At The Living Room Reloaded

忙しい毎日の中で少し足を止めてみる、そんな時間に聴きたい素晴らしい音楽の紹介です。

La Schiava Io Ce L'Ho e Tu No / Piero Umiliani

2018-12-05 | OST / Library
巷ではあまり話題にならないまま、本国イタリアのレーベルからLPのみで再発された一枚。ピエロ・ウミリアーニが1973年に手掛けた同名映画のサントラです。正直この辺りのサントラ盤の再発LPなんて買うのは、パオロ・スコッティのDeja Vuレーベルがブームとなっていた2004年頃以来なので、かれこれ15年ぶり。この辺りのイタリアン・サントラは古くから国内/輸入盤問わずコンピも数多くリリースされており、有名どころの曲は各種コンピを5~6枚抑えておけば概ね網羅できるため、これまでほぼコンピで済ませてきていたのですが、本作収録曲に関しては権利関係からかほとんどコンピに収録されることがなく、再発自体も一度もなかったので実は前々から密かに再発を期待していました。内容的には、ウミリアーニが手掛けたボッサ~サンバ系サントラとしてはおそらくベスト。この手のサントラでよくあるように、収録曲はメインテーマのアレンジ違いがほとんどながら、どのアレンジも異様にクォリティが高く、アルバムのどこに針を落としても即座に幸せな気持ちになれる至福の一枚になっています。中でも映画全体のタイトル曲と思われる冒頭A-1のLa Schiavaは、軽快なサンバのビートに、I Cantori Moderni(イ・カントーリ・モデルニ)のコーラスと管弦のオーケストレーションが乗る屈指の名演。モリコーネのBelinda May、トロバヨーリのジェラシーことSei Mesi di Felicita、ピッチオーニのIn viaggio attraverso l’Australiaあたりと肩を並べることが可能なチネボッサ~サンバの大傑作です。正直イタリアン・サントラ好きならこの一曲のためだけにLPを買ってもいいくらいだと思います。続くA-2のSambandoはマリンバをフィーチャーした、軽快ながら異国情緒漂う哀愁の一曲。中盤以降加わるコーラス含め、日本人の琴線に触れる展開と言えるかと。またA-6のCoppietta Di Rioはフルートがリードする軽快なチネボッサ。2000年頃に流行ったライブラリー音源の雰囲気によく似た雰囲気なので、そうした楽曲が好みの方はツボだと思います。あいにくCDやデジタルでのリリースがないため、今のところLPを購入するしかありませんが、LPを聴ける環境にある方ならチェックしてみてもいいかもしれません。イタリアン・チネ・ボッサ好きは必聴です。
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Ascenseur Pour L'echafaud / Miles Davis

2008-01-19 | OST / Library
ジャズ界・映画界共に非常に良く知られた、57年のフランス映画「死刑台のエレベーター」のサントラ盤。主演を務めるジャンヌ・モローの写真を使った仏Fontanaオリジナルのジャケットが有名ですが、こちらは同時期にプレスされたと思われるオランダ盤ジャケット仕様の12インチ国内盤です。詳しくは知らないのですが、どうやら以前に日本フォノグラムが特典盤として製作した一枚とのこと。同じく日本フォノグラムからリリースされた白地に青の廉価盤は非常に良く見ますが、こちらはそれほど目にする機会がないかもしれません。ただ、個人的にはマイルスとジャンヌが2ショットで写っているこのジャケットが一番好きなので、敢えて若干拘ってこちらで買ってみました。さて、ジャケの話題はこの辺りで中身に移ります。「映画のフィルムを見ながらマイルスが即興で演奏した」などと言う逸話もあるくらいで、内容的にはほぼ完全な即興音楽。サバービアの言葉を借りるならば、同時期に製作されたブレイキーの「殺られる」と同じく「ハードバップの短編集」とでも言った趣です。ただ、アルバム全編を覆う夜感と緊張感はこちらの方が上。冒頭A-1のGeneriqueが一瞬聞こえただけで、部屋は一気にミステリアスでサスペンスな夜の世界へ。音楽的にどうこうと言うよりも、何よりこういう雰囲気作りの巧さがブレイキーとは一味違うような気がします。ちなみに僕の中でのベスト・トラックはB-4のAu Bar Du Petit Bac。アルバム中では最もインプロ度が低いと思われるナンバーですが、その分だけ曲としての完成度が高く、非常に聴き応えのあるブルース・ナンバーになっています。おそらく普通の人が本作を聴いて、最もジャズっぽいと考えるのはこの曲なのではないでしょうか。終始マイルスのトランペットと絡み合うバルネ・ウィランのテナー・プレイがまた素晴らしいですね。クラーク=ボランの諸作のように華やかな雰囲気も好きですが、こういうアダルトでムーディーな音楽も昔から大好きです。ちなみにサントラだけ聴いても充分楽しめますが、やはり映画を見てから聴くのが正解。映画の方も非常に良い作品なので、若い世代でまだ見たことのない人は是非チェックしてみてください。
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The Girl From Ipanema / Jimmy Davis And Norma Lee

