At The Living Room Reloaded

忙しい毎日の中で少し足を止めてみる、そんな時間に聴きたい素晴らしい音楽の紹介です。

Slavic Mood / Dusko Gojkovic

2006-06-28 | Hard Bop & Modal
ユーゴスラビアが生んだ孤高のトランペッター、Dusko Gojkovicによる75年の伊Vista盤。モダン・クラブ問わず古くからよく知られる人気盤が、なぜかここに来て突然の正規CD再発と相成りました。70年代も中盤に入ってからの録音と言うことで、例のSwinging Macedoniaなどに比べると新しさを感じざるを得ない音やアレンジではあるのですが、そこはやはり名トランペッターでありながら名作曲家でもあるダスコのこと、中近東あたりの雰囲気を感じさせるエキゾチックなメロディー・ラインは相変わらず健在なのでご安心を。かつてSchema傍系Rearwardのコンピに収録されたM-5のKosmetを始め、哀愁のエキゾチック・フレーズが全編に渡り展開されています。DJ的な視点としてはジャズ・ダンサー的アレンジのM-7、Flying Romeが洗練された演奏の高速バップで「使える曲」ということになりそうですが、その他の楽曲においても素晴らしい名演揃いなので聞き逃しは厳禁。特にM-4のOld Fisherman's Daughterは彼自身の代表曲であり、例のマケドニアにも収録されていたナンバーの再録音です。おそらく須永さんがakikoのアルバムでこの曲をカヴァーした際、アレンジのベースにしたと思われるのがこのヴァージョン。非常に美しい3拍子のモーダル・ナンバーです。静かにリズムを刻むAndy Scherrerのドラムスがたまらなくグルーヴィー。とにかく一聴の価値があるアルバムであることは確かなので欧州ジャズ好きは是非。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Little Band Big Jazz / Conte Candoli All Stars

2006-06-28 | Hard Bop & Modal
Candoli兄弟の弟、Conte Candoliはアメリカ西海岸出身のトランペッター。兄のPete Candoli同様に50年代ウェスト・コースト・ジャズにおいて重要人物とされる存在だそうです。本作はそんな彼がAll Stars名義で1960年にハリウッドで吹き込んだ1枚。最もオールスターとは言えどビッグバンド形式ではなく、タイトルにもあるようにスモール・コンボ編成でこれがなかなかに良質の2管クインテット。リーダーのConte Candoliと共にフロントを勤めるのはBuddy Colletteなのですが、元来マルチ・リード奏者である彼がこの盤ではテナーのみに絞って吹き込みを行っています。そしてピアノを勤めるのはVince Guaraldi。サバービア的にはピーナッツ(スヌーピー)のサントラで有名な人ですよね。さて、そんなメンバーを率いてConte Candoliがここで提唱するのは、東海岸の影響が見え隠れする夜感漂うハードバップ。取り立てて何か派手な楽曲が入っているわけではないのですが、演奏の雰囲気のところどころが絶妙に格好いいアレンジで素晴らしいです。特にM-1のMuggin' The MinorやM-6のLittle David辺りは、デンマークのJazz Quintet '60の演奏などにも近い男気溢れる夜ジャズ。ジャズダンサー的な楽曲では決してありませんが、聴くものに強烈な印象を残す緊張感が張り詰めた演奏が唯一無二です。一応US産ではありますが、欧州ジャズ好きの方でもきっと好きになれるはず。オススメ盤です。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

