At The Living Room Reloaded

忙しい毎日の中で少し足を止めてみる、そんな時間に聴きたい素晴らしい音楽の紹介です。

Ginette Reno - Michel Legrand / Same

2006-07-31 | Contemporary Jazz
一部のマニアの間では微妙に知られている本作は、カナダの女性ジャズ歌手Ginette Renoのライブを、鬼才Michel Legrandが全面的にバックアップした実況録音による一枚。86年と言うかなり新しい年代のレコードながら、その内容はあまりにも素晴らしいビッグバンド・ジャズ・ヴォーカルです。特に見事なまでにルグラン節が炸裂しているA面は、彼の数ある作品の中でもトップクラスにキレたアレンジが抜群。LPに針を落とした後、開始わずか30秒で聴くものを虜にさせる高速ビッグバンドA-1、Quand Ca Balanceがまず鳥肌モノですね。キラキラとめくるめくビッグバンドのアレンジは正に彼の真骨頂と言ったところでしょうか。同タイプながら若干スパイ映画指数が高めなA-3のL'amour En Scieも、ルパンライクな高速4ビートがスリリングなキラー・ナンバー。さらに極めつけはA-2のTo Love。ルグラン自身もヴォーカルで参加しデュエット形式で歌われるこの曲は、なんと「ロシュフォールの恋人たち」のラスト付近で使われていた「夏の日の歌」のセルフカヴァーになっています。おまけに使いにくかったオリジナルに比べ、きちっとしたドラム・ブレイクのイントロが数段DJフレンドリー。もう、この3曲のためだけでも絶対に買ったほうがいい一枚です。カナダ盤オンリーと言うことですが、意外に探せばひょこっと出てきそうなレコードで、値段もそんなには高くないと思います。お洒落系DJはマストですね。オススメ。
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A Hora E Vez Da M.P.M. / Rio 65 Trio

2006-07-29 | Brasil
何気に久しぶりの紹介となるジャズボッサもの。ピアノのDon Salvador、ベースのSergio Barroso、それからドラムスのEdison Machadoによるピアノトリオ、その名もRio 65 Trioによる66年の2ndアルバムです。彼らと言えば、1stに収録されたMeu Fraco e Cafe Forte(濃いコーヒーを)という曲が良く知られていて、この2ndの方はあまり話題に上がることがないような気がしますが、だからと言って聴かないというのでは少し勿体無い気がするので紹介させてください。さて、まだまだ荒削りな演奏ながら、そのダイナミックさが魅力の1stと比べて、幾分洗練された1枚に仕上がっているのがこの盤の特徴。冒頭を飾るM-1、Cartao De Visitaのようなハード・ドライヴィングなジャズ・ボッサも収録されていることはいますが、基本的にはもう少しお洒落系と言うかソフト路線でまとまっています。M-2のDeve Ser BonitoやM-5のPonte Aereaあたりにその傾向が顕著ですね。今の気分的にオススメなのは、M-4のApeloとM-12のSeu Encanto。前者はゆったりとしたマイナーコードのボサノヴァ、後者はいわゆるジャズ・ワルツの佳曲。どちらも夜感漂うモーダルなナンバーなので、クラブシーンにおける昨今のモダンジャズ・ムーブメントにも対応可かと思われます。もちろん彼らのテーマであるM-10のRio 65 Temaなんかも最高。これからの暑い季節を乗り切るには、こういった洒落たジャズボッサなんかいかがでしょうか。
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458 R.T. / Day Is Over

2006-07-25 | Contemporary Jazz
最近moderntiquesさんのブログで紹介されていて、気になって購入したのがこの盤。Mike Koskinenという方の曲とスプリットでリイシューされた12インチ盤です。最も僕が聴いているのはもっぱらA面のみなのですけれど…。このリイシューのリリース元となっているJazzpuuは確かフィンランドの再発系レーベルだったと思うのですが、クレジットを見る限り録音自体はストックホルムで行われている模様。Jazz Quintet'60での活動が有名なAllan BotschinskyとNHOP、それから近年Five Corners Quintetにもゲスト参加していたベテラン・サキソニストEero Koivistoinenの参加が目玉でしょうか。75年という微妙な年代とエレピ使いから、全体としてはブラジリアン・フュージョンっぽいアレンジに仕上がってはいますが、各々のソロは相変わらず抜群に格好いいし、曲自体のテンポも高速でノリが良いので、おそらくクラブ・ジャズ好きの方ならばツボだと思います。Boillat=Theraceのハートマークのジャケや、最近では同郷のJukka Eskolaのソロ辺りに近い質感。もしかするとクラブ系のみならずモダン派の方でもいけるかもしれませんね。つい先日されたJudy Bailey Quartet等にも通じる雰囲気かも。リリース自体は微妙に古いのですが、調べてみたところJet Setが最近何枚か仕入れたようです。デッド・ストックでしょうか?まぁ、とりあえず興味があれば騙されたと思って聴いてみてください。
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Sentiments / Sahib Shihab