2007-05-03 | OST / Library
USのイージーリスニング系レーベルWyncoteに64年に吹き込まれた1枚。何年か前に一部で話題になったので、ジャケットに見覚えのある方もいるのではないでしょうか。聴くところによるとジャイルス・ピーターソンのフェイバリットだそう。内容的にはA面が女性シンガーのノーマ・リーをフィーチャーしたボサノバ、B面がインストのラウンジ・ジャズという構成になっています。そもそもの用途がイージーリスニング用という性質上、ジャケットには大したクレジットも記載されておらず、演奏者等ほぼ謎に包まれているのですが、裏ジャケに書かれた僅かな解説によると、どうやらジミー・デイヴィスというサキソニストを中心に製作されたアルバムの模様。ただ、B-1に収録された人気のJasmineは、基本のトリオにヴァイブ+パーカスのみを加えたクインテット編成での演奏となっているので、その辺りの事情はやはり良く分かりません。最もジミー・デイヴィス自身がタビーのようにヴァイブとサックスのバイ・プレーヤーだったという可能性もありますが。さて、その人気曲であり、かつ夜ジャズ<裏>にも収録されていたJasmineですが、ラテン・フレーバーの香る上品なボサジャズに仕上がっていて良い感じ。各種ガイド本にも書かれているように、クラーク=ボランによるスモール・コンボ時の演奏にも似た雰囲気で、一聴しただけではユーロ産かと錯覚してしまいそうな一曲になっています。ただ、今の気分としてはこの曲より断然B-2のFive To Four。これまた思わずサヒブかと錯覚してしまいそうなフルートがリードする、偽クラーク=ボラン楽団なエレガント・ナンバー。タイトルにある5拍子から4拍子への転調もスムーズで見事です。他の曲も程度に差異こそあれ、どれもMusic For The Small Hoursにそっくりな仕上がりになっていて、かなりレベルの高い完成度を誇っています。またA面のボサノバも良く、中でもA-4のSomewhereがお気に入り。クラブで即戦力という類のレコードではありませんが、家でしっとり一枚通して聴くには結構オススメ。特にこれからの季節のBGMとしては非常に打ってつけなのではないでしょうか。
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Unforgettable / Ronnie Ross & His Band

2007-03-11 | OST / Library
昨年ユニヴァーサルからの再発されたCleopatra's Needleが大きな話題となった、イギリスのバリトン奏者Ronnie Rossによる65年録音作品をコンパイルした編集盤CD。ジャケットを見る限り、おそらく2000年に発売されたものだと思いますが、巷であまり大きく扱われていないせいか心あるファンの中でも本編集盤の知名度は低めなのではないでしょうか。しかしながら、だからと言って素通りするには勿体無過ぎる1枚。何せ本作には、Harmonic Mood Musicというライブラリー系レーベルに残されたRonnie Ross Plays No.1という幻の10インチが、1曲を除き丸ごと収録されているのですから。しかも演奏がまた抜群に素晴らしく、トータル的にあのCleopatra's Needleをも凌ぐ完成度と来れば、いくら編集盤CDとは言え買わない手はないでしょう。まず何と言っても注目なのはM-1のLast Of The Wine。数年前にJazzanovaがコンピに収録して話題になった、モーダル・バップ調の高速ジャズ・ダンサー。4管のアンサンブルが圧倒的に格好いい問答無用のフロアキラーです。Basso Valdambrini SextetのDonna Luなどと並び、フロア・ユースなユーロ・ジャズの筆頭曲でしょう。3分弱という短尺もまた魅力的。M-5のSmilling JackやM-7のAny Minute Now、それからM-8のStevenson's Rocketも同系のモーダル・バップに仕上がっていて、いずれもフロア映え抜群のキラー・チューンです。個人的に気に入っているのは2本のフルートの鳴りが、異常なまでに優雅なM-3のThree For The Bar。マリナッチ辺りのファンならば一瞬で虜にされるはずの変拍子ナンバーになっています。それにしてもこれほどの作品が埋もれているとは、ライブラリー作品もまだまだ奥が深いですね。
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Des Femmes Disparaissent / The Jazz Messengers

