At The Living Room Reloaded

忙しい毎日の中で少し足を止めてみる、そんな時間に聴きたい素晴らしい音楽の紹介です。

Three Cheers For Our Side / Flipper's Guitar

2006-02-28 | Japanese Groove
まだまだ寒い日が続きますが、少しずつ春の訪れも感じる今日この頃。と、言うことで春らしい爽やかな作品を紹介。コーネリアスの小山田さんとオザケンによる伝説のバンド「フリッパーズギター」の1stです。もう何も言うことはないくらい色々なところで語り尽くされた元祖ネオアコにして、後に渋谷系と呼ばれる一連のムーヴメントに置いて最重要作品とされる89年作品。最も僕自身は当時まだ6歳だったので、彼らの作品をリアル・タイムで聴いていたわけではないのですが、小学生の頃よくTVに出演していたオザケンの歌は子供心に大好きで、もしかしなくてもおそらく僕の音楽的ルーツはここにあるのだと思います。で、後追いで聴いたこのフリッパーズの1stなのですが、もうとにかく「素晴らしい」としか形容の出来ない名曲の嵐ですね。Aztec CameraやPale Fountainsにも匹敵する恐ろしく完成度が高いサウンドに、拙い英語詞による小山田氏のヴォーカル・ワークが乗ることで、ときめき度はまさに無限大。どの曲も素晴らしいのですがやはりM-4のCoffee-Milk Crazyがアタマ一つ飛び抜けて大好きです。誰しも一度は体験し、そして誰にも一度しか訪れない甘酸っぱい青春時代を鮮やかに切り取った日本音楽誌に残る金字塔。大袈裟ではなくこの表現が適切だと思います。とにかく聴いた瞬間に胸が掻き毟られるようなサウンドは唯一無二。未聴の人は必ずチェックしましょう。
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Μπορει / Ελπιδα

2006-02-25 | Free Soul
久しぶりに紹介するフリーソウルものは「エルピダ」というギリシャ人シンガーが1978年にPhillipsに残した1枚。僕自身よく知らないのですが、この人はギリシャではわりとポピュラーな人だそうで、何枚もアルバムを残しているみたい。まぁ例によって日本にはほとんど入って来ていないわけですが…。全体としてはギリシャの民俗音楽と欧米のポップスを掛け合わせたような音楽をやっていて、正直「これは聴けないな」的な楽曲も少なくないのですが、何曲か良い曲も入っているので侮れません。クラブ的に一番使えそうなのはA-4のΓιαπ - Ντιμπι - Ντιμπι。どことなくジプシー音楽のような演奏と、♪ヤッティビティビティ~というコーラスが胡散臭いレアグルーヴ・チューン。同系でB-1のΝαταν Ναχαもなかなか良い雰囲気。キワモノと言えばキワモノですが、こういうのをプレイのアクセントに使ってみるのも面白いかもしれません。それからB-4のΚαι Πεφτει Η Βροχηは正統派フリーソウル。ファットなベース・ラインと込み上げ系メロディが耳に心地よい一曲です。ちなみにサバービアとProntoでもこのアーティストの別の盤が紹介されているので、そちらも気にはなりますが、いかんせん最初にも書いたようにギリシャものということで日本にはほとんど入って来ていないのが難点。そもそもジャケット他全てギリシャ語表記のために、僕には何が書いてあるかさっぱり分からないですし…。
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A Happy Afternoon / Dieter Reith