2006-07-23 | Hard Bop & Modal
今や全てのアルバムが人気のSahib Shihabによる71年のStoryville盤。71年というとまだクラーク=ボラン楽団に在籍中のはずですが、この盤ではそのビッグバンドの面々とはまた異なるメンバーを迎えて吹込みが行われています。同じく渡欧組のピアニストKenny Drewと、後にPharoah Sundersのグループにも加わることになるドラマーJimmy Hopps、さらに欧州ナンバーワン・ベーシストNHOPを従えたワンホーン・カルテットによる本作は、一言で形容するならば「円熟」という表現が非常に適切な一枚。収録曲もオリジナルがほとんどなのですが、どれも非常に洗練されたスマートな演奏で素晴らしいです。ペデルセンが奏でる重厚な4ビートとサヒブらしい無国籍風のソプラノ・サックスによるテーマが印象的なA-1のMa'neeは、録音時期は若干異なるもののJazz Quintet-60'辺りにも通じるデニッシュ・モーダルの好例。高速調バップのA-3、Rue De La Horpeも非常にスマートなアレンジで良いですね。ソプラノ・サックスの音色のせいかワンホーンなのに野暮ったくなっていないところも高得点です。さらに何故か突然オルガンを配しソウル・ジャズ風の展開を見せるB-1のタイトル曲は、レア・グルーヴ筋から人気のナンバー。とにかく紹介した曲以外も全曲最高なので、欧州ジャズ好きならば是非聴いてみてください。ちなみに近年別ジャケでCD化されている他、少ないながらも当時の国内盤アナログと言うのが存在します。オリジナルは決して安い盤とは言えないので、興味があればこちらでどうぞ。
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Playtime / Don Rendell Jazz Six

2006-07-20 | Hard Bop & Modal
Tubby HayesやRonnie Scottと並び称されることが多いイギリスの名テナー奏者、Don RendellがJazz Six名義でDeccaレーベルからリリースした58年録音のアルバム。後にトランペッターのIan Carrと結成した双頭コンボでは、マイルスやコルトレーンからの影響を受けつつも、それを独自に昇華した演奏を披露してくれることとなるのですが、この時点においてはまだそうしたモーダル~フリーな雰囲気はあまりなく、全編においてかなり快活でストレート・アヘッドなハード・バップを展開しています。58年という微妙な時代柄、アメリカのジャズを単純に模倣している感は否めませんが、それでも楽器自体の演奏能力はそれなりに高いし、オリジナルの曲などもあるので一聴の価値はあるのではないでしょうか。軽やかにスウィングするM-3のMy Friend Tomというオリジナル曲なんかは、上手く使ってあげることが出来ればクラブ・プレイも可能かと思われます。当時のものとしては結構良い音ですしね。ちなみにDeccaからリリースされているオリジナル盤は結構レアで、おまけにこの辺りのUKジャズは皆そうですが高いです。とても僕たちのような民間人の手の届くレコードではないので、迷わず昨年再発されたCDを買いましょう。ちなみに先月号のジャズ批評に載っていた彼の7インチの内、Deccaからの2枚はこのCDに収録されていますよ。わりと普通に手に入るアルバムだと思うので、興味があれば聴いてみてください。
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Blue Train / Guido Manusardi Trio

