At The Living Room Reloaded

忙しい毎日の中で少し足を止めてみる、そんな時間に聴きたい素晴らしい音楽の紹介です。

Talkin' / 土岐麻子

2008-02-12 | Japanese Groove
かなり久しぶりに購入した国産良質ポップス。元シンバルス、土岐麻子さんが昨年暮れにリリースした2ndアルバムです。その透明感溢れるヴォーカルが好きで、実はシンバルス後期から彼女の隠れファンだったのですが、その独特の声質と歌い方はもちろん今作でも健在。柔らかく女性的な彼女の歌声と、この手のフュージョン・サウンドの相性はやはり想像通り抜群ですね。「土岐流シティ・ポップ」を合言葉に、非常に完成度の高い一枚に仕上げられています。何年か前に一部で話題になった「流線形」に近い質感と言えば、おそらく分かる方には分かってもらえるでしょう。アルバム冒頭を飾るM-1の「モンスターを飼い馴らせ」から雰囲気満天。甘く切なく、それでいて少しだけノスタルジックなアーバン・サウンドに引き込まれていくこと間違い無しです。バックの演奏は完全に70年代後半のそれそのものなのに、ヴォーカルだけが今風と言うのがポイントなのかな。そのことによって、都市型ポップスとしての洗練度が一層上がっている気がします。和モノはそれほど真剣に掘っていないので詳しくは知らないのですが、少なくとも僕が知っている当時もののレコードに、ここまで洗練された雰囲気を持ったアルバムはありません。そんなアーベインな雰囲気が作中最も顕著に現れているのが、先行シングルもカットされたM-3の「ファンタジア」。きらめくエレピの音色と柔らかいホーン・セクションが最高に気持ちいいライト・メロウなバラードです。夜のドライブを終えた帰り道、ふとラジオからこんな曲が流れてきたら、おそらく誰しも自然と胸が熱くなるはず。タクシー・ドライバーに扮したPVも、個人的にここ最近見た映像作品としてはベストな出来でした。正にどこを取っても僕のツボど真ん中な一曲。最近はジャズやブラジルものばかり聴いていますが、こういう雰囲気の曲はやっぱりいつまで経っても大好きです。ちなみに他の曲では、どこかユーミンを思わせるアッパー・ミドルなM-8の「サーファー・ガール」辺りもかなりお気に入り。「いつもジャズばかりじゃなく、たまにはポップスでも…」と思ったら是非聴いてみてください。AOR系フリーソウルの雰囲気が好きな人も多分大好きだと思います。文句なしのオススメ盤。
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Tokyo Sniper / 流線形

2006-10-20 | Japanese Groove
今から3年前に前作「シティミュージック」が宇田川町周辺で密かなブームとなった流線形の2nd。かく言う僕も、そのブームの真っ只中にいた人間の一人です。もうとにかく好きで好きで、最初にCDで買ったのにもかかわらず、後から出たアナログも当然ゲット。周囲のあまり音楽が詳しくない友達にもリコメンしまくりました。さてそんな流線形ですが、昨年メンバーの2人が脱退したために、今作ではリーダーのクニモンド瀧口さんの一人ユニットとなっています。ヴォーカルも前作の人から変わっているので、若干雰囲気が変わっているかなと思ったのですが、そんなことは全くなく、前作と同様に往年のシティポップスを現代に蘇らせた素晴らしい作品に仕上がっています。クラブ世代のリスナーを意識したためか、ボトムがやや強めになっている点がやや気になりますが、それもまぁ充分に許容範囲内。独特のきらきらしたアレンジと甘酸っぱい歌詞世界は本作でも健在です。特にM-2の「花びら」は前作の「東京コースター」直系の和製フリーソウルで素晴らしい。M-3の「レインボー・シティー・ライン」も、前作「3号線」の延長線上にあるナイト・ドライビング・チューン。またSaigenjiさんとのデュエットで聴かせるM-6のタイトル曲は、山下達郎氏のSolid Sliderのサビ部分をモロ使いしたシティ・ポップスで、どこか初期ピチカートを思わせるデュエットが最高です。とにかく全編で琴線触れまくりの名作なんで、前作を知っている人はもちろん、知らない人にも是非聴いてもらいたい一枚。オススメです。
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Listen or Love / Jenny 01

