At The Living Room Reloaded

忙しい毎日の中で少し足を止めてみる、そんな時間に聴きたい素晴らしい音楽の紹介です。

Back In Your Heart Again / Kalapana

2013-07-28 | Hawaii
1990年にリリースされたCDオンリーの作品。87年に前作Lava Rockをリリースした後、日本のポニーキャニオンと契約を結んで発売した5枚のアルバムのうち、最初に発表されたのが本作となります。一応オリジナル作品扱いではありますが、内容的には過去の曲のリメイクなども数曲含まれており、位置づけとしてはある意味、以前ここで紹介したマッキー・フェアリーの日本オンリー作品であるRomantic Story 11:30pmに近め。当時どれほど売れたのかは分かりませんが、例のHeart Of Mineに端を発するAORリバイバルブームの一環として、日本のリスナー向けに制作されたものと思われます。ただ過去作のリメイクはともかく、本作オリジナルの曲の中にもそれなりに良い曲が幾つか収録されているので、90'sのコンテンポラリー・ハワイアン好きは見逃し禁物。マッキー・フェアリーと佐野健二の共作による軽快なM-4のタイトル曲、タイトル通り南国感満天なM-5のParadise、アーバンリゾート色高めなインストゥルメンタルで綴られるM-11のIrna's Melody等、聴きどころは多めです。そして、そんな本作オンリーの曲中でAOR好きにもっとも支持されるであろうと思われるのがM-9のWinds Of Oahu。もともとはフュージョン系の日本人ギタリストである増尾元章が制作したインストナンバーですが、ここではその曲に歌詞を乗せ小気味良くカバーしています。アウディー・キムラやクール・エレヴェイション辺りが好きな人はおそらくハマるはずかと。90'sコンテンポラリー・ハワイアンの世界は市場規模自体が非常に小さく、リスナー側としては本気で聴こうと思うとどうしてもインディーなマイナー盤志向に走らなければならないため、本作のように容易に入手可能な盤は貴重。少し中古屋を漁れば誰でも手に入れることが出来ると思うので、興味のある方は是非聴いてみてください。
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Here I'm Waiting / Vance Gilbert

2013-07-23 | AOR~BES
現在でも活動を続けるフィラデルフィア生まれのフォーク系シンガー・ソングライターが1985年にリリースしたアルバム。以前ここでも紹介したレジー・デヴォーンやマイク・スコット等と共に、一部のメロウグルーヴ愛好家の間でここ数年人気の高いレア盤です。実は前々から存在は知っていたものの、いざ試聴してみたところ何となく自分の趣味ど真ん中ではなかったためスルーしていたのですが、このたびCDでリイシューされたため購入してみました。リリース元はお馴染みCreole Stream Music。この手の一部の限られたマニア層のみにターゲットを絞ったマイナー盤のリイシューに対する姿勢は、やはり他のレーベルと一線を画しています。気になる内容ですが冒頭2曲が比較的ポップでライトメロウな(Pre-)AOR的サウンド。マイナー盤特有のチープな音作りではあるものの、軽快なオケに乗るヴォーカルが絶妙で、耳の肥えたリスナーにもすんなりと受け入れられそうなナンバーです。トランペット&トロンボーンのユニゾンがファンキーなA-1のSaving It Up For My Babyに、コンテンポラリー・ハワイアンにも通じるフルートの音色が心地良いA-2のTop O' The List。個人的にはよりライトメロウ指数が高いA-2の方が好きですが、どちらもフロア受け良さそうなナンバーなのでハマる人はハマることでしょう。その他の曲はギター1本の弾き語りありバラードありのいわゆるSSW~メロウフォーク系。僕自身としては守備範囲外ですが、この手のサウンドにもマニアはいるのでその筋の人が聴けば気に入るのかもしれません。どちらかと言うといなためでフォーキーなアルバムなので、リイシューCDの帯に書いてあるアーバン・メロウ・サウンドという文句には少し疑問が残りますが、気になる方は今回の銀盤化を機に購入を検討してみても損はないかと思います。もっとも例のごとくプレスは少なめ。一度市場から消えるとそこそこ入手困難となることは容易に想像できるので、興味のある方はお早めにどうぞ。ちなみに言うまでもありませんがアナログはレアかつ高価。個人的にはアナログ派の人もまずCDで内容を確認してからの購入検討をお勧めします。
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I'll Follow The Sun / Lance Orillo

