At The Living Room Reloaded

忙しい毎日の中で少し足を止めてみる、そんな時間に聴きたい素晴らしい音楽の紹介です。

Multiverse / Hiroshi Watanabe

2016-06-12 | Detroit Techno
既に20年以上のキャリアを誇る日本人トラックメーカー兼DJ、ヒロシ・ワタナベ氏による本人名義での3rdアルバム。デリック・メイが主宰するTransmatレーベルから11年ぶりにリリースされたアルバム作品ということで、一部マニアの間では話題になっているようです。最もその11年前リリースとされているアルバムはデリック自身が編纂したコンピレーションなので、単独作品という意味ではスウェーデンのストックホルム在住のAril Brikha(アリル・ブリッカ)が1999年に発表したデビュー作"Deeparture In Time"以来17年ぶり。と言うかこのレーベルでミュージシャン単独のアルバム作品は、本作を除けばアリル・ブリッカのものしかなかったはずです。まぁこのTransmatはそもそも、活動初期のデリックが自分の音源を発表するために設立した非常に私家的なレーベルで、今となっては既に実体はなくなっているため、その辺りを気にするのも野暮かもしれませんが…。閑話休題。で、肝心の本作の内容ですが、これがイマドキちょっと珍しいくらいの超正統派デトロイト・テクノ。録音機材や環境の違いによりやや洗練された質感にはなっていますが、アルバム一枚通して見事なまでにデトロイト・テクノしています。中でもとりわけ素晴らしいのはM-4のThe LeonidsとM-6のHeliosphere、そしてM-9のField of Heaven。洗練されたパッドの音色はカール・クレイグ、荒々しいシンセ・ストリングスやピアノ使いはデリック・メイ、そして全体を覆うコズミックな雰囲気はマッド・マイクを思わせます。良い意味で先人達の作ってきたサウンドをオマージュ的に「良いとこどり」をした作風となっているので、90年代当時デトロイト・テクノに熱を上げていたリスナーならまず確実に一発でやられるはず。この間紹介したJoaquin Joe Claussell(ホアキン・ジョー・クラウゼル)の作品と並び、往年のハウス~テクノ系リスナーなら抑えておいて間違いのない一枚。世代的には30代中盤~40代の人がどんぴしゃだと思います。かつて最新型の音楽であったこの手のサウンドも、悲しいことに既にオジさんのものになりつつありますが、まぁ良いものは良いものということで興味のある人は是非聴いてみてください。
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Sueño Latino Remix By Derrick May / Sueño Latino

2015-04-11 | Detroit Techno
ベルギーのBuzzレーベルから出ているデトロイトテクノ系コンピも一通り紹介し終えたので、最後に番外編としてもう一枚だけ紹介。おそらくこのレーベルの作品中、世界的に最も知名度があると思われるシングル盤です。元曲はクラフトワークなどと同様、デトロイトテクノのルーツとも呼べるManuel Göttsching(マニュアル・ゲッチング)のE2-E4を再構築したイ1989年のイタリア産ハウスであり、いわゆる元祖バレアリック・サウンドなのですが、本作はそれをデトロイトテクノのイノベーターであるDerrick Mayが更にリコンストラクトした一枚。アフター・アワーズの名曲として、その筋では非常に高名な作品です。なんと言ってもA面に収められた11分15秒にも及ぶIllusion First Mixが圧巻。まるでフルートのような高音のシンセリフを基調とした美しいナンバーで、徐々にお馴染みのピアノなどが入りつつも約4分間焦らしに焦らしてからキックが入るタイミングの気持ちよさは唯一無二です。彼のインテリジェンス~ピュアテクノ路線としては先日紹介したVirtual Sex収録のIconと双璧。基本的には単純な反復音楽ながらも中毒性が異常なまでに高く、いつまでも聴いていたくなります。あまりテクノに詳しくない方でも、Youtubeあたりで聴いてみてこのあたりの感覚が分かるのであればこの手の音楽にハマる素質あり。ちなみにA面の完成度があまりに高すぎるため取り上げることが少ないですが、スパニッシュ調のギターが入るB-2のFinal Third Mixもなかなかの完成度。旧譜のブラジル音楽なんかの流れでかけるなら、おそらくこちらの方がしっくり来ると思います。知っている人には言うまでもありませんが、デトロイトテクノ初心者にも是非聴いてみてほしい一枚。本作そのもののCDはレアなのでちょっと手軽には進めにくいですが、件のIllusion First Mixだけであれば他にも入っているCDあるので、デジタル派の方はそちらを探してみてください。itunesにはたしかなかったと思うので…。
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Panic In Detroit / Various Artists