The Five Of Us / The Jazz Five

2006-06-27 | Hard Bop & Modal
Tubby Hayesの数々の作品を始め、良質ハードバップの宝庫である英Tempoレーベル。この時代のUKジャズが好きなマニアの方にとってはもはや説明不要のレーベルですが、いかんせんオリジナル・アナログが廃盤市場で異常とも言える額で取引されているので、なかなか我々のような一般リスナーがその音源を聴くことは難しいですね。そんな中でオススメできるのが、近年JasmineレーベルからCD再発された諸作。アナログ再発でないのが残念ではありますが、なにせオリジナルは滅多なことではお目にかかれない高額盤揃いなので、まぁここは我慢しましょう。さて、本作はその名もずばりThe Jazz Fiveというコンボによるハードバップの快演集。1曲だけ枯葉をやっている以外は、全てオリジナルの楽曲で構成されているところもポイントが高いです。特にMilestonesを彷彿とさせるイントロが印象的なM-2のタイトル曲は白眉。7分少々と若干長めの尺が気にはなりますが、いわゆるジャズ・ダンサー的な高速スウィングなので、うまくかけることが出来ればDJプレイも行けるかもしれません。ベーシストであるMalcolm Cecil作のM-6、Still Lifeも同タイプの楽曲で良いです。とにかくこの2曲のためだけでも買う価値は充分にありでしょう。個人的には同じUK JazzならばTubby HayesのFontana盤よりもこちらの雰囲気の方が好きです。とにかくオススメの一枚なので、アナログ派の人も是非チェックしてみてください。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Vermouth Flowers / Katteni - Shiyagare

2006-06-22 | Japanese Groove
ヌーヴェル・バーグを代表するゴダール映画、「勝手にしやがれ」から名前を拝借したジャズ・パンク・バンド。彼らは一般的にはあまりメジャーな人たちではないのですが、一部マニアからは絶大な支持を集めているそうです。最も僕自身あまり詳しく知らないので何とも言えないのですけれど、基本的には人気のPe'zやSoil & Pimp Session辺りに近いホーンを効かせた爆音ジャズ・バンドなのだと思われます。さて、本作はそんな彼らが昭和歌謡で人気なエゴ・ラッピンと共作した一曲で、これが素晴らしく抜群にハマったコラボレーション。一ヶ月以上前にラジオで聴いていたのですが、もうピアノのイントロ数秒でノックアウト、最高に格好いいスウィンギン・ジャジー・ポップスです。あまりきちんと聴いたことないので何とも言えないのですが、中納さんってこんなに可愛らしい高音の声も出せるのですね。なんとなく「色彩のブルース」あたりのパンチが効いた中~低音域ヴォイスが印象に残っているので、なんだか凄い意外な感じがします。「勝手にしやがれ」側のヴォーカリストである武藤さんも、クレイジーケンバンドの剣さんをよりちょいワルにした感じで秀逸。まぁ何にせよ高速スウィングで抜群にキラーな楽曲であることは確か。ピーク・タイムのDJプレイにおけるラスト・チューンとして良く映えそうな楽曲です。今のところ多分CDオンリーのリリースなので、アナログ派の人もとりあえず買っておきましょう。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Quintets 1961-66 / Staffan Abeleen

2006-06-22 | Hard Bop & Modal
スウェーデン産のモーダル・ジャズと言えば、クラブ的にはLars LystedtによるLPが有名ですが、このStaffan Abeleenによる一連の作品もそれに勝るとも劣らない傑作揃い。本作はスウェーデンのDragonレーベルから1993年にリリースされたCDで、彼らの代表作であるDownstreamという66年のLPを中心に、その他61~66年の録音作を集めた編集盤です。とりあえずDownstreamというアルバムに関して言うならば、おそろしく洗練された一枚と言ったところでしょうか。それほど派手な曲があるというわけではないのですが、全体的にとても綺麗で繊細な印象。リムショットを効かせたジャズ・ボッサのM-6、Paronet I MontecelloやM-9のタイトル曲辺りがクォリティ高めですね。北欧ジャズ特有の透明感が秀逸。そして忘れてはいけないのはボーナス的に収録されたDownstream意外の5曲。特にオリジナルは7インチオンリーとなるM-2のJuan Les Pins辺りは、例のデンマークのJazz Quintet 60辺りにも近いアレンジで、本当にセンスが良いにも程があると言った雰囲気。DJでかけるならばこの曲でしょうか。Monica Zetterlundによる歌をフィーチャーしたM-4のFarfars Valsなんかもかなり素晴らしいです。10年以上前の廃盤CDなので探すのは難しいかもしれませんが、それでもオリジナルを探す労力に比べれば遥かにましなので、興味のある方は探してみてください。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Jazz / Blue Note

