At The Living Room Reloaded

忙しい毎日の中で少し足を止めてみる、そんな時間に聴きたい素晴らしい音楽の紹介です。

Eternal Development / Grooveman Spot

2007-02-18 | Mellow Hiphop
昨年一部で話題になったGrooveman SpotことDJ Kou-Gの1stが、今年になってようやく待望のヴァイナル化。最近は僕もすっかりジャズに傾倒しまっているので、どうにもこの辺りの新譜はチェックが怠りがちなのですが、久しぶりに行ったD.M.R.で発見したために即買いしてしまいました。知らない人のために説明すると、彼は例のDJ Mitsu The Beatsなんかと同じで、いわゆるJazzy Sport周りのDJ兼トラックメイカー。数年前にひっそりと出したミックステープや、当ブログ立ち上げ当初に紹介したEP盤が、その筋のコアなリスナーの間で話題になったため、今や日本のアンダーグラウンド・ヒップホップ業界ではちょっとした有名人です。そのクロスオーヴァー色の強い音作りは、どうやら西ロンドン辺りのジャズDJにも人気がある模様。僕自身もEPの頃から彼の音は大好きで、未だに時々思い出したようにターンテーブルに乗せています。さて、本作はそんな彼が満を持してリリースした1stアルバム。個人的には期待通りの出来だと思っています。フェンダーローズやミニムーグを多用したスペーシーな音作りが醸し出す、程よいレトロ・フューチャー感が素直に心地良いです。それでいて全体の雰囲気はどこか都会的かつメロウでスムース。ジャジー・ヒップホップと言うよりも、何年か前に流行ったAlison Crocket辺りのネオ・ソウルに近い世界観を感じます。ちなみに個人的なアルバム中のベスト・トラックは、先行シングルとしても切られたA-2のThe Blow。心地良い高揚感に満ちた跳ねるビートに、真夜中の大都会を思わせるキラキラとした上ネタ、おまけにCapitol Aによる渋くスムースなライミングがたまりません。フリーソウルの雰囲気とか好きな人は確実にやられるはず。ヒップホップだからと毛嫌いせずに、たまにはこういう音に触れてみるのも悪くはないと思います。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Ms. O'ginny / Verses

2006-12-23 | Mellow Hiphop
Nujabesの2ndを紹介した時以来だから、約1年ぶり(!)となるメロウ・ヒップホップ紹介。米オハイオ州シンシナティー出身の新進ラッパーによるデビュー作が本作です。一応CDでのデビューは来年アタマになるそうですが、巷では既に結構話題になっているようなので、耳の早いリスナーはチェック済みかもしれませんね。僕の中ではヒップホップの12インチとしてはかなり久々のヒット。これまで紹介してきたKero OneやGrooveman Spot同様、いわゆるJazzy Sport周りの音と言ってしまえばそれまでですが、やっぱりこの辺の音作りは生理的に好きなもので、試聴しているとついつい反応してしまいます。たとえば女性Vo.をフィーチャーしたA-3のLove Jawnsなんて、クリスマスの夜にぴったりな甘いラブ・ソング。Commonなんかの雰囲気にも近い音作りのA-2、We Do Itもおそらく嫌いな人はいないはず。甘いメロウなメロディーにメロメロです。そして当ブログ的に白眉と言えそうなのは、Shin-SkiがリミックスしたB-1のタイトル曲。このShin-Skiという人はあまり良く知らないのですが、やはりGems EP出身のトラックメーカーだけあって、DJ Mitsu The Beats直系の良質ジャジー・ヒップホップを作りますね。モダンジャズ使いのサンプル・トラックが耳に心地良い、お洒落な一曲になっています。外資系レコード店のポップみたいに「大人系ヒップホップ」だなんて言う気はありませんが、少なくとも未だにダボダボの服を着てキャップ被ってる人のための曲でないことは確か。ただ、某レコ屋が強烈にプッシュしてるA-1のタイトル曲は個人的に苦手。うまく言えないですけれど、なんかダサさと青臭さを感じてしまってダメです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Modal Soul / Nujabes

