At The Living Room Reloaded

忙しい毎日の中で少し足を止めてみる、そんな時間に聴きたい素晴らしい音楽の紹介です。

Step On The "Cherry" Wave / 川村 康一

2014-06-29 | Japanese AOR
80年代~90年代序盤にかけて活動していた男性シンガー・ソングライター川村康一氏による1990年の2ndアルバム。もちろんリアルタイムで聴いていたわけではなく、今の時代で知名度が高い人ということでもないので、正直このアルバムを聴くまで名前を聴いたことがなかったのですが、ご本人のホームページを見る限り「AOR(Adult Oriented Rock)をこよなく愛し、リゾートミュージックの代表の1人」だそうです。作風的にはAFTER 5 CLASH以降の80's角松サウンドに近いテイスト。時代背景的なところも多分にあるのでしょうが、全編打ち込みの固いドラム・ビートに載せた産業ロック~フュージョン・サウンドとなっており、正直今聴くには少しツラい曲が多いです。この時代の楽曲でも生ドラム主体のアコースティックサウンドかアシッド・ジャズのエッセンスを取り入れた「揺れる」打ち込みビートならば問題なく聴けるのですが、ここまで直球に打ち込まれてしまうと正直しんどいかなと言ったところ。M-2のHot "Jammin" StepやM-7のLet's Get, Babyのように上モノの鳴りとメロディー自体は良いものもあるだけに残念です。ただ、そうした惜しい楽曲の中で見逃してはいけないのがM-5のWHITE MEMORIES (マーヴィン・ゲイに捧ぐ)。タイトルからも分かるように思い切りマービン・ゲイをモチーフしたミディアム~スロウのAORナンバーなのですが、なんとヴォーカルに当時カラパナへ復帰していたマッキー・フェアリーがゲスト参加しています。あの甘くとろけるマッキーの歌声でのマーヴィン・ゲイ風ナンバーは見事の一言。カラパナ好きなら確実にやられることでしょう。アマゾンでも格安で販売されているので、聴いたことないという人は騙されたと思って是非一度聴いてみてください。この一曲のためだけに買う価値のある一枚と思います。
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On Her Majesty's Request / Pizzicato Five

2014-06-24 | Japanese AOR
このブログで取り上げるのは実に9年ぶりとなるピチカート・ファイブ。今回記事を書くにあたり、そう言えば以前取り上げたことがあったかなと過去の履歴を確認していたら、前に記事を書いたのがまさかの2005年で自分でもちょっと驚いています。本作は彼らが1989年にCBS/Sonyから発表した3作目のアルバム「女王陛下のピチカート・ファイブ」リリース時に少数だけ製作された45回転の4曲入りプロモ12インチ。その存在自体は前回ブログ掲載時以前から知っていたものの、彼らが野宮真貴を擁し渋谷系の旗手として大ブレイクする前の、おまけにプロモ盤ということで想像以上に入手に手間取り、気づけばいつの間にか10年間が経ってしまいました。本作に収録されているのはA-1「夜をぶっとばせ」、B-1「恋のテレヴィジョン・エイジ」、B-2「バナナの皮」、B-3「新ベリッシマ」というアルバムでもハイライトとなる4曲。いずれもCDのテイクと同じものなので内容的には最早言うことなしですが、この大傑作を直径30cmのアナログ盤、しかも凝った装丁の特殊ジャケで所持することが出来る喜びとは、ピチカートマニアとしてはやはり格別というものです。製作時期がアナログLP最末期、さらに1980年代最後の89年というのも個人的にはポイント高め。実際のところは分かりませんが、個人的にはこの4ヶ月後にリリースされた山下達郎のJoyと本作が(クラブDJや一部マニア向けに後年あえて製作されたのではない)最後のアナログ・レコードというイメージなので、そういう意味でも非常に価値のある一枚かと思います。角松やオメガ・トライブあたりを中心にした80年代のJ-AOR系譜を追っていくとき、最後の一枚を飾ると同時に、このジャンルの次の10年の展開を示唆した記念すべき作品。はっきり言って完全にマニア向けな一枚ですが、興味のある方は是非探してみてください。ちなみに9年前に紹介したベリッシマのLP盤は、当時の書き込みで存在情報を得たにも関わらず未だ出会ったことなし。プロモオンリーの本作とは異なり一応正規販売されたはずなので、一度くらい見かけても不思議はないはずなのですが…。
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Mint / 中原 めいこ