2006-06-15 | Contemporary Jazz
その余りにも挑発的なバンド名が一部筋では有名な、メキシコのジャズ・ファンク~フュージョン・バンドの76年盤。数年前のブリザ・ブラジレイラ・プリモに掲載されていたので、ジャケットに見覚えがある方も多いかもしれません。例によってオリジナルは高価なのですが、メキシコ産のLPということで、値段以前にそもそも市場に出回ることが極めて稀な一枚ですね。それが今回ディスク・ユニオンの企画でCD化と相成ったわけです。もっともこの間のMendez Trio同様に完全な盤起こしなので、CDというフォーマットとは言えど時折気になるノイズは出ますが…。さて、肝心の曲の方ですが基本的には最初にも書いたとおりジャズ・ファンク~フュージョン路線で、スピリチュアルとも取れる側面もちらほら。レア・グルーヴ好きにはこういうのたまらないのでしょうね。そんな中で僕が個人的に気に入っているのはM-5のLa Nina De Los Ojos Verdes。生ピアノではなくローズ使いではありますが、このアルバムの中では最もジャズ度が高い曲で、例えば同時代のMarco Di Marco辺りにも通じるメロウなワルツ・チューン。アメリカやブラジルではなくヨーロッパのジャズに近い質感が好きです。クラブでかけられるような曲ではないけれど、こういう曲は単純に良いですね。ちなみにこの手の企画盤はなくなると探すのが非常に大変になるので、気になる方はあるうちに買いに走りましょう。
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Roll Call / Hank Mobley

2006-06-08 | Hard Bop & Modal
たまには名門ブルーノートからの音源も紹介したいと思います。Hank Mobleyと言えば65年のDippin'というアルバム、取り分けその中に収められたRecardo Bossa Novaという曲が有名なサックス奏者ですが、今の感覚で聴くならばむしろオススメと言えるのはこちらの盤。ブルーノートの4058番にして60年の作品です。A-1のタイトル曲がとにかく素晴らしい。御大Art Blakeyによるアフロキューバン風味の強烈な高速ドラムに乗せて、2管で綴られるテーマ部分の格好よさは尋常ではありません。60年という微妙な年代のせいかハードバップとは言えモーダルな雰囲気で、それほどファンキーになりすぎてもいないという非常にバランスの良い仕上がりを見せています。もっとも尺が10分超と長く途中のピアノ・ソロとブレイキーのドラム・ソロ辺りで若干だれてきてしまうのですが、少なくとも前半部分のモブレー・ソロ~ハバード・ソロ辺りまではほぼ理想的な展開。Donald ByrdのGhana辺りにも近い質感で、アメリカ産ながら当ブログ得意のユーロ・ジャズに混ぜてかけてもそれほど違和感がなさそうです。それにしてもこの盤に限らず、この当時のブルーノート作品って一様にジャケットのクォリティが非常に高いですよね。2色刷りなところが逆に名盤の香りを漂わせる屈指の一枚。オリジナルは当然高いですが、再発が普通に出てるのでそちらでどうぞ。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Cleopatra's Needle / Ronnie Ross

