At The Living Room Reloaded

忙しい毎日の中で少し足を止めてみる、そんな時間に聴きたい素晴らしい音楽の紹介です。

Love Birds / Archie Cavanaugh

2008-03-11 | Rock
このところ宇田川町界隈ではロジャー・ニコルスの40年ぶりのアルバムが話題になっているようですが、そんな裏で今年に入りひっそりとリリースされたのが本作。以前このブログでも紹介したアラスカのシンガー、アーチー(・ジェームス)・キャバナーの28年ぶりの2ndアルバムです。最もこちらはロジャニコと違い完全自主制作。大手の流通ルートには乗っておらず、当然の如く全くのノン・プロモーション。今のところ手に入れるには、アーチー自身のサイトから購入する以外に術がないので、よっぽどコアなライト・メロウ好きでも意外に見落としている方が多いのでしょうか。僕も某所で紹介されているのを見るまでは、この新作の存在を全く知りませんでした。ただ、そうした知名度の低さとは裏腹にアルバム自体の完成度は非常に高く、この手のAOR好きなら見逃すのはもったいなさ過ぎる作品。ややダンサンブルな傾向の強かった前作に比べ、全体的に落ち着いた雰囲気にはなっていますが、あの瑞々しい奇跡のような歌声は今作でも健在。写真で見る限り、どう考えてもかなりのご高齢なはずなのですが、こうして声だけ聴くと20代と言われても全く違和感ないほどです。曲はいわゆるアダルト・コンテンポラリーなものが中心。都会的かつ繊細な大人のロックが満載です。どの曲も素晴らしいですが、M-7のLet Me GoやM-12のTogether You & Meは特にフリーソウル度が高く、サバービアな雰囲気が好きな人にもオススメ。たまらなくアーベインな雰囲気が余りに素敵過ぎます。ポップなメロディーでアップ・テンポに進むM-13のI Can't Get You Off Of My Mindや、泣きのサックスで始まるM-4のRemember When辺りもアーバン度高めで良いですね。コンテンポラリー・ハワイアンにも通じるスムース・ジャズのM-6、Perfect Love Songも正にタイトル通り完璧な一曲。クラブ・プレイ云々を抜きにして考えたら、個人的には前作よりむしろ本作の方が好みかもしれません。仕事で疲れた後の帰りの電車でこんなアルバムを聴いたら、ふっと優しい気持ちになれること間違いなしの大名盤。本人の名前で検索かけたらすぐにサイトは見つかるので、興味のある方は是非チェックしてみてください。
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Amplified Heart / Everything But The Girl

2006-01-12 | Rock
80年代のニューウェーブ~ネオ・アコースティック期に一世を風靡したEverything But The Girlによる94年のアルバム。たまたま行ったカフェにてかかっていたアルバムが妙に良くて、思わず店員に流れている曲のことを聞いてみたらこれでした。彼らの通算7枚目のアルバムになるそう。この盤の次回作からドラムンベースに傾倒していくことになる彼らですが、嵐の前の静けさとでもいうか、本作は原点に立ち返ったかのようなアコースティックな一枚に仕上がっています。どちらかというとEBTGの作品と言うより、Ben WattとTracy Thornそれぞれのソロ作の雰囲気に近い感じ。しかしながら、時代はアシッド・ジャズ真っ只中ということで、アコースティックな中にもその要素が若干見え隠れしていたりもするのが面白いです。特にアシッド・ジャズのエッセンスをうまい具合に昇華したM-2、Troubled Mindという曲が出色。基本的にはとても静かな曲なのですが、ボッサ調のビートがグルーヴィーで、聴いていると自然と胸が躍る一曲です。コーラスが美しいサビも素晴らしい。こういう曲はクラブで聴くのには向かないかもしれませんが、カフェでまったりと聴くには最適ですね。あまり話題に上がらない90年代のEBTGですが、ひそかにこういう盤も存在するのだから侮れません。まだまだ世界には僕の知らない音楽がたくさんあるなと思い知らされました。
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You Can't Hide... / Orange Juice

2005-09-07 | Rock
You Can't Hide Your Love Foreverというのが正式なタイトル、誰にでもある淡い青春の思い出をレコードという形にして閉じ込めたネオアコ永遠の名盤。スコットランドのOrange Juiceによる81年の1stアルバムです。何と言ってもまず目を奪われるのは、この素晴らしきジャケット・ワーク。これまでにも数々の素敵なジャケットを掲載してきましたが、その中でも上位に入るグッド・デザインです。爽やかさという点ではFreda Payneの水着ジャケと同じくらい好き。音の方はというとAztec Cameraの1st辺りにかなり近い雰囲気の青春ネオ・アコースティックと言った感じです。最初は少し気になる特徴的なヴォーカルも聴いているうちに慣れてきて、案外悪くないかもしれないと思えてくるから不思議。それにしても当時のUKではこういう歌い方が流行っていたんですかね?Tracey ThornやKalimaなんかも似たような声質だし。まぁこちらの二人は両方とも女性ですが・・・。曲的にはA-5のDying Day、A-1のFalling And Laughing辺りが好き。Al GreenカヴァーのA-6、L.O.V.E.もなかなか良いです。全体的に本当に戻らない青春の1コマと言った感じで、ふと懐かしさに浸りたくなった時にターン・テーブルに乗せるとハマりそうですね。
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In Between Dreams / Jack Johnson

