At The Living Room Reloaded

忙しい毎日の中で少し足を止めてみる、そんな時間に聴きたい素晴らしい音楽の紹介です。

Mr.Samba Bossa Nova / Same

2007-10-28 | Brasil
もう1枚続けてブラジル盤から紹介。Skindôs Ritmicosなる人物が率いるMr.Samba Bossa Novaなる謎のバンドがRGEからリリースしたEPです。おそらく60年代に吹き込まれたものだと思いますが、録音に至る経緯や他の参加メンバーはクレジットされていないので分かりません。ただ同じくRGEからLPが1枚出ているようで、本作はそこからのシングル・カットということになるそうです。あまりにも安直なコンボ名とは裏腹に演奏自体は非常にレベルが高く、収録された4曲全てがクラブ対応のハード・ジャズ・サンバ。Premium Cutsの鈴木氏も書いていましたが、フロントが2管編成だということも含めて、テイスト的にはルイス・ボンファのBossa Nova+5にかなり似た感じですね。単純に「踊れる」という意味では、むしろこちらの方がレベルが高いかもしれません。どこか怪しげでエキゾチックな雰囲気を醸し出すA-1のConfidênciaがまず最高。ヴィオランと言うよりスパニッシュ・ギターと表現した方がしっくり来る中盤のアコギ・ソロが素晴らしいです。ギロ(だと思います)を加えたリズム隊のキレ具合も絶妙。この辺のラテン・パーカス交じりの高速ビートは、クラブ世代ならば誰しも好きなのではないでしょうか。続くA-2のSamba Do Orfeu(オルフェのサンバ)はピアノの音色が程よいアクセントな名演。こちらもやはりリズム隊がかなり良い仕事しています。レコードを裏返したB-1のChorando Chorandoは、収録曲中で最もパーカッシヴなナンバー。まるでリオのカーニバルを思わせる楽しげな演奏が気持ち良いですね。ラストB-2のBatucadaはメイレレース辺りにも近いオーソドックスなハード・サンバ。フィル・ムーアで有名なあの曲とは同名異曲ですが、ハードバップの影響をガンガンに受けたアレンジで格好良く聴かせます。全曲通じて言えることですが、ソロをたっぷりと聞かせるようなタイプのプレイではなく、テーマのアンサンブルを重視した短尺な曲構成になっているので、その辺りもDJフレンドリーなのではないでしょうか。しかし、これだけの素晴らしい演奏を聞かせる彼ら。どう考えても無名のアーティストではないと思うのですが…。もしも詳細を知っている方がいたら教えてください。
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Sambeco / Briamonte e sua Musica

2007-10-28 | Brasil
サンサ・トリオの中心的存在であったホセ・ブリアモンチによる68年作。一応リリースはRCAというメジャー畑からですが、あまり見る機会のない一枚なのではないでしょうか。なお、トリオではなく11名というやや大きめの編成での作品で、わりと寛いだ雰囲気の上品なジャズ・ボッサをやっています。ジャケット写真そのままのお洒落サウンドと言ったところ。ちなみに、参加しているのはわりと有名な人なのかもしれませんが、僕が知っているのはトロンボーンのハウルジーニョくらいでした。ヴォーカルとインストが半々くらいの割合で収録されていて、僕が気に入っているのはインストの方。中でもA-4のThe World Goes Onは本作屈指のハイライトだと思います。決して派手な楽曲ではないですが上手く纏まったジャズ・ボッサで、軽快な二管フロントとブリアモンチのピアノ、そして哀愁溢れるヴィオランの音色が良い感じ。また、若干テイストは違うもののB-1のMr.Kingもなかなかの佳曲に仕上がっています。楽しい演奏の中に秘められた儚さがたまらなくサウダージ。普段あまりきちんとしたボサノバを聴かないので、それほど「サウダージ」という感覚に包まれることはないのですが、これはやはりこの言葉でしか表現できない独特の感覚ですね。ルグランのカヴァーになるB-3のWatch What Happensは洒落たヴァイブの音色も素敵なミッド・テンポのボサノバ。聴いていると自然と優しい気持ちになれそうな良い演奏です。それからヴォーカルものでは個人的にA-5のCanto Pra' Amadaがベスト。こちらもブリアモンチのピアノが美しい軽快な曲ですが、ビート的にはしっかり打ってるので使い方次第ではクラブ・プレイも行けるような気がします。と言うか、もしも僕がDJをするなら是非かけてみたいナンバー。夕暮れのカフェなんかにもぴったり合いそうですね。この手のブラジルものの中でもわりとレアな部類に入るレコードだと思いますが、お洒落系の音楽が好きな人には是非聴いてみてもらいたい一枚です。ちょこんと体育座りで腰掛けるジャケットも微かにヨーロッパの香りがしてグッド。ちなみにニコラ・コンテもフェイバリットに挙げてるそうですよ。オススメ盤です。
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Images / Venom Meets Marco Di Marco

