At The Living Room Reloaded

忙しい毎日の中で少し足を止めてみる、そんな時間に聴きたい素晴らしい音楽の紹介です。

Tricrotism / Bjarne Rostvold's Trio

2009-02-14 | Hard Bop & Modal
例の澤野からの「馬車」に続き、63年に録音されたビャルネ・ロストヴォルド2作目のリーダー名義LP。前年Hitに吹き込んだTriple Action Vol.1(こちらは未聴)と同じく、ボッチンスキーとペデルセンを迎えた変則トリオによるアルバムで、その珍しい楽器編成とも相まって、ファンの間では比較的有名な一枚なのではないかと思います。未だ再発されていない作品ですが、RCAというメジャー・レーベルからのリリースだったせいか、この辺りの60年代デンマーク・ジャズの中では良く見かける部類。ただ、近年のJazz Quintet 60人気の煽りを受けて、相場はかなり高騰しているのでご注意を。レアリティーの観点から考えれば、本来それほど高いレコードではないはずなんですけれどね。僕自身この2~3年でもう10枚近く見てきて、今回ようやく納得出来る価格で手に入れることが出来たという感じです。さて、そんな曰くつきの本作ですが、内容的には文句なし。快速で飛ばす冒頭A-1のWell, You Needn'tから、トランペット+ベース+ドラムの三位一体プレイが存分に堪能できます。この曲はマイルスのマラソン・セッションでも取り上げられたモンクの作品ですが、個人的にはこのロストヴォルドらによる演奏の方に軍配。テンションの高い3人の掛け合いが何だか凄いことになっています。そして人気の高いB-2のGreensleevesは、イントロから何だか雄大な大地を感じさせるスケールの大きい名演。非の打ち所がない素晴らしいプレイです。なお、ロストヴォルドのリーダー作ではありますが、やはりここで聴くべきはボッチンスキー。この時期のボッチンスキーのプレイは総じてクォリティが高めですが、取り分け本作では他にメロディー担当の楽器がいないこともあり、他作品に比べてその卓越したセンスが一層際立っています。特に僕が好きなのは、どことなくマイルスを思わせるA-4のEasy Living。繊細かつ美しいバラードの名演ですね。なんとなくもうじき再発されそうな気もしなくはないので、今あせって高値で買うべき盤かどうかは微妙ですが、もしも安めで見つけたら是非聴いてみてください。ピアノなしの変則編成に不安を持つ方もいるでしょうが、一度針を落とせばそんな不安は一瞬で飛ぶと思いますので。
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Helsinki / Quiet Nights Orchestra

2009-02-07 | Club Music
久しぶりに買ってみたこの手のクラブ・ジャズ系新譜から紹介。なんでもこの4月に国内先行でアルバムがリリースされるスウェーデンの新人ジャズ・コンボのデビュー作とのことです。この12インチも輸入盤ではなくPヴァインからの国内盤。おそらくアルバム・リリース前の話題作りと言ったところでしょう。プレイヤー本人たちがどう思っているかはともかく、売り手側がサウンド/ビジュアル共に当初のRicky-Tickレーベル(と言うかファイブ・コーナーズ・クインテット)を非常に意識していることは明白で、内容自体もまぁ予定調和の範囲内と言ったところ。特に深く考えるまでもなく、これはまず間違いなく日本市場向けの録音でしょう。ただ、そう言った売り手側の戦略は抜きにして考えれば、個人的にはわりと好きな部類に入る一枚です。少なくとも国内の新進クラブジャズ系コンボの諸作と比べれば、こちらの音作りの方がずっと好み。最もこの辺りは、単に僕が未だに欧米人に対して変なコンプレックスを抱いているだけなのかもしれませんが…。A-1のHelsinkiはバップ基調のいわゆるジャズ・ダンサー。これと言った特徴があるわけではありませんが、耳触りは非常に良く聴き易いナンバーになっています。続くA-2のThe Searchはフェンダーローズ使いの快速ブラジリアン。フロントがトランペットではなくフリューゲル・ホーンであることもあって、何年か前にユッカ・エスコラが単独名義でリリースした12インチの雰囲気に良く似ています。僕個人としては元からエレピ好きということもあって、どちらかと言うとこちらの曲の方が好み。寒い冬でもほっと暖まるようなメロウ・サウンドがこの時期向けかもしれません。ラストA-3のQuiet Nightsは女性ヴォーカルを配した少しニコラ・コンテ風のしっとりした曲。これもいかにも日本人受けしそうな雰囲気ですね。ちなみにB面にはニルス・クロウのリミックスが2曲入ってます。特に目新しい音ではないものの、こちらも往年の生音系クラブ・ジャズと言った雰囲気でなかなか。他の曲もこのクォリティでやってくれるようなら、とりあえずアルバムにも期待してよさそうですね。いつも本気度高めのジャズばかり聴いてしまっても飽きが来るので、たまにはこれくらい軽めのレコードに触れてみるのも悪くはないと思います。
コメント (2)
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