At The Living Room Reloaded

忙しい毎日の中で少し足を止めてみる、そんな時間に聴きたい素晴らしい音楽の紹介です。

A Hi-Tech Jazz Compilation / UR presents Galaxy 2 Galaxy

2014-02-28 | Detroit Techno
前回紹介したイアン・オブライアンの初期ベストでデトロイトテクノに耳を鳴らしたら、次に聴くべきなのが本作。イアンのオマージュ元であるマッド・マイクことMike Banks(マイク・バンクス)を中心とした異能集団Underground Resistanceによる2005年リリースのベスト盤です。いわゆるハードコア路線の曲も収録されていますが、何と言っても最大のポイントは1991~1993年にリリースされたNation 2 Nation、World 2 World、Galaxy 2 Galaxyという彼らの代名詞とも言える12インチ三部作から多数の曲が選曲されていること。本作がリリースされるまでこれら三部作の収録曲はCDだと一部がコンピレーションに収められているのみでしたが、それが一挙に聴けるということでリリース当時テクノ界隈では大いに話題になりました。特にシリーズ第一作で彼らにとって転機となった90年のNation 2 Nationに関しては、ノンビートのナンバーも含め6曲全てがコンパイルされており、デトロイトテクノの一つの完成型を余すことなく堪能することが可能となっています。三部作それぞれのリード曲であるM1-8のNation 2 Nation、M1-11のJupiter Jazz、M2-1のHi-Tech Jazzはそれぞれクラシック中のクラシック。エモーショナルかつコズミックな至高のナンバーに仕上がっています。それまでイメージだけでこの手の音楽を敬遠していた自分が、テクノの認識を改めるきっかけの一つがこの辺りのナンバーなので、個人的にも非常に思い入れのある作品群。これだけでも充分に聴く価値のある作品なのに、リリース当時の新譜からも何曲かセレクトされており、特にM1-4のReturn Of The Dragons(Timeline名義によるTime Sensitiveの改題=内容同じ)やM2-4のWindchime(Perception & Mad Mike名義でのリリース作)あたりは~2~シリーズ直系のコズミックナンバーとなっています。あいにく現在では廃盤となっており、購入する場合は中古を探すしかありませんが、人気作ということもあり入手は容易。前回のイアン・オブライアン同様テクノにマイナスのイメージを持っている人にこそ是非聴いて頂きたいお勧めの一枚です。
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I Was There 1995-2000 / Ian O'brien

2014-02-26 | Detroit Techno
ネオアコと並ぶ最近のもう一つのマイブームがデトロイトテクノ。この辺りの音はクラブジャズのバブルが弾けた後、勉強も兼ねて一時期よく聴いていたのですが、昨年暮れ辺りから再び我が家のヘビーローテーションに加わりつつあります。きっかけは昨年9月にリリースされたこのイアン・オブライアンの初期ベスト盤。クラブ界隈でヒットした1999年の2ndアルバムGigantic Days以降のイメージから、いわゆるNu Jazz/Crossover系のサウンドクリエイターとして捉えられることが多い彼ですが、元々はMad Mike Disease(マッドマイク病)の重症患者としてシーンに飛び出してきた人物で、本作はその頃の代表曲や未発表曲を中心にコンパイルした一枚となっています。件のMad Mike Diseaseこそ収録されていないものの、アルバム通して非常に模範的なデトロイトフォロワー作品となっており、個人的にはかなり評価高め。もはや定番中の定番であるM-4のMonkey JazzやM-5のThat Was Now、そして今回17年越しで初めてCD化と相成ったM-8のTatoo Jazzを筆頭に、全編に渡りひたすらエモーショナルでエレクトリックなデトロイトサウンドが展開されています。テクノというジャンルは非常に癖があるので、普段この手の音を聴かない人にとってはどうしても取っつきにくさが否めませんが、この作品に関しては本場USではなくUK産であることもあり非常にインテリジェンスかつスマートにまとまっているため、あまり耐性のない方にも素直にお勧めできる一枚。ある意味、デトロイトテクノの入門編としてはおそらくこれ以上に最適な作品はないでしょう。この手の電子音楽に抵抗のある人にこそ、ぜひ一度聴いてみて頂きたい名盤。最近リリースされた作品で手軽に入手できるはずなので、気になる方は是非チェックしてみてください。
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L'ange que j'étais / Chelsea

