At The Living Room Reloaded

忙しい毎日の中で少し足を止めてみる、そんな時間に聴きたい素晴らしい音楽の紹介です。

Our Dilemma / Bent Axen, Bjarne Rostvold

2010-12-25 | Hard Bop & Modal
デンマークのHitレーベルからリリースされたベント・アクセンとビャルネ・ロストヴォルドによるデュオ作品。この時期のHitと言えば先ほどロストヴォルドのリーダー作でも触れた「馬車」(HR710/レーベル唯一のLP)が良く知られるところですが、本作はそのちょうど3週間後に吹き込まれた録音で、レコード番号的にもHR711と直近の作品となります(ちなみにTOPのトリオ作品2枚はさらに1ヶ月後)。アクセン名義のPoll Winner 59は翌年の録音のため、本格的な二人の共演としては恐らく最初期のものと言えるでしょう。それにも関わらず本作はモーセホルムのベースを排したデュオと言う最小でのコンボ編成。非常に意欲的な録音です。リズムの要となるベースがいない状態で二人の息を合わせるという作業は、それだけでどう考えても並大抵のことではないはずだと思いますが、ここではそれをさも当然のように実践し、かつピアノとドラムス各々の演奏としても非常にハイレベル。やはりこの人たちは只者ではありません。特に素晴らしいのはA-2のOn Green Dolphin Street。アクセンはちょうどこの半年ほど前にも、ペデルセンとフィン・フレデリクセンを従えたトリオで同曲を録音していますが、こちらのデュオ演奏の方が躍動的かつキレのあるプレイでより魅力的です。またロストヴォルドのドラムロールから始まるB-2のI've Got You Under My Skinも、多幸感に満ち溢れたスウィンギンなナンバー。要所で入る「止め」のポイントも絶妙な素晴らしい演奏になっています。アクセンとロストヴォルドは確か一回りくらい年が違うはずなのに、良くもここまでぴったりと息が合うものだと驚きを隠せません。これぞジェネレーション・ギャップを感じさせぬ阿吽の呼吸。ちなみにこの二人、よっぽどウマが合ったのか翌年のPoll Winner 59でも一曲だけデュオ演奏を披露していて、そちらもなかなかに快演となっているので興味のある方は聴いてみてください。なお本作は十数枚あるHitのEP諸作でも特に見ない一枚かと思われますが、純粋な玉数の少なさもさることながら、デュオという特殊なフォーマットを売り手/買い手共に敬遠していることが原因で市場に出回りにくくなっている節があります。この辺りのデンマークものの中では内容のわりにそこまで極端に値段が高いというわけでもないと思いますので、見つけたら即買いした方が無難かと。

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