2007-02-12 | OST / Library
こちらもエドアール・モリナロ監督が手がけた59年の仏映画「殺<や>られる」のサウンド・トラック盤。演奏を務めるのは当時パリにてツアー中だったアート・ブレイキーとジャズ・メッセンジャーズの面々です。例の「危険な関係」とほぼ同時期の録音と言うことになりますが、あちらではゲストとして迎えていたウィランが本作では抜け、変わりにベニー・ゴルソンが入ることで、当時のメッセンジャーズ本来のレギュラーメンバーでの演奏となっています。ちなみにアレンジを務めるのもこのゴルソンとリーダーのブレイキーの2人。以前サバービア誌にて「ハードバップによる短編小説集」と称されていたことがありましたが、先の「彼奴を殺せ」同様に1分程度で終わってしまう曲が多く、そういった意味で、この表現は非常に的を射ているように思います。ただ、ある程度しっかりとカタチになっている曲も幾つか収録されていて、個人的な聴き所はどちらかというとそちらです。気に入っているのはB-4のLa Divorcee De Leo Fall。このメンバーとしては非常に珍しいと思われるモーダルなワルツ・ジャズで、モーガンとゴルソンの2管によるテーマも美しい佳曲です。演奏しているのは全員バリバリのアメリカ人のはずなのに、そこはかとなくヨーロピアン・ジャズの雰囲気が感じられるのは、録音先のパリの気候のせいでしょうか。逆にお馴染みのメッセンジャー節が聴けるのは、A-9のJuste Pour Eux Seulsという高速バップ・チューン。先発を務めるペットのモーガンに続き、切り込んでくるかのようにソロに入るゴルソンのテナーが抜群です。使いようによってはクラブ・プレイも可かもしれませんね。エステラ・ブランとマガリ・ノエルのモノクロームによるジャケット・ワークも素敵な10インチ。オススメ盤です。ちなみに「彼奴を殺せ」と本作、それから「死刑台のエレベーター」は3年ほど前に仏ユニヴァーサルから10インチで復刻が出ているので、気になる方はそちらでチェックして見ましょう。
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Un Temoin Dans La Ville / Barney Willen

2007-02-12 | OST / Library
エドアール・モリナロ監督による59年の仏映画「彼奴<きゃつ>を殺<け>せ」のサントラ盤。映画の方は見たことないので分かりませんが、当時の彼の国では57年の「死刑台のエレベーター」以降、本格的なジャズメンの演奏する純モダンジャズをサウンドトラックとして使用するのが一つのブームになったようで、本作もそんな中の1枚だと言えるでしょう。リーダーは当時のフランスを代表する名サキソニストであるバルネ・ウィラン。そしてサイドを務めるのはケニー・ドーハムにデューク・ジョーダン、それから「死刑台の~」でもバルネと共演した御大ケニー・クラークらという豪華布陣です。内容の方はと言うと、映画の展開に合わせてか相当にハードボイルドなモダン・ジャズ。特に際立った曲こそないものの、全体を覆うダークな雰囲気がジャケットの写真と上手くマッチしていて、なかなかの好盤だと言えるのではないでしょうか。サントラという事で1分程度で終わってしまう曲が多いですが、そこはまぁご愛嬌というもの。個人的に気に入っているのは冒頭A-1のタイトル曲とB-6のFinal Au Jardin D'acclimatation。おそらく映画自体のオープニングとエンディングがこの2曲なのだと思いますが、前者はハードボイルドなブルース・ナンバー、後者は悲壮感の漂う美しいピアノ・ソロ曲となっていて、それぞれなかなかに格好いいです。B-1のLa Vie N'est Qu'une Lutte辺りも重厚なウッドベースの音色と2管のユニゾンによるテーマが良い雰囲気でまずまずの出来。途中のラテンへの転調も決まっています。ただ、本作の価値を何よりも高めているのは、その内容以上にこの余りにも素晴らしいジャケット・ワークと10インチというパッケージ。レコードをかけるのではなく、ついどこかに飾ってみたくなるような一枚です。
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La Legge Dei Gangsters / Piero Umiliani