2006-02-22 | Hard Bop & Modal
一部ヨーロピアン・ジャズ・マニアの間では、ジャケットから「時計のライス」という愛称で親しまれる本作は、ドイツのピアニストDieter Reithが1966年に名門Sabaに吹き込んだ傑作ピアノ・トリオ。オリジナル盤は、この時期のヨーロピアン・ピアノ・トリオとしては同じくSabaからのElsie Bianchi Trioなんかと並んで、中古盤屋でもガンガンの高値で取引されている一枚です。このDieter Reithという人は後にフリージャズに転向する人だそうなのですが、言われていれば納得というかこの時点で既に若干フリー気味な演奏をしているのが面白い。基本的にはカチっとした正統派モード・ジャズなのに、どこかフリーを感じさせるソロが聞きどころでしょう。重厚なドラムスが印象的なA-1のタイトル曲や、人気のバカラック作B-1のWives And Loversを聴けば、そんな僕の気持ちも少しは分かるはず。全体的にCharly Antoliniが手数多めのドラムを披露しているので、それもまたフリーっぽさに拍車をかけているのかもしれません。モダン・ジャズとして普通に素晴らしい作品ですが、ブロークン・ビーツ以降の耳で聴くとまた新たな発見があって面白いです。ちなみに最近ユニヴァーサルから「ヨーロピアン・コレクション」と題されたシリーズでCD再発があったので、今なら外資系ショップに行けば簡単に手に入ると思います。
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Just Buddy's / Buddy Childers Big Band

2006-02-21 | Contemporary Jazz
中古レコード市場において、安くて良い音源が多いということで有名なレーベルがDiscovery。そのDiscoveryの傘下であるTrendから85年にリリースされた本作は、なかなかに格好いいモダン・テイストなビッグ・バンドです。Horace Silver作のクラブジャズ大定番であるA-1のNica's Dreamは、タイトなリズム隊と豪快なホーン・セクションが小気味良くクラブ映えすること間違いなし。B-3に収録されたPrettyもなかなかの佳作ですね。そしてそんな中で一際輝いているのが、B-4のTry A Little Tenderness。若干間延びしてるイントロが気にならなくもないですが、いざ曲が始まってしまえばそんな気分もなんのその。あっという間に夢心地にトリップできます。正直なところ各ソロはどうでもいいのですが、ブリッジ部分のホーン・セクションの高揚感が抜群。僕が大好きなルパン三世チックな都会的な音で、否が応にも気分を盛り上げてくれる快演です。素敵な週末の夜の始まりはこういう曲で迎えたいものですね。6分近くある尺が決して長く感じられないのも不思議なところ。ちなみにこの盤に限らずDiscovery関係が高く売られているのを時々見かけますが、こんなの探していればそのうち3000円程度で見つかるので、何も高いお金を払って買う盤ではないと僕は思います。でも、どこにでもありそうで、意外になかなか見つからなかったりもして…うーん、微妙なところですね。
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Paris Point Zero / Paris Jazz All Stars

2006-02-20 | Hard Bop & Modal
仏のトランペッター、Ivan Jullien率いる総勢16名のParis Jazz All Stars名義でのおそらく唯一のアルバム。Rivieraというレーベルからリリースされていて、クレジットを見る限り66年の録音の模様です。ネット上やガイド本でも紹介されているのをあまり見たことありませんが、個人的には非常に気に入っている盤。何度も書いているように僕はビッグバンドよりもスモールコンボ派で、そもそもジャズ自体それほど詳しいというわけでもないですが、そんなこととは全く関係なく楽しめる一枚。ジャズの格好いいところがギュッと凝縮されたようなLPです。ビッグバンド編成ながら基本的にハードバップ・マナーに沿って演奏されているので、いわゆるスウィンギンなビッグバンドは苦手という方でもイケるはず。軍隊の行進のようなA-1のDouble Indeedに、A-3のFreedomで見せる素敵な三拍子など聴き所は多いですが、やはり白眉としたいのはB-2のDainaya。もうあまりにも格好よすぎる高速アフロ・キューバン。ルパン三世を思い出させる切れのあるホーンアレンジが絶妙です。3分という尺も長すぎず短すぎず高得点。ちなみに以前持っていた盤は盤質が悪く売ってしまったので、実は今回の購入は二度目だったりします。あまり見かけないアルバムですが激オススメ盤。ちなみにプレミアム・カッツで紹介されているジャケットの物とどちらかが1stなのかは知りません。ただ、個人的にはこちらのジャケの方が好きですが…。
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Trading Eights / Five Corners Quintet

