At The Living Room Reloaded

忙しい毎日の中で少し足を止めてみる、そんな時間に聴きたい素晴らしい音楽の紹介です。

Thanks Giving / Ramu

2013-09-23 | Japanese AOR
80年代歌謡曲界きっての問題作として、一部ではカルト的人気を誇るラ・ムーによる唯一のLP。当時清純派アイドルとして人気のあった菊池桃子が突如「ロック歌手」宣言をし、3枚のシングルの後にリリースされたのがこのアルバムです。もっとも「ロック」という文句はただの釣りで、実際の音楽スタイルがブラコン要素の強いテクノポップだというのは今となってはよく知られた話。当時はセールス的にまったく振るわなかったようですが、今の観点で聴くと捉え方によっては名作に聴こえるのだから不思議なものです。先行してシングルが切られたA-5の「少年は天使を殺す」やB-2の「Tokyo野蛮人」はさすがに電波過ぎて厳しいものがありますが、アルバムのみに収録された曲の完成度はなかなかのもので、特にA-3の「夏と秋のGood-Luck」はスタイル・カウンシルのThe Lodgersを上手に引用したJ-AOR屈指の名曲。中盤のサックスソロや黒人女性コーラスなど、この時代らしいクリスタルな魅力に満ちあふれた素晴らしいナンバーになっています。決して歌がうまいとは言えない菊池桃子のウィスパー・ヴォイスを最大限に活かす、思春期特有のノスタルジーを表現した歌詞も抜群。ほとんど奇跡みたいな化学反応が起きた突然変異のモンスター曲と言って良いでしょう。また、続くA-4のTwo Years Afterも雰囲気こそ違うもののなかなかの名曲。切ないハーモニカの音色が胸を打つ甘酸っぱさ全開の片思いソングで、秋の夜長にぴったりなナンバーです。アイドル声で歌われるJ-AORが好きな方ならばほぼ確実にハマるはず。1989年という微妙な時期のリリースのためアナログはなかなか珍しいですが、CDなら普通に手に入ると思うので気になる人は是非。これからの時期のBGMとしては最適な一枚と思います。
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Claudia Telles / Same

2013-09-22 | Brasil
サンバカンソン~ボサノバの歌姫シルビア・テレスの愛娘にして、現在でも現役として活動している女性シンガー、クラウディアによる1979年作。ジャケットの写真はなんだか少し怖い気がするものの、実際にはなかなかの美人さんです。広い意味ではMPBと言うべき作品なのでしょうが、この時期らしく全体的にシンセが多用されていることもあり、ブラジル版シティポップスの一枚として捉えるのが今の気分。カナディアン・フレンチAORで一世を風靡したダイアン・テルの80年代作品あたりに近い雰囲気を持つ名盤と言えるでしょう。どこか切なくも優しいメロウバラードなA-2のUm Amor Tão LindoやA-5のTristezas De Ontemを中心に柔らかい音作りのナンバーが並びます。特に素晴らしいのはA-6のTão SoとB-2のFoi Como Um Sonho。どちらもアメリカナイズされたフロア向けのミディアム・ナンバーで、その高揚感と綺麗なメロディラインからブラジル版フリーソウルと言い切ってしまって遜色ない名曲です。30代以上のサバービアOBならノスタルジックな気分に浸れること請け合い。シンセの音を中心にしながら要所で控えめなホーンが入る、この年代ならではの柔らかくアナログな音作りが好きな人には堪らないナンバーかと思います。主役を務めるクラウディア自身の声質もフリーソウル向きの可愛らしいものなので、その点でも個人的には高得点。この手の声の女性シンガーは探すとなかなかいないものです。あいにく残念ながらCD化はされていないようですが、アナログではそこまでレアと言うこともないと思いますので、気になる人は是非チェックしてみてください。テルサの青盤コンピを聴いてピンと来た方なら、まず間違いなくツボにハマるであろう一枚。いわゆる定番曲を聴き尽くした上で、非英語圏のフリーソウルが聴きたいという方にもぴったりだと思います。
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Enquanto Houver Amor / Cornelius