2013-07-21 | Hawaii
一部で非常に評価の高い90'sコンテンポラリー・ハワイアンの名作。ギタリスト兼シンガーのランス・オリーロが1990年にCDとカセットテープでリリースしたアルバムです。CDの企画品番から考えると、おそらく自主か限りなくそれに近い形で制作された模様。自身のオリジナルは1曲のみで、その他の曲はカバーとなっていますが、全体的にゆったりとした雰囲気で上手くまとまっており、メロウグルーヴ通好みの作品に仕上がっています。なんというか都会感と南国感が違和感なく同居した正にアーバン・リゾートな一枚。ポニーキャニオンから何作かリリースしていた90年代以降のカラパナや、マッキー・フェアリー亡きあとカラパナのヴォーカリストに収まったモーリス・ベガのソロ作品辺りが好きな方なら、ほぼ間違いなくツボでしょう。ランスの歌自身もさることながら、本作を語る上で重要なのはプロデューサーとして参加したブルース・ハマダの存在。この人、基本的にはベーシストながら、ハワイ大学の音楽教育学部を卒業後、ロサンゼルスのディック・グローブ音楽学校でベース、キーボード、作曲学、編曲学、さらには音楽プロデュース学を学んだ本格派で、本作でもプロデュースとアレンジを務めながら、自身でベース~ギター~キーボード~シンセサイザーを一人で担当するマルチプレーヤーぶりを発揮しています。本作がここまでアイランドメロウな作品となったのは、まず間違いなく彼の参加があったからでしょう。ちなみにアルバムにおけるフック曲は唯一のオリジナル曲であるM-2のDay To Day。これぞアイランド・グルーヴと言った趣のミディアムで甘い歌声とキラキラしたオケが最高に気持ちいい一曲です。ただ、その他のカバー曲もビートルズ~ジョビン~スティーヴィー・ワンダーまで手堅くまとまっているので、一曲だけでの判断は禁物。アルバム通して楽しむのが正解な一枚かと思います。最近は知名度も上がってきており、オークションなどでも時々見かける作品なので、興味のある方は購入可能なうちに買っておいた方が得策。ハワイ・ローカルでのリリース作という都合上、中古市場から一度消えたら入手困難になること必至なので気になる方はお早めにどうぞ。
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Misty Hour / 伊東 ゆかり

2013-07-13 | Japanese AOR
間宮貴子、国分友里恵に続き次にCD化されるのはこの辺りでしょうか。中尾ミエ・園まりと共にスパーク3人娘として60年代中盤に一世を風靡した伊東ゆかりが、林哲司のプロデュースにより1982年にリリースしたLP。リリース当時はプロモーション不足もあり、ほとんど話題にならずセールス的にも振るわなかった作品のようですが、昨今のライトメロウ・ブームの中で再評価され、今ではそれなりに知名度を誇る作品となっています。内容的には完全にシティポップス。よく声質が似ていると指摘される竹内まりやの諸作と同じような感覚で聴ける極上の一枚に仕上がっています。井上鑑のペンによるミディアムテンポの冒頭A-1、「こんな優しい雨の日は」からシティポップス節全開。伊東ゆかりさん自体は本来、名実共に歌謡曲畑の人のはずなのですが、ここではシティポップスを完全に自分のものとして昇華しており、当時の新世代シンガーに少しも引けをとらない素晴らしい歌声を披露してくれます。そんな彼女の魅力が最も現れているのがアルバム中最も人気の高いB-2の「マリコ」。思い切り洋楽AORなアレンジと大人っぽい歌声が素晴らしいシティポップス屈指の一曲です。過ぎ去ってしまった青春時代に思いを馳せる歌詞も良い感じ。この雰囲気、30代以上の女性ならグッと来ること間違いなしでしょう。また個人的に気に入っているのはB-4の「再開レストラン」。別れた恋人同士が2年ぶりにレストランで再開するという大人のラブソングで、哀愁漂う展開が非常に魅力的なAORナンバーに仕上がっています。なおLP自体はそれほど極端にレアと言うわけではありませんが、近年の人気上昇の煽りを受け中古市場では比較的高めの相場で取引されているため、購入の際は慎重に。あまり売られているところを見たことはありませんが、もしかしたら専門店ではなく街の中古レコード屋で地道に探した方が幸せになれるかもしれません。
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Filme Nacional / Marilia Barbosa