2006-10-18 | Japanese Groove
これは素晴らしい。個人的にポップス系のシンガーでは久々となる大ヒットです。最もポップスとは言っても、チャートを賑わすようなメジャー系アーティストではないのですが…。でも、この人は多分メディアに上手く乗せてあげれば、メジャー・シーンでも普通に通用するでしょう。天使のように美しいウィスパー・ヴォイスと、小悪魔系のキュートなルックスを合わせ持つそんな彼女の名はNaoko≒Jenny 01。僕もさっきラジオで聴くまで全然知らなかったのですが、どうやら既に何枚かアルバムを出している模様です。さて、本作はそんなNaoko嬢の作品をオルガンバー~フラワー人脈がプロデュース&リミックスした一枚。とりあえず須永さんが手がけたM-1の「都会」が最高です。ちなみに言うまでもなくオリジナルは大貫妙子ですね。アレンジ自体は須永節(というか太宰節?)全開のエレガントなローズ使いボッサ・ジャズでいつも通りなのですが、このバック・トラックとNaoko嬢の柔らかなヴォイスの相性が驚くほど抜群。思わず「ズルい!」と思ってしまうほど、奇跡的な出来に仕上がっています。Studio Apartmentが手がけるM-2のrain, rainも彼らの1stに近いオシャレなブラジリアン・フュージョン風の楽曲で良い感じ。そして、同じくStudio ApartmentによるM-3のMelodyが、これまた最高のポップ・ハウスに仕上がっています。Tommy Februaryとか最近のYukiなんかの雰囲気が好きな人は、絶対コレも気に入るでしょう。とにかく何より可愛らしい声が素晴らしいです。個人的に理想の声。クラブ系~ポップス・ファンまで幅広くオススメ出来る一枚。
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Milkyway Galaxy / Crazy Ken Band

2006-09-18 | Japanese Groove
Crazy Ken Band約1年ぶりの新作から、フライングでアナログ・カットされたミニ・アルバム。まぁ全10曲収録なんで、ミニ・アルバムと言うか立派にLP仕様なわけですけれど…。さて、本作は新作アルバムの収録曲のちょうど半分ということで、これだけではアルバム全体の評価は出来ないとは思いますが、一聴してみたところの感想は、良くも悪くもクレイジーケンバンドらしい音だな…というところ。いろんなジャンルが雑多に交じり合う中に、そこはかとなく漂う東洋フレーヴァーとポップなメロディーが乗ると言った、いつも通りの曲が続きます。ワルツ・タイムのA-5、「黒い傷跡のブルース」あたりも、イントロだけ聞いたらヨーロッパのジャズ・ワルツ風なのですが、歌が始まってしまえばいつも通りの剣さん節炸裂だし…。わりと気に入っているのは先行マキシに収録されていたB-2の「メリメリ」。最初に聴いたときは微妙だと思ったのですが、こうやってちゃんと聴いてみると、なかなかに悪くないかな…と。夏の終わりを懐かしむようなB-3のShock Hawaian Shockもライトメロウで疾走する佳作と言ったところでしょうか。そして、本作最大の目玉はA-4に収録された「プレイボーイ・ツイスト」。タイトル通りのお馴染みプレイボーイ賛歌ながら、今までの同系統の楽曲から良いとこ取りしたかのような歌詞が格好いい。一歩間違えればゴールデン・フィンガーになってしまうところなのですが、ギリギリのところで格好よさを保つ手腕はさすが。まぁ、とりあえず先行アナログを聴いた感想はこんなところですね。アルバム出たらまた試聴してみます。
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The Night Is Still Young / Karly

2006-09-17 | Japanese Groove
予想通り一瞬で店頭から姿を消した野本かりあヴァージョンの「東京は夜の七時」。いや、まぁCDでは普通に買えるでしょうし、多分i tunesなんかでもダウンロード出来るとは思うのですが、ファンならばやはりここは12インチで持っていたいところ。収録曲自体は確かCDと同じだったはずですが、何と言ってもこのモノクロームのジャケットが抜群。CDのジャケットも悪くはなかったけれど、やっぱり個人的にはこちらの方が好きですね。それはそうと、ネットサーフィン(死語?)をしていると、このカアリィ版「東京は夜の七時」は何気に賛否両論のよう…。たしかに野宮さんとは声の質感や歌い方も違うし、往年のファンからすればそこに違和感を感じるのでしょうが、個人的には全然アリです。と言うか、僕自身も初めて聴いた時はちょっと違和感ありましたけれど、何度も繰り返し聴いているうちに、いつの間にかこの声にも慣れてきました。カァリイ自身によって新しく書き換えられた詞も、ところどころにファン・サービスが見え隠れして良い感じ。ファン・サービスと言えば、ピチカート版から主演だけ変えて、ほぼそっくりそのままに再現したプロモも、きっとその一貫なんでしょう。まぁ何はともあれ、これまでも何度もリメイクが繰り返されてきた名曲「東京は夜の七時」の2006年ヴァージョン。世紀は変われど、この名曲の輝きは相変わらず色褪せません。ピチカート=野宮さんな人ではなく、僕のようにピチカート=小西さんな人なら、きっと今回もハマれるはず。ちなみに2ヴァージョン収録されたリミックスについては、ノーコメントで…。
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駅ニテe.p. / 荘野ジュリ