2005-11-12 | Mellow Hiphop
なんだか最近レコードではなくてCDの紹介の方が多いような気がしますが、この作品も今のところCDでしかリリースされていないもの。日本が世界に誇るヒップホップ・クリエイターであるNujabes氏による2ndアルバムです。彼の名前は今やヒップホップ界に留まらず色々なところで知れ渡っているので今さら説明不要かもしれませんが、インディーズ・レーベルのHydeout Production主催ということでも有名ですね。で、このアルバムですが一言で表現するならば冬にぴったりな暖かい一枚。他のアンダーグラウンド・ヒップホップ同様サンプリング主体のメロウなサウンドであることには変わりないのですが、そこに日本人特有の「侘び寂び」的なテイストが付加されているのが彼の特徴。この辺りはChari ChariやCalmなんかが持つ世界観ともどこか共通している気がします。アルバムにはいわゆるヒップホップ的な曲とブロークン・ビーツなインストが混ざって収録されていますが、ヒップホップ・サイドとしてはユーミンの「春よ来い」を思わせるM-1のFeatherという曲が秀逸。この曲を1曲聴いただけで部屋の中にふわぁーっとした暖かい雰囲気が広がります。ブロークン・ビーツとしてはUyama Hiroto氏のサックスをフィーチャーしたM-10のタイトル曲が素晴らしい。正にジャパニーズ・コズミック・ソウルの最高峰と言った趣きのスピリチュアルな1曲です。それにしてもModal Soulというこのタイトルからして既に素晴らしいですよね。普段ヒップホップを聴かない人でもコレは行けるはず。秋~冬を暖かい気持ちで迎えたい人にオススメの一枚です。
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Make It Last / Cradle feat. Aloe Blacc

2005-10-18 | Mellow Hiphop
商業主義のメインストリーム・ヒップホップがどんどん下らないものになってるのに対して、近年のアンダーグラウンド・シーンの盛り上がりは過去に類を見ないものとなっています。特に今年はヒップホップの当たり年で、一時のブームでなく一生聴き続けられそうな素晴らしい楽曲が次々とリリースされているわけですが、この12インチもそんな中の一枚です。気鋭の日本人クリエイターCradleとEmanonのAloe Blaccによるコラボレーションである本作は、D.M.R.を始め多くのレコード屋がリコメンド中の大注目作。Keith SweatのR&Bクラシックスをもじった女性コーラスやサンプリングの上を切なく奏でる生ピアノが配された極上のエモーショナル・トラックの上に、Aloe Blaccの暖かいフロウが乗る最強の一曲です。昨年話題になったCrown City RockersのSidestepにも通じるソウルフルな作品で、聴いているとその美しさの前に本当に溜め息しか出ません。それにしてもNujabesやDJ Mitsu The Beats以降のアンダーグラウンドな国産トラックメーカーのクォリティの高さには毎度驚かされるばかりです。もうトラックだけに関してならヒップホップも本場と完全に肩を並べられる域にまで達していますね。ここで時々紹介しているようなメロウ・ヒップホップ好きはマストです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Windmills Of The Soul / Kero One

2005-09-21 | Mellow Hiphop
今年のヒップホップ・シーン、メジャーでのNo.1名盤はCommonのBeということで間違いがなさそうですが、アングラではおそらくこの盤がNo.1の有力候補なのではないでしょうか?カリフォルニア在住韓国系ラッパーKero Oneによる先ごろリリースされた1stアルバムです。午後のコーヒーを飲みながら聴きたいヒップホップ、そんな表現がよく似合うアルバムで、サンプリングと生音をうまく融合させながら、全体的にとてつもなく柔らかく暖かいグルーヴを作り出すことに成功しています。Kero OneのラップもCommonのように暖かみのあるフロウで、心地よい浮遊感を持つトラックと相性抜群。特に心地よいエレピとハンド・クラップが印象的なM-4のMy Storyや、Grooveman SpotによるRessurection 03と同ネタながらその上に新たに生演奏を加えたM-8のIn All The Wrong Place辺りは絶品。インストの小品ながら爽やかなM-6のAin't That Somethin?なんかも最高です。というか本当にここに書ききれないくらい全曲最高で、普段ヒップホップを聴かない人にこそ聴いてもらいたい一枚。洗練された大人のヒップホップで、これはもうCommonのBe同様に21世紀のソウル・ミュージックと言ってしまっても差し支えないでしょう。今のところCDのみですが超オススメ盤です。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Breaks Of Dawn / Urbs & Cutex

