽しめる素敵なアルバムとなっています。しかもHome Grownシリーズと比べ録音年次が新しいためか、全体的に洗練された雰囲気の曲が多め。今聴くのであれば断然こちらのほうがしっくり来ます。まず最初の聴きどころはAlice Wiseなる女性SSWによるA-2のKaimu Sun。どこか神秘的なシンセとアコギと美しいヴォーカルが印象に残るスロウテンポの80'sポップスです。続くA-3のMauna KeaはRon Floodという男性SSWが歌うライトメロウなジャワイアン。UKラヴァーズをもう少し都会的にしたような甘い曲なので、フリーソウル・ファンとも相性が良い曲だと思います。そして本作最大のハイライトはA-5のI Don't Wanna Be Alone。Pacific Harmonyなる5人組による、とびきりアーバンメロウでドリーミーなモダンソウル~AORナンバーです。甘いヴォーカル、シンセ中心のきらきらした音作り、イントロ+間奏で聴けるメロウなサックスの3拍子が揃っているので、この手の都会的なAOR好きにはたまらないはず。以前ここでも紹介したFootlooseのLeaving For Mauiが好きな方なら間違いなくツボな音です。またリアルタイム派のAORファンへお勧めなのは、Jadessenceという5人組バンドによるB-1のHold Me In Your Arms。こちらはもう少し正統派にAORです。正直あまり日本に入ってきている盤ではなく、タイトルがタイトルだけにインターネットの検索にも引っ掛かりにくいので入手難易度は比較的高めですが、気になる方は是非探してみて欲しい一枚。コンテンポラリー・ハワイアンのファンなら満足頂けると思います。
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Seahorse / Kaliokai

2013-02-17 | Hawaii
鮮やかなエメラルド色の海中に群れるSeahorse(=タツノオトシゴ)のジャケットが印象的な、ハワイの6人組バンドによる1979年の作品。ただ、クレジットを見る限り71~78年と録音年次にバラつきがあるので、おそらく79年時点でこれまでの活動の総括としてアルバム制作に踏み切ったものと思われます。リリース元はUlu Records。他で聞き覚えがなくレコード番号もU-01となっていることから、自主制作盤と察することが出来ます。内容的には活動期間が70年代全般に渡っていることもあり、わりとバラエティに富んだものになっていて、土着的なトラディショナル・ハワイアンから都会的な感覚のコンテンポラリー・サウンドまで包含する一枚。コンテンポラリー系のみを期待して買うと肩透かしを喰らいますが、これはこれで自然なハワイアン・ポップスの形だと思います。フリーソウル的に人気が高いのは、自身のグループ名をタイトルに冠したA-1のKaliokaiとB-5のI Am。どちらもカラパナからの影響が微笑ましい、高揚感に満ちた都会的なサウンドです。アコギとエレピとコーラスを中心としたアコースティックな音作りが好感触。バンド内でフルート、サックス、トランペットという三種の管楽器とキーボードを一手に引き受けるマルチプレーヤーのRobert ''Mr Everything'' Graham(ロバート''何でも屋''グラハム)が肝となり、アーバンリゾートな雰囲気を演出しているものと思われます。そんなアーバンリゾート感が最も顕著に現れているのがA-4のI Paint My Songs。アコギとフルートとエレピに誘われるこみ上げ系のメロディーが心地よいサンセット・メロウ・フローターで、収録中もっともコンテンポラリー指数が高い一曲です。一日の終わりに海辺のカフェで聴くと気持ちよさそうですね。ちなみに本作はレコードコレクターズ誌のコンテンポラリー・ハワイアン特集号掲載盤。ジャケットが目立つせいか、自主盤でありながら比較的日本にも入ってきているようで、中古屋やオークションでも時々見かけますが、経験上なぜだか盤質が悪いものがほとんどです。幸いにも僕はシールド盤で入手することが出来ましたが、綺麗な盤を探そうとするとそれなりに手間。好事家向けの作品ではありますが、興味のある方は探してみてください。
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North Shore Appeal / Moondance

2013-02-16 | Hawaii
ハワイの大手レーベルHulaからリリースされた、数少ないコンテンポラリー作品のうちの一つ。アコースティック・ギターを中心とした3人組ユニット、ムーンダンスによる1977年の作品です。同じハワイ勢でもカラパナやセシリオ&カポノと比べ日本での知名度が三枚くらい落ちることや、オルガンバーのテープに本作からの曲が収録されていることから、ときどきレア盤扱いされ壁レコードになっている姿を見かけますが、実は本国でのリリースから1年後に日本フォノグラムから国内盤LPが出ており、実はLPでなら入手は比較的容易。おまけに当時のハワイでもそれなりに人気のあったユニットのようで、オリジナルのLPもそれなりに見かけます。あいにくCD化こそされていませんが、通常のアメリカ盤に比べ全般的に入手難易度が高いハワイものとしては、正直かなり手に入り易い部類の一枚かと。内容的にはアコギ系ユニットらしく多弦ギターとコーラスが効いたソフト&メロウなロックが多く収録されており、その手のサウンドが好きな方にはおそらくハマるはず。件のミックステープ収録曲であるA-4のShe's So Fineを筆頭に、どこか懐かしいフォーキーなアコギサウンドを堪能出来ます。雰囲気的に一番近いのは、やはりセシリオ&カポノでしょうか。少なくとも同じハワイでもカラパナ系のサウンドではないです。フロア受けが良さそうなのはA-1のDo The Moondance。タイトルから察するに彼らのテーマソングと思われますが、収録曲中でも一際アップテンポかつグルーヴィーなナンバーで、聴いていると自然とうきうきした気分になる佳曲です。終盤で飛び出すエフェクト効かせまくりのノイジーなエレキギター・ソロも新鮮。先ほども書いたようにカラパナ一派とは一線を画す音作りとなっていますが、これはこれでコンテンポラリー・ハワイアンの一つの形。正直、今求められている音とは少々趣が異なるので、おそらくこの先もCD化されることはないと思いますが、興味があれば是非聴いてみてください。一時期ブームになったフォーキー系のフリーソウル・サウンドが好きな人ならきっと気に入るはず。ハイ・ファイ・レコード辺りがリコメンしてくる音に近い雰囲気なので、そのあたりのファンにもお勧めです。
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Our Earth / Island Band

2013-02-16 | Hawaii
ヘンリー・カポノのプロデュースにより、Seabirdというスモールレーベルから1979年にリリースされた彼らの1st。この後Sea-Westから発売となる2ndのI'm Your Captainと3rdのLong Summer Daysについては、当時ウーレル・レコードからジャケットとタイトルを差し替えた国内盤が出ていますが、この1stだけは国内盤のリリースがなかったため、今の日本では比較的見かけない一枚となっています。彼らはブラザー・ノーランドと共にジャワイアン・サウンドの草分け的存在として一部でその存在を知られていますが、本作ではまだそうした雰囲気は希薄。普通にちょっといなための良質ロコAORをやっています。プロデューサーであるカポノの影響なのか、要所要所でアイランド・メロウな雰囲気も感じられ、この手のコンテンポラリー・ハワイアン作品としては及第点と言ったところ。ハワイ讃歌なA-1のHome In The Islandsや、若干レゲエが入った裏打ちビートが気持いいA-2のタイトル曲辺り、派手さはないもののどこかほのぼのとした雰囲気のメロウ・ナンバーで気持ちいいです。ドラマー兼リード・ヴォーカルのウォルト・リッカードの声もなかなかに良い感じ。こみ上げ系のメロディーとメロウなエレピが魅力なA-4のMaybeはウォルトとカポノの共作によるミディアム・ソング。フリーソウルの頃に人気があったスウェーデンのBlue Swedeにも通じるメロウかつファンキーなロックナンバーなので、おそらくその辺りのファンの方は気に入るかと思います。タイトル通りどこか異国情緒溢れるB-1のEl Doradoや、ヤングブラッズのカバーであるB-2のGet Togetherなどもグルーヴィーな佳曲。シーウィンドのキム・ハッチクロフトが吹くサックスが素晴らしいB-4のTogether You And Meも良質アイランド・メロウです。ヴォーカルの声質や音の雰囲気的にソウルと言うよりロックと言った方がしっくり来るアルバムなので、ブラック・ミュージック以外は受け付けないという方には少し厳しいかもしれませんが、あのローリング・ストーンズやシカゴでさえフリーソウルとして拡大解釈してしまったサバービアの雰囲気が受け入れられる方なら問題なく聴けるはず。血眼になって探すような類の盤ではないと思いますが、どこかで偶然見かけた際には是非耳を傾けてみてください。
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