At The Living Room Reloaded

忙しい毎日の中で少し足を止めてみる、そんな時間に聴きたい素晴らしい音楽の紹介です。

The Montreal Scene / Nick Ayoub Quintet

2006-04-27 | Hard Bop & Modal
久々の紹介となるハードバップ~モーダルなレア盤。美しいモントリオールの夜景を収めたジャケットが印象的な本作は、そのタイトル通りカナダはモントリオールで作成されたLPです。カナダのジャズなどと言うと一般にあまり馴染みがなく、僕自身もCelesteから再発されたBernie Senenskyくらいしか思い浮かばないのですが、だからと言ってスルーするのは勿体なすぎる一枚。Gianni BassoとOscar Valdambriniによる大人気の双頭コンボや、昨年末の再発も話題となったダイアモンド・ファイブ、それから北欧のLars Lystedt Sextet辺りにも匹敵する極上の演奏が繰り広げられる素晴らしい作品に仕上がっています。中でも白眉と言えそうなのはB-4のMontreal East。スパイ映画を思わせるスリリングでスタイリッシュな高速ジャズ・ダンサー。Basso=Valdambrini QuintetのLotarにヤラれた人ならば、間違いなくこれにもハマるはずです。その他もクールなマイナー・ボッサのA-1、Report From Cairoなど全てがクラブジャズ好きの琴線に触れまくる最高の8曲。カナダ産のジャズという点ではもちろんのこと、世界的に見ても同時代のものとしてはかなり水準の高い一枚に仕上がっています。ただ、いかんせんかなりのレア盤だということで、探すのは何気に根気のいる作業かもしれません。ただ、そんな苦労をしてまでも聴くべきアルバム、非再発化希望です。
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The Secret Of Love / Joy Song

2006-04-24 | Free Soul
決して高いわけではないんだけれど、日本においては少し珍しいレコードを紹介。CCMの名門とされる米Wordレーベルから82年にリリースされた本作は、いわゆるソフトロック・ミーツ・CCMな一枚です。例えるならばヤング・ジェネレーションがCCMをやっていると言ったところでしょうか。基本的には耳馴染みのない(にも関わらず一聴でそれと分かる)CCMソングを歌っていて、クリスチャンとは程遠い僕としては正直ついていけない部分も少なからずあるのですが、そんな思いも吹き飛ばしてしまうのがA-1、冒頭に収録されたNever Turnin' Back。そう、Bruce Hibbardの2ndでタイトル曲になっていたあの大名曲のカヴァーです。82年という時代柄、オリジナルに比べゴージャス度が増したクリスタルなアレンジになっていますが、それでも、あの絶妙なフリーソウル感はきちんと保たれています。と言うか僕としてはこちらの雰囲気の方が都会っぽくて好きかもしれません。なんと言うか…NiteflyteのYou Are辺りに近いアーベインな質感がツボです。まぁ他の曲は置いておくとしても、とりあえずこの1曲のためだけに買う価値ありでしょう。探すと見つからないかもしれませんが、仮に見つけられたらおそらく結構安いであろうレコード。何かの雑誌で紹介されたら高騰してしまうかもしれませんけれど…。
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Let The Rythm Hit'em / Little Kids

2006-04-22 | Club Music
北欧のG.A.M.M.レーベル等を筆頭に、近年クラブ・シーンにおいて大きな盛り上がりを見せているマッシュ・アップ~ブレンドもの。なんだかダビーな雰囲気や大ネタ感があまり好きではない僕としては、正直あまり魅力も感じず実際に買ったこともほとんどないのですが、そんな中でもコレはちょっと無視することが出来なかった一枚。Eric B & Rakimの同名曲を生音ジャズのループに乗せて勝手にリミックスしてしまった一枚なのですが、これが異様なまでにハマっていて恐ろしく完成度が高い楽曲に仕上がっています。ネタがDexter GordonのLove For Saleなのでズルいと言ってしまえばそれまでなのでしょうが、それでもこの楽曲を再構築してラップを乗せようと考えるセンスは唯一無二だと思います。小林径さんとB-Bandjによるユニット、Dark ShadowによるNica's Dreamを彷彿とさせる激ジャジーなヒップホップ。Nicola Conteのりミックス・ワークなんかにも近いリム・ショットの使い方もまた魅力的。この手の音楽を聴いてる人で、コレ嫌いな人って多分いないのではないでしょうか。それくらい素晴らしい作品。マッシュアップものという性質上、正規にリリース出来るような代物ではないため、初回プレス分を売り切ってしまったら恐らく再プレスはないはず。気になる人はある内に買いましょう。
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Lui / Same

2006-04-21 | Hawaii
世の中には美しいジャケット・ワークのLPって数多く存在しますが、本作はそんな中でも極め付けと言えそうな美麗ジャケを纏った自主制作(たしか…)の激レア作品。ドラムスとコンガを務めるLui Williamsを中心にハワイで結成されたマイナー・バンドの1978年盤です。サバービアの編集版でも大きくフィーチャーされていたので、ジャケットに見覚えがある方もいるかもしれません。さてさて、ハワイものと言えばカラパナやマッキー・フェアリー、それからレミュリア辺りのアーバン・メロウなAORが有名ですが、本作はそう言ったアルバムとはやや異なった趣の一枚です。よりトラッド色が強いと言うかハワイの伝統的な民俗音楽とポップスを融合させたと言った雰囲気で、ソフト・ボッサなA-2のMy Loverを始めとして、全体にかなり緩めな気だるいグルーヴに彩られたLP。はっきり言ってクラブ向けの作品では全くないし、野暮ったいヴォーカルや稚拙な録音技術は洗練とはほど遠いものなのですが、どこか捨てることが出来ない一枚となってしまっているのは、やはりあまりに素晴らしすぎるジャケットのせい。まぁA-5のOh, Oh辺りは無理してピッチを挙げたらクラブ・プレイも可かもしれませんが、基本的にはあくまでリスニング用の一枚ですね。唐突にペドラーズ風のアレンジになるB-3のMy Funny Valentineは謎なんだけれど、なぜか格好いいです。
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Goran Rydh / Same