2007-10-27 | Club Music
凄く久しぶりに買った感じがする新譜モノから紹介。インコグニートのブルーイのご子息であるDJ Venomが、イタリアのピアニストMarco Di Marcoの作品をリミックスした一枚です。ちなみに素材となっているのは2004年にリリースされ話題となったMy London Friendsと、このブログのタイトルにも使わせて貰っている73年のAt The Living Room。どちらも現在はクラブジャズ系のArisionが権利を持っている作品ですね。このレーベルのオーナー、シモーネ・セリテラは本当にマルコの作品に愛着があるみたいです。最もリスナー側の視点から言わせて貰うと、もうお腹いっぱいという気がしなくもないですが…。さて、そんな本作。リミックス作品ということで正直あまり期待はしていなかったのですが、良い意味で予想を裏切るなかなかの好盤に仕上がっています。その企画の出自から「生音ジャズのテッキーなブロークン・ビーツ化」というありがちな作風かと思いきや、これが意外にもわりと正統派のジャズ。リミックスと言うことで、オリジナルにはなかったシンセ音やエフェクトも加わっているのですが、全体的にそれほどクラブ・プレイを意識した作りになっていないので、たとえばE.S.T.あたりと並列に聴けてしまうような品の良いコンテンポラリー作品になっています。B-1のBrazilian Waltz(The Poizon Waltz Remake)や続くB-2のWinding Dance(Celestail Re-Edit)などは、オリジナルにはない空間的な広がりが付け加えられて非常に都会的。賛否両論あるでしょうが、個人的にはこういう質感は非常に好きです。そして、そうした都会的な感覚が最も良く現れているのがA-3のI Miei Ricordi(The Re-Imagination)。オリジナルもエレピが揺れる浮遊感のある曲でしたが、新たに上から被せられた金属的なピアノのサウンドが最高ですね。ラグジュアルなバーでカクテルでも飲みながら聴きたくなる一枚。最近すっかり疎遠になってしまいましたが、たまには新譜のチェックもしてみるものだなと思わされました。ちょっと作風が違うので比べるのもどうかと思いますが、僕としてはIdea 6よりこっちの方が好きです。
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N°3 / Pedrinho Mattar Trio

2007-10-21 | Brasil
数多く存在するジャズ・ボサ・ピアニストの中でも、玄人筋からプレイに定評のあるという話のペドリーニョ・マタールが(おそらく)60年代に残した1枚が本作。例によって専門外のため詳細は分かりませんが、聴いた話では彼が残した作品で正統派ジャズ・サンバと呼べるのはこれだけなのだとか。ちなみにリリースは、ジョンゴ・トリオなどでも知られるFarroupilhaレーベルから。複雑なアレンジが施された曲ばかりのため、クラブ的にはやや使いにくいかもしれませんが、その変わりに勢いのあるスリリングな楽曲が一際多く収録されているので、技巧派ピアノを思う存分楽しみたいというような人には打ってつけかもしれません。特にA-1のNeuróticoやA-3のZéro Horaなど、ある意味アブストラクト的とも言える高速ジャズ・サンバ群は、ブロークン・ビーツを通過した現代の耳で聞いても面白いですね。また、A-6のQuem é Homem Náo ChóraやB-2のBalansambaは、テンポこそ速いものの演奏自体はジャズ・ボサ風。イメージとしては、ミルトン・バナナをもう少しハードにした感じとでも言ったところでしょうか。こちらもこちらでなかなか良い感じです。ただ、僕のお気に入りは例によって若干テンポ遅めのキレイな曲。A-4のInútil PaisagemやB-4のPreciso Aprender a Ser Sóのような曲がやっぱりツボですね。どちらも例えば夜景が綺麗なバーのBGMなどに似合う幻想的な曲で、ひんやりと硬質なピアノがムード満点の好演に仕上がっています。甘さのないドライなタッチが都会的。こんなの聴きながらキリっとした白ワインを飲んだら美味しそうですね。B-6でラストを飾るのはアフロな雰囲気漂うジャズ・サンバのBalaiubá Xangô。やはりアレンジは複雑ですが、どことなく壮大な雰囲気がなかなかにグッドです。と言うか全体的にレベルは相当高め。ジャズ・サンバのトリオものはそれほど聴きこんでないので何とも言えませんが、アルバム全体の雰囲気と言う意味では、少なくともこれまで聴いてきたジャズ・サンバ盤の中で一番夜を感じさせる作品でした。特別なキラー曲こそないものの、飽きずに何度も繰り返し聴けそうなアルバム。たまにはこういうのも良いかもしれませんね。
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“A” Train / Same