2014-02-19 | Neo Acoustic
このところ自分の中でのヒップホップ熱もひとまず収まり、その変わりに聴いているのがネオアコ。首都圏では記録的な雪が二週間続けて降ったりと、外はまだまだ寒い日が続いていますが、二月も中盤を過ぎたことだし、そろそろ季節を先取りして春向きの曲を聴いても良いかなと思っている今日この頃です。本作は90年代前半に活動していたフレンチ・ネオアコ・バンドによる1991年の12インチ盤。俗に言う「ネオアコ本」に掲載されていることもあり、渋谷系からフリーソウル方面ではなくネオアコ~ギタポ方面に行った人にとっては、そこそこ知られた作品かと思います。同年にリリースされた彼らの1stであるRéservé aux clients de l'établissementからのシングル・カットで、目玉はA-1のタイトル曲。アルバムに収録されているオリジナル・ヴァージョンも軽快なギターポップで良い感じですが、ここではヌーヴェル・ヴァージョンと称した楽曲のリアレンジが行われており、それが非常に素晴らしい仕上がりとなっています。オリジナルの雰囲気は損なわぬままキラキラ度とおしゃれ度のみを20%増量した雰囲気なので、この手のサウンドが好きな方ならまず確実にツボに入る音かと。また、アルバムには未収のB-1、Quiet Heartはオーストラリア出身のバンドであるゴー・ビトウィーンズのカバーとなっており、こちらも陽だまりのネオアコ名演となっています。この2曲が収録されているだけでも買いなのにトドメはこのおしゃれで爽やかなジャケットとフランス語のタイトル。当時フリッパーズ・ギターやブリッジを聴いていた人たちが好きそうな多くの要素が見事なまでに詰まっているため、人気が出るのも当然でしょう。ちなみにレア度は12インチより高めのようですが、一応当時CDもリリースされている模様。Amazonでは買わせる気がない異常な値段が付いていますが、興味があれば探してみても良いかもしれません。
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Please Stay, Don't Go / Jesus Alvarez

2014-02-14 | Free Soul
その筋ではそれなりに知名度の高いドーナツ盤オンリーの人気アイテム。このJesus Alvarez(ジーザス・アルバレス)は70年代に作編曲家として活躍した人物で、どちらかというと裏方仕事に徹していたミュージシャンだと思うのですが、そんな彼が自己名義で吹き込んだのが本作です。自身にとって余程の会心作だったのか1974~76年にかけて同じ曲をアレンジ違いで3回も吹き込んでおり、今回掲載している盤は1976年のもの(VI-543)。オークション等に良く出ているのは軽やかなイントロのフルートが印象的でテンポがやや早い青ラベルのVI-533ですが、こちらのVI-543は若干テンポを落とし、フルートの代わりにヴィブラフォンが入っています。その他のサウンドメイクもゴージャスなホーンが入っていたりと全体的に80'sに近い洗練された都会的なものになっているため、おそらくAORファンにとって最も好みなのはこのアレンジではないでしょうか。ちなみにもう一つのアレンジはVI-533のオケにシンセと横揺れのラテン・パーカッションを加え、いわゆるフリーソウル調のダンスクラシック仕立てにしたもの。残念ながらこちらの盤は未所持ですが、どうやらイタリアでリリースされたジャケ付シングルに収録されているようです。ただ、いずれにしろ原型となる曲自体が「軽やか・ソウルフル・込み上げ系」と三拍子そろった抜群に気持ち良い名曲なので、好みの違いはあれどフリーソウル好きでこのナンバーが嫌いという人はまずいないでしょう。ミディアム・テンポのフリーソウルとしてはほぼ理想的な曲に仕上がっています。僕自身が始めてこの曲を聴いたのは6~7年ほど前。当時たまにお邪魔していたイベントでのことですが、最も手に入りやすいVI-533を家に帰った瞬間に注文したのを未だによく覚えています。この手のイベントで耳に残った曲に関しては、家に帰って自らレコードを注文して改めて聴くとそれほど自分のカラーに合わず、その後は結局聴かずじまいというものも少なくないですが、この曲については未だにフェイバリット。何年経っても変わらず心のベストテンにランクインしています。未CD化かつ7インチのみのリリースなので入手の敷居はやや高いですが、興味のある人はぜひ聴いてみてください。ちなみにこのアルバレス氏、どうやらO'jaysのMeeting You Was No Mistake(キエるマキュウによるDo The Handsome元ネタ)の作者でもあるとのこと。言われてみれば確かになんとなく雰囲気似ているかもしれませんね。
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Everything's Gonna Change / Various Artists