2013-07-12 | Brasil
知っている人は知っているブラジリアン・ソウルの名作。リオ・デ・ジャネイロで生まれ女優としても活躍していたマリリア・バルボサが1978年にリリースした唯一のLPです。ジャケットがなんだか怖いので中身を知らないとイマイチ食指が伸びにくいアルバムですが、内容的にはわりと充実しており、一部で人気があるのも頷ける一枚。ヴォーカル自体はポルトガル語なものの、全編にわたりブラジル色は希薄なため、レクシアあたりのソフトロック~ポップス系フリーソウルが好きな人ならまず間違いなく気に入ることでしょう。特にテルサのコンピにも収録され、本作が再評価されるきっかけとなったM-1のManifestoは非英語圏の歌謡フリーソウルとして秀逸。いわゆるこみ上げ系のメロディーを持ったミディアムテンポのグルーヴィーなナンバーです。女優ものということもあり歌謡テイストが高めなため、最近巷で人気のブラジリアン・ソウル~AOR系作品とはやや雰囲気が異なりますが、これはこれでフリーソウルの一つの理想形。神戸のディスクデシネがよくセレクトしている70年代のフレンチ系作品辺りが好きな人なら悶絶ものでしょう。ちなみにこの曲以外のナンバーもそれなりの出来となっており、個人的にはA-3のMelodia InacabadaとB-2のTotal Abandonoがフェイバリット。最近は自分の好みがわりとAOR系に傾倒していることもあり、この手の歌謡ナンバーは普段ほとんど聴かないのですが、だからこそこうしてたまに聴くと逆に新鮮で非常に癒されます。ちなみに今回ブログ掲載にあたり少し調べてみたところ、驚くべきことに去年CD化済みとのこと。大手Som Livreからのリリースということもあり、オリジナルのLPもそこまで極端にレアというわけではありませんが、探すのが面倒だという人はCDで購入してみても良いかもしれません。いわゆるAOR的な洗練とは少し異なる立ち位置にあるLPですが、名盤であることは間違いないので、興味のある方は是非聴いてみてください。お勧めです。
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Just Tonight / 楠木 恭介

2013-07-10 | Japanese AOR
6年ほど前にLight Mellow's Choiceシリーズの一つとしてCDでもリイシューされたJ-AOR作品。楠木勇有行(ゆうこう)という別名義で、主にCM業界で活躍していたシンガーソングライターによる1985年のアルバムです。どうにも垢抜けないジャケットのせいもあってか、一部のJ-AOR愛好家を除けばほとんど知名度のないマニアックな作品ではありますが、完全に洋楽指向なその音作りのクォリティはなかなかに高く、日本人男性シンガーに抵抗がなければ無視するのは少しもったいない一枚。松下誠や芳野藤丸あたりのヴォーカルを違和感なく聴けるリスナーならば、トライしてみる価値のある作品かと思います。サウンド自体も松下誠の1stをもう少し都会寄りにシフトしたような雰囲気のフュージョン系AORなので、あの雰囲気が好きな人であればまず間違いないでしょう。冒頭から和製AORモード全開で都会の夜の雰囲気を醸し出すA-1のSugar Danceや、込み上げるメロディーがどことなくフリーソウル風なB-3のCome To Me Againなどは、この手のアーべインでライトメロウなJ-AORを好むファンなら確実に好きなはず。また個人的に気に入っているのはA-3のFor Our Love。LPに何曲か収録されている全英語詞ナンバーのうちの一つですが、メリッサ・マンチェスターのBad Weatherをもう少しディスコ寄りにシフトさせたような雰囲気で、非常に聴き易い一曲に仕上がっています。あいにくヴォーカル・ワーク自体は完全に日本人のそれなので、フリーソウル系のセットにさらっと組み込んでプレイするにはそれなりにハードルが高いかもしれませんが、自宅でまったりと聴く分には非常に魅力的なナンバーかと。ちなみにオリジナルのリリース元はKing。単に盤自体の知名度がないだけで、実はそれほど極端にレアな作品というわけではないので、気長に探していればそのうちひょっこり見つかるかと思います。実際、僕自身あまり労することなくオリジナルの帯付きLPを手に入れました。そんなわけで興味のある方は時々レコード屋の和モノ棚を探してみると幸せになれるかも。今ならCDもまだ探せば買えるようなので、まだ作品自体を知らないという方は良かったら是非聴いてみてください。
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Zanzibar / Michael J. Birthelmer