2013-09-21 | Brasil
しばらくJ-AOR系の紹介が続いたので少し趣向を変えてブラジルものを。Made In Brazilなるロックグループのヴォーカリストでその後ソロで活動した美形白人シンガー、コーネリアスが1979年にリリースしたシングルです。この人は76年にSanta Feというアルバムも出しており時々店頭でも見かけますが、AOR的にオイシイのはやはりアルバム未収のこのシングル盤。片面1曲ずつしか収録されていない33回転の7インチ盤ですが、A面のタイトル曲、そしてB面のDeixaともにこの年代らしいブラジリアンAORの佳曲となっており、人気が高いのも頷けます。この辺りのブラジリアンソウル~AORを聴くにあたっては、良くも悪くも(いわゆるボサノバやMPBのような)ブラジルらしさがどれだけ残っているかが一つの尺度となりますが、この盤の場合両面とも歌詞がポルトガル語であるということ以外ブラジル色は非常に希薄。人気のドン・ベトらと同様、完璧にアメリカナイズされたサウンドになっているため、ブラジル産独特の音作りに抵抗のある正統派のAORファンやモダンソウル愛好家でも難なく受け入れることが出来るかと思います。フロアで人気が高いアッパーなこみ上げ系メロウナンバーのDeixaももちろん良いですが、個人的に押したいのはA面のタイトル曲。若干ディスコのテイストが入ったライトメロウな良曲で、フリーソウルやシティポップス系の音が好きな人ならば気に入ること請け合いでしょう。黒人音楽と白人音楽の中間を上手く縫うようなこの手のサウンドは大好物なので、聴いていると自然にテンションが上がります。ノンジャケットのシングル盤なので正直あまり購買欲が湧きづらい一枚ではありますが、買って損のない一枚であることは間違いないので、興味のある人は探してみてください。それほど極端にレアな盤というわけでもないので、見た目よりは手に入りやすい一枚かと思います。
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Best Friend / 児島 未散

2013-09-15 | Japanese AOR
元二枚目俳優の宝田明とミス・ユニヴァースにおけるアジア人初の優勝者である児島明子を両親に持つ、いわゆる二世タレント的な女性シンガー児島未散が高校在学中の1985年にリリースした1st。あいにく世代が違うため彼女自身が当時メディアでどのように取り上げられていたのかは存じませんが、松本隆と林哲司というシティポップス~J-AOR界では非常に強力な二人が全曲に作詞作曲でクレジットされており、演奏メンバーもパーカッショニストの斉藤ノブをはじめ松原正樹(g)や新川博(key)らが参加と何やら豪華なため、なんとなく興味を惹かれて購入してみました。内容的には「オンショア・ウィンドに乗って、エンドレス・サマーの唄声がとどく。」と書かれた帯の文句そのままにオーシャン&メロウ。なんとなく先日紹介した二名敦子の3rdをもう少しアイドルポップス寄りにしたかのような雰囲気で、中には正直今聴くには少し厳しい楽曲もありますが、このあたりの産業系シティポップが好きな人ならば、まぁそれなりには満足頂ける一枚かと思います。当時シングルカットもされたB-1の「セプテンバー物語」を筆頭に、どこか懐かしくも都会的なナンバーが並ぶ作品ですが特筆すべきはA-4のタイトル曲。思い切り二名敦子路線なアーバンミディアムグルーヴに、まだ少女らしさの残るあどけなくも舌足らずな児島のヴォーカルが乗る絶品ナンバーに仕上がっています。J-AORというよりはシティポップスと表現したほうが適切かと思いますが、このあたりの音楽を好む30代以上の男性ならば独特のノスタルジックな雰囲気にやられること間違いなしでしょう。サノトモミがヴォーカルを務めていた時期の流線系に通じる絶妙な甘酸っぱさがツボです。なお僕が所有しているのはアナログ盤ですが、CDでも何度かリリースされているようなので入手は比較的容易かと。気になる人は是非聴いてみてください。ちなみに彼女はこの4年後VAPに移籍することになりますが、移籍後の作品もなかなかの出来なので興味のある人はそちらも合わせてどうぞ。
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Masahito Arai / 新井 正人

