At The Living Room Reloaded

忙しい毎日の中で少し足を止めてみる、そんな時間に聴きたい素晴らしい音楽の紹介です。

A Noite Vai Chegar / Lady Zu

2014-04-30 | Brasil
かつてブラジルのドナ・サマーと呼ばれた伝説のディスコ・クイーン、Lady Zu(レイジー・ズー)ことZuleide Santos Silva(ズレイジ・サントス・シルヴァ)による1978年のデビュー作。この手のブラジリアン・ソウルに馴染みのある方にはお馴染みの一枚かと思います。以前ここでも紹介した自作コンピには翌1979年のアルバムからValeu A Penaという曲をセレクトしましたが、あちらの作品はその他の曲が比較的ファンク色が強いので、個人的にはよりフリーソウル度高めな本作の方が好み。冒頭A-1のNovidadesから高揚感溢れるミディアムテンポのポップソウルで、込み上げ系の歌メロと彼女の素晴らしい歌声に一瞬にして耳を奪われます。その他の曲でも弾けるアレンジが爽快なA-2のAmando Você、カナダのパッツィー・ギャランに通じるライトメロウな展開が気持ちいいA-4のNão Deu Em Nada、アップテンポかつ歌謡ディスコ調なB-1のCom Sabor、ミック・ジャクソンのWeekendっぽいイントロで始まるB-2のDê-Me Mais Carinhoと、とにかく名曲揃いで非常に充実した作品。シスター・スレッジやアルトン・マクレインあたりの、いわゆるフリーソウル的ディスコ作品が好きな方なら虜になること間違いなしでしょう。極めつけはA-6のタイトル曲。冒頭のラララコーラスと込み上げまくるサビの展開に胸が熱くなる至福のナンバーです。フリーソウル全盛期の表現で言うところの「泣きながら踊る」系。当時クラブに通っていた人なら自然と胸にグッとくるものがあるはずです。なおアナログはミドルクラスのレア盤と言ったところ。この手のサンバソウル作品の中では比較的手に入れやすい部類です。ちなみに現在ではitunesでも購入出来るため、手っ取り早く音源だけ聴きたいという方はこちらでの購入がお勧め。非英語圏のフリーソウルとしてはかなりレベルが高い部類の一枚なので、気になる方はチェックしてみると良いかもしれません。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Morning Light / Paul Flynn

2014-04-27 | Hawaii
ハワイものの紹介が続いていますがもう一つだけ。こちらはPaul Flynn(ポール・フリン)という男性シンガーによる1979年のコンテンポラリー作品です。個人的には至って普通なポップスだと思いますが、先日再発されたHal Bradburyのソロに通じる雰囲気なので、あの作品をAORと呼ぶなら本作もAORに分類されるのかもしれません。全体的な質感としては当時はやりのディスコサウンドを適度に取り入れたポップスと言ったところ。何曲かあるSSW風のバラード曲はありがちな音作りで正直面白みに欠けますが、ミディアム~アップの楽曲はそれなりのレベルなので曲によってはフリーソウル好きにもアピール出来るかと思います。個人的にお気に入りなのはB-1のAs Long As You Love Me。Al NobrigaのMy Last Disco SongやAudrey MeyersのMy Magical Paradiseに通じるアップテンポなハワイアン・ディスコで、適度ないなたさと程よく込み上げるサビのメロディーが心地よい一曲です。あいにく現在は知名度低めですが、もしも先の二曲のようにMuroさんがミックスCDに収録したら一気に人気が出そうですね。ちなみに脇を固めるメンバーもそれなりに豪華で、同年ソロデビューを果たしたNohelani Cyprianoがコーラスで参加してる他、Ira Nepusを含めたLemuriaプロジェクトのメンバーが何名か参加。無名アーティストながら妙に演奏のレベルが高く不思議に思っていたのですが、クレジットを見て合点がいきました。なおA-1のPretty GirlとA-3のSunshine, Happiness And Loveも同系統のディスコ系ナンバー。洗練された音のみを求める方には不向きですが、ある程度チープでローカルなサウンドにも耐性のある方にはお勧めの一枚。この手のハワイものの常でどこにでも転がっているといるわけではありませんが、もしもどこかで見つけた際には是非聴いてみてください。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