2013-07-08 | AOR~BES
しばらく前に一部で話題になり、お馴染みCreole Stream Musicから紙ジャケCDでリイシューもリリースされたカナダ産レアグルーヴ。フォーク系のシンガーソングライター、マイケル・J・バーセルマーによる1980年の作品です。タイトルにもなっているザンジバルとはアフリカ大陸東海岸、インド洋上に位置する諸島の名前とのこと。トロント近郊で生まれた彼が、何故この地域をテーマにアルバムを作ったのかは分かりませんが、どことなくコンテンポラリー・ハワイアンにも通じるその作風はなかなかに魅力的です。冒頭を飾るA-1のThe Dream Beginsはマイク・ランディー辺りを思わせるアイランド・ファンク。ゆったりしたテンポながら小気味よくうねるベース・ラインとライトメロウなメロディーが心地良い一曲です。この手のナンバーは、一聴しただけでは正直なかなか魅力が伝わりにくいのですが、何度も聴いていくうちについクセになるのだから不思議なものです。そして続くA-2のKaluaが本作のハイライト。どことなく島唄じみたオリエンタルなイントロからして素敵なリゾート感覚のメロウソングです。クラブでかけるような類の曲ではありませんが、これからの暑い季節に街のカフェから偶然聞こえてきたら嬉しくなるような小品です。ちなみに残念ながらこの2曲以外の曲は比較的地味な印象。特段悪いというわけでもないのですが、どうにも耳に入り込んでこない曲ばかりで、何度聴いてもあまり記憶に残りません。そんなこともありCDで再発された今、わざわざオリジナルのLPを探してまで買う価値があるかと言われると正直微妙。数千円で買えるならいいのですが、それなりのレア盤なので見かけても5桁ついていることが多く、普通の人にはなかなか手が出しにくい一枚かと思います。こういう作品は素直にCDリイシューで済ますのが吉。CDの方もプレス数が少なく、そのうち入手困難になるかと思いますので気になる方は早めに買っておきましょう。今ならまだ普通に手に入ると思います。
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Bildsprak / Ingmar Johansson

2013-07-05 | CCM
スウェーデンのCCM系シンガーソングライターによる1979年の2ndアルバム。とある現地のレコードディーラーが「発見」したことで、今から6~7年前に一部コミュニティで大きなブームとなった作品です。ピーク時は3万円くらいの価格が付けられていたこともありましたが、4年ほど前にCreole Stream Musicから編集盤CDがリリースされたことで徐々にブームが沈静化。最近では相場も随分と落ち着き、数千円で取引されているようです。当地のスモールレーベルからリリースされていることもあり、レアリティ自体はそれなりだと思いますが、単純に内容からだけ考えると今くらいの値付けがまぁ妥当なところでしょう。注目曲はなんといってもA-2のEleanor Rigby。原曲は1966年にYellow Submarineと両A面でリリースされたビートルズの13rdシングル曲ですが、本作ではそれをオリジナルとは似ても似つかぬ驚きのボサ風Pre-AORアレンジでカバーしており、発見当時、僕自身を含めコミュニティに属していた一部のメロウグルーヴ愛好家連中は大いに舌を巻いたものです。ミディアムアップなボサ・リズムにメロウなエレピと切ない歌メロが乗るその大胆なアレンジは、否が応にも以前フリーソウルで人気のあったホセ・フェリシアーノのGolden Ladyを想起させるものであり、フリーソウル好きの求めるサウンドそのもの。僕自身、正直オリジナルであるビートルズの演奏にはまったく食指が伸びないのですが、こちらのイングマール・ヨハンソンのアレンジは趣味ど真ん中です。しかしながら残念なことに、この曲以外のナンバーは比較的凡庸な出来。時折取り上げられるB-1のAnnaもこの時代にはよくあるタイプのPre-AOR作品なので、特筆すべきところはありません。結局たった1曲のキラーのために幾らまでペイ出来るかということが争点になるわけで、そうした観点で考えると今の値付けは比較的需要と供給のバランスに上手くマッチングしているものではないかと思います。ちなみに件のCDにはこの曲を含めPre-AOR系の目ぼしいナンバーは全て収録済。僕自身はLPで買いましたが、特にこだわりがなければ編集盤CDを購入するのも一つの手でしょう。あいにくCDの方も既に廃盤となってしまっているようですが、中古盤屋を熱心に漁ればそれほど高く値段で見つかるはず。興味があってまだ聴いたことがないという方は是非探してみてください。
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Close Up / Frankie Valli

2013-07-04 | Free Soul
フォー・シーズンズのリード・ヴォーカリスト、フランキー・ヴァリによる1975年のソロ作品。世間的にはCan't Take My Eyes Off You(君の瞳に恋してる)のオリジナルとして良く知られた人ですが、そんな彼のフリーソウル的観点での人気作がこのアルバムになります。全体的にはリリース当時の感覚から言ってもやや古いタイプの、なかばオールディーズと言ってしまっても差し支えないようなナンバーを中心に構成された一枚なのですが、そんな中でひときわ異彩を放つB-3のSwearin' To Godが本作での目玉曲。当時のフィラデルフィア・サウンドを思わせる華麗なストリングスと爽快なホーンで彩られたミディアム・アップのダンスナンバーで、これぞフリーソウル系ディスコのお手本とでも言うべきグルーヴィーな一曲です。どこまでも高揚感に満ちたオケとメロウな歌メロのバランスも絶妙。普段ここで紹介しているようなタイプの曲が好きな人で、この曲が嫌いという人は恐らくいないでしょう。当時シングルも切られていたようですが、このアルバムに収録されているのは約10分半の長尺ヴァージョン。あいにく短いシングル版ではオミットされてしまった中盤のサックスソロもこちらではばっちり収められており、高揚度と都会度が3割増となっています。ちなみに以前Muroさんのミックステープに収録されていた際にチョイスされたのもこちらの長尺ヴァージョンでした。アルバム自体のCD化がなかなかされなかったため、長らくLP派の人のみが楽しめる好ヴァージョンとなっていましたが、数年前にようやく銀盤化されたようで、今ではitunesでも普通に購入可能となっています。長尺曲の宿命で曲単位でのDL販売がなく、購入時にはアルバム丸ごと一括DLする必要がありますが、それでもデジタル派の人でも気軽に購入できるようになったことは間違いないので、気になる人は是非聴いてみてください。ちなみにオリジナルのLPは安価。見つけることさえ出来ればお値打ちプライスでゲットできる一枚なので、どこかで見かけた際には是非手にとってみることをお勧めします。
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AOR / Ed Motta

2013-07-03 | Brasil
一部好事家の間で話題となっている新録作品。ブラジルのシンガーソングライター、エヂ・モッタが先日リリースした一枚です。僕がこの人の名前を始めて意識したのは8年ほど前。当時LPでもリリースされていたPopticalという2003年のアルバムを聴いて、その新譜らしからぬ雰囲気に一瞬で虜になったことは今もよく覚えています。さて、本作はそんな彼の最新作。その思い切りのよいタイトルからも分かる通り、late 70's~early 80'sテイストのAORサウンドをやっています。まぁPopticalの頃から既にそんな雰囲気だったので、彼自身のやっている音楽自体は以前とそれほど変わっていないのですが、折しも数年前からタニマチの間ではMPB以降のブラジリアンソウル~AORが流行中。そんなこともあり、ある意味では時代のニーズに上手くマッチングしたと言える好作になっています。アルバム1枚通してフックとなるような曲が収録されていない点も相変わらずですが、各曲はそれぞれ水準以上の出来となっており、なんとなく部屋で流し聴きするには悪くない一枚かと。個人的にはM-2のS.O.S AmorやM-4のOndas Sonoras辺りがわりと好みです。先日ここでも紹介したジム・ポルトやドン・ベト、それからAOR期のマルコス・ヴァーリなどが好きな方なら、まず間違いなくハマることでしょう。全体的にわりと凝った音の作り方をしているのでスティーリー・ダン好きなんかでもいけるかもしれません。ミキシングのせいなのか、細かな音の質感はやはり現代風なので、さすがに全盛期のサウンドをそのままトレースと言うわけにはいきませんが、少なくともここ数年リリースされた新録の話題作の中では、比較的「あの頃」の作品の再現度が高い部類の一枚と言えるでしょう。新録作品にはまったく興味がないという人でもチェックしてみて損のないアルバム。出たばかりの今のタイミングなら普通に手に入ると思うので、気になる方は是非チェックしてみてください。
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