2005-07-24 | Mellow Hiphop
ジャジー・ヒップホップ好きの間でカルト的な人気を誇る、オーストリア発インストゥルメンタル・ヒップホップ・デュオによる2001年の1st。と言っても僕が彼らとこの盤を知ったのは、今年に入ってアプレミディ・セレソンの特典CD-Rで聴いてからなのですが・・・。そのCD-Rには良い曲がたくさん入っていましたが、中でも特に好きだった曲を調べてみたらこの盤に行き着いた訳です。セレクトCD-Rに収録されていたのはA-2のUp and Downという曲で、サンプリングされたメロウなピアノとフルートの音色が美しいインスト・ナンバー。ラップこそないもののブッダの休日なんかが好きな人はハマるでしょう。もちろんHydeout~Jazzy Sport好きの人も当然気に入るはず。要所に挿入されるヴォイス・サンプルも良い感じです。少しタイプは違いますが、D-3のBack In The Daysという曲もメロウかつ暖かみのあるサウンドで心地良いです。こちらは同じブッダでもロッキーをサンプリングしたReturn Of The Buddha Bros.辺りに近いどこか神秘的な雰囲気。アルバムを通して聴くと収録曲の100%が僕好みという訳ではないのですが、この2曲のためだけにも聴いてもらう価値があるアルバムだと思います。ちなみに前者は最近CDでリリースされた何かのコンピに収録された模様。例によって詳しいことは知りませんが・・・。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Be / Common

2005-06-21 | Mellow Hiphop
すでに巷では話題沸騰の強力盤。シカゴの古参ラッパーCommonによる最新アルバムです。評判聞く限りではメインストリームのファンのみならずアンダーグラウンド好きからも受け入れられているよう。それから僕のようなフリーソウル好きにもね。9割方のプロデュースは押しも押されぬ大人気のKanye Westなんだけれど、それがうまくハマっているというかアルバム全体が凄い統一されている気がします。最も2枚組なので通して聴くことはなかなか出来ず、僕が聴くのは1枚目だけなのですが・・・。さてさて、これはそんな1枚目のレビュー。まずA-1のBe(Intro)からしてカッコ良いです。ジャジーなウッド・ベースに導かれてシンセとピアノ、そしてストリングスが重なった後に入ってくるCommonのスムースなラップにノックアウト。そしてLinda Lewis使いのA-3、Goはこのアルバム中屈指のライトメロウ・ソング。アップテンポなのに込み上げるという理想的な展開と、John Mayerによる控えめながらも強力な援護射撃。フロアがポジティヴな光に包まれそうな大名曲です。DillaがプロデュースしたB-3のLove is...も本当に良い曲。パーティーの終わり、朝方のフロアでこんなの聴いたら気持ちよさそうですね。Disc 2も悪くないけど、とにかくこの3曲が飛びぬけて良いのでDisc 1ばかり聴いてしまいます。21世紀のソウル・ミュージック。こういうのが聴きたかったんですよね。オススメ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

On The Moon / Time Machine

2005-06-20 | Mellow Hiphop
昨年リリースされたアルバムがアンダーグラウンド・シーンで大きな話題となったタイムマシーンの国内限定12インチ。アルバムの方はLPをいろんなところで何度か試聴して悩んだ末に結局買わなかったんだけれど、さすがにこのシングルは買ってしまいました。国内盤CDのみに追加収録されていたタイトル曲が素晴らしすぎる。Hydeout辺りのジャジー・ヒップホップと言うよりも、まさに現在進行形のニュースクールという表現が適切なサンプリングに涙です。思えば僕が最初にヒップホップを好きになったのは、こういうメロウなサンプリングに巡り合えたからでした・・・。その後シーンは気づかぬうちにギャングスタ方面に傾倒しちゃって、そういうのに興味がない僕はいつの間にかヒップホップから離れてしまったけれど、こういうのを聴くと毎日毎日ヒップホップばかりを追い求めていたあの頃を思い出します。おそらく70'sフュージョンからのサンプルと思われるエレキ・ギターのメロウなフレーズと、その上に乗る2MCの暖かいフロウがどこまでも心地よい一曲。もちろんラップ入りの方が僕は好きだけれど、ラップが苦手な人にはインストでもいいから聴いてもらいたいです。最近の新譜ヒップホップではオススメ。限定なのでなくなる前にお早めにどうぞ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Sound Networks EP / Unison

2005-06-02 | Mellow Hiphop
最近の新譜ユーロ産ヒップホップからもう一枚紹介。オーストリアはウィーン発のヒップホップ・トリオ、UnisonによるデビューEPです。耳の早い人にはTrishes & Whizzでの活動でも知られているネタ師Whizz Viennaが参加しているよう。あちらのLPも充分に素晴らしかったですが、今回のEPはそれを超えてしまったかもしれません。冒頭から心地よくビートが跳ねたA-1のBroken Airを聴いた瞬間から完全に音の虜。続くA-2のT.R.O.T.B.M.での若干ギャングスタっぽい音作りもなかなかに秀逸です。そして何と言ってもA-3のGirls Make My Hair Looseが素晴らしい。幻想的なシンセの音色から続く16ビートの上に乗る美しいピアノが印象的なイントロ、その後ラップが入ると同時に一気にヒップホップへと変わりそして徐々にジャズへ。フックでのスクラッチによる声ネタのカッコ良さも鳥肌モノ。おそろしい完成度を誇る一曲に仕上がっています。A-4のHinterkopfやB-4のRelaxedも上質のインスト・ヒップホップとして耳に心地よいメロウ・チューン。おそらくアナログのみのリリースとなるのでしょうが、是非聴いてもらいたい素晴らしいEPです。20歳過ぎた大人がヒップホップ聴くなら、やっぱりこういう落ち着いた深みのあるサウンドが良いですね。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Hope / Pete Philly & Perquisite

2005-06-02 | Mellow Hiphop
先日紹介した大傑作アルバムMindstateから日本限定12インチがリリース。アルバムの方に国内盤CDのボーナス・トラックとして追加収録されていたHopeのリミックスが待望のアナログ化です。リミックスを務めるのはアンダーグラウンドなジャジー・ヒップホップと言えばこの人、from仙台のDJ Mitsu The Beats。自身の1stアルバムが国内アングラ・ヒップホップ・シーンのみならず欧州のジャズDJからも絶大な支持を得た彼だけに、当然間違いない極上の仕上がりとなっています。90'sニュースクールを思わせるスモーキーなA-1のオリジナルも素晴らしいですが、やはりここはA-2に収録のDJ Mitsu The Beats Remixをプッシュしたいところ。シンプルながらどこまでも美しいピアノのループ、硬質なドラムの上に暖かみのあるPete Phillyのフロウが重なった時の気持ちよさは無限大です。サバービアの橋本徹さんも大プッシュしている今作、アルバム共々ヒップホップ好きのみならず全ての音楽ファンに聴いてもらいたい大傑作。なんて何だかレコ屋のキャプションみたいになってしまいましたね(笑)CD派の人は国内盤を買えばこのリミックスも収録されているので、ぜひそちらでお求めをどうぞ。超オススメです。それにしても相変わらずP-Vineは良い仕事していますね。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする