At The Living Room Reloaded

忙しい毎日の中で少し足を止めてみる、そんな時間に聴きたい素晴らしい音楽の紹介です。

The Main Ingredient / Pete Rock & C.L. Smooth

2015-11-30 | Golden Age Hip Hop
付き合いが長い方はご存知だと思いますが、意外と昔から好きなのがヒップホップ。このブログの読者層とは少し違うかなと思い、実はこれまで意識的に取り上げてこなかったのですが、ゴールデン・エイジと呼ばれる90年代前半から20年以上が経過し、この辺の音楽も既に若者音楽という雰囲気ではなくなっているので、これを機に解禁したいと思います。と言うわけで記念すべき(?)第一作目はこの作品。Pete Rock & C.L. Smooth(ピート・ロック&C.L.スムース)のコンビによる1994年の3rdアルバム。往年のヒップホップ・リスナーにとってみれば知らなきゃモグリな大傑作です。ミドル・スクール感たっぷりのアッパーナンバーThe Creatorが収録された1stや、天下無敵なThey Reminisce Over You (T.R.O.Y.)収録の2ndも言わずもがなの傑作ではありますが、トータルの完成度という意味ではやはりこの3rdが一番でしょう。いわゆるフロアキラーなアッパー・チューンこそ収録されていないものの、全編にわたりソウルフルかつジャジーなサンプリングの美学が貫かれており、間違いなくこの時代におけるヒップホップの一つの到達点。M-1のIn The House~M-3のI Get Physicalに至る冒頭3曲の流れがまず曲間のスキットを含め完璧。その後もD.I.T.C.を思わせるファンキーなM-5のI Gotta Love、ラブリーでピースフルなM-10のTell Me、O.C.のBorn 2 Live同じくKeni Burke(ケニ・バーク)のRisin' To The Topサビ前2小節をループしたM-11のTake You Thereと傑作揃い。ラスト付近、M-14のIn The Fleshで、I Get Physicalと同じGeorge Benson(ジョージ・ベンソン)によるIt's Overの別箇所を改めてループさせているのも心憎いですね。50代以上の人にしてみれば、ヒップホップと言うだけで抵抗感があるかもしれませんが、今だからこそ逆にそうした先入観を持たずに聴いてみてもらいたい一枚。名盤中の名盤です。
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Otra Vez / Miami Sound Machine

2015-11-23 | Free Soul
少し油断していたら前回の更新後あっと言う間に一か月が経ってしまいました。別に意識的に更新を避けているというわけでもないのですが、なんとなく書くタイミングを逸しているうちについつい…まぁ気を取り直して盤紹介します。今回の作品はMiami Sound Machine(マイアミ・サウンド・マシーン)による一枚。後にソロでも活躍する女性ヴォーカリストのGloria Estefan(グロリア・エステファン)と、その夫であるEmilio Estefan(エミリオ・エステファン)を中心としたバンドによる1981年作です。A-2のタイトル曲が以前Diggin' Heatに収録されていたため、B-Boy上がりのリスナーに比較的人気が高いアルバムですが、個人的には僕と同じようなリヴァイヴァル以降のAORファンにこそお勧めな一枚。全編プエルトリコ録音+NYミキシングで製作された作品で、全米からのリリースでありながら歌詞は全てスペイン語、それでいて作風自体は洗練されたカリビアン・ディスコと、昨今のニーズに完璧にマッチングした作品となっており、決してレア盤ではないものの、マイナー盤愛好家の人でもきっと気に入るはずです。程よくアメリカナイズされた都会的なアレンジと非英語圏特有の柔らかな言葉の響き、さらにソウルフルかつキュートなグロリアのヴォーカルが最高の塩梅で融合されており、どの曲も完成度が抜群。ダイアン・テルやパッツィー・ギャランあたりのフレンチ・カナディアンAORにも近い感覚となっているため、その辺りが好きな人にとってはまず間違いないでしょう。中でもアイズレー・ブラザーズ風の跳ねたアレンジが心地よいB-1のLança Perfumeや、切なくも優しいシティポップス・サウンドを奏でるB-2のQuedemos Como Amigosあたりは必聴。もちろん件のタイトル曲も素晴らしい出来です。これほどの作品がなぜ未だにCDになっていないのか不思議ですが、アナログならさして苦労することもなく手に入れることが出来るはずなので、気になる人は是非。ちなみに彼らは後に打ち込みサウンドへ移行してから何曲かヒットを飛ばしますが、そちらはLate 80's色が強すぎて正直今聴くにはややキツいため、個人的にはあまりお勧めしません。
コメント (2)
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