At The Living Room Reloaded

忙しい毎日の中で少し足を止めてみる、そんな時間に聴きたい素晴らしい音楽の紹介です。

The Greatest Show On Earth / Metropolis

2015-10-26 | Free Soul
先日紹介したKarl Garrisonもそうですが、このところ自分の中でディスコ~ダンスクラシック熱が再燃中。というわけで本日はこんな一枚を紹介したいと思います。名門サルソウルの中でもやや異色作であり、比較的取り上げられることが少ないMetropolis(メトロポリス)なるスタジオ・ユニットによる1978年の作品。知っている人には今さらかと思いますが、このユニットはドイツ人のコンポーザー兼キーボーディスト、Thor Baldursson(トール・バルダーソン)を中心としたヨーロッパのスタジオ・ミュージシャンが母体となっており、ミュンヘンで録音したオケに対してフィラデルフィアのシグマ・サウンドでホーンとヴォーカルをオーバー・ダビングするという大西洋をまたにかけた離れ業をやっています。そういう意味では純正のフィラデルフィア・サウンドではないのですが、一度ヨーロッパのフィルターを通しているだけあって良い意味で全体的に線が細く、この手のディスコ系作品としては知的な雰囲気。フリーソウル好きならおそらく一発で気に入ると思います。特に胸が締め付けられるような込み上げメロディーが心地よいB-2のHere's To Youや、Rah Bandを思わせるテクノポップ・ミーツ・ディスコなA-2のWas That Allあたりのミディアム・ナンバーは極上の出来かと。これだけでも既に充分「買い」な作品なのですが、極め付けはA-4のI Love New York。いわゆるエルボウ・ボーンズ系のスウィンギン・ディスコ・ナンバーとして抜群の完成度を誇っており、真夜中のダンス・フロアーとの相性が抜群です。ちなみにフィリー側で陣頭指揮を取っているのはTom Moulton (トム・モールトン)御大。ディスコ・リミキサーの父とも称される彼の仕事に間違いはありません。現在ではitunesでも安価で配信されているので、興味がある人はチェックしてみても良いかと思います。なお現在、自分の中でのディスコ熱再燃に伴って密かに新たなコンピを製作中。一応アイデアだけは10年くらい前からあるのですが、なかなか形にすることが出来ずにいるので、これを機に作れたらいいなぁと思っています。
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This Could Be The Night / Karla Garrison

2015-10-12 | Free Soul
なんだかここ最近あまりレコードを買ってないなと思った折に見かけたので、ついつい購入してしまった一枚。Karla Garrison(カーラ・ギャリソン)なるフィラデルフィアの女性シンガーが、1978年にLibertyレーベルへ吹き込んだ一枚です。どうやら本作以外に吹き込みはないようで、残念ながらカーラ嬢についての詳細は分からないのですが、肝心の曲の方は極上としか言いようのない出来。なんと言ってもMFSBのジャック・フェイスがアレンジを務めているため、サウンドは当然フィラデルフィア・モード全開。同時期のサルソウル・レーベル諸作に勝るとも劣らぬラテンディスコを展開しています。MFSB勢によるチャカポコ横揺れしたリズムとゴージャスなホーン&ストリングスのクォリティは言わずもがなですが、肝心の歌メロとカーラの歌唱自体も相当なもので、どこか哀愁を帯びながらも高揚感に満ちた素晴らしい仕上がり。フリーソウル全盛期に良く言われていた「泣きながら踊る」とはきっとこういうことでしょう。いわゆるディスコの王道とは異なるのでしょうが、僕はやっぱり90年代後半に東京の夜を彩ったこの辺りの音がいつまでも好きです。ちなみに知っている人も多いでしょうが、この曲はテープ時代のDiggin' Heat 2000に収録済。去年ユニバーサルからタワレコ限定でリリースされたDiggin' Free Soulの第二弾でも選曲しているので、Muroさん自身きっとお気に入りなのでしょう。ただ、非ミックスのフルコーラスとしては残念ながら今のところ未CD化。シングル・オンリーかつ、ダンスミュージック専門のレーベルからリリースされた作品というわけでもないので、なかなかCD化の機会に恵まれませんね。ちなみにアナログのレアリティーは☆2つといったところ。きちんと探せばそれほど労することなく見つけられると思います。
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Same World / Henry Kapono