2007-10-16 | AOR~BES
このところモダン・ジャズやブラジルものばかり掲載していたので、少し久しぶりとなるブルー・アイド・ソウル紹介。1979年にロスで吹き込まれた作品で、この飾り気のないジャケットから察するにおそらく自主盤(もしくは限りなくそれに近いもの)です。最近この辺りの音から少し距離を置いてしまったので、あまり詳しいことは知らないのですが、どうやら一部では最近わりと知られてきたレコードとのこと。AOR~Light Mellowの金澤さん辺りが好きな人は既に知ってそうですね。内容としては男性ヴォーカル+白黒混合バンドによる作品で、AORと言うよりブルー・アイド・ソウルという言葉がしっくり来る一枚になっています。夜の都会を思わせるインストで始まるA-1のTime Stopsがまず名曲。メロウなエレピ、サックス、そしてアコースティック・ギターの音色がどこかノスタルジックで気持ち良く、この時期の部屋聴きにもぴったりなナンバーに仕上がりです。いくら最近あまり聴かなくなったとは言え、この手のメロウ・サウンドは相変わらず好き。ヒップホップのサンプリングなんかにも良いのではないでしょうか。また、切ないメロディーと洒落たピアノが印象的なA-5のWhen I Call Your Nameも抜群。こちらはボビー・コールドウェル直系の王道AORバラードなので、その手のファンなどもきっと気に入るはずです。そして極め付けはA-4のBaby Please。刻むハイハットと洗練されたピアノによるイントロ、続く軽快なギターのバッキング・サウンドで、誰もが一瞬にして虜になるポップ・ソウルの決定版です。例えるならまるで、Coke EscovedoのI Would'nt Change a Thing(Dev Largeネタで有名ですね)と、A Full Moon ConsortによるThey Don't Know Where They're Goingを足して2で割ったような雰囲気。おまけにメロディーは完全な込み上げ系。フリーソウル周辺の音楽が好きで、これ嫌いな人は絶対にいないと思います。それくらいの名曲。「このグルーヴがいつまでも終わって欲しくない」そんなことすら思わせる奇跡のブルー・アイド・ソウル。このレコードを教えてくれた人に心から感謝したいです。久々にブルー・アイドの名盤に出会いました。
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Flirt And Dream / Francy Boland In The Background

