At The Living Room Reloaded

忙しい毎日の中で少し足を止めてみる、そんな時間に聴きたい素晴らしい音楽の紹介です。

Biribalanco / Biriba Boys

2007-11-26 | Brasil
サイケなジャケットが印象的な本作はビリバ・ボーイズの65年作。このグループのことは余り良く知らないのですが、本作以外にも何枚かリリースがあるようで、ブラジル好きの間では比較的名前の通っている人たちのようです。アルバムによって作風が若干異なるそうなので、一概に○○系だとは言えないのですが、いずれにしろ他とは少し変わったことをやっていたグループなんだとか。本作はそんな彼らの中で最もジャズ・サンバ度が高いとされている一枚。マシャードやテノーリオのような「いかにも」なサウンドとは趣向が多少異なりますが、ジャズ・サンバとバランソの中間のようなスタイルがなかなか良い感じです。ピアノではなくオルガンをメインに使用していることを含め、全体の雰囲気としてはセルジオ・カルヴァーリョの白盤(Equipe)に近い肌触り。あちらの盤同様、本作もハードなものからソフトなものまで幅広い曲が収録されています。中でも、A-4のQuitessénciaやB-1のThe Blues Walk辺りは、ハード・ジャズ・サンバの流れに組み込んでいっても違和感なく機能するのではないでしょうか。特に前者に関して言うならば、数あるこの曲のカヴァーの中でも一際アグレッシヴなプレイが魅力的で、グルーヴィーなハモンド・オルガンを筆頭に怒涛のソロ・リレーが素晴らしいです。ちなみにどちらもOs Cobrasのレパートリーだったりしますが、今の気分としては個人的にこちらのプレイの方が好み。この2曲に比べるとやや疾走感は落ちるものの、B-5のタイトル曲なども比較的ハードめな演奏で良いです。定番のB-2、Consolaçãoは途中で歌パートを効果的に交えながらパーカッシヴに聴かせる好曲。こう素晴らしいアレンジだと、すぐに終わってしまうのが勿体無くなってしまいますね。B-3のDon't Blame Me~On Green Dolphin Streetメドレーや、A-2のO Morro Não Têm Vezも、決して派手ではないもののミッド・テンポのジャズ・サンバランソで素敵です。どうやら未CD化のようですが、全体通してかなり質感が良い作品なので、まだ聴いたことない方は是非チェックしてみてください。
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Esquema Novo / Meirelles E Os Copa 5

2007-11-25 | Brasil
来月再発アナログもリリース予定のサックス奏者J.T.Meirellesによる2005年の新録。リリース時期的にはIdea 6の1stと同じ頃だったのですが、クラブ方面でかなり話題となったあちらとは異なり、一部を除き全く話題にならなかった作品ですね。生ける伝説的と言う意味では、このメイレレースもバッソに負けない存在だと思うのですが…。ちなみにOs Copa 5名義にはなっているものの、60年代の2作品とはサイドの顔ぶれが全く異なるので、単純にメイレレースの新作だと考えた方が良さそう。全体のアレンジも、ほとんどハードバップ紛いなバリバリのジャズ・サンバを聴かせていた60年代当時から随分と変わっていて、エレピが揺れるスムースな大人サウンドになっています。ただ、ムリにクラブ世代受けを狙ったIdea 6と比べアレンジに無理がないため、個人的にはこの変わりぶりは好印象。同じエレピ使いと言うこともあって、イメージ的にはリュニオン後のダイアモンド・ファイブ辺りに近いものがあるかもしれませんね。流れるようなテーマ部のメロディーが美しいM-8のSoloや、もはや彼の代表曲とも言えるM-10のQuintessênciaなどの往年の名曲も、しっとり落ち着いたコンテンポラリーなアレンジで再演していて好感が持てます。もちろんオリジナルあってこそではありますが、静かな夜のBGMとしてはこんな寛いだスタイルでの演奏もなかなか良い感じですね。マシャードのSamba Novoで披露していたM-2のAboioなども同様の肌触り。良い意味で角の取れたメロウなアレンジで、非常にリスニング向きな仕上がりになっています。ちょっと小洒落たカフェバー辺りでかかっていそうな感じと言うか、ついついお酒が進んでしまいそうな大人な一曲ですね。そして何より白眉なのはM-7のNaima。言わずと知れたコルトレーンの名曲ですが、ここではそれを洗練されたアフロ・ボサ・スタイルでカバー。まるで深遠な夜の闇に包まれていくかの如きメロウ・サウンドが非常に素晴らしいです。モーダルなジャズ・サンバを求めてる人にはオススメ。ちなみにLPではリリースされていないようでCDのみですが、リリース時期が比較的最近なこともあって入手は比較的容易なはず。気になる方は廃盤になる前にどうぞ。
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Plays Bossa Nova / Hideo Shiraki Quintet

2007-11-23 | Hard Bop & Modal
昨今何かと話題な和ジャズにおける台風の目。白木秀雄が62年に録音したプレイズ・ボッサ・ノバです。数ある白木作品の中で最も復刻が望まれていたのが本作なのではないでしょうか。かく言う僕自身も、昨年ジャズ批評誌にて組まれた和ジャズ特集で本作の存在を知って以来、再発を切に望んでいた人物の一人なのですが…。そんな和ジャズ最重要作品が、この度Think! Recordsより満を持して復刻。個人的には本年度リイシュー部門で1位に掲げたい作品です。とにかく全編通して内容が圧倒的。国内は言うに及ばずワールドワイドな視点で見ても、これほどのクォリティを持った作品はそれほどないと思います。そのスタイリッシュなジャケットもそのままに、本作がもしもブルーノートの4000番台からリリースされていたら、間違いなくジャズ史に残る一枚と呼ばれていたことでしょう。既に多くの方が指摘しているように、タイトルには「ボサノバ」とあるものの、その実態は非常に洗練されたアフロ・キューバン・ジャズ。パーカッシヴな高速ラテン・ビートで始まるM-1のTico Ticoから、いきなりギアがオーバートップに入ってます。途中3分間クッキングなメロディーを交えながらのプレイが非常に心地よいですね。続くM-2のBesame MuchoとM-4のGipsy Blueは、どこかアラブの砂漠を思わせる中近東的な曲調が印象的。また、松本英彦のペンによるM-7のGroovy Samba(セルメンとは同名異曲)は、ブレイキーらのSo Tiredを進化させたような一曲で、ハードなボサ・リズムに乗せたリリカルかつファンキーなソロが気持ちいいナンバーになっています。ヨーロッパのDJが好むのはこの辺りの音でしょうか。そして何と言っても抜群に素晴らしいのがM-3のDeux Step。冒頭のアフロ・キューバン・ビートから2ステップへの転調も見事なバピッシュなナンバーで、テーマ部のメロディー含め非常にオリジナリティ溢れる一曲となっています。各ソロとも素晴らしいですが、特に2番手を務める小俣尚也のトランペットが余りに美味し過ぎ。「日本人だからカッコいい」のでも「日本人だけどカッコいい」のでもなく、「カッコいいものはカッコいい」という曲の典型例。とにかく絶対にオススメな一枚なので、知らない人は是非一度聴いてみてください。
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Black And White Raven / Archie James Cavanaugh

2007-11-18 | AOR~BES
南アラスカ在住のネイティヴ・アメリカン末裔が80年に録音した唯一の作品。いなたいスワンプ・サウンドを連想させるジャケットとは裏腹に、その実態はすこぶる洗練されたAOR~ブルーアイドソウルで、良い意味で予想を裏切られた一枚です。元々が自主流通であったためオリジナルは非常にレアですが、数年前に国内Vivid SoundレーベルからCD化されていて、僕が持っているのもそのCDの方。こんなマイナーな作品まで再発されてしまうなんて、つくづく日本の音楽マニアの欲望は果てしないですね。さて肝心の中身の話ですが、ライナーにも書かれている通り、本当に捨て曲のない作品となっていて、聴いていて非常に気持ちの良い好盤になっています。冒頭から爽やかな風が吹き抜けるM-1のTake It Easyで掴みはOK。シュガーベイブ辺りが好きな人はきっと気に入るはずです。そして続くM-2はソフトなラテン・テイストが腰に来るMake Me Believe。全編を貫く都会的なアルトの音色と、どこかWhat's Goin' Onを思わせる中間部のコーラスも素敵ですね。収録曲中で一番アーベイン度が高いのはM-4のIt's Our Love。今の時代の空気と違うのは分かっているのですが、それでもなんとなくクリスタルな気分に浸れるアダルトでオリエンテッドなロック・ナンバーに仕上がっています。ここでもやっぱりポイントは、むせび泣くフュージョン・ライクなサックスの音色でしょうか。ジャズで同じことやられると嫌なのですが、こういうAOR的な楽曲ではこの演奏スタイルも大歓迎です。そして絶対の名曲はM-10のStay With Me。弾むビートと込み上げメロディーが気持ちいい爽やかなナンバーで、フリーソウル好きにもアピール出来そうなコード感覚が良い感じ。夜空に羽ばたいていくようなイメージでしょうか。中盤のスペーシーなシンセ・ソロが抜群に決まってます。ダグ・パーキンソンのRainbow In Your Eyes辺りにも通じる疾走感も見事ですね。正直、この1曲のためだけにでも聴いて貰いたい一枚。オススメです。残念ながら廃盤になってしまいましたが、探せばわりとすぐ出てくるはず。初めにも書いたとおり、オリジナルを探すのは非常に難しいのでしょうが…。と言うかあっても結構な値が付いているので、よほどのマニアじゃない限りCDで充分だと思います。
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Brazilian Trip / Mitchell & Ruff