2006-09-17 | Japanese Groove
けっこう久しぶりとなるJ-Popsからの紹介。ちょうど僕と同い年に当たる大阪のヴォーカリスト「荘野ジュリ」さんの12インチです。タイトルトラックのA-2、「駅ニテ」は元々2004年にリリースされた曲なんですが、1年半くらい前に須永辰緒さんに「発見」されたことで、一気に人気に火が点いたキラー・チューン。疾走感溢れるブラジリアン・ビートに体温低めのヴォーカルが乗るというJazztronik風のナンバーです。また、B-1の「ひととき」はBobby ColeのA Perfect Dayのピアノ・リフを下敷きにしたラテン・ジャズ風の1曲。まだまだ新進気鋭ヴォーカリストの粋を出ていない彼女が本当に歌いたい曲がどういうものかは分かりませんが、少なくとも製作者サイドは確実に小洒落系クラバー及びリスナーを意識しているようです。さて、そんなクラバー向けの本EPですが、何と言っても目玉はA-1の「駅ニテ(Sunaga t Experience Remix)」。最近の夜ジャズ志向は少し影を潜め、ちょうどJ-Popのりミックスを量産していた3~4年前頃の氏の曲風に近い雰囲気に仕上がっています。心地良いブラジリアン・ビートに、硬質かつセンチメンタルなキーボード、哀愁漂うスパニッシュ・ギター、そして控えめながらもダビーなエレクトロニクスが乗った、これぞ初期Sunaga t Experienceなナンバーです。最近の夜ジャズな曲もいいですけれど、たまにはこういう曲調もいいですね。ちなみにAfters Or Recordsからのリリースです。それほどプレス数も多くないと思うので、気になった人はお早めにどうぞ。
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Vermouth Flowers / Katteni - Shiyagare

2006-06-22 | Japanese Groove
ヌーヴェル・バーグを代表するゴダール映画、「勝手にしやがれ」から名前を拝借したジャズ・パンク・バンド。彼らは一般的にはあまりメジャーな人たちではないのですが、一部マニアからは絶大な支持を集めているそうです。最も僕自身あまり詳しく知らないので何とも言えないのですけれど、基本的には人気のPe'zやSoil & Pimp Session辺りに近いホーンを効かせた爆音ジャズ・バンドなのだと思われます。さて、本作はそんな彼らが昭和歌謡で人気なエゴ・ラッピンと共作した一曲で、これが素晴らしく抜群にハマったコラボレーション。一ヶ月以上前にラジオで聴いていたのですが、もうピアノのイントロ数秒でノックアウト、最高に格好いいスウィンギン・ジャジー・ポップスです。あまりきちんと聴いたことないので何とも言えないのですが、中納さんってこんなに可愛らしい高音の声も出せるのですね。なんとなく「色彩のブルース」あたりのパンチが効いた中~低音域ヴォイスが印象に残っているので、なんだか凄い意外な感じがします。「勝手にしやがれ」側のヴォーカリストである武藤さんも、クレイジーケンバンドの剣さんをよりちょいワルにした感じで秀逸。まぁ何にせよ高速スウィングで抜群にキラーな楽曲であることは確か。ピーク・タイムのDJプレイにおけるラスト・チューンとして良く映えそうな楽曲です。今のところ多分CDオンリーのリリースなので、アナログ派の人もとりあえず買っておきましょう。
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Three Cheers For Our Side / Flipper's Guitar

