At The Living Room Reloaded

忙しい毎日の中で少し足を止めてみる、そんな時間に聴きたい素晴らしい音楽の紹介です。

Love Groove / Pam Purvis

2014-09-23 | Free Soul
夫でありサキソフォニストのボブ・アッカーマンとの共作名義での作品が知られるアメリカ南部出身の女性ジャズ・ヴォーカリスト、パム・パーヴィスによるドーナツ盤オンリーの一枚。おそらくまだボブに出会う前に録音された作品と思われ、彼と同じくサキソフォニストでありシカゴのローカル・バンド、NirvanovaのリーダーでもあるRay Papai(レイ・パパイ)をプロデューサーに迎え、Ultra Novaなるマイナー・レーベルで製作された作品です。A面の表題曲は今で言うところのディスコ・ブギー系楽曲で正直ここでわざわざ取り上げるほどの作品ではないのですが、注目はB面に収録されたLove Touches All。おそらく現在35才以上くらいの限られた人にしか分からないと思いますが、実はこれ、テープ時代のOrgan b.Suite No.2にしれっと収録されていたあのグルーヴィーなナンバーです。レイ・パパイ自身がRay Papai's Nirvanova名義で録音したインストのテイクもあり、そちらは比較的手に入りやすいのですが、こちらのヴォーカル入りバージョンは盤自体の知名度の低さもあり市場に出回ることがほとんどなく非常にレア。いちおうサバービアの本にも文章だけで掲載されていますが、単純なレアリティだけで言ったらおそらく全掲載盤の中でもかなり上位かと思われます。ただ内容的にもその稀少性に見合うだけの素晴らしい完成度。ソウルともジャズともつかぬ中庸な楽曲ながら、僕自身の思い出補正も手伝い、個人的には非常に大好きなナンバーです。テープ収録曲の順番通りソウル・サヴァイヴァーズ→メルトン・ブラザーズ・バンド→本作→キールの順で聴くと、ちょうどフリーソウルに初めて触れた大学時代を思い出し懐かしさもひとしお。当時何も情報がなかったことから、なんだかんだ入手まで10年以上かかってしまいましたが、インターネット全盛期の今探し始めたらもう少しは手に入れやすいかな。もしも当時からまだ探し続けている方がいるなら、この記事を読んで入手までの近道になれば幸いです。
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Desire / Brandon Bray

2014-09-20 | Hawaii
知っている人は知っているハワイのシンガーソングライター、Brandon Bray(ブランドン・ブレイ)による1987年の三作目。彼の作品と言えば1979年にHulaレーベルからリリースされたピンク色ジャケットの1stがコンテンポラリー・ハワイアンのレア盤として有名ですが、その筋での知名度と価格の割にサウンドメイクがチープで内容が今一つ洗練されていないため、純粋なAORとしての完成度と言う意味では実は本作の方が上だったりします。いかにも80年代と言った様相のナルシシズム全開なジャケットで敬遠している方も少なからずいると思いますが、収録曲は一部のロック色強いナンバーを除きいずれも極上。録音年代が新しいこともあり、洗練された味わいが楽しめる一枚となっています。ブランドン自身のやや線が細い声質的にも本作のプロダクションの方がよりベター。Hula盤収録曲のリアレンジであるA-1のTogetherを聴けば、その傾向は顕著に伝わることでしょう。元曲は歌メロとコード進行こそ良いもののアレンジとヴォーカル・ワークがチープで少々退屈な雰囲気だったのですが、女性コーラスやサックスも交えた極上アレンジで再構築された本作収録バージョンではそんなオリジナル版での不満もなんのその。ハドリー・ホッケンスミス絡みのマイナーCCMに通じる素晴らしいブルーアイドソウルナンバーに仕上がっています。アルバム全体としてはB面の方が出来が良いのですが、ラストのB-5を飾る曲が山下達郎カバーのYour Eyesというのも、日本のAORファンとしては嬉しいところ。ほぼ原曲に近いピアノ中心のアレンジで作品全体を綺麗に締めてくれます。なおリリース元はBrandon Bray Productionsとなっており、言うまでもなく完全な自主盤。当然市場に出てくることは少なく、そのレアリティゆえ入手までかなり時間がかかりましたが、マイナー系AORやコンテンポラリー・ハワイアン好きならば是非とも聴いてみてもらいたい一枚です。
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Dreamer Boy / Henry Kapono

2014-09-14 | Hawaii
どうも、お久しぶりです。しばらくここに紹介できるような類の作品を買っていなかったことと単純に仕事が忙しかったことが重なり、更新が1ヶ月ほど空いてしまいすいません。紹介するのはセシリオ&カポノの片割れ、ヘンリー・カポノによる1982年の作品。コメディアンでありカポノの母校の後輩でもあるRap Reiplinger(ラップ・リープリンガー)と共同で作られた作品で、曲間にリープリンガーの語りを挟むコンセプト・アルバム仕立ての一枚です。彼のソロ作と言えば1981年にUS本国からリリースした1stと、例のKona Windsが入った1984年の日本製作盤が有名で、中古レコード屋やオークションでも頻繁に見かけるのですが、これらに挟まれた時期の2枚はプレス数が少なかったためか非常にレア。彼自身のネームバリューに反し市場に出てくることが驚くほど稀です。内容の方はいつものカポノと言った趣で、全体的にハワイらしさが少ないロック色の濃い作品ですが、そんな中にあって見落とせないのがB-2のLove Is。とろけるようなエレピとサックス、そしてパーカッションにまみれた傑作バラードで、フリーソウル以降のハワイアンAORファン直撃の一曲に仕上がっています。ソロのみに限らずグループ時代の曲を含めたとしても、おそらく彼の作品の中でもっともアイランド・メロウ色の強いナンバーかと。これだけの曲なのに話題になっていないことからも、本作の稀少性がうかがい知れます。ちなみにリリース元はお馴染みのParadise Records。このレーベル、傘下のBluewaterやShellの作品も含め正規のレーベル・コンピを企画したら、この手のコンテンポラリー・ハワイアンファンに非常にウケると思うのですがいかがでしょう。未CD化作品を含むロイヤル・ガーナー3枚を筆頭にフェイズ7の2nd、ダニー・カウチのソロ、カジュアルズのアルバムや初期のクラッシュ、本作含むセシリオ&カポノの各ソロ、さらには最近人気のジョン・ロウルズや定番カラパナのライブ盤まであるので、ある程度以上分かっている人が選曲したら、それはもう素晴らしいコンピレーションになると思うのですが…。もし関係者の方でここを見ている人がいらしたら、ぜひとも製作をお願いしたいものです。
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