2014-06-23 | Japanese AOR
また少しマニアックな作品の紹介が続いたので、たまには趣向を変えてこんなどこにでもある一枚を。1984年にカネボウ化粧品夏のキャンペーンソングとなった「君たちキウイ・パパイヤ・マンゴーだね。」で知られる女性シンガーソングライターの中原めいこが、大ブレイク前夜の83年にリリースしたアルバムです。このところの和モノ再評価の流れの中では、その「君たちキウイ・・・」が収録された翌年のアルバム「ロートスの果実」がAOR歌謡として人気ですが、本作もそれに負けず劣らずの高クォリティな一枚となっており、個人的には存在を知った数年前から愛聴盤の一つ。なんと言っても彼女最大の魅力はその歌声。それほど抜群にうまいと言うわけではなものの、現行の女性ヴォーカルにはいないタイプの「ロマンティックくれそう」なお姉さんボイスは、幼いころドラゴンボールで育った世代には破壊力抜群です。僕自身がわりと声フェチだということもありますが、少女らしい可愛さと大人っぽいセクシーさが同居するこの手の歌声はわりと男性受け良いのではないでしょうか。肝心の楽曲はというと、全編通じてややファンカラティーナの雰囲気漂うAOR歌謡。いわゆる本格派のサウンドとは少し趣を異にしますが、これはこれで一つのJ-AORの形として楽しむのが今風の聴き方というものでしょう。特に当時アルバムからの先行シングルとしてもリリースされていたB-1の「月夜に気をつけて!」は、いかにも80'sサウンドと言った雰囲気の煌びやかなナンバーで、個人的に非常に大好きな一曲。言ってしまえばただの歌謡曲なんですが、なんというか単純に好きなタイプの楽曲なんですよね。逆に最近のライトメロウ・ブーム的においしいのはB-5の「ペパーミントの朝」。ボサノバを下敷きにしたクロスオーヴァー・サウンドで、曲中に入る鳥の声のSE含め非常にその手のファン好みの音になっています。いずれにしろLPであれば3桁で買える一枚だと思うので、気になる人は是非。確かitunesでも配信されていたはずなので、まずはそちらから試してみても良いかもしれません。
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We Are Hawaii... / Aikane

2014-06-22 | Hawaii
知っている人は知っているハワイの船上パフォーマンス集団、Aikane Catamarans(アイカネ・カタマランズ)による1981年のLP。ご覧のとおりジャケットの雰囲気が非常に「それっぽい」ので、フリーソウル全盛期にマッキー・フェアリーやレムリアと同じように紹介されていたら今頃は有名盤となっていたと思われる作品です。内容的にはソサイエティ・オブ・セブンとカントリー・リヴィングを足して2で割ったような雰囲気。洗練されたAOR的作品とマットな質感のいなたいナンバーがバランスよく散りばめられて収録されており、コンテンポラリー・ハワイアンの中~上級者リスナーには堪らない一枚かと思います。少なくともサバービアで取り上げられ数年前に再発されたLuiあたりと比べると遥かに完成度高め。特に軽やかなフルートがリードするA-1のKuuleiは当時シングルカットもされたナンバーで、これぞまさにアイランド・メロウと言った趣な素晴らしい楽曲となっています。アリーズやダニー・カウチのような同時代のParadiseレーベル系作品が好きな方ならおそらくストライク・ゾーン直球なはず。またB-1のI Love The BeautyとB-4のStay Ahileはアコギがリードするテンダー・リーフやカントリー・リヴィング系の爽やかポップ・ナンバー。dどちらも中盤の短いソロ含め完璧なので、おそらく好きな人は多いのではないでしょうか。その他実況録音形式でフラの何たるかを教えてくれるB-3のHula Lesson、ポップなカッティング・ギターとグルーヴィーなベースラインに乗せ聴く者を楽しませるA-4のHawaiian Medleyあたりはステージバンドの面目躍如といったところ。あまり売られているのを見たことがないのでレア度はそれなりと思いますが、運よく見つけることが出来ればそれほど高くなく買えると思うので、気になる人は探してみると良いかもしれません。特にこれからの季節にはお勧め。個人的には、ターンテーブルに乗せるだけでなんとなくゆったりとした時間を感じることの出来る名盤だと思います。
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Acoustical Realm / Pāhoehoe