2007-02-11 | OST / Library
1969年に公開された「ギャングスターの掟」なるイタリア映画のサントラ盤。オリジナルはOmicronという当地のレーベルからリリースされているようですが、僕が持っているのは大幅に曲が追加収録された10年ほど前のEasy Tempoによるリイシューです。ウミリアーニと言えばモリコーネやトロバヨーリと並ぶイタリアの映画音楽家であり、あのMah na Mah Naの作者として名高い人物ですが、実はその出自は列記としたジャズ・ピアニスト。そして以前ここでも紹介したことのある「禁じられた欲望」と並び、そんな彼によるジャズメンとしての本領が如何なく発揮されたのが本作でしょう。と言うよりもオリジナルには未収で、このEasy Tempo盤のみ追加収録されている楽曲が凄いです。本来のオリジナルに収録されていると思わしき曲は、どれもストリングス等を交えた比較的ラウンジーなものなのに、この追加収録曲群は何故かことごとくジャズばかり。Beppe Cartaによるうねりのあるウォーキング・ベースにリードされる高速ビッグバンド・ダンサーのD-2、Sequenze Ritmicheは先日パオロ・スコッティーも某ラジオでプレイしていました。素直に盛り上がらず、各ソロの節目節目で毎回ベースの焦らしがあるのが、何度も聴いているうちに逆にクセになります。またA-2のGenova P.zza De Ferrari Dalle 2 Alle 7は12分にも及ぶ組曲ながら、ラストを飾るビッグバンド・パートが圧巻。思わず両の拳を突き上げたくなるような格好いいハードバップです。Gino MarinacciのフルートがリードするC-3のSei Ottavi In Bluesも、タイトル通り6/8拍子のモーダル・バップで良い感じ。ちなみにオリジナルは激レアだと思いますが、このEasy Tempo盤ならばそれほど労せず見つけられるはず。と言うか聴き所は全て追加曲に集中しているので、もしも気になった方は迷わずこのリイシューを買いましょう。
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Montreal / Various Artists

2007-01-07 | OST / Library
カナダRCA Victorレーベルに残された音源を、Canada Internationalという現地のラジオ局向けに編纂したコンピ盤。ある意味ライブラリー音源のようなものですね。収録されている全10曲のうち9曲がタイトルにMontrealの文字を冠したご当地賛歌なので、おそらく彼の地のラジオ局では重宝されたことでしょう。モントリオールはカナダの中でもフランスの影響が未だに根強いところで、隣国であるアメリカの影響をそれほどは受けていないと言うか、ある種独自の文化的発展を遂げた街として良く知られています。そのせいかこのLPに収録されている曲も基本はエスプリの効いたシャンソン。聴いていると何だか古き良きパリの街を歩いているかのような錯覚を受ける好盤に仕上がっています。日曜の昼下がりに聴くのにぴったりですね。このブログのタイトル通り正にAt The Living Roomな佳作。ただし本作をここでわざわざ紹介した理由はそこではありません。ジャケットとレーベルからピンと来る方もいるかもしれませんが、実はこの盤には何故かそれらシャンソンに混じって、あのNick Ayoubの名盤Montreal Sceneから2曲が収録されているんです。しかもそのうち1曲はフロアーでも大人気なA-5のMontreal Est(East)。これには正直驚かされました。オリジナル・マスターから取ってるだけあって、コンピとは言えど音質も抜群だし、おまけに僕の持ってるステレオ盤(原盤にはモノ/ステ両方あります)とは違い、ここに収録されているのはDJユースなモノラル録音。例のMontreal Sceneの10分の1くらいの値段だということもあり、自分のDJプレイ用(あまりやる機会ないですけど)につい購入してしまいました。しかし、改めてこの曲は本当にスタイリッシュで格好いいですね。カナダものとしてはもちろんのこと、世界レベルで見てもここまで洗練されたモーダル・バップはまずありません。先日も拙チャートに入れましたが、心の底から激オススメの1曲です。
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Les Liaisons Dangereuses / Art Blakey