2006-06-06 | Hard Bop & Modal
話題のユニヴァーサルによる欧州ジャズ再発シリーズ第2弾ですが、クラブ世代の若者にとって今回その中で最も目玉となりそうな一枚が本作。UKのバリトン・サックス奏者であるRonnie Rossによる68年の一枚です。Gilles Petersonのコンピで既出なB-1のタイトル曲が、クラブジャズ好きの方にとっては既にお馴染ですね。3管セクステット編成による高速モーダルで、ほとんどルパン三世なメロディー・ラインが格好良過ぎる言わずと知れたUKハードバップの最高峰。他の曲も決して悪いと言うわけではないのですが、やはりこの1曲が抜群の完成度を誇っています。高速4ビートによる非常に分かりやすいナンバーで、非ジャズリスナーでも一聴して「ジャズ」を感じられる1曲。こういう曲ってありそうで実はなかなかないんですよね。素人から玄人まで心からジャズを楽しめる曲だと思います。ちなみに他の曲では、華やかにスウィングするB-2のTibufaや、ドラム・ブレイクで始まるA-3のEucalyptus Kidなどが個人的にはなかなか良い感じだと思います。そして、このアルバムのもう一つの魅力がジャケットの素晴らしさ。写真では小さくて分からないかもしれませんが、ここまで洗練されたジャケット・ワークってあまりないです。正直なところ、3600円ならばジャケットにだけでもお金を払う価値があるのではないでしょうか?いずれにしろ、今回も多分すぐに店頭から消えること間違いなしです。興味のある方はすぐにお店に走りましょう。
コメント (7)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Exciting 6 / Basso = Valdambrini Sextet

2006-06-03 | Hard Bop & Modal
今やクラブ・ジャズの大人気盤として名高い本作は、Gianni BassoとOscar Valdambriniの双頭コンボによる67年作。マニア垂涎のメガレア盤としても有名で、おまけに再発もリリースされていないので、丸3年以上探してようやく入手しました。バッソ・ヴァルダンブリーニ楽団と言うと、先日BMGから再発された2枚のRCA盤(共に以前、当ブログでも紹介済)が、イタリアン・ジャズの至宝として非常に名高いわけですが、クラブジャズとして聴くならばやはり本作に軍配が上がるのではないかと思います。タイトな尺で構成された楽曲、3管による華やかな演奏はただただ格好いいの一言。思えば僕がジャズに夢中になったきっかけは、この中のA-6に収録されたDonna Luという曲を、数年前に須永さんのミックス・テープで聴いたことなんですよね。初めて買ったオルガンバーのミックス・テープの冒頭に収録されていて、度肝を抜かれたのを覚えています。そういう意味で僕の中では想い出の一枚。一番好きなジャズのアルバムです。ちなみにA-1のBefore Ten O'Clockや続くA-2のAgitazione、それからB-4のLook OutにB-5のYoung ManはSchema Sextetネタなので、聞き比べてみるのも面白いかもしれないですね。でも、やっぱり何と言ってもDonna Luが素敵。激しすぎず、かと言って緩過ぎずな演奏が、最高にオシャレでクールでヒップです。エヴァー・グリーンな名作。
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Peace Treaty / Nathan Davis Sextet

2006-06-02 | Hard Bop & Modal
昨年、P-VineからCD/LP共にリイシューされた''If''というアルバムが、古くからジャズ・ファンクの激レア盤として知られるサックス奏者による、こちらも一部でカルト的な人気を誇る65年録音のLP。このNathan Davisという人は元々アメリカ合衆国のカンザス生まれなのですが、このアルバムが録音された頃は本国でのジャズ人気が下火となっていた頃で、彼もまた他のジャズメン同様に合衆国を離れヨーロッパで積極的に活動していたようです。後に帰国後に自主レーベルからリリースした''If''はジャズ・ファンクの金字塔などと言われていますが、本作は時代がらもあって正統派な欧州産ハードバップ~モーダル・ジャズ。同じく渡欧中の名ドラマーKenny Clarkeや、ご当地フランスを代表するピアニストであるRene Urtrgerなどをサイドメンに向かえ、全編に渡り上質なジャズを繰り広げています。彼のオリジナルであるA-1のKlook's Themeはアップテンポのハードバップで、ブリブリ吹きまくるテナーが抜群。そしてB-1のSconsolatoでは一転して、クラーク・ボラン楽団よろしく気品に満ちたラテン・ジャズ。どちらも、とにかく格好いいという表現が似合う演奏ですね。ヨーロピアン・ジャズ屈指の名演なのではないでしょうか。ちなみに僕が持っているのはオリジナルではなく、スペイン産だと言われているブートの再発盤。とは言え、こちらも最近では全く見ないレア盤なのですが…。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする