At The Living Room Reloaded

忙しい毎日の中で少し足を止めてみる、そんな時間に聴きたい素晴らしい音楽の紹介です。

The Krush / Same

2015-04-29 | Hawaii
以前にNever Felt So Rightというアルバムを紹介したハワイのコンテンポラリー系グループ、クラッシュがお馴染みBluewater Recordsに残したLP。録音年次の記載はありませんが、収録曲と音の雰囲気から察するに80年代初頭に製作されたものと思われます。おそらくファビュラス・クラッシュからクラッシュに改名しての一作目と思われ、この段階ではHal Bradbury(ハル・ブラッドバリー)がまだ在籍している様子。中古盤屋でも安値で転がっていることからハード・リスナーには軽視されがちですが、ファビュラス時代のソフトロック風サウンドから都会的な作風に移行していく過渡期の作品で、内容的にもそれなりに充実しているため、実は何気に見逃し厳禁の一枚だったりします。フリーソウル・フリーク好みの生音ブラウン(≠ブルー)・アイド・ソウルに仕上がっており、その手のサウンドが好きな方ならばおそらく問題なくハマるはず。中でも特にウケが良さそうなのはA-2のHang Tough。元々はSam Dees(サム・ディーズ)がブラコン系シンガーのRockie Robbins(ロッキー・ロビンズ)のために製作した楽曲ですが、ここではその原曲を軽やかなAORディスコ風アレンジでカバーしており、フロア映えばっちりのナンバーに仕上げています。またB-2のRegretsはジェイムズ・ブラウンの歌唱で知られるバラード。JBが熱いシャウトで歌い上げていたのとは対照的に、曲本来の持つ優しさを全面に出したアレンジですが、これはこれで良い雰囲気なのでおそらく好きな人も多いことでしょう。ちなみに個人的に気に入っているのはA-5のHold Tight。軽快なピアノに導かれるPre-AOR的楽曲で、いわゆるこみ上げ系なサウンドがツボです。おそらく、その気になったら探すのに苦労はしない一枚だと思うので、気になる人はチェックしてみてください。
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Black Point / Kumuhau

2015-04-26 | Hawaii
以前ここでも紹介した竜虎ジャケの2005年作が一部で人気のKumuhauによる1997年のアルバム。情報がなく詳細よく分からないものの、僕の所有しているCDには裏面に不自然な白抜きでMade In Canadaと書いてあり、果たしてハワイ本土でリリースされたのかどうかは不明です。ちなみに2005年作では共にギター&リード・ヴォーカルを務めるKeith Omizo(キース・オミゾ)とLonnie Brown(ロニー・ブラウン)のデュオになっていますが、本作製作時点では他にドラム&キーボード&5弦ベースの3人がメンバーとして名を連ねており、おまけにそのうち2人は曲によりリード・ヴォーカルも担当。残念ながらルックス担当のメンバーはいませんが、なんとなくマッキー復帰後のカラパナを思わせるメンバー構成で、収録曲自体もどことなくローカライズされたコンテンポラリー・サウンドなので、この辺りのサウンドが好きな方はハマると思います。ドラムのVince Pascua(ヴィンス・パスキュア)が歌うM-1のPua Liliaがトラディショナル・サウンドで冒頭から肩透かしを食らいますが、自身のバンド名をタイトルに冠したM-2のKumuhau(竜虎ジャケにて再演されている曲のオリジナル)以降はいわゆるアイランド・メロウ系ナンバーがずらり。中でもAORと親和性が高いライトメロウなM-6のIt's Love, True Loveや、コンテンポラリー・ハワイアンが得意とするボサmeetsポップスなサウンドを奏でるM-7のMy Girlあたりはかなりの完成度を誇っており、これからの季節にもぴったりな仕上がりとなっています。おまけにM-8のMind Blowing DecisionsはHeatwaveによるブラコン名曲カバー。日本ではほぼ同じ時期にMuroさんがDiggin' Iceで取り上げたことで人気となったお馴染みの一曲です。巷では00年代初頭に起こったコンテンポラリー・ハワイアン・ブームによりリアルタイムで輸入されてきた竜虎ジャケばかりが取り上げられがちですが、AOR度という観点で捉えるならば実は本作の方が内容的に上。気になる人は是非探してみてください。
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Everything's Alright / Cory Oliveros

2015-04-25 | Hawaii
前回に引き続きコンピ収録曲ネタを。ハワイのシンガー・ソングライター、Cory Oliveros(コリー・オリヴェロス)による1997年のアルバムです。いわゆる90年代コンテンポラリー・ハワイアンの中では比較的紹介されることも多いため、ご存知の方もいらっしゃるかもしれません。内容的にはいかにもローカルなシンガー・ソングライターものと言った趣で、この辺りの作品に共通する良い意味でのチープさが魅力の一枚。こういう風に書くと洗練された音を期待する方は敬遠するかもしれませんが、コリーの歌声が体育会系の顔に似合わぬ甘めのイケメンボイスで、全体的な質感もかなりライトメロウなので、この手のアルバムの中ではAORとの親和性はかなり高い部類。プロデューサーでもあるAaron Kimura(アーロン・キムラ)作によるM-2のWaimeaが一番人気のナンバーで、僕自身コンピにセレクトしたのもこの曲ですが、実はそれ以外のナンバーもかなり完成度が高く、通して聴ける素敵な一枚に仕上がっています。甘いサックスに誘われるアイランドメロウなM-8のWhen Should I Tell Youや、海沿いのFMラジオで流れてきそうなM-5のHawaiian Weekendあたりは、おそらくこの手のサウンドが好きな人なら間違いなくハマるはず。収録曲にはレゲェのリズムを取り入れたナンバーも当然のように入っていますが、これらの楽曲も音の質感自体は他の曲と変わらぬライトメロウ・テイストなので、いわゆるジャワイアンが苦手な方でもわりと気にならずに聴くことが出来ると思います。個人的に気に入っているのはSunwayなる女性シンガーとのデュエットで歌われるM-4のThe Closer I Get To You。角松敏生と国分友里恵によるIt's Hard To Say Good-Byeを思わせるアイランドメロウなバラードの名曲です。例によってハワイ・ローカルのリリースなので、どこにでもあるというような類の作品ではありませんが、この手の作品の中では比較的見つけやすい一枚なので、良かったら聴いてみてください。
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Over You / Live Jays

2015-04-21 | Acid Jazz~UK Soul
先日までのデトロイトテクノ系レビューが一段落ついたので、今夜はまたまたコンピ収録曲ネタでも。90年代後半にMuroさんのDiggin'シリーズを聴きこんでいた方にはお馴染みと思われる1999年リリースのクラブ系イタリアン・ポップスです。調べても情報が少ないので詳細は分からないのですが、このLive Jays(ライヴ・ジェイズ)なるユニットは、P&C Sessionというコンビ名でプロデューサー・デュオとしても活動しているClaudio Caccini(クラウディオ・カッチーニ)とPiero De Iuliis(ピエロ・デ・リイス)の2人に女性シンガーのNadia Straccia(ナディア・ストラッチア)を加えたイタリア人3人組。そのメンバー構成から、なんとなく小室哲哉のglobeみたいな印象を受けるユニットです。本作ではアカペラやダブを含めた同曲のミックス違いが4曲収録。A面に収録されたDancing Session Mixはいかにも六本木的な典型的ユーロ・ハウスとなっており正直駄作なのですが、BPMを抑えたB面のOveracted Versionが明け方系ユーロR&Bの大傑作に仕上がっており、その筋では昔から人気の高い一曲です。爽やかで高揚感に満ちながらもどこか翳りのあるそのサウンドは、日本人ならきっと誰しも琴線に触れるものがあるはず。僕のコンピを実際に聴いて頂いた方はお分かりと思いますが、ユーロ圏AORの流れに混ぜても違和感なく溶け込み、かつアクセントとしてもしっかりと機能するので、R&B~UK Soul系のリスナーのみならず、AORファンにも是非聴いてみてもらいたい一曲です。ちなみにシングルは12インチ・オンリーでCDはリリースされていないものの、肝となるOveracted Versionは何故か当時Avexからリリースされていた六本木系ダンス・ミュージックのコンピレーションに収録されており、その気になればデジタル音源で聴くことも可能。このコンピシリーズは山ほど出ているみたいですが、少しネットで調べればどの作品に収められているかは分かると思うので、気になる人は是非探してみてください。
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Sueño Latino Remix By Derrick May / Sueño Latino

2015-04-11 | Detroit Techno
ベルギーのBuzzレーベルから出ているデトロイトテクノ系コンピも一通り紹介し終えたので、最後に番外編としてもう一枚だけ紹介。おそらくこのレーベルの作品中、世界的に最も知名度があると思われるシングル盤です。元曲はクラフトワークなどと同様、デトロイトテクノのルーツとも呼べるManuel Göttsching(マニュアル・ゲッチング)のE2-E4を再構築したイ1989年のイタリア産ハウスであり、いわゆる元祖バレアリック・サウンドなのですが、本作はそれをデトロイトテクノのイノベーターであるDerrick Mayが更にリコンストラクトした一枚。アフター・アワーズの名曲として、その筋では非常に高名な作品です。なんと言ってもA面に収められた11分15秒にも及ぶIllusion First Mixが圧巻。まるでフルートのような高音のシンセリフを基調とした美しいナンバーで、徐々にお馴染みのピアノなどが入りつつも約4分間焦らしに焦らしてからキックが入るタイミングの気持ちよさは唯一無二です。彼のインテリジェンス~ピュアテクノ路線としては先日紹介したVirtual Sex収録のIconと双璧。基本的には単純な反復音楽ながらも中毒性が異常なまでに高く、いつまでも聴いていたくなります。あまりテクノに詳しくない方でも、Youtubeあたりで聴いてみてこのあたりの感覚が分かるのであればこの手の音楽にハマる素質あり。ちなみにA面の完成度があまりに高すぎるため取り上げることが少ないですが、スパニッシュ調のギターが入るB-2のFinal Third Mixもなかなかの完成度。旧譜のブラジル音楽なんかの流れでかけるなら、おそらくこちらの方がしっくり来ると思います。知っている人には言うまでもありませんが、デトロイトテクノ初心者にも是非聴いてみてほしい一枚。本作そのもののCDはレアなのでちょっと手軽には進めにくいですが、件のIllusion First Mixだけであれば他にも入っているCDあるので、デジタル派の方はそちらを探してみてください。itunesにはたしかなかったと思うので…。
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Panic In Detroit / Various Artists

2015-04-05 | Detroit Techno
こちらも一連の流れの中でリリースされたBuzz発コンピレーション。詳しい製作経緯は分かりませんが、前3作のようなレーベル系のコンピではなく、今回の企画で最初に紹介したVirtual Sexと同じようにエクスクルーシヴ楽曲で構成された一枚です。収録曲にデリック・メイやカール・クレイグの曲がないため、初見ではいまいち地味な印象を抱いてしまいがちですが、コンピ自体の完成度は意外にもかなり高く、特にアナログでのA面にあたる前半4曲は完璧。アーティスト名が変名だらけなので分かりにくいですが、M-1のRainforestはジョン・ベルトラン、M-2のThe Pathはダン・カーティン、M-3のSerena "X"はケニー・ラーキン、M-4のDimensionsはホアン・アトキンスの作品です。いずれ劣らぬ素晴らしい出来になっていますが、そんな中にあって個人的に注目したいのはデトロイトテクノのオリジネーターであるホアン・アトキンス。サイボトロン~Model 500の諸作を聴いた印象から、ヴォコーダー交じりの無骨なテクノを作る人という固定観念を持っていましたが、本作ではそんなイメージとは180度異なるインテリジェントなピュア・テクノを披露。この手の繊細な音作りのイメージがなかったため、初めて聴いたときは驚いたものです。初級者(≠初心者)以上のデトロイトテクノ・リスナーなら、正直この一曲のためだけに買ってもお釣りが来る一枚かと思います。一連のBuzz作品の中では比較的相場も落ち着いているため、見つけることが出来れば国内盤の新品CD一枚買うくらいの値段で手に入るはず。ちなみに同時期にリリースされた、カール・クレイグによるSerena "X" (Inner Zone Mix)は数ある彼のリミックス・ワークの中でも最高峰と呼べる作品のうちの一つ。あいにく本作には収録されていませんが、こちらは後にいくつかのコンピでCD化されているため、合わせて聴いてみるとよいと思います。
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Embrace The Future / Various Artists

2015-04-01 | Detroit Techno
前回までの3枚に比べ紹介される頻度が低く、Buzz関連盤の中でも比較的マイナーな部類に入ると思われる一枚。Lawrence Burden(ローレンス・バーデン)、Lenny Burden(レニー・バーデン)、Lynell Burden(ライネル・バーデン)のバーデン3兄弟からなるファミリー・ユニット、Octave One(オクターヴ・ワン)が主催する430 Westレーベルの作品群を集めたコンピレーション作品です。この430 West、今となってはDJ Rolando a.k.a. The Aztec Mysticの大ヒット作であるJaguarのリリース元としてファンの間で広く知られていますが、本作がリリースされた1992年の時点では、まだ設立後わずか1年のマイナー・レーベル。カタログ数も少なかったためか、レーベルコンピという体裁を取りながらも半数以上の曲がエクスクルーシヴという、ちょっと変わった構成になっています。ただそれらエクスクルーシヴ楽曲を含めても、全体的にわりと高クオリティの作品ばかりで固められているため、コンピレーションとしての完成度はなかなかに高め。いかにもデトロイトと言った雰囲気のシンセが気持ちいいDestinyによるM-1のKaleidascopeを筆頭に、スペイシーな楽曲が並びます。中でも圧巻なのがOctave One自身によるM-7のI Believe。Transmatからリリースされたオリジナルが非常に良く知られていますが、本作収録ヴァージョンはピアノのリフ主体のすっきりとしたアレンジに仕上がっているため、BGMとしての完成度という点では、ある意味オリジナル以上と言えるでしょう。ちなみにその他収録曲ではビルヴィレ・スリーと並び第四のオリジネーターと言われるEddie Flashin' Fowlkes(エディ・フラッシン・フォーク)のナンバーなどもさらりと収められており、アルバム通して聴きどころはわりと多め。その知名度の低さから日本の中古市場に並ぶことは稀ですが、海外から直接購入すればそれほど労せず入手できると思いますので、気になる方は是非聴いてみてください。
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