2015-04-05 | Detroit Techno
こちらも一連の流れの中でリリースされたBuzz発コンピレーション。詳しい製作経緯は分かりませんが、前3作のようなレーベル系のコンピではなく、今回の企画で最初に紹介したVirtual Sexと同じようにエクスクルーシヴ楽曲で構成された一枚です。収録曲にデリック・メイやカール・クレイグの曲がないため、初見ではいまいち地味な印象を抱いてしまいがちですが、コンピ自体の完成度は意外にもかなり高く、特にアナログでのA面にあたる前半4曲は完璧。アーティスト名が変名だらけなので分かりにくいですが、M-1のRainforestはジョン・ベルトラン、M-2のThe Pathはダン・カーティン、M-3のSerena "X"はケニー・ラーキン、M-4のDimensionsはホアン・アトキンスの作品です。いずれ劣らぬ素晴らしい出来になっていますが、そんな中にあって個人的に注目したいのはデトロイトテクノのオリジネーターであるホアン・アトキンス。サイボトロン~Model 500の諸作を聴いた印象から、ヴォコーダー交じりの無骨なテクノを作る人という固定観念を持っていましたが、本作ではそんなイメージとは180度異なるインテリジェントなピュア・テクノを披露。この手の繊細な音作りのイメージがなかったため、初めて聴いたときは驚いたものです。初級者(≠初心者)以上のデトロイトテクノ・リスナーなら、正直この一曲のためだけに買ってもお釣りが来る一枚かと思います。一連のBuzz作品の中では比較的相場も落ち着いているため、見つけることが出来れば国内盤の新品CD一枚買うくらいの値段で手に入るはず。ちなみに同時期にリリースされた、カール・クレイグによるSerena "X" (Inner Zone Mix)は数ある彼のリミックス・ワークの中でも最高峰と呼べる作品のうちの一つ。あいにく本作には収録されていませんが、こちらは後にいくつかのコンピでCD化されているため、合わせて聴いてみるとよいと思います。
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Embrace The Future / Various Artists

2015-04-01 | Detroit Techno
前回までの3枚に比べ紹介される頻度が低く、Buzz関連盤の中でも比較的マイナーな部類に入ると思われる一枚。Lawrence Burden(ローレンス・バーデン)、Lenny Burden(レニー・バーデン)、Lynell Burden(ライネル・バーデン)のバーデン3兄弟からなるファミリー・ユニット、Octave One(オクターヴ・ワン)が主催する430 Westレーベルの作品群を集めたコンピレーション作品です。この430 West、今となってはDJ Rolando a.k.a. The Aztec Mysticの大ヒット作であるJaguarのリリース元としてファンの間で広く知られていますが、本作がリリースされた1992年の時点では、まだ設立後わずか1年のマイナー・レーベル。カタログ数も少なかったためか、レーベルコンピという体裁を取りながらも半数以上の曲がエクスクルーシヴという、ちょっと変わった構成になっています。ただそれらエクスクルーシヴ楽曲を含めても、全体的にわりと高クオリティの作品ばかりで固められているため、コンピレーションとしての完成度はなかなかに高め。いかにもデトロイトと言った雰囲気のシンセが気持ちいいDestinyによるM-1のKaleidascopeを筆頭に、スペイシーな楽曲が並びます。中でも圧巻なのがOctave One自身によるM-7のI Believe。Transmatからリリースされたオリジナルが非常に良く知られていますが、本作収録ヴァージョンはピアノのリフ主体のすっきりとしたアレンジに仕上がっているため、BGMとしての完成度という点では、ある意味オリジナル以上と言えるでしょう。ちなみにその他収録曲ではビルヴィレ・スリーと並び第四のオリジネーターと言われるEddie Flashin' Fowlkes(エディ・フラッシン・フォーク)のナンバーなどもさらりと収められており、アルバム通して聴きどころはわりと多め。その知名度の低さから日本の中古市場に並ぶことは稀ですが、海外から直接購入すればそれほど労せず入手できると思いますので、気になる方は是非聴いてみてください。
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Equinox / The Beginning / Nite & Da / Various Artists