2015-10-11 | Hawaii
あまり話題になることがないセシリオ&カポノ活動休止後のソロ・ワークスから、本日は1991年にリリースされたこのアルバムを紹介。この前年リリースされたSong For Someoneという作品がトラディショナルや50~60年代に製作された楽曲のカバー集だったため、本作がCD全盛期の90年代に入ってからの実質的な1作目。例のKona Windsが収録された1984年のTropical Heat以来のオリジナル・アルバムとなります。タワー・オブ・パワーが参加した冒頭M-1のInsy'aがいきなりのサンバなのでちょっと面食らうかもしれませんが、続くM-2のI'll Be Hereはマイケル・マクドナルド参加の正統派ミディアムAOR。こちらは生ドラムとシンセ主体のKona Winds直系ナンバーとなっているため、リアルタイムのAORファンでも楽しめそうです。そうかと思うとM-3のStand In The Lightはジャワイアン、さらにM-4のHold Me Upは生音系のバラードとなっており、アルバム全体としては余り統一感がなく、比較的とっ散らかっている印象。ちなみにM-5のタイトル曲はいかにも90年代風といった質感のAORで面白みにかけます。ただ、そうした統一感にかける作品中でひときわ輝いているのがM-7のAll Because I Love You。サム・ライニーのサックスを全面的にフィーチャーしたアイランドメロウなミディアム~スロウです。参加ミュージシャンのクレジットを見ていると、どうやらジェフ&マイクのポーカロ兄弟(from TOTO)を中心とした西海岸コネクションにて吹き込まれている模様。しかしながらサウンドの方はしっかりとコンテンポラリー・ハワイアンしており、同年代のたとえばNaluあたりに近い雰囲気となっているため、そのあたりが好きな人は楽しめるはずです。なお、そこそこの市場流通があったのか現在でも中古で安価に手に入るほか、itunesからダウンロード購入も可能なので、気になる人は聴いてみてください。マニアックなレア盤も良いですが、たまにはこのような、いつでも買える作品に改めて触れてみるのも良いと思います。
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Sweet Maui Moon / Keola Bemaer

2015-10-03 | Hawaii
Honolulu City Lightsのヒットで知られるビーマー兄弟の兄、ケオラ・ビーマーによる1989年の作品。時代的にテープとCDのみしか製作されておらずLPは存在しないと思いますが、リリース元はお馴染みParadiseです。どちらかと言うとスラック・キー・ギターの名手として知られる人なので、あまりコンテンポラリーな雰囲気は期待できないかとこれまで作品の存在自体は知りながらも敬遠していたのですが、いざ聴いてみるとこれがなかなかの快作。当然、彼自身のアコギとヴォーカルを中心に据えた作品なのですが、ほとんどの曲で入るシンセというかキーボードが肝となり、想像以上にしっかりとコンテンポラリーな音作りになっています。全体的にアコースティックで柔らかな質感なので耳あたりも良く、休日に肩の力を抜いて聴くのには最適。70年代後半のメロウなマイナーSSWあたりが好きな人などでも楽しめるのではないでしょうか。なかでも個人的に気に入っているのがM-3のSweet Island Girl。どことなくボサノバっぽい雰囲気のあるミディアムで、以前ここでも紹介したKool Elevationあたりにも通じるロコAORの佳作に仕上がっています。同系統だとM-7のLahainaも良い雰囲気。また、バラード系ではM-4のHilo RainとM-6のThe Wings Of A Seabirdがなかなか。アルバム全編通じて言える話ですが、まるでロードムービーのサントラでも聴いているかのような、程良い感じのイナタさが抜群に心地よいです。ちなみに日本のamazonでは例によって不当に価格が高騰していますが、この手のローカルなコンテンポラリー・ハワイアンの中では比較的手に入りやすい部類。根気よく探していればそのうち安値で見つかると思うので、興味がある人は焦らず気長に出会いを待ちましょう。
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