2007-11-17 | Brasil
知っている人は知っている、静のジャズ・サンバの隠れた名盤。アメリカで活動していたDwike Mitchell(p)とWillie Ruff(b)が、66年夏のブラジルで現地ミュージシャンと共に吹き込んだ一枚が本作です。A Viagemという別タイトルでFormaからリリースされていることでも知られていますね。本当はそのブラジル盤で紹介したかったのですが、そこそこ値が張る上に結構なレア盤なので、今回掲載するのはEpicからのUS盤。こちらは多分、探せばわりと簡単に出てくると思います。さて、そんな本作。見てのとおりジャケットが非常に地味なので、知らないとついスルーしてしまいそうですが、内容的には聴いておいて絶対に損はないオススメの一枚です。特に後期サバービアの音が好きな人は必聴。決して派手な作品ではないものの、高級レストランのBGMにも良く似合いそうな美しい曲が、これでもかと言うくらい詰め込まれています。こういう雰囲気は好き。夜感漂うA-1のTanto Cantoから既にかなり良い感じですが、何と言ってもB-3のNosからB-4のCompanheiroへ続く大人な流れが最高。溜め息が出るほどエレガントなミッチェルのピアノと、あくまで脇役に徹するサイド陣のコントラストが見事ですね。一度で良いので、こういう演奏を生で聴いてみたいものです。ラウンジーなボサノバ・タッチで綴られるA-2のDeixa Pra LaやB-6のNada Maisも抜群。ありそうで実はそれほどないジャズとボサノバの中間な感じが良いです。昔からそうなのですが、どうも僕はこういう隙間の音が好みなよう。要はひねくれものと言うか・・・。もしかしたらヨーロッパのジャズに惹かれたのもその辺りが関連しているのかもしれませんね。何はともあれ、同じように隙間サウンドが好きな人は是非これも聴いてみてください。このブログのタイトル通り、At The Living Roomな気持ちに浸れること間違いなしの素敵な一枚です。なお、詳しくは知りませんが、何かの作品とカップリングでCD化もされているようですよ。CD派の人はそちらでチェックしてみては。
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Volume 3 / Zimbo Trio