2013-09-14 | Japanese AOR
元パルのリード・ヴォーカル、新井正人による1987年のソロ・ファースト作品。一般的には(というか僕と同じような年齢層の男性にとっては)この前年にリリースされた、アニメ機動戦士ZZガンダムのOPテーマである「アニメじゃない〜夢を忘れた古い地球人よ〜」の方が遥かに知名度が高いと思われますが、彼本来の持ち味は実はこちらのJ-AOR路線だったりします。年代的にはやや新しめの作品ですが、イラストレーターの鴨沢祐仁が描いた素敵なジャケットワークに負けず劣らずのアーバンな楽曲が全編に渡り展開されており、この時期の作品としてはなかなかの好盤。後に彼自身がブランニュー・オメガトライブの中核となることからも察せられる通り、角松敏生や杉山清貴あたりの優男系ポップAORが好きな人にとっては堪らない内容かと思われます。中でも白眉はA-4の「モーニング・サブウェイ」。はっきり言ってしまうと単にマーヴィン・ゲイのMercy mercy Meをモロパクりしただけのナンバーなのですが、頼りなげな新井自身のヴォーカル・ワークや都会的な歌詞と相まり、これはこれで魅力的な一曲に仕上がっています。オメガトライブのDear Breeze(こちらはレイ・パーカーJr.のWoman Needs Loveがネタ)と並び、洋楽パクり系J-AORの二大巨頭と言ってしまって良いでしょう。日本人はなぜか昔からこの手のパクりやフォロワーに大して異常なまでに厳しく、そうと分かると途端に激しい嫌悪感を示す人が多いですが、個人的にはパクりであろうと何であろうと楽曲自体のクォリティが高ければまったく問題という考え方なので、正直そのあたりはあまり気にしていません。オリジナルを超えた贋作など世の中には山ほどあるし、それらを贋作だという点だけでバッサリ切り捨ててしまうのはもったいないというのが僕の基本スタンスです。ちなみに本作、87年という微妙な時期のリリースのためアナログは高額ですがCDならば簡単に手に入るので、特にこだわりがないという方はそちらで買うのが吉。気になる方は変な偏見にとらわれず是非耳を傾けてみてください。
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Run To Live, Live To Run / 円道 一成

2013-09-09 | Japanese AOR
嗄れ声の日本人ソウル・シンガー、円道一成が1983年にリリースした3rdアルバム。今となっては正直この円道氏自体の知名度はそれほどでもありませんが、山下達郎が全面サポートしたナンバーが2曲収録されており、未CD化ながらその筋では比較的人気の高い作品です。気になる達郎関連ナンバーはA-5のL.A.BabeとB-2の「酔いしれてDeja Vu」。このうち特にB-2の「酔いしれてDeja Vu」は山下氏自体も相当にお気に入りのようで、2年前にNHK-FMで放送された「今日は一日“山下達郎”三昧」で隠れ名曲として取り上げたり、昨年リリースされたベストアルバムでセルフカバーしてたりしていました。同時にピックアップされていたKinki Kidsや鈴木雅之らのネームバリューと比較すると、いずれも普通に考えれば有り得ない選曲なので、氏がいかにこの曲に愛着を感じているかが分かります。曲調としてはミディアムテンポのブルージーな和製AORナンバー。歌声にクセはありますが、そこさえ気にならなければおそらくわりと万人に受けるタイプの曲かと思います。個人的にはその他収録曲も含め、現クレイジーケンバンドの横山剣在籍時のクールス辺りに近い質感のアルバムとして比較的お気に入り。例の曲とは同名異曲ながらB-3に「シンデレラ・リバティー」なる曲が収録されていたりと、それなりに共通項も感じられるため親和性は高いと思います。昨日紹介した角松敏生らの優男路線とはまた少しベクトルが違いますが、これはこれで古き良き昭和を感じるシティポップスの一つの形。たとえば井田リエや当山マイラ恵子あたりのメロウながら多少やさぐれた雰囲気の曲が好きな人なら、きっと気に入るはずです。かっこいい不良の音楽という表現がぴったり。冒頭にも書いたように未CD化ですが、それほど極端にレアなアルバムと言うわけではないので、気になる人は探してみてください。
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Reasons For Thousand Lovers / 角松 敏生