2005-09-05 | Rock
雨降りの午後にはこんなアコースティックなアルバムを聴いてのんびり過ごすのもいい。今年売れに売れていて、もはや紹介するのに「今さら」感すらあるJack Johnsonの3rdアルバムです。彼はサーファー出身のシンガー・ソング・ライターとしても広く名を知られていますね。さて、一般にサーフ・ロックとされているこのアルバムですが、僕の中ではサーフと言うよりもフォークな印象。フォーキー・ソウルってところでしょうか?アコースティック・ギターの音色がどこまでも心地よくて、その上に乗るジャックの儚げなヴォーカルも良い雰囲気。Handsome Boy Modeling Schoolと共演した曲の取り直しであるB-5のBreakdown辺りも良いですが、やはりA-1のBetter Togetherが出色の出来。イントロが流れてきた瞬間に気分はハワイアンです。続くA-2のNever Knowもミディアムなフリーソウルと言った趣で好きです。全体にどこかトラディショナルな雰囲気も漂っていて、リラックスしたい時に聴くと良いアルバム。CD/レコード共にリリースされていますが、こういう音はやっぱりアナログで持っておきたいですね。女の子にもオススメです。
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A Distant Shore / Tracey Thorn

2005-08-29 | Rock
折り畳み式の椅子に座り、物憂げな表情でどこかを見ている彼女。視線の先には何が見えるのでしょう?それはおそらく「遠い渚」なのではないでしょうか。さて、今回紹介するのはEverything But The GirlのTracey Thornによる82年のソロ・アルバムです。前述Ben WattのNorth Marine Driveと並び称されることが多いこのアルバムは、とてつもなく上品なアコースティック・サウンドの結晶。ほぼアコギの弾き語りのみで形成されている盤ですが、それでも古臭いフォークなんかとは少し違い、小洒落たNew Waveの香りが全編から伝わってくるから不思議です。余計な音を贅肉のように削ぎ落とし、ただただシンプルさを追求していったがために到達した一つの真理。そんな雰囲気を感じる名盤ですね。アルバムを包み込むグルーヴが全体的にとても心地よいのですが、特に一曲挙げるとしたらA-2のSimply Couldn't Careが僕は好き。カヴァーとなるA-4のFemme Fataleもなかなか。夏も終わりを迎えて季節は徐々に秋へと向かっていくもの、そんな少し寂しげな気分の午後、自宅でコーヒーを飲みながら聴くとうまくハマります。クラブ的なアルバムでは決してありませんが、たまにはこんな盤を聴きながら過ごすのも悪くないですね・・・。
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Thinking Of You / Paul Weller

2005-08-27 | Rock
JAM~Style Councilを経て、現在はソロとして活躍している御大Paul Wellerによる昨年リリースされた限定7インチ。Studio 150というアルバムからのシングル・カットで、タイトル曲はSister Sledgeのフリーソウル人気曲カヴァー。元々がディスコ系ユニットの曲なので、原曲はしっとりとしていながらもダンサンブルなのですが、こちらはそれをゆったりめのネオアコ~ギター・ポップでカヴァー。スタカン時代なんかから比べると随分年を取った感のあるポールの声と相まって、渋く哀愁溢れる曲に仕上がっています。サビで入るストリングスも込み上げ度をアップさせている感じ。ピッチを少し上げてパーティーの終わり、明け方のフロアでかけたら似合うかもしれません。ちなみにB面に収録されている2曲はアルバム未収録曲だそう。オルガンとトランペットがモッドっぽいB-2のNeedles & Pinsがなかなかお気に入りです。なんとなくスタカン時代を彷彿とさせますね。それにしても彼のセンスって本当に日本人好みでオシャレ。僕は昔からのファンではないですが、日本で昔から人気があった人だというのも頷ける気がします。CDシングルでもリリースされているようなので、興味のある方はチェックしてみてください。今日みたいによく晴れた日には、たまにはこういうロックを聴いてみるのもいいと思いますよ。
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North Marine Drive / Ben Watt

2005-08-23 | Rock
後にEverything But The Girlを結成することになるBen Wattのソロ作品にして、80年代ネオアコを語るにおいての基本とされている盤。この手のレーベルではClepsculeなどと並ぶ有名なCherry Redからの83年のリリースです。特に際立った派手さはないものの、全編暖かいアコースティック・ギターの音色に彩られたグッド・ミュージック。とても耳障りが良くて部屋でかけてても全く邪魔にならないです。完全に周囲の空気と一体化し、かつゆっくりと雰囲気を変えてしまう不思議な感じ。曲単位ではA-1のOn Box Hillがややアップ・テンポ気味のクールなネオアコ経由ボッサで気に入っています。まさにアルバム・タイトル通りに海辺のドライブに似合う感じ。続くA-2のSome Things Don't Matterも中盤以降に入る哀愁のサックスが印象的でなかなかのナンバー。ネットなどを見ていると、わりと初夏に似合うアルバムだと評されることが多いようですが、僕の中ではこれは夏の終盤から秋に向けての今の季節によく似合う盤。全編から伝わる郷愁感が何となく秋っぽい。一人で落ち着いてコーヒーでも飲みながら聴きたいアルバムです。ちなみにジャケット・ワークも洒落ててかなり好き。定番ながら、こういう良ジャケ盤は是非アナログで持っておきたいものですね。
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A Part Of Me / Sirima