An Island Romance / Matthew Akiona

2014-04-27 | Hawaii
2000年代のローカルなコンテンポラリー・ハワイアンからもう一枚。マウイ島のシンガーソングライター、Matthew Akiona(マシュー・アキオナ)による2003年の作品です。自身が主催するHPを読んでもあまり大した情報が書いていないので詳細は分かりませんが、どうやらハワイのホテルやレストランで30年以上にわたりパフォーマンスを行っているベテラン・ミュージシャンのよう。本作でもそんなベテランならではの余裕を感じる円熟した演奏で、ゆったりとしたハワイの風を感じることの出来る素敵な作品に仕上がっています。ややトラディショナルな要素も取り入れつつ、全体のテイストは基本的にジャジー。マシュー自身のヴォーカルもさることながら、複数の曲で参加しているChuck Mumming(チャック・マミング)によるピアノ演奏が素晴らしく、こうして日曜の午後にのんびり聴くのには最適な一枚と言えるでしょう。冒頭M-1のタイトル曲、愛娘たちと共に歌うM-6のDo You Remember、サウダージに近い感覚を覚えるアイランドメロウなM-8のOn Top Of The Worldあたりも気持ち良いですが、個人的にもっとも好きなのはM-3のCan I See You Tonight。ボサノバのリズムを取り入れたミディアム~スロウな一曲で、AORファンにもアピールすることの出来る気持ち良いナンバーとなっています。中盤のアコギ~サックスによるソロもかなり良い雰囲気。これからの季節、昼下がりのカフェでのBGMなどにもぴったりかと思います。ちなみに本作、リリースされた年次が新しく、ジャケットの雰囲気も日本人好みのため、ローカルな作品ながら日本にもそれなりに入ってきているようで、前回紹介したKumuhau同様に現在でも比較的入手は容易。おまけに今ではitunesにも普通にあります。そうした入手のしやすさも含め、こちらも年代新しめのコンテンポラリー・ハワイアンの入門編としては最適なので。気になる人は是非聴いてみてください。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Kumuhau / Same

2014-04-23 | Hawaii
年代新しめのコンテンポラリー・ハワイアンとしては比較的有名な一枚。地球をバックに竜虎相見えるスカジャンのようなジャケットが印象的な2005年のアルバムです。マッキー・フェアリーやカラパナの流れを組んだこの手のコンテンポラリー作品は、ここ日本だとフリーソウルやライトメロウ文脈で何でもかんでもハワイアンAORと紹介されることが多く、その言葉のイメージからなんとなく洗練された都会的な音を想像してしまいがちですが、実際には全体的にもう少し緩めの作風が大多数。「いなたい」という表現が正しいのか適切なのかは分かりませんが、良い意味で地に足の付いたローカルな作品がほとんどだったりします。Lonnie Brown(ロニー・ブラウン)とKeith Omizo(キース・オミゾ)なる恰幅の良い髭のオジさま二人によるこのアルバムも、そうした愛すべきローカル作品の一つ。ユニット名でもありタイトル曲であるM-1のKumuhauは少し湿り気のある南国の風が吹く異国情緒に満ちたメロウナンバー。ゆったりとしたサウンドが日々の仕事で疲れたカラダに心地よく、これからの時期のリラックスタイムに最適な一曲となっています。続くM-2のMatsoniaはトラディショナル、さらにM-3のYour Kissはレゲェ・ディージェイのHawea "Kane Fyah" Ailaをフィーチャーしたジャワイアンと曲ごとに異なる様々な側面を見せる彼らですが、白眉はなんと言ってもM-4のBusters Song。90年代初頭のNalu作品辺りに通じる、甘くいなたい屈指のアイランドメロウ・ナンバーです。この手のチープでローカルなコンテンポラリー・ハワイアン好きには一発でやられることでしょう。ちなみにアルバムには他にHow Deep Is Your Love(原曲:ビージーズ)、To Be True(原曲:カラパナ)という2曲のカバー作品も収録されており、こちらも完成度はそれなり。リリース時期が最近なこともあり、この手のアルバムの中では比較的手に入りやすい作品なので、90年代以降のコンテンポラリー・ハワイアン入門編としてお勧めの一枚です。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Collective Hearts / Ron Victors