2013-09-08 | Japanese AOR
数ある彼の作品の中でも取り上げられることが比較的少ない1989年のアルバム。1981年のデビュー以来、ベスト盤や企画盤を含め80年代を通してやたらとリリースが多い彼ですが、本作は通算8枚目のオリジナル作品に当たるそうです。角松敏生と言えば、昨今のシティポップス・リバイバル・ブーム的には山下達郎ラインを踏襲したライトメロウな初期のリゾート路線がやはり人気で、個人的にも初期3作と「初恋」は捨てがたいのですが、実は最も良く聴いているのは本作。スピーディーな曲もなく全体的に地味な作品ではあるものの、80年代末期特有のバブル感が最も顕著に現れた一枚で、少しノスタルジックな気分に浸りたいときに重宝しています。この時期らしい打ち込みビートと生音が融合したA-1の「飴色の街」、イントロのシンセの音色がたまらなくライトメロウなA-5のPolar、それから変拍子のバラード・ナンバーであるB-4のMoonlight Tokyo Bayあたりを筆頭に、初期のリゾート路線と共に彼のもう一つの顔である「真夜中の大都会」路線の名曲がずらり。いずれも決して派手なナンバーではなく、当然のごとくフロアで使えるような類のものでもありませんが、深夜のラジオからふと流れてきたら何となく少し嬉しくなりそうなオトナ系のポップスで、個人的には非常にお気に入りです。そして何より本作最大の魅力はこのジャケット。数多あるシティポップス系の作品の中でも、ジャケの構図と色合いだけでここまで都会の洗練された空気感を出せるアルバムを他に知りません。ちょうどLPからCDへの移行がほぼ完了した時期の作品でLPのプレス数がCDと比べ極端に少なかったらしく、街のレコード屋でもなかなか遭遇する機会はないですが、これはアナログの大判ジャケットで持っていてこそ価値がある作品かと。当時オリコンでも最大4位になった作品とのことで、CDならば労せず手に入れることが出来ますが、だからこそ逆にマニアならばやはりここはアナログを探してみてほしいものです。
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Nightwatch / Kenny Loggins

2013-09-08 | AOR~BES
もう何年も前から毎年この時期になると聴きたくなるのが、本作B-2に収録されているWait A Little Whileという曲。以前はオルガンバーの初期ミックステープに収録されていたパティ・オースティンによるカバーを好んでいましたが、ここ2~3年はAOR志向が高いこちらの本家ヴァージョンの方を聴いています。エレピとフルートの爽やかな演奏に乗せながら♪Here's a sweet September morning~と歌われる開始数秒で部屋の空気が一変する魔法のナンバー。ロギンスの頼りない優男風なヴォーカル含め、90年代の第二次AORリヴァイヴァル・ブーム以降に持て囃された曲の構成要素がたくさん詰まっている一曲なので、リアルタイム派のリスナーでもなくても好きな人が多いのではないでしょうか。特にエリック・タッグの2ndあたりを愛聴している方にとってはまず間違いなくマストなはず。リリース当時ヒットした、メリッサ・マンチェスターとの共作であるB-1のWhenever I Call You "Friend"(二人の誓い)もなかなかに良い感じですが、フリーソウルを通過した今の気分で考えるとやはり本命はこの曲でしょう。ちなみにアルバム自体の紹介も簡単にしておくと、ロギンズ&メッシーナのデュオを解散したケニー・ロギンスが1978年にリリースした2枚目にあたる作品です。AOR界隈では比較的よく知られたアルバムで、1000円以下で買える中古盤屋の安売り常連アイテムなので、その気になって探すまでもなく、何軒か街のレコード屋を回ればおそらくすぐに見つけることが出来るでしょう。今の観点で聴くと正直アルバム全編通してお勧めできるという類の作品ではないですが、このWait A Little While一曲のためだけに買ってもお釣りが来る作品なので、そもそも聴いたことがないという方、それから存在は知っているけれどしっかりと聴き込んではいないという方は是非。いつも高いレコードばっかり買って、この手のどこにでもある盤を聴き逃している方、実は以外と多いような気がします。
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In Concert / Kalapana