2005-08-21 | Rock
1989年にリリースされたネオアコ隠れ名盤。スリランカ出身のギタリスト兼シンガーによる1stにして、同時に彼女の遺作となってしまったアルバムです。彼女はこのアルバムをリリースして間もなく病気で亡くなってしまったよう。数年前にSunaga t Experienceがカヴァーして話題になったA-2、No Reason No Rhymeが収録されているアルバムと言えばぴんと来る人もいるかもしれませんね。彼女によるオリジナル・ヴァージョンはわりと緩めでフルートが綺麗なボッサ・テイストの曲です。須永ヴァージョンと聴き比べるのも面白いかもしれません。家でのんびり聴くならば僕はこちらのオリジナルの方がのんびりしていて好きですね。同タイプとしてB-1のI Need To Knowもネオアコ経由ボッサでなかなかの佳曲。ソウルフルでファンキーなB-2、Ticket-To-The-Moonも若干時代がかった雰囲気ながら、重厚なコーラスとフュージョン・ライクな間奏でのホーン・ソロが格好いいです。タフなベースラインが印象的なA-4のKymも良し。これと言ったキラー・トラックがあるわけではないですが、全体的にそつがなく流し聴きするには良いアルバムだと思います。ちなみに年代柄アナログは枚数が少なく、なかなか見かけない挙句にヨーロッパでは凄い値段で売っているそう。CDだとわりとネットなどで安くみかけるので、買ってみてもいいかもしれません。日本よりも海外での方が人気のあるアルバムです。
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V / Chicago

2005-08-06 | Rock
Brady BunchやRoutineによるカヴァーも最早クラブ・クラシックスとなっているB-2、Saturday In The Parkを収録したシカゴの5枚目のアルバム。天気の良い土曜日の午後にこの曲を聴くほど幸せなことはないです。ジャズとソウルとロックが出会う場所、そんなサバービア誌の煽り文句もぴったりハマった最高の曲ですね。ちなみにピアノが美しい曲ばかりを集め話題を呼んだ最近の某メジャーコンピにも収録されていたらしいです。1番2番が終わってテンポダウンした後のブリッジ部分が僕は大好きで、この部分は何度聴いても聴くたびに胸が熱くなります。さて、このアルバムだとSaturday~ばかりだと思われがちですが、実は他にも使える曲が入っているのでこちらもチェックをどうぞ。それはB-4のGoodbyeという曲で3拍子の小洒落たジャズ・ワルツです。普通にかけたらこれがシカゴとはおそらく誰も気づかないくらいにジャズしてて素直に格好いい。まぁモロに白人なヴォーカルが若干気にならなくもないですが・・・。まぁあれば安い盤なのでモーダルな3拍子欧州ジャズから、DJプレイのアクセントにかけてみるのも面白いかもしれません。多分どこに行っても2000円以内で買えると思います。安くても良い盤というのはやっぱりありますよね。
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Beat Surrender / The Jam

2005-07-27 | Rock
いつもと少し毛並を変えてパンクから紹介。と言っても、The Jamが果たして真にパンクと呼べるのかどうかは僕には分かりませんが・・・。そもそも、このシングルが発売されたときには僕はまだ生まれていなかったので、これが当時流行っていたということも知らないのですが、そんなこととは関係なく大好きな一曲です。なんで大好きかってこの曲を聴くと落ち込んでいるときも自然と元気が出てくるから。サバービア誌によればポール・ウェラーは「とてつもなく素晴らしいことをそのままにしておきたいと願うなら、かならず終わらせなければならない」と言ってジャムと言うバンドを終わらせたそう。ちなみにこのシングルがJam名義での最後のリリースに当たるものです。解散ソングと言うには少し明るすぎるようと思う方もいるかもしれませんが、逆に新しい始まりへのプレリュードと考えればこのような形でのラスト・シングルにも納得が行くと思います。後にリリースされることになるスタカン名義での素晴らしき作品群への布石にして、10代後半~20代前半という淡々しく瑞々しかった青春時代への、希望に満ちた素晴らしき決別ソングです。いわゆる僕の好みとは少し違うかもしれませんが、自分の殻を破って新しいことに挑戦したいときに聴くと胸の奥から勇気が湧くのでオススメ。ちなみに僕が持っているのは当時限定でリリースされたこのジャケ違い2枚組7インチ。カップリングには彼が崇拝するCurtis Mayfieldのカヴァーなども入っています。
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