2006-02-20 | Hard Bop & Modal
さっきまでブルーノート東京での来日公演に行って来てました。その記念ということで彼らの2003年発売となる1stシングルを紹介。当時まだそれほどモダン・ジャズ化していなかった僕の耳を一瞬で虜にしたモンスター10インチです。とにかくA面のタイトル曲、そしてB面のBlueprint共に古き良き欧州ハードバップを完璧なまでに現代に再現させた究極のキラー・チューン。この1枚の10インチだけでこの年のクラブジャズ・シーンの話題を総なめにしたことは記憶に新しいです。特にBlueprintの方はSchemaのFreedom Jazz Dance等にも収録され、アナログ派以外の方からも着々と支持を得ていた模様。去年ようやくリリースされたアルバムは外資系を中心に大ヒット、そして今回の来日に繋がったわけですが、やっぱり初期の2枚の10インチがずば抜けて格好いいということを今日のライブでも再確認しました。特にここに収められている2曲はライブでもそれぞれ1、2曲目に演奏されていて、大袈裟じゃなく鳥肌が立つくらい格好よかったです。特に甘いマスクのJukka Eskolaと幸せそうな顔でドラムを叩くTeppo Makynenが印象的でした。ライブはほとんど最前列で見ることが出来て大満足。ちなみにこの10インチは廃盤ではないのでしょうが、最近だと国内流通はあまりしていないみたいです。アナログではここでしか聴けないBlueprintが収録されているので、おそらくそのうち値段が上がっていくのでしょうね。
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Sestetto Basso = Valdambrini / Same

2006-02-18 | Hard Bop & Modal
このブログを始めて早くも一年が経過しようとしていますが、そんな中で満を持して紹介する本作は、昨今のヨーロピアン・ハードバップ・ムーヴメントを語るに当たり避けては通れない一枚。バッソ=ヴァルダンブリーニ楽団による62年のRCA盤です。少しでもこのジャンルを知っている人は、誰しも一度は憧れるイタリアン・ジャズ傑作中の傑作ですね。Dino Pianaによるトロンボーンが加わった分だけWalking In The Nightより全体的に華やかになった印象。高速4ビートでバピッシュに飛ばすA-1のJackie McLeanカヴァー、Dr.Jackleからして名盤の風格が漂います。そして本作の人気を不動のものとしているのがOscar Valdambriniのペンによるオリジナル、A-4に収録されたMonotoniaでしょう。アフロキューバン・ビートを取り入れた非常に熱の籠った演奏で、聴くもの全てを奮い立たせる欧州産ジャズ・ダンサーの大クラシック。もうとにかく格好いいとしか言いようがないです。少しBPMを下げてBent Jædig = Bent AxenのTo Iskol'hofのフェイド・アウトから繋げてかけるとかっちりハマって相性が抜群。ジャケットに記載されているThe Best Modern Jazz In Italy 1962の称号にも納得です。ただ、いかんせんオリジナルは激レア&高額なので、僕たちのような一般人の手が届くものではないのが残念。近年ではこのBMGの国内再発盤すらオークション等で高値取引がなされています。
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My London Friends / Marco Di Marco