2013-09-07 | Hawaii
このブログでは既にお馴染みカラパナによる1978年の実況録音作品にして、この年の1月に行われた中野サンプラザでの初来日ライブと、ハワイへの帰路途中のグアムで2月に行われたライブからの模様が収められた日本オンリーのリリースとなる一枚。既にマッキー・フェアリーが一時グループを離れた後の作品ではあるものの、傑作3rdアルバムとその後にリリースされた同名映画のサントラであるMany Classic Momentsに挟まれた時期の録音とあって内容的には非常に充実したものとなっており、実は密かに愛聴している作品だったりします。と言うかマッキー在籍時の初期2作は、例のスマッシュヒット曲Julietteや代表曲であるBlack Sandを筆頭に正直若干聴き飽きている感もあるため、3rd以降のナンバーを中心に演奏している本作は逆に新鮮。この時期の彼ららしくメインヴォーカルは曲によってころころと変わっていますが、全体的に統一感があるためあまり違和感もなく聴ける一枚となっています。特にA-2のSongbirdやA-3のThoughts Of Youあたりは絶品の演奏。スタジオ録音盤の出来も素晴らしかったですが、こちらのライブ録音版も非常に完成度が高いメロウ・ナンバーとなっているため、ライトメロウ好きならほぼ間違いなくやられることでしょう。そして何よりの名演はカーク・トンプソンがヴォーカルを取るC-3のDown By The Sea。コンテンポラリー・ハワイアンの代名詞とも言えるマイケル・パウロのサックスが全編にわたり大きくフィーチャーされたナンバーで、その臨場感から後のスタジオ録音版より5割増で完成度が高い絶品アイランドメロウです。ちなみにリリースは国内Trio Recordsから。この後に続くデヴィッド・ジョン、マイケル・パウロ、R.J.キーンバンド、サマーらの各作品と共に既にCD化も果たされていますが、アナログでのレアリティーも他作品と比べ格段に低いため、少し探せば入手は容易かと。値段以上の価値は確実にある一枚なので、まだ聴いたことないという方は是非聴いてみてください。夏の終わりを彩るには最適な一枚です。
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Lost In The Shuffle / Steve Shohfi

2013-09-01 | AOR~BES
近年一部で知られるようになったニュージャージー産のメロウフォーク。Steve Shohfi(スティーヴ・ショーフィ)なるシンガーソングライターが1983年に残した自主盤です。本作においてギターとシンセを弾きながら、ほとんどの曲を自作しているということ以外はまったく情報がなく、詳細については正直よく分からない人なのですが、個人的にはジャケットの雰囲気と自主盤ということから、なんとなくフィリップ・フランシス・スタンポあたりに似たようなイメージ。ジャケ写を見るとコメディアンばりに陽気な印象を受けますが、曲の方は比較的落ち着いたものが多く、いかにも自主盤然としたSSW~メロウフォークとなっており、良くも悪くもアメリカの片田舎で作られたと言った雰囲気の地味な一枚です。さて、そんな本作におけるAOR~BES観点での注目曲はやはりA-2のTropical Weekend。タイトルから受ける印象とは異なり、ファンカラティーナ的な弾ける雰囲気はありませんが、真夏にビーチサイドの木陰でひっそりと涼んでいるような素敵なナンバーで、どことなくマリンフレーバーを感じる一曲となっています。控えめなサックスと優しげなヴォーカルが程よくマッチしたライトメロウな佳作。先日紹介したケヴィン・マウのThe Love She Gives To Meなどと共に、ビーチサイドのカフェで流れていそうなお洒落なナンバーです。その他の曲で良い感じなのはB-3のIf There Wasn't A You In My Life。こちらはどことなくSummerあたりのコンテンポラリー・ハワイアンに近い雰囲気もあるので、そういった音が好きな方にお勧めかもしれません。正直あまり一般受けしそうな派手な楽曲は収録されていないので、この先もCD化されることはまずないと思いますが、マイナー盤好きは一度聴いてみても損はないはず。いずれにしろ全体的に弾数の多いアルバムではないことは間違いないので、気になる人はお早めに。毎度のことですが、この手の作品は一度市場からはけてしまうと次に出てくるのが当分先ということもザラなので、買えるうちに買っておくのが鉄則です。
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