2007-11-11 | Brasil
深紅のジャケットが美しいジンボ・トリオの66年作。何度か見かけたオリジナルはどれも盤質が悪く、なんとなく購入を控えていたのですが、先日ようやく世界初CD化されましたね。さてさて早速中身の話。まず、帯には「ボサノヴァ黄金時代のジャズ=ジャズ・サンバの代表的ピアノ・トリオ、ジンボ・トリオの最高の1枚がこれ!」などと書かれていますが、個人的にはコレ、どちらかと言えばジャズ・サンバよりもジャズ・ボサの範疇に含まれるのではないかと思います。この辺りの言葉って使う人によって意味が変わってくるので微妙ではありますが、僕の場合だとジャズ・サンバと言うとハードバップ度高めのサウンドを連想してしまうので、そういうのとはちょっと感じが違うかな、と。何と言うか全体的にもっと洗練されたオシャレな雰囲気。ブラジルと言うよりもヨーロッパ、それもドイツ辺りのピアノ・トリオに近い硬質なサウンドが印象的です。イントロ一瞬で優しさに包まれるM-1のKaô, Xangôや、クラシカルなピアノとアフロなビートの好対照が面白いM-2のBocoxeなど、ボサノバ好きはもちろんのこと澤野工房辺りのファンにも気に入って貰えそうな美しい曲がずらり。特にアップ・テンポで演奏されるM-6のSamba Do Veloso(Tempo de Amor)は、間違いなく全編通してのハイライトでしょう。そのあまりに洗練された気高い演奏に、誰もが虜になること請け合いです。またサバービア世代ならば、幻想的なピアノ・ソロで始まるM-10のTristezaもきっと好きなはず。元の曲が良いので、誰がやってもそこそこの内容にはなりますが、数あるカバーの中でもこの演奏はかなりレベルが高い方なのではないでしょうか。ちなみに個人的に気に入っているのはM-7のP'ra Machucar Meu Caração。決して派手な曲ではないものの、アルバム中でも一際センチメンタルかつジャジーな名演で、聴いていて夢見心地にさせてくれる素敵な曲です。今の季節のBGMにも良く似合うのでは。全体的にクラブと言うより部屋聴き用の一枚。まさにAt The Living Roomな雰囲気ですね。なお、静かな曲が多くノイズが入ると成立しないので、盤質の悪いオリジナルよりもCDでの購入をオススメします。
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Lucien Joly Quintet / Same

2007-11-07 | Contemporary Jazz
かなり久しぶりに購入した80'sのローカル・ジャズから紹介。仏領海外県マルティニークにて86年に製作された一枚が本作です。Solo Gammes Productionsなる当地のインディー・レーベルからリリースされていますが、おそらく限りなく自主に近い作品なため流通量はそれほど多くはないことでしょう。全体的にはややフュージョンがかったラテン・ジャズと言った作風で、Conexion LauraらによるCalorcito(ECDのクボタタケシRemixネタ)を、メンバーが減った分もう少しシャープにした雰囲気。録音された年代や場所から考えても、わりとありがちな想定内の一枚だと思います。ただ、だからと言って駄盤と言うわけでは決してなく、収録曲はどれもそれなりのレベルを誇っているので誤解のないように。中でも一際フュージョン度の高いA-3のCaraïb. Bandは、陽気でトロピカルな南国サウンドとひんやりした都会的な空気感が違和感なく同居した名演。フリー・ソウル以降のレア・グルーヴ好きなら、きっと気に入るはずだと思います。またB-1のGuantanamoは、黄昏時に良く似合う哀愁のラテン・ジャズ。まるで一日の終わりを告げるかのような、爽快感溢れるフルートの音色に心洗われる珠玉の一曲となっています。こういう曲を聴いていると、自然とキツめのショート・カクテルなど飲みたくなりますね。一転してユーロ・ジャズ風のモダンな演奏を聴かせるB-2のTerre Sainvilleもなかなか。きらきらとしたピアノの音色がグッドです。ただ、そうした演奏も去ることながら、本作の白眉はやはりA-2のCarete B。「ロシュフォールの恋人たち」のChanson Des Jumelles(双子姉妹の歌)を下敷きにしたとびきりお洒落なラテン・ジャズです。以前、須永氏がテープに収録していた曲と言えば分かる人もいるはず。「双子姉妹」のジャズ風カバーは数多くありますが、個人的にはそれらの中で最も好きな曲がこれ。それほど大ネタとして主張し過ぎることもなく、60年代ユーロ・ジャズ~ジャズ・サンバの流れの中にさらっと組み込めるところが最大のポイントでしょう。ずっとオリジナルのLPで欲しくて、アーティスト名だけを頼りに探し、3年かかってようやく手に入れることが出来ました。そんなこともあって、個人的には非常に思い入れのある一枚です。
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Bossa Nova / Sexteto De Jazz Moderno