2006-07-13 | Hard Bop & Modal
現代ヨーロッパにおけるトップ・ピアニストの一人であるGuido Manusardiの、記念すべきデビュー作に当たる67年録音のアルバムが本作。Jazz Next Standard誌にも掲載されていたので、ジャケットに見覚えのある方もいるのではないでしょうか。さて、名前からも分かるとおり彼はイタリアの出身なのですが、この当時はスウェーデンに滞在していたらしく、この盤もオリジナルはSwediscからのリリースとなっています。おまけにプレス枚数が少なかったそうなので、オリジナルで探すのはなかなか困難のよう。まぁNormaから紙ジャケ仕様のCDで復刻されているので、小市民の方々はこれで我慢しましょう。内容の方はと言うとM-3のArriving Soonが人気のようで、アフロ・キューバンの要素を取り入れた高速モーダルとなっています。どことなくドイツのジャズ辺りに通じる硬質で冷たいピアノ・タッチが特徴的。演奏的にはなかなか激しいものなはずなのに、全体にどこかクールネスが漂うのはこの繊細なピアノ・タッチの賜物でしょう。ちなみに個人的に気に入っているのはM-7のNigerian Walk。儚さと哀愁につつまれたワルツ・タイムのナンバーで、つい先日Nicola Conteもラジオでリコメンドしていましたね。クラブ・プレイ云々ではなく単純にモーダルな夜ジャズとして良い雰囲気です。それにしても大人のファンからは非常に人気があるらしい紙ジャケですが、個人的にはどうしてもあまり好きになれません。CDならば出来ればきちんとしたプラケースで所有したいものです。
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Gil Cuppini Quintet / Same

2006-07-11 | Hard Bop & Modal
Gil CuppiniことGilberto Cuppiniは、50年代後半~60年代のイタリアを代表するドラマー。あのBasso = Valdambrini双頭コンボの立ち上げに参加したドラマーと言った方が、クラブ世代の僕らにはピンと来るかもしれませんね。さて、本作はそんな彼の58~59年のセッションを収めた1枚。レギュラー・コンボを編成するような人ではないらしく、曲ごとに参加メンバーはまちまちだったりするのですが、全編通じて非常にスタイリッシュで格好いいイタリアン・ハードバップとなっています。特にGianni BassoとOscar Valdambriniがフロントとなっている曲などは、Giorgio AzzoliniとRenato Sellaniがリズム隊を務めていたりするので、もうこれはほとんどBasso = Valdambrini楽団の曲と言ってしまって差し支えないのではないでしょうか。ちなみに収録曲はスタンダード中心ですが、数曲オリジナルが取り上げられていたりもしています。個人的にベストトラックはValdambrini作によるA-3のIl Nord。アフロキューバンなイントロが否が応にもLotarを彷彿とさせる好ナンバーです。スタンダードながら疾走するA-2のBernie's TuneやB-7のI'll Remember Aprilもなかなか。オリジナルは高額盤ですがBroadwayから出ている2ndプレスなら普通に買えるレベルなので、クラブDJにもオススメの一枚です。
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Jazz Kolem Karla... / Karel Krautgartner

2006-07-09 | Hard Bop & Modal
前回から間が空いた更新になってしまいましたが、少し前に購入したLP盤を紹介したいと思います。チェコの国営レーベルSupraphonからリリースされた65年にリリースされた本作は、サキソニストと思わしきKarel Krautgartnerなる人のリーダー作。ジャケット裏を見ても何が書いてあるかイマイチ読み取れないので、MPSからのリリースで知られているヴァイブ奏者Karel Velebnyが参加していること以外、僕としても正直なところ良く分からないです。ただ、聴いた話によると後にリリースされたKK2という盤はこれの2ndプレスだそうで、そういう意味ではこちらがオリジナルに当たるそう。まぁジャケット的にも断然こちらの盤の方が素敵ですね。全体的に当時におけるチェコのジャズ・シーンの貴重な記録と言った雰囲気で、なかなか良い感じの曲が収録されているのですが、やはり注目すべきはA-1の31゜Ve Stinuという曲。タイトなドラム・ブレイクで始まり、ピアノ・ソロの導入部を経てホーンのアンサンブルによる豪快なテーマへと続く怒涛の展開には、思わず拳を握ってしまうこと間違いなし。終盤なぜかワン・フレーズだけ登場するコーラスも良い雰囲気。須永さんも最近テープに入れていましたが、正に「夜ジャズ」ど真ん中の一曲と言えそうですね。あまりどこにでもあると言った類のアルバムではありませんけれど、見つけた際には耳を傾けてみるのも宜しいのではないでしょうか。
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