2014-06-19 | Hawaii
先日紹介した2人組ユニット、パホエホエによる96年の2ndアルバム。彼らのユニット名の由来でもあるパホエホエ溶岩(表面が滑らかな溶岩)と大自然の雄大さが描かれたジャケットのイラストが秀逸なので、もう20年ほど前にLPでリリースされていたならば、おそらくハワイアン・レアグルーヴの隠れ名作と認知されていたことでしょう。鍵盤楽器の音色が良いアクセントとなっていた1stと比較して、こちらはアコギ・サウンドが中心なため、どちらかというとカラパナと言うよりもセシリオ&カポノ寄りの展開。全体的にローカル盤ゆえのチープさはあるものの、個人的には逆にその素朴な雰囲気が心地よく、時折プレーヤーに乗せることにしています。フリーソウル上がりのリスナーが反応しそうなのは、いなたくもライトメロウなM-1のToo, Too Womanと少しボサノバがかったミドル~スロウ・テンポが心地よいM-2のTropical Environment、それから爽やかな女性ボーカルとのデュエットで聴かせるフィーチャーしたM-6のYou've Been Away Too Longあたり。いずれも宅録かと思わせるほど手作り感満載のナンバーですが、曲自体はそこそこの出来となっているので、熱心なコンテンポラリー・ハワイアンのファンならばそれなりに楽しめることと思います。ちなみに前作と今作の間にチャールズ・リケイドは古巣のサマーに復帰しており、1994年にアルバムをリリース済み。前作、サマーの3rd、そして今作と聴き比べることにより、90年代前半のコンテンポラリー・ハワイアンを一本のラインで追えるので、そうした楽しみ方もまた一興かと。この手のローカル作品のご多分に漏れずCDとは言えなかなかのレア盤なので、狙って見つけることが出来るような作品ではないかもしれませんが、ご覧のとおりジャケット自体は目を惹くデザインなので、もしも偶然どこかで目にしたならば手に取ってみると面白い発見があるかもしれません。
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First Flow / Pāhoehoe

2014-06-17 | Hawaii
カラパナの弟分バンドであるサマーのCharles Recaido(チャールズ・リケイド)とAkona(アコナ)なるグループのKevin Teves(ケヴィン・テベス)の二人によるユニット、Pāhoehoe(パホエホエ)による1stアルバム。元々はリケイドが一時サマーを脱退していた1984年にソロアルバムのつもりで製作していた作品のようですが、紆余曲折の末このパホエホエ名義で1990年にカセットテープでリリースすることになったらしく、そのテープ作品を1995年にCD化したものが今この手元にある一枚です。どうやら1990年前後のハワイではテープでの作品リリースが盛んだったようで、コンテンポラリーものでもセシリオ&カポノの各ソロ、ロイヤル・ガーナーあたりは僕自身も実物を見た経験あり。…と言うより、むしろCD以上に出回っている印象も受けるので、もしかしたらこちらの媒体の方が市民権を得ていたのかもしれません。内容的にはいわゆる90'sコンテンポラリー・ハワイアン。同じ二人組ユニットで同時期に活躍したNaluをもう少しアーバンな雰囲気にしたような作品となっています。正にアイランド・メロウと言った趣で爽やかな風を運ぶM-1のKona BreezeやM-6のSend Me Your Love、横揺れのグルーヴィーなビートと浮遊感が気持ちいいM-3のA Day In Springtime、インストゥルメンタルでしっとりと聴かせるM-4のJoshあたりが聴きどころ。決して派手な作品ではありませんが、外がじめじめと蒸し暑い今の時期、部屋でアルコールを飲みながら聴くのにはなかなか良い雰囲気です。ポイントは要所要所いいタイミングで入るキーボードとシンセの音色。弾いているのはリケイド自身だったりサイドメンだったり曲によって様々ですが、生ギター主体のアコースティックな演奏にエレクトリックな音色が一つ加わるだけで途端に都会的なサウンドに変貌するのだから不思議なものです。例によって血眼で探す類の作品ではないと思いますが、もしもどこかで見つけたならば聴いてみても良いかもしれません。
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Tony Bizarro / Same