2014-02-12 | Compilation
なんとなく勢いで作ってしまったシリーズの自作コンピ第二弾。このブログ読者には前回のUKソウル以上に需要が少ないのだろうと思われる王道の90'sヒップホップものです。普段のイメージからか意外に思われることも多いですが、この辺りのサウンドは昔から非常に好きで、特に天気の悪い日の通勤にはわりとお馴染み。とりあえずいつも通り以下トラックリスト。

1.Time's Up (Remix) / O.C.
2.Status / Godfather Don
3.Drama / The Grass Roots
4.I Used to Love H.E.R. / Common Sense
5.The Militia (Soul Brother Remix) / Gang Starr Feat. Big Shug & Freddie Foxx
6.Under Pressure / Showbiz & AG
7.Change / Shadez Of Brooklyn
8.Rock On (Remix) / Funkdoobiest
9.Blowin' up in the world / Kool G Rap
10.Rather Unique / AZ
11.Keep it real / Milkbone
12.Keep it real / Jamal
13.Suspended in Time / Group Home
14.More and more / Major Stress
15.Ny State Of Mind Pt2 / Nas
16.Take It EZ Jazz Instrumental / Common Sense
17.No Dingbats Allowed / Dream Warriors
18.Sincerely / Brand Nubian
19.Skins / DIF Productions

知っている人には説明不要な、一番良かった時期のスモーキーでジャジーな東海岸ヒップホップが中心です。最近はジャジーヒップホップと言うとNujabes以降の音楽を指すことが多いのでしょうが、個人的にはこの辺りの音が本当のジャジーヒップホップだと思っています。このブログの読者の方々には馴染みが少ないかもしれませんが、よかったら是非聴いてみてください。

Everything's Gonna Change
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Spread The Word / Infinity

2014-02-04 | CCM
しばらく和モノの紹介が続いたので、気分を変えてこんな作品を。一部で知られるサンフランシスコ産のマイナーゴスペルです。いわゆるモダンソウルのくくりで捉えられることが多いですが、1984年の作品ということもありサウンド的にはもう少しブラコンというかAOR寄り。何年か前に再発がリリースされ話題になったアイラ・ワトソン辺りの音に近い雰囲気なので、あの手の音が好みの人はおそらくハマるはずかと思います。バンドのキーマンはおそらくギタリスト兼ヴォーカルのLeonald Lothlen。ジャケット写真のどの人にあたるのかは分かりませんが、ヴォーカル兼ピアノのRodney Bellとの共作を含めると収録曲の半数にあたる5曲を書いており、そのうち4曲が上質なメロウグルーヴとなっています。特に、針を落とした瞬間にアーベインな夜の雰囲気に包まれるA-1のPeace And Harmonyや、いかにもリアルタイム派のAORリスナーが好みそうなA-5のEternal Lifeなどはミディアム好きにはたまらないのではないでしょうか。ただ個人的に一押しなのはB-1のAll The Way With The Lord。フリーソウルマナーに沿ったグルーヴィーなミディアムアップで、爽やかな曲調と微かに見え隠れするディスコっぽさが印象的なキラーチューンです。この手の白人音楽と黒人音楽の境界に立つナンバーは昔から僕のツボど真ん中なこともあり、この曲を聴いた瞬間に購入を決意しました。なお冒頭にも書いたようにゴスペル畑のマイナー作品なのでLPはなかなかにレアかと思いますが、どのような経緯なのか現在はダウンロード販売が行われているようなのでitunes等にて普通に購入可能です。アイラ・ワトソンのファンはもちろんですが、どことなくSpacearkの2nd辺りにも近い質感なので、その手のメロウグルーヴが好きな方は是非先入観を持たずに一度聴いてみてください。お勧め盤です。
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