2007-11-05 | Brasil
ピアニストのファッツ・エルピディオやテナーのアウリーニョらで構成された、その名もSexteto De Jazz Modernoが63年にRCA Victorからリリースした一枚。調べても出てこなかったので詳細は分かりませんが、この名義でのリリースはおそらく本作のみだと思います。ハウルジーニョやコブラス、それからマシャードらによる諸作のような派手さはないものの、一連のジャズ・サンバの中でも際立ってジャズ度の高い隠れ名盤…というかリズム隊以外は、ほぼジャズと思って頂いても結構です。また収録曲が片面3曲ずつと、比較的ソロが長めの尺となっているのも特徴的。どこか洗練された端正な演奏は、ヨーロッパのジャズなどにも通じるところがあるのではないでしょうか。冒頭A-1に収録されたSamba De Uma Nota Só(One Note Samba)がまず最高。カツカツ打ち込むサンバ・ビートと2管フロントが印象的なミッド・テンポのジャズ・サンバです。続くA-2のBarquinhoやB-1のDesafinadoも同タイプ。どことなくバッソ=ヴァルダンブリーニらが演じたBossa Novaにも通じる「大人の余裕」的サウンドがとてもお洒落ですね。個人的にこういう雰囲気は大好きで、最近は良く似たような盤を探しているのですが、まさか本家ブラジルでここまでの洗練さを持った演奏があるとは思いませんでした。これぞ正に「灯台もと暗し」といったところでしょうか。そして絶対の名曲はラストB-3のLamento。若干スパニッシュ調のメランコリックなジャズ・サンバで、哀愁溢れまくりのメロディーが溜まりません。キャノンボール&セルメンのGroovy Sambaをもう少しアダルトにしたような珠玉の一曲です。ソロも各々水準高めなのですが、特にソロ2番手を務めるアルトのジョルジーニョによるプレイが神がかり的。僕のツボのど真ん中のメロディーです。なお、ヨーロッパではわりと人気があるようで、価格的にもそこそこの値が付いているようですが、日本では一部マニアを除き知られていないレコードなので、もしも見つけられたら安いかも。ちなみに今までBossa Novaというタイトルのアルバムは外れたことが一度もありません。絶対のオススメ盤です。
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News From Brazil / Eliana & Booker Pittman

2007-11-03 | Brasil
70年代にMPBシンガーとして一躍人気者になるエリアナ・ピットマンが、その音楽活動の最初期に吹き込んだ一枚。正確なリリース時期はクレジットされていないため不明ですが、おそらく60年代前半の作品だと思います。一応サックス奏者の父ブッカーと共作扱いになっているものの、基本はエリアナ嬢のヴォーカル・ワークにスポットを当てた構成になっているので、実質的にはエリアナのソロ作と言ってしまっても差し支えないかもしれません。ちなみにバックを務めるのはタンバ・トリオ。この手の作品としては古くから世界的に人気のある一枚です。先日ニコラ・コンテが某誌でリコメンドしていたのも記憶に新しいところですね。オリジナルのアナログは非常にレアかつ高額な盤として有名ですが、実は昨年辺りにParadise MastersからこっそりCD化済み。ようやく誰でも普通に聴ける盤となりました。さて、そんな曰くつきの本作。肝心の内容の方はと言うと、タンバ参加と言うこともあり、(良い意味で)やや土っぽさの残るボサノバ~ジャズ・サンバ作品になっています。収録曲中、ジャズ方面から圧倒的に人気なのは、親子で歌うバピッシュなA-2のIt Don't Mean A Thing。ただ、実は意外にその他の曲もなかなか良かったりするので侮れません。特に気に入っているのはA-3のAmor SincopadoとB-2のVens SÓ辺り。どちらもCafe Apres-Midi直系のお洒落なボサノバで、聴いているとついつい苦いコーヒーを飲みたくなる佳曲です。特に後者はパーカッシヴなビートに乗る儚げなヴォーカルが素晴らしく、何となく物悲しい気分になる今の時期のBGMにも良いのではないでしょうか。なお、エリアナ嬢が参加していないインスト作品も幾つか収録されていて、それらの中での個人的ベストはB-6のFesta Na Floresta。イントロ数秒で室内がサウダージ感に包まれるインストゥルメンタル・ボサの名演です。こういう曲、クラブではかけられないかもしれませんが、秋の夜長の部屋聴きという意味では非常に適しているのではないでしょうか。It Don't~のキラーな魅力はもちろん否定しませんが、全体通じて部屋聴きにオススメの一枚。気になる方は廃盤になる前にどうぞ。
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