2014-06-14 | Brasil
先日この翌年リリースされたアルバムを紹介したブラジルのシンガー・ソングライター、Tony Bizarro(トニー・ビザーロ)による1976年の33回転4曲入りコンパクト盤。アルバムの方はCBSからリリースされていますが、こちらは現地ブラジルの大手レーベル、RGEから発売されたようです。A-1のQue Se Faz Da VidaとB-1のComo Está Não Faz Sentidoは同テイクがアルバムにも収録されているため、本作の存在価値はなんと言ってもB-2のAgradeço Amor。Como Está~と同じ路線の高揚感に満ちたナンバーで、フリーソウル好きにウケが良さそうな気持ち良い一曲です。以前も書いたようにこの曲はテルサのコンピに収録されており、コンピ中でもドン・ベトの3曲に負けず劣らず抜群の存在感を示していたため、もしかしたら聞き覚えのある人もいるかもしれません。またもう一曲アルバム未収録のA-2、Não Vale A PenaはRobson Jorge絡み。ブレイクで始まり豪快なホーンが弾けるファンキーなナンバーとなっています。ホーンのアレンジがなんとなくTouch Of ClassのLove Means Everythingに似ているので、フリーソウルの中でもAOR路線でなくファンキー路線が好きな人はハマるかと。いずれにしろアルバム収録の2曲も含め全体的にフリーソウル度がかなり高く、歌詞がポルトガル語ということを除けば同年代のUSソウルにも決して負けない充実の完成度を誇っています。この手のサンバソウルもの全般に言えることですが、ボサノバやサンバなどのいわゆるブラジル音楽好きというより、むしろ90年代にフリーソウルを聴いてきたリスナーにこそお勧め。最近は静かなブームとなっており、日本にもそれなりに中古レコードが流れてきているため、興味のある人は探してみると面白いかもしれません
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One Man Lady / Music Magic

2014-06-12 | Hawaii
キーボードのAl Pscua(アル・パスクァ)を中心とした、ハワイの4人組ヴォーカル・インストゥルメンタル・グループによる1981年の2ndアルバム。以前Cool Soundからオリジナルのジャケ仕様でCD化もされていましたが、僕の持っているのはこちらのジャケットの国内盤です。オリジナル盤はともかく国内盤に関しては比較的安値で取引されており、街のレコ屋のエサ箱でもたまに見かけるため稀少性には乏しいですが、手軽に楽しめるコンテンポラリー・ハワイアン作品としてはそこそこ充実した内容。全体的にAORというよりもフュージョン&ファンクな要素が色濃く、男性ヴォーカルながら質感としてはLemuriaやAuraあたりに近い一枚となっています。全9曲中7曲が歌モノですが、ハワイアン・フリーソウルとして人気が高いのは断トツでA-1のタイトル曲。いかにもハワイ産らしいエレピと7管ホーンに甘くこみ上げるファルセット・ヴォイスが絡むミディアム~スロウのポップソウルで、湿度の高い夏の夜にアルコールでも飲みながら聴くのに最適なトロピカル系チューンとなっています。サバービア誌にも掲載されたAORに傾倒していた時期のソサイエティ・オブ・セブンあたりが好きな人はおそらく気に入るはず。ただ個人的には少しセシリオ&カポノやサマーあたりを思わせるB-2のOnly Ours To Shareがより好み。アルペジオで弾くアコギとチキチキ刻む16ビートが心地よいライトメロウ系の好ナンバーです。なお曲によりバック・ミュージシャンとしてマイケル・パウロ(Sax&fl)とアイラ・ネパス(tb)がさり気なく参加。どちらもこのブログではお馴染みの名前ですが、どことなく特有のハワイらしさを感じることが出来るのはこの辺りにも要因があるのかもしれません。最初にも書いた通り決してレア盤ではないので、血眼になって探すような類の盤ではないと思いますが、もしもどこかで見つけたら試聴してみると良いかもしれません。AORファンというよりはレアグルーヴ~ブラック・ミュージックのファン向けかと。ちなみに国内盤のリリースはClimaxというあまり聴いたことのないレーベルから。当時はあまり売れなかったのでしょうが、今聴くと味がある作品であることは確かなので、気になる人は気長に是非レコ屋めぐりをしてみてください。
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Just Hang Loose and Go With The Flow / Ron Tish