2006-12-16 | OST / Library
本格モダン・ジャズを劇中音楽として使用した映画作品として、ルイ・マルによる「死刑台のエレベーター」と並び称されるロジェ・ヴァディムの「危険な関係」。本作はその「危険な関係」のオリジナル・サウンド・トラック盤です。音楽総指揮を務めるのは当時絶頂期であったブレイキー。単なるサントラとしてだけではなく、純然たるモダン・ジャズ作品としても非常にレベルの高い作品で、古くから多くの人に人気の名盤です。ちなみに仏Fontanaレーベルから59年にリリースされたもの。たしかジャケ違いの米盤もあったはずですが、やはりファンならば仏盤を持っていたいところですね。この前年に初代MJQのメンバーらとJazz Sur Seineという作品を吹き込んだ新進気鋭のトランペッター、バルネ・ウィランを迎えたメッセンジャーズによる演奏は、ただただ単純に格好いいの一言。「危険な関係のブルース」の邦題で知られるA-1のNo Problem(1re Version)からして、既に最高に硬派なハードバップ作品です。心地良くスウィングするA-4のValmontana辺りも素晴らしい。そして何と言っても白眉はB-3のNo Problem(2e Version)。先ほどの「危険な関係のブルース」を強烈なアフロ・キューバン・リズムでアレンジし直した一曲で、まさにフロア・キラーの名に相応しい絶品ジャズ・ダンサーに仕上がっています。Jerome Richardsonによるジャズ・ボッサ・ヴァージョンや、近年発掘されたFritz Hartschuchによる演奏も悪くはないですが、やはりこのオリジナルの圧倒的な完成度の前では歯が立ちません。鬼気迫るブレイキーのドラミングが唯一無二。間違いなく一生聴ける名盤です。永遠のジャズ・ダンス・クラシック。
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Breakfast At Tiffany's / Henry Mancini

2006-11-26 | OST / Library
僕が個人的に考える「世界で一番美しいレコード・ジャケット」がこれ。そう、かの有名な「ティファニーで朝食を」のサントラ盤です。ちょっと挑発的な可愛らしい目線で正面を見つめるオードリー。その美しい顔立ちはもちろんのこと、着ている洋服やテーブルの上に乗る食器のセンス、そして水色地に白抜きで書かれたジャケット上部のタイトル・プリントに至るまで、全てにおいて完璧に計算された素晴らしいジャケット・ワークが印象的な一枚ですね。映画自体の素晴らしさはここで改めて言うまでもありませんが、ヘンリー・マンシーニのペンによる音楽もまた抜群に素晴らしく、こうやって曲だけを聴いていても、時に楽しげに、そして時に優美に雄大に、聴くものを幸せにしてくれるような不思議な魅力を放っています。特にショウビズな香り漂うビッグ・バンド・ジャズであるA-5のThe Big Blow Outや、少しおどけたアレンジで聞かせるA-6のHub Caps and Tail Lights辺りは、聴いていると何だか古き良き時代のアメリカを思わせて良い感じ。ヨーロッパのライブラリー作品などにも通じるB-1のタイトル曲や、B-3のHollyもムーディーなストリングスが気持ち良くて大好きです。しかし何と言っても、やはり本命はA-1のMoon River。何気なく聴いていても自然と、あの映画冒頭の印象的な映像が脳裏をよぎる決定的名曲です。これぞ正に音楽と映像の完全な融合。素晴らしいと言うほかありません。しかしながら、いつ見てもこの時のオードリーはとても31歳とは思えませんね…。我々日本人の感覚から見ると、たいていは実年齢よりも1~2歳は年上に見える欧米人の中にあって、この若さと瑞々しさは本当に奇跡的。内容も去ることながら、このジャケットのためだけにでも買う価値あるLPだと思うのですがいかがでしょう?
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