2015-03-31 | Detroit Techno
デトロイトテクノの紹介はもう少しだけ続きます。普段このブログでメインに取り上げているフリーソウルやAOR、それから過去に取り上げていた欧州ジャズなどのリスナーの中には、こうしたテクノサウンドなど全く興味ないという方も少なからず存在するというのは分かっているのですが、ジャンルの特性からかネット上にまとまった形でのしっかりした日本語レビューが見当たらないため、今回この場を借りて少しまとめて紹介してみることにしました。恐縮ですが今しばしお付き合いください。さて、気を取り直して作品の紹介を。何だか小難しいタイトルがつけられた本作は一連のBuzz作品の中でも恐らく最も人気が高いと思われる一枚。カール・クレイグが自身のライフワークとも言えるPlanet Eレーベルを設立する以前に運営していた自主レーベル、Retroactiveからリリースされた楽曲を編纂したコンピレーション盤です。もともと作品のリリース自体も少ないため、代表曲はほとんど全て網羅されており、かつそれらの作品をデジタル媒体で聴ける音源が他に存在しないというのが人気の理由。カール・クレイグ自身の楽曲を中心に、Placid Angles(=ジョン・ベルトラン)の作品なども交え、ピュアでインテリジェンスな世界観が全面的に展開された名盤となっています。なかでもマニアにとって嬉しいのは、クレイグ自身のペンによるM-5のNo More Wordsが収録されている点。Psyche名義で発表していた作品に通じる美しくもスペイシーなベッドルーム・テクノ作品で、この手の音が好きな方ならまず間違いなくハマることでしょう。あいにくその人気度から中古市場では未だに値下がりする気配が全くありませんが、初期デトロイトサウンド愛好家にとっては見過ごすことのできない作品だと思いますので、気になる方は是非探してみてください。ちなみに収録されなかったRetroactive作品の内、ファンなら絶対聴いておくべきなのはUnderground ResistanceのThe Theory。こちらは4Heroが選曲したDeepest Shade Of Technoというコンピに収録されているので、合わせてチェックしてみると良いかもしれません。
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Relics / Various Artists

2015-03-30 | Detroit Techno
昨日に引き続きベルギーのBuzzからライセンス・リリースされたコンピレーション作品。こちらもデトロイトテクノ・ファンの間では非常に良く知られた一枚です。発売時期はVirtual Sexより1年早い1992年。一応サブタイトルにはA Transmat Compilationとあり、デリック・メイが1986年に設立したTransmatレーベルのコンピレーションという体裁を取ってはいるものの、収録曲の大半はオリジナルの12インチから何かしらの手が加えられているリミックス作品や完全なエクスクルーシヴ楽曲であり、申し訳程度に数曲収録されたThe Suburban Knight(=ジェームス・ペニントン)やModel 500(=ホアン・アトキンス)の作品を除き、全てのナンバーがデリック・メイとカール・クレイグの師弟コンビのペンによるものであるため、実質的には本作発売時点における彼らの新録作品という位置づけで良いと思います。収録曲はいずれもデトロイトテクノの源流を感じられるようなナンバーばかりですが、中でもとりわけ白眉なのがビートレスなアレンジで再構築されたM-10のStrings Of Life。荒々しくも切ないオリジナルとは異なり、どこかインテリジェンスを感じる仕上がりとなっているため、部屋聴きにはこちらのヴァージョンの方がより適しているかと思います。また、もう一つ見逃してはいけないのがPsyche(=カール・クレイグ)によるM-16のCrackDown Re-Mix。オリジナルにはないピアノが奏でるジャジーな主旋律が耳に心地よく、個人的には非常に好みだったりします。ちなみに本作もアナログでは何度かブートが出回っているものの、CDは当時リリースされたもののみしか存在しない模様。各曲間を繋ぐインタールード等も非常に凝っているため、本来はCDで聴いてほしい一枚なのですが、権利関係の問題からか再発は難しいのでしょう。もっとも知名度のある作品なので中古市場ではそれなりに出回っています。それなりに高騰していることが多いため、購入時には財布と相談ということになるでしょうが、もしも新品CDと同じくらいの値段で発見することが出来たなら迷わず買い。気になる人は是非中古CD店を探してみてください。
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Virtual Sex / Various Artists