2014-06-08 | Hawaii
1977年にリリースされたRon Tish & co.名義での作品が一部で知られるロン・ティッシュが1987年に残した2作目。僕が持っているのは当時リリースされたCDで、他にカセットテープの存在は確認していますが、LPは見たことないので出ていないのかもしれません。例のHome Grown収録曲や1stのイメージから、トラディショナル要素を含むアコギ主体の牧歌的サウンドを想像するかもしれませんが、リリース時期が新しいこともあり本作の音作りは全体的にコンテンポラリー色強め。キモ・コーンウェル(元カラパナ)らのキーボードと中心する、ソフィスティケイトされたアダルトコンテンポラリー作品となっています。同時代の作品で言うならば雰囲気が近いのはアウディー・キムラによる初期作。あの感覚が好きならばおそらく気に入ること間違いなしでしょう。収録曲はアップ~バラードまで幅広いですが、特に数曲収められたミディアム~スロウのナンバーが素晴らしく、ライトメロウ以降のAORファン直撃の好曲に仕上がっています。どことなくジム・シュミットあたりのCCMにも通じる優しいアレンジとロンの甘い歌声が心地よく、僕は試聴してすぐに気に入ってしまいました。なかでも特に気に入っているのはM-5のI Know I'm Gonna Make It Now。まるでテリー・キャリアーのOrdinary Joeを80年代CCM風にしたかのようなライトメロウ系ミディアムで、中盤のギターソロ含め非常に完成度の高い一曲となっています。マイケル・ジェイムス・マーフィーあたりが好きな人もおそらく気に入るはず。知らずに聴いたらこれがハワイ産だとはまず思わないことでしょう。1作目とは作品の方向性が異なるので、あちらを聴いて「ちょっと違うな」と思った方でも、聴いてみる価値ありの一枚。媒体が媒体だけにそうそう見かける作品でもありませんが、気になる人は探してみると良いかもしれません。日曜の朝にはぴったりなアルバムです。
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Golden West / Various Artists

2014-06-04 | AOR~BES
数年前から一部マニアの間で話題のカレッジものコンピレーション。カリフォルニアにあるゴールデン・ウェスト・カレッジが製作した一連のシリーズのうち、1978年にリリースされた記念すべき一作目です。以前からその存在は知っていたものの、そのレアリティーゆえ実物を手にするには至らなかったのですが、先日ふとしたきっかけで某海外サイトで販売されていることを発見。運よくオークションではなかったので、見つけた瞬間にカートへ入れることで無事、購入することが出来ました。さて本作、主役はもちろん学生たちですが、実際のところアルバム製作の中心となったのはおそらく、本学コマーシャル・ミュージック・プログラムの教職員であるDave Anthony(デイヴ・アンソニー)とGerry Schroeder(ゲリー・シュローダー)。ジャケット裏のライナーを読む限り、この二人はどうやら商用音楽というものをかなり真剣に分析/研究していたようで、その恩恵に預かる形で各収録曲はとてもカレッジもの(=素人の自主製作)とは思えぬハイクォリティなものとなっています。特にA面の出来が抜群に良く、収録曲5曲のいずれもが同時代のコンテンポラリー・ハワイアンに通じるローカルAOR~SSW系メロウ・フォークの名曲。サバービア以降のAORリスナーならば、まず間違いなく一発で虜になることでしょう。その中でもとりわけ素晴らしいのは冒頭A-1に収録されたElaine Balkman(エレイン・バルクマン)によるKeyboard Man。爽やかなフルートと軽快な16ビートが気持ちいいアップテンポなフィメール・フリーソウルで、さながら女性版ババドゥとでも言うべきキラー・チューンとなっています。他の曲ももちろん素晴らしいですが、個人的にはこの曲が決め手となり購入を決意しました。このタイトルとジャケットなので見つけるのはなかなかに困難かと思いますが、その甲斐は充分にある作品だと思いますので、マニアの方ならぜひ頑張って気長に探してみてください。
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