2007-10-13 | Hard Bop & Modal
当ブログでもすっかりお馴染みなフランシー・ボランによる67年作。グループ名からも分かるように、クラブ界隈でも人気のある名盤Out Of The Background(ロケットジャケ)とは姉妹盤のような関係にある一枚で、本作もあちらと同じく独Sabaからリリースされています。リズム隊としてジミー・ウッドとケニー・クラーク、それからファッツ・サディが当たり前のように参加している点も一緒ですね。少し違うのは、本作には彼らリズム隊に加え総勢21名のストリングスが全編に渡って参加しているところ。当然、演奏においてメインとなるのは上記3+1の面々なのですが、重厚なストリングスがバックにいる分だけ、そのサウンドは分厚くなっています。ただ、やはりビッグバンド時とは異なり、本作のプレイは分厚いながらも非常に優雅。ほとんどジャズのクラシック化とでも言った、独特の雰囲気が素晴らしいですね。得意のワルツ・タイムで演奏されるA-2のClown Princessや、ラテン・パーカッションを交えてソフトなボサノバ・タッチで聴かせるA-4のClaudiaなど、どこまでもエレガントな音色に終始魅了されっ放しです。ほとんどムード音楽のような曲調からスウィンギンなジャズへと転調するB-3のBut Spossin'や、ストリングス主体の壮大なワルツ・ジャズでプレイされるB-5のLillemorは、さながら往年のイタリア映画で使われたチネ・ミュージックのよう。何より絶対の名曲は、B-1に収録されたPretty And Childlike。愛らしくも込み上げるメロディーと優しい雰囲気に包まれた小品で、クラークとサディによる跳ねるリズムと控えめに入るストリングスの対比も抜群です。素敵な夜の終わりを飾るのに相応しいような最高の名演。パーティーの最後でこんな曲が流れてきたら、きっと誰もが幸せな気分で家路に付けることでしょう。Out Of~に収録されたDark Eyes、Going Classicに収録されたLonely Girlと共に、ビッグバンド・マスターとしてではない、ボランのピアニストとしての素晴らしさが十二分に現われた一曲だと思います。ちなみにSaba/MPSというメジャーどころの音源ながら、何故かこれまでCD化は一度もないよう。ただ、アナログでは何度もプレスされているみたいなので、興味のある人は是非チェックしてみてください。女の子にもオススメです。
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Tema 3D / Same

2007-10-11 | Brasil
ブラジルの名ピアニスト兼アレンジャーであるアントニオ・アドルフォが64年にリリースした一枚。3D名義でのデビュー作に当たるのがこれです。以前、この翌年に録音されたO-Trio 3D名義でのConvidaというアルバムを紹介したことがありますが、こちらの1stもなかなかの好内容。ゲストとして参加した管楽器陣にスポットを当てた次作とは異なり、当時まだ17歳という若さだったアドルフォのピアノ演奏を存分に楽しめる1枚になっている点がポイントでしょうか。M-1のConsolacaçáoはこの辺りのジャズ・サンバ・トリオでは定番曲。もともとの曲が良いために悪くなりようがないのですが、本作でも勢いあるドラミングに乗せて猛々しくドライブするアドルフォが魅力的な快演になっています。同系統ではジョニー・アルフ作のM-3、Céu E Mar辺りも良い感じ。また、ミッド・テンポで軽快に跳ねるジャズ・ボサ風なM-5のSamba Do Somや、リラックスしたムードで演奏されるM-7のタイトル曲なども水準が高く、いくら若いとは言えハードなジャズ・サンバ一辺倒に陥っていないところも好みです。何よりのお気に入りは、ベースのカチョが渋いヴォーカルを取るM-10のFly Me To The Moon。あえてボサノバのリズムを用いず、ワルツと4ビートを採用したジャジーなアレンジがグッドですね。アドルフォの洒落たピアノ・タッチとカチョのヘタウマなヴォーカルが相まって、夜感と切なさ漂う大人な雰囲気になっているので、これからの人恋しい季節のBGMにも丁度良いのではないでしょうか。おそらく正統派のジャズ好きでも行けるはず。と、言うより僕は初めて聴いたとき、これがブラジル産とは全く気付かず、勝手にスペイン辺りのヴォーカルものかと思っていました。ちなみにアナログはまだそれなりの価格がするようですが、何年か前にサバービア企画で発売された国内盤CDならば、わりと容易に手に入れることが出来ると思います。少なくともブラジル本国で発売されたCDの廃盤を探すよりは遥かに楽。個人的にはブラジルものに興味のない人でも、このFly Me To The Moon名カヴァーのためだけにでも聴いてみて貰いたいアルバムです。もちろんジャズ・サンバ・ファンなら他の曲も必聴ですが…(笑) ヒップなジャケットも素晴らしい名盤。オススメです。
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Miles Before And After / Modern Jazz Gang