2015-03-29 | Detroit Techno
普段ここを見ているような人には需要がないかもしれませんが、ここのところ個人的によく聴いているので少しデトロイトテクノ系のレビューを少々。このブログで取り上げるのはちょうど1年ぶりですね。前回は英Kool Katからリリースされたジャケ付12インチを中心にピックアップしたので、今回は同じころベルギーのBuzzレーベルからリリースされていたコンピレーション群を紹介することにしてみます。まず手始めに紹介するのは1993年に製作されたこの名作コンピ。おそらくこの手のデトロイト・テクノ系コンピ作品の中で最も有名な作品の一つだと思います。収録曲には純粋なデトロイト系ミュージシャンによるナンバーだけでなく、As One(=カーク・ディジョージオ)を始めとしたフォロワー系の作品も幾つかありますが、それらを含めコンピレーション全体の統一感がとにかく凄まじく、アルバム通して非の打ちどころが全くないという稀有な一枚。質感的には前年に英Warpから発売されたArtificial Intelligenceの流れを汲む、いわゆるインテリジェンス・テクノとかピュア・テクノと呼ばれる類のサウンドなのですが、本作のためにエクスクルーシヴ曲を提供したデトロイトのオリジネーターであるRhythim Is Rhythim(=デリック・メイ)とカール・クレイグの両御大による作品が、完全にこのマナーに沿って製作されているところがまた心憎いです。ちなみに彼ら以外の曲では、カーク・ディジョージオのArtからリリースされたコンピにも作品を残すNeuro Politique(=マシュー・コッガー)によるM-2のBananagateや、Lark(=ケニー・ラーキン)が手掛けるM-8のTedraあたりが出色の出来。何度かブートレグが出回っているアナログ盤とは異なり、CDではオリジナルのリリース以降リイシューが一切出ておりませんが、もしデトロイトテクノに興味があるのであれば、聴き始めの早い段階で是非触れてほしい一枚です。僕自身そうでしたが、普通の人がイメージしているテクノというジャンルと、実際のサウンドには深い隔たりがあることが伝わることでしょう。
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The Beginning / Rhythim Is Rhythim

2014-03-21 | Detroit Techno
先日からKool Kat関連盤の紹介が続いていますが最後にもう一枚だけ。これまで紹介してきた盤と比べ話題になることが比較的少ないRhythim Is RhythimによるThe Beginningです。前の三枚がそれぞれデリック・メイ、カール・クレイグ、ホアン・アトキンズの代表作であるため、それらと比べてしまうと内容はどうしても見劣りするものの、個人的にジャケットのセンスに関してはKool Kat盤の中でこれが一番好きで、安く見つけたこともありつい購入してしまいました。綺麗にリングがかかった土星と悩ましげな女性の対比、そして色使いが何とも近未来的。まるで古いSF小説の表紙のようで、レトロフューチャー好きにはたまりません。収録されているのはA-1のタイトル曲を含め3曲。個人的にはB-1のSalsa Lifeが最も好みです。基本的にはラテンがかったビートにピアノとシンセのメロディーが乗るという彼の得意パターンな楽曲ですが、後半の展開でStrings Of Lifeのリフを効果的に織り交ぜてくるのが何とも心憎く、聴いている身としては見事に「してやられた」という感じ。これは否が応にも耳が反応してしまいます。またカール・クレイグとの共作となるB-2のDramaは、まるで往年のシューティングゲームのような近未来的な一曲。未来、そして宇宙を感じさせるシンセの使い方が見事で、聴いているとSFの世界にタイムスリップしているかのよう。あまり話題になることはないですが、初期デトロイトテクノの隠れ名曲の一つと言えるでしょう。さて、ここまで紹介してきた4枚のKool Kat作品。以前は中古レコ屋でもそれなりに高騰していましたが、最近ではネットを通じ誰もが海外から直接購入出来るようになったこともあり、相場は安値で落ち着いています。いずれも現在はCD化されており手軽に聴けるものばかりですが、部屋にジャケットを飾っておくだけでもなんとなくお洒落な雰囲気があるので、気になる方はインテリア的に購入してみるのも良いかもしれません。ゼビウスやグラディウスあたりの初期シューティングゲームにノスタルジーを感じる方には特にお勧め。たまにはレトロフューチャーな世界観にトリップしてみるのも悪くないものです。
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Ocean To Ocean / Model 500