2014-04-19 | AOR~BES
前回に続きこちらもマイナーなカナダ盤。謎の男性シンガー、Ron Victors(ロン・ヴィクターズ)によるおそらく唯一の作品と思われる1983年のLPです。声質からするとなんとなく白人っぽい気がしますが実際のところは不明。裏ジャケットには一応いろいろクレジットが書かれているものの、ネットで検索をかけても引っかかってこないので手がかりがないため、詳細がまるで分からない正体不明の一枚です。ただ内容的にはLate 70'sスタイルの生音系AOR~BES。全体的に柔らかい質感でいわゆるフリーソウルっぽい曲をやっています。ラリー・リーのDon't Talk(ロンリー・フリーウェイ)あたりを思わせるポップなA-1のTouched By The Sunがまず名曲。続くA-2のGod Only Knowsはビーチボーイズのナンバーとは同名異曲ですが、どこか雄大な自然を思わせる暖かいスローナンバーで、こちらもなかなかに良い感じです。そして極め付けはA-4のIt's Been So Long。Sharon Leigh Fraserなる謎の女性シンガーとのデュエットで歌われるライトメロウなミディアムで、イントロ一発で名曲と分かるタイプのフリーソウル風ナンバーに仕上がっています。男女デュエットによる伸びやかな歌声にこみ上げ系メロディーライン、さらにはストリングスを効果的に使った軽快でシルキーなオケと、フリーソウル好きにウケる要素がこれでもかというくらい詰め込まれているので、おそらく当時リアルタイムでフリーソウルを聴いていたような人でこの曲が嫌いな人はいないはず。実はハートマークに惹かれてのジャケ買いだったのですが大正解でした。ちなみにリリースはトロントのNightflite Recordsなるインディー・レーベルから。どうやら結構なレア盤のようなので、いざ探すとなかなか出てこない類の作品だと思いますが、ジャケットが特徴的なのでおそらく一度しっかりと意識して覚えたら記憶に残るはず。どこかで出会ったら是非聴いてみてください。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Lost And Found / Calico

2014-04-12 | AOR~BES
知っている人は知っているカナダはオンタリオ州ミシサガ産のマイナー盤。「カリコ」なる男女ツインヴォーカルによるAOR~BES隠れ名作です。Andy Parisien(アンディ・パリジャン)、Donna Lee(ドナ・リー)という主役二人の素性はよく分かりませんが、プロデュース&アレンジを務めるキーボーディストのJames E. Dale(ジェームス・エドウィン・デール)を筆頭に、サイドを固めるのはカナダでは良く知られるというビッグバンドRob Mcconnell & Boss Brass(ロブ・マコンネル&ボス・ブラス)のメンバーが中心。元々ジャズ畑のプレーヤーが演奏しているだけにそのレベルは高く、マイナー盤ながら味わいのある一枚になっています。LPにはデュオ曲、各ソロ曲の双方が収録されていますが、個人的には透明感がありながらよく伸びる女性ヴォーカル中心のナンバーがお気に入り。軽やかなフルートに導かれるA-2のWhat Am I Gonna Doや、静かなイントロから突如転調し中盤からライトファンク・ナンバーとなるB-3のSo Glad、さらに国産シティポップに通じるライトメロウなB-5のSay Goodbyeなど、いずれも極上のフュージョン系ヴォーカル・ナンバーに仕上がっています。フリーソウルで人気だったマリリン・スコットや、同じカナダ出身のパッツィー・ギャランあたりが好きな人は、一発で虜になること間違いなしでしょう。また、男性ヴォーカル曲で素晴らしいのは若干ブラジルがかったライトメロウなB-6のSunday Afternoon。軽やかな演奏に乗るジェントルな歌声が心地よく、タイトル通り休日の午後に聴くのに最適なナンバーとなっています。インディー盤であるため、それほど入手が容易な類の作品ではないと思いますが、そのレアリティーも含め個人的には和モノAORの隠れ名作として知られる東北新幹線のカナダ版といった印象。いずれにしろこの手のマイナー盤好きにはグッとくる作品だと思いますので、気になるひとは是非聴いてみてください。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Let There Be Spice / Spice

2014-04-05 | Free Soul
昨年ディスクユニオンのThinkから再発され、一部マニアの間で話題になったレコード。詳細不明のスウィートソウル系グループ、スパイスによる1976年の作品です。このLPのリリース元であるTSGというレーベルには他にジ・アルティメッツ、ザ・トピックスという有名な作品があり、本作もそれらと肩を並べるマニア垂涎の激レア作品として紹介されることが多いですが、思い切りスウィートソウルな他2作と比べこちらはもう少しモダンソウル寄り。そのため僕のような本格ソウルに抵抗あるリスナーにも比較的聴き易い一枚となっています。特にTropicooool Boogieにも収録されたB-1のThe Last Timeは、暖かくなってきたこれからの季節にぴったりハマる爽やかなミディアムソウルでアタマ一つ