2007-10-05 | Hard Bop & Modal
少し前から一部で話題になっていた噂の幻盤が、当初の予定より若干遅れようやくリリース。チッチ・サントゥッチとエンゾ・スコッパ率いるイタリアの9人組コンボ、モダン・ジャズ・ギャングによる唯一のLPに当たるのが本作です。聴くところによると、以前再発されたサンドロ・ブルグノリーニのサントラより数年後に録音されたもののようで、この2枚の間にはEPが数作リリースされているとのこと。ただ、EPの方は過去に何度か中古店で見かけたことがあるので、おそらく本LPの方がレア度は数段上だと思います。マイルス「以前」「以後」とタイトルにもあるように、アルバムにはやや古めのスタイルで演奏されるウェスト・コースト風ハードバップと、カインド・オブ・ブルー以降のモード奏法を取り入れた曲が混在して収録されていて、ある意味イタリアのモダンジャズ史を考える上で一つの指標ともなり得る資料的にも価値のある一枚なのかな。A-1に収録されたタイトル曲は10分超の大作で、夜感と哀愁の漂うシックな仕上がり。各ソロとも良いですが、特に2番手を務めているブルグノリーニのアルト(おそらく)が見事です。こういう静かな雰囲気の曲は、やはりモーダルなサックスの音色がよく映えますね。クラブ世代から受けが良さそうなのはB-1のJeenya。同郷でもあるバッソ=ヴァルダンブリーニ・サウンドにも通じるメロディアスで軽快なバップ・ナンバーです。ここではまるでファンファーレのように高らかに吹くサントゥッチのトランペットが痛快。さらに同系統のB-4、Flying Boyもなかなか良いと思います。ブルグノリーニのサントラに何曲か収録されていたバピッシュな小品に惹かれた人なら、おそらくこの雰囲気も好きなはず。ちなみに以前バッソ=ヴァルンダンブリーニ再発の時に評判良くなかったせいか、今度の再発は海外製としてはかなりしっかりとした体裁になっているので、マニアの方はそちらにも注目してみては。表面のロゴはオリジナル仕様で、盤のラベルにおいてもDeja Vuの文字は控えめ。おまけにユニバーサルや澤野の再発同様、廃盤コレクターにはお馴染みの白ジャケ付きになっています。最もその分だけ値段も上がっていて、新譜としてはちょっと手の出し辛い価格設定になっていますが。何にせよ、また400枚限定だそうなので、気になった方はお早めにどうぞ。CDは今月末頃に出るそうです。
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Leny Andrade / Same

2007-10-01 | Brasil
少し久しぶりにブラジル方面の盤から紹介。50年代後半に15歳という若さでデビューし、リオのベッコ・ダス・ガハーファスでも活動していた女性ヴォーカリストが、66年にツアー先のメキシコで残したのが本作です。たしか本国ブラジルではリリースされていなかったと思うので、おそらくメキシコ・オンリーの音源だったはず。同じくブラジル出身のヴァイブ奏者ブレーノ・サウエルを中心としたカルテットをバックに従え、全編に渡りジャズ度高めの寛いだボサノバをやっています。この辺りの音楽は専門じゃないので良く分かりませんが、M-2のCanto De Chegarのような、タンバ・トリオにも通じるジャズ・サンバ系ナンバーが、その道ではわりと人気ナンバーなのではないでしょうか。可愛らしいピアノのイントロで始まり、中盤で怒涛のような高速スキャットに突入するM-4のEstamos Aí辺りも、好きな人には堪らないのでしょうね。ただ、僕個人としてはそうしたアップテンポなナンバーより、実はしっとりとした雰囲気の曲が気に入っていて、特にM-5のNoite Do Meu Bemが大の好み。繊細なピアノに導かれる美しい曲で、どことなくヨーロッパのジャズ、それもEP盤オンリーの激レア盤を思わせる洒落たアレンジが憎い一曲です。中盤以降カツカツと入ってくるドラミングも小気味良く、夜ジャズならぬ夜ボサな名演と呼べるのではないでしょうか。同系統ではM-9のÉ De Manhá~Menino Das Laranjas(2曲のメドレーです)も良い感じ。ちなみにメキシコ・オンリー音源ということもあって、アナログは非常に高額な上、まず見つからない一枚です。少し前にDisk Unionの企画で紙ジャケCD化されたので、素直にそちらを買った方が良いのではないかと。あからさまな盤起こしで若干音質に難はありますが、多分オリジナルを手に入れてもこれくらいのノイズは入るはず。まぁモノがモノだけに許容範囲でしょう。なお、この間のGroove誌でニコラ・コンテが紹介してたレコードのうちの一枚でもありますね。CDの方もいつ市場から消えるか分からないので、もし気になる方は出来るだけお早めの購入をオススメします。
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