2014-03-16 | Detroit Techno
引き続きKool Kat関連盤を紹介。こちらはいわゆるビルヴィレ・スリーの中心人物であり、また「テクノ」の名づけ親としても知られるホアン・アトキンズが、Model 500名義で1990年にリリースした一枚です。ホアンと言えばサイボトロンでの活動が有名で、音楽的にもいわゆる「今で言うところの」テクノではなく、それより少し古いタイプのエレクトロと言われる音楽を志向しているイメージがありますが、この盤については自身のMetroplexからではなくデリック・メイのTransmatからリリースされていることもあり、完全に誰もが想像する通りの現代的なデトロイトテクノサウンド。おそらくホアンの作品中で最も人気がある一枚かと思います。タイトル曲は後にURが「~2~」シリーズとしてリリースする3部作のインスパイア元。完全な打ち込みサウンドですが、音に近未来的な雰囲気が漂う壮大なテクノナンバーで、ダビーなベース音と綺麗になる上物のシンセ、そしてエレクトロボイスによるポエトリー・リーディングがひたすら気持ちいい極上の一曲に仕上がっています。後にURがこの曲をベースにしながら民族→世界→銀河と徐々にスケールをアップさせていくわけで、そう言った意味でも一つの記念碑的なナンバーと言えるでしょう。またB-1に収録されたInfo Worldも同系のナンバー。シンセのメインリフがちょっとデリック・メイみたいで、好きな人には堪らないかと思います。それからやはり触れなければいけないのがこのジャケット・ワーク。当時まだ一般的ではなかったテクノという音楽を大衆にイメージさせるにあたり、これ以上のものはないだろうというくらい素晴らしいジャケなので、近未来SF好きな人なら簡素ならオリジナルではなくKool Kat盤で欲しくなるはず。中古レコード屋でもそれほど高く売られている作品と言うわけではないので、興味のある人は是非探してみてください。
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Crackdown / Psyche

2014-03-11 | Detroit Techno
デリック・メイの一番弟子にしてデトロイトテクノ第二世代の代表格、カール・クレイグが1990年にPsyche名義でリリースした傑作12インチ。知っている人には説明不要と思いますが、先日紹介したStrings Of Lifeと並ぶデトロイトテクノの基本蒐集盤です。良い意味での荒々しさがウリなデリック・メイの諸作を動とするなら、初期カール・クレイグの作る音は言わば静のテクノ。しばらく後にヨーロッパでブームとなるインテリジェントテクノ~ピュアテクノ(Warpレーベルから出たArtificial Intelligenceシリーズが有名)のプロトタイプ的な楽曲が収録された金字塔的一枚と言って異論のある人はいないでしょう。カールのオリジナルにMayday(=デリック・メイ)が再構築を施したB-1のNeurotic Behavior (Reproduction Mix)だけは正直少し微妙な出来ですが、それ以外の3曲については文句のつけようがない素晴らしい完成度。疾走するビートに乗った浮遊感あるシンセが最高に心地よいA-1のタイトル曲とA-2のFrom Beyond、そして共作者であるMayday家芸とも言えるラテンがかったビートが魅力なB-2のAndromedaと、3曲それぞれ甲乙つけ難い傑作揃いです。ちなみに前回と同じく掲載しているのはTransmatからリリースされたオリジナルのUS盤ではなく、後にKool Katからライセンス・リリースされたジャケ付のUK盤。音のイメージにぴったりなこのジャケット・ワーク個人的に非常に好みで、この手のレトロ・フューチャー的な世界観に弱い僕は、一目見た瞬間にオリジナルではなくこちらのUK盤での購入を決意しました。なお、この盤に収められた3曲もばっちり収録されているElements 1989-1990というPlanet Eからリリースされたコンピは、当時テクノとテクノポップの違いがまだ良く理解できていなかった自分が、初めて本当の意味でのテクノに触れることになった思い出の一枚。最近はitunesでも気軽にダウンロード出来るみたいなので、良かったら是非聴いてみてください。
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