2006-02-28 | Japanese Groove
まだまだ寒い日が続きますが、少しずつ春の訪れも感じる今日この頃。と、言うことで春らしい爽やかな作品を紹介。コーネリアスの小山田さんとオザケンによる伝説のバンド「フリッパーズギター」の1stです。もう何も言うことはないくらい色々なところで語り尽くされた元祖ネオアコにして、後に渋谷系と呼ばれる一連のムーヴメントに置いて最重要作品とされる89年作品。最も僕自身は当時まだ6歳だったので、彼らの作品をリアル・タイムで聴いていたわけではないのですが、小学生の頃よくTVに出演していたオザケンの歌は子供心に大好きで、もしかしなくてもおそらく僕の音楽的ルーツはここにあるのだと思います。で、後追いで聴いたこのフリッパーズの1stなのですが、もうとにかく「素晴らしい」としか形容の出来ない名曲の嵐ですね。Aztec CameraやPale Fountainsにも匹敵する恐ろしく完成度が高いサウンドに、拙い英語詞による小山田氏のヴォーカル・ワークが乗ることで、ときめき度はまさに無限大。どの曲も素晴らしいのですがやはりM-4のCoffee-Milk Crazyがアタマ一つ飛び抜けて大好きです。誰しも一度は体験し、そして誰にも一度しか訪れない甘酸っぱい青春時代を鮮やかに切り取った日本音楽誌に残る金字塔。大袈裟ではなくこの表現が適切だと思います。とにかく聴いた瞬間に胸が掻き毟られるようなサウンドは唯一無二。未聴の人は必ずチェックしましょう。
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Miko Live At Riviera / Mieko Hirota

2005-12-05 | Japanese Groove
ミコライブ73と邦題が付けられた本作は、数あるグルーヴィーな和モノ系ジャズ~ヴォーカルの中でも、内容・レア度共に間違いなく頂点に君臨するクォリティを備えた一枚。ライブ盤ながら、とりあえずオープニングから死ぬほどテンションが高いです。バックを固めるカウント・バッファローズとシンガーズ・スリーも去ることながら、弘田三枝子の歌が異常に日本人離れした上手さ。普通に聴いたら確実に黒人系シンガーと間違えることでしょう。超絶バップ・ナンバーなA-2のThis Could Be The Start Of Something BigやファンキーなA-3のI Wanna To Be Happy辺りも充分すぎるほど素晴らしいのですが、このアルバムの肝はやはりA-5のCan't Take My Eye Off Of You。「君の瞳に恋してる」の邦題で知られ、例の有名なBoys Town Gangを始め実に様々な人がカヴァーしている大定番ですが、彼女はそれをとびきりジャジーにカヴァー。それも高速ビッグ・バンドを従えて、というのだからもう悪いわけがありません。ピークタイムにぴったりな究極の盛り上げチューン。2年前に須永さんがDJでかけているのを聴いてから、それこそ血眼になって探した一枚です。若干盤質が悪くノイズが入るのは残念ですが、音圧が高いので何とかクラブ・プレイも可能かな・・・。とりあえず余りにも出てこないので見つけたら即買いしたほうがいいです。本当に探すのに苦労したので非CD化希望(笑)
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Music / D.L.

2005-09-26 | Japanese Groove
J-Hiphop好きには最早お馴染み過ぎるBuddha BrandのMC/トラックメーカー、Dev Largeによるメジャー第一弾12インチです。彼は97年頃からずっと「ソロもやる」と公言しながらなかなか機が熟すことがなく、これまで何度もそのソロは企画倒れに終わっていたので、今回のリリースはファンにとっては本当に待望のものでしょう。ちなみに実は数ヶ月前に自主で一枚12インチも切っていて、この盤はそこに収録されていたIt's The Musicという曲のセルフ・カヴァーというか再演になっています。It's The Musicの方には触手が伸びず、こちらを紹介するのは何よりもそのトラックに惹かれたから。サンプリング至上主義の彼には珍しく完全生音でトラック製作をしているせいか、音がまるで往年のBrand New Heaviesのような90's Acid Jazzテイストで僕好みなのです。また英語と日本語を巧みに混ぜ合わせた特有のラップも、最近の彼の仕事の中ではトップ・クラスに輝いている気がします。J-Hiphop好きのみならず音楽ファンならチェックしておいて良い内容。ちなみにカップリングには80's Rare Grooveのカヴァー、Must Be The Musicが収録されています。こちらはダンクラ好きに良さそうですね。歌唱力のなさはまぁご愛嬌ということで(笑) 売り切れ必至の限定プレスなのでお早めにどうぞ。
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