2006-02-18 | Hard Bop & Modal
1年ぶりにターンテーブルに乗せたら思いのほか好内容だったので紹介。このブログのタイトルである例のピアノ・トリオ大名盤At The Living Roomを始めとした、いわゆるパリ3部作がクラブ・ジャズ・シーンでは有名なMarco Di Marcoによる2004年の新録。UKクラブ・ジャズ界の雄Nathan Hainesを迎えてのこの作品は、当時クラブ・シーンで大変話題となりました。まず耳を惹くのはA-1のBlazillian Waltz。明らかにClarke = BolandのMusic For Small Hoursからの影響を受けていると思われるソフト・ブラジリアンなワルツ・ナンバーです。続くA-2のWalking In St James' Parkは正統派バップ。気持ちよくスウィングするメロディがいい雰囲気ですね。同じくハードバップなB-2、Solariaは当時ミックスCDにも収録したミドル・チューン。考えてみればヨーロピアン・ジャズに惹かれたきっかけの一つがこの曲かもしれません。須永さんがテープに収録したC-1のUp WestもNathan Hainesのフルートが美しいボッサ・ジャズで良いです。って言うか管楽器奏者がNathan Haines一人ってことは、これ一発録りではなく多重録音なんですね…。さっき気が付きました。ちなみに発売時には大量に日本に入ってきてたみたいですが、その後あまり中古市場には出回ってない模様。アナログは今では軽く入手困難になってそうです…。
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Muito Na Onda / Conjunto 3D

2006-02-16 | Brasil
先日紹介したO Trio 3-Dから派生して結成されたConjunto 3Dによる唯一のアルバム。O Trio 3-DにEduardo CondeとBeth Carvalhoの男女ヴォーカルを加えた編成で、ソフトロック的なサウンドを展開しています。A&M移籍後のセルメンなんかに近い雰囲気。そのセルメンもカヴァーしていたA-5のRodaが、ハンドクラップ入り高速ブラジリアン・ソフトロックとしてその筋では有名で、この盤を語る際にはとにかくRoda一色になりがちな気がします。たしかにこのカヴァーはミラクルな出来なのですが、その他の曲も全体的にクォリティは相当高め。A-3のE Preciso Cantaeとかアッパーなブラジリアンで普通に使えるでしょうし、どことなくMarcos Valleによる名作「答え」を彷彿させるA-4のPatruira Sambaもなかなか。もちろんA-6のI've Got You Under My Skin~Night And Dayも文句なしの出来。口笛の音色が耳に心地いいB-4のWinchester Cathedralはこれからの季節に良く似合いそうです。そして、さりげなくラストに収録されたB-6のSonho De Lugarはピアノの音色が美しいラウンジーなインストゥルメンタル小品。ひょっとしたら、この曲が一番いいかも。ちなみにCopacabanaからリリースされているオリジナルはレアで高価です。マニアでない限り迷わず再発盤を買いましょう。
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O Novo Som / Meirelles E Os Copa 5

2006-02-14 | Brasil
J.T.Meirelles率いるクインテットによるPhillipsからの2作目。このブログでも既出のO Somという1stがクラブ・シーンでは有名で、どちらかと言うとこのアルバムはその陰に隠れてしまいがちですが、こちらも負けず劣らず素晴らしいジャズボッサ名盤です。前作がわりと夜感漂うモーダルな作風だったのに対して、こちらは全体的に昼っぽい音作りで2枚で上手く好対照となっているのが特徴的。考えてみれば彼は後にオーケストラを交えたラウンジーな作品を手がけていくわけで、この盤はそのための布石といったところなのかもしれません。Nicola Conteのテープにも収録されているらしいA-3のSamba Do Cariocaは、アルバム全体の中でも特にアメリカからの影響を強く感じられる典型的なホーン入りジャズ・サンバ。この間のOs Cobras辺りの音作りにかなり近い雰囲気です。まぁ彼自身Os Cobrasのメンバーなので、当たり前と言えば当たり前なわけですが。A-5のSerelepeやB-1のBalanco Zonasulも同タイプのアップテンポなジャズ・サンバで良い雰囲気。少し明る過ぎる気もしますが、盛り上がり絶頂のフロアでこんな曲が流れてきたら気持ちいいでしょうね。ちなみに掲載しているジャケットは再発CDのもので、僕が持っているレコードとは若干レイアウトが違います。まぁ僕が持っているのもオリジナルではないのですが…。情報がないのでいつ頃のものか分かりませんが、とりあえず再発であることだけは確かです。
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