2006-04-15 | Free Soul
どうも、お久しぶりです。更新滞り気味になってしまって申し訳ありません。さて、前回の更新時に少し手厳しいコメントを貰ったから…というわけでもないのですが、本日紹介しようと思うのはニュー・ディスカヴァリーもののAOR。僕自身、記載クレジットを見るくらいしか情報を得ることが出来ないのですが、CBSから1979年にリリースされたものの様。この全く読み方が分からないGoran Rydhなる人は、おそらくスウェーデンのシンガー・ソングライターだと思われます。アルバムは全体としては当時の時代性と言うか、ファンキーなテイストの強い欧州産B級マイナー・ディスコと言った雰囲気で、正直それほど惹かれるわけでもないのですが、A-4のI Wrote This Song For Youが奇跡的に素晴らしい。タイトルからピンと来る方もいるかもしれませんが、実はこの曲はJohn Valentiによるあの裏名曲のカヴァー。この曲のカヴァーって世界を見渡してもあまりないと思うので、まずそれだけで貴重なわけですが、これがまたオリジナル版を凌ぐライト・メロウでアーベインな好ヴァージョンなのだから、もうただただ素晴らしいとしか言いようがありません。しっとりとしたオリジナルを、軽快なギター・カッティングで若干アップめにカヴァーしています。まだ余り知られていないレコードだと思いますが、有名DJがスピンし始めたら間違いなく人気がつくと思われる一枚です。オススメ盤。
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History Is Pearshaped / Nekta

2006-04-06 | Club Music
数年前に[Re:Jazz]シリーズが大ヒットを記録したドイツのInfracomからひっそりと届けられた本作は、北欧アイスランド出身のNathalie SchaferとGyso Hilgerなる二人組による12インチ。クレジットから判断するに、おそらくGyso Hilgerというトラック・メイカーがNathalie Schaferをヴォーカルに迎えて結成したユニットなのでしょう。Schemaから1枚12インチをリリースしたCabaret Noirあたりに近いユニット構成で、音自体も非常に近いものを感じます。ちなみに先にCDのみでアルバムがリリースされている模様で、今作はそこからのシングル・カットのようですね。オリジナル曲もなかなかの佳作ですが、ここで注目すべきは何といってもB-1のWhat Nature Brings - native rmx。昨年のミニアルバムにて一躍シーンの人気者となった、日本を代表する生音クラブジャズ・ユニットであるNativeが、なぜか唐突に彼らの曲をリミックスしています。しかもこのリミックスはとてつもないハイ・クォリティ。エレピを主体としたトリオに哀愁のサックスが加わったスムースなコンボにて、ラテン・3拍子・4ビートを自在に行き来する最高にクールなジャズ・ダンサーです。正直、この間のQuasimodeによるDown In The Villageはあまりに派手過ぎてピンと来ませんでしたが、こちらは間違いなく僕好み。自身のミニアルバム収録曲よりも多分こちらの方が良いかと思われます。極私的今月のオススメ盤。
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Return Visit / Tubby Hayes And The All-Stars

2006-04-04 | Hard Bop & Modal
このブログでも前述した上目使いジャケの2枚のライブ盤が、クラブ・サイドのリスナーからも絶大な人気を誇るUKのテナー奏者Tubby Hayes。この盤はそんな彼が62年に渡米した際に、Walter Bishop Jr.などアメリカのジャズメンたちとセッションした作品。ちなみに例の2枚からほぼ1ヶ月後の録音ということになっています。クレジット的にはオールスター名義になっていますが、実際のところ参加ミュージシャンはそれほど多いわけではなくて、タビーを含めて6人の三管セクステット編成。ただリズム隊を除く3人がいずれもテナー奏者なので、オーソドックスなコンボと比べると変則的なセクステットですね。とは言え、タビーは曲によってはヴァイブのみの参加だし、他の二人もフルートを吹いていたりするので、3人テナーと言ってもアルバム全体の雰囲気はそれほどゴリゴリした印象ではないです。そんな中で個人的に白眉としたいのはM-3のLady ''E''。2本のフルートによるテーマとタビーのヴァイブが美しいモーダルなジャズ・ダンサーですね。アメリカの録音であるはずなのに、どことなくヨーロピアンな香りが漂うのは、やはりタビーが参加しているせいでしょうか。また、M-2のI See With My Third ''I''は、King Of Diggin'ことMuro氏が以前曲作りの際にネタとして使用した曲。ブリブリなテーマが格好いいマイナー・ブルースです。ちなみに6月にはアナログでも再発されるそう。ユニヴァーサルの再発ラインナップ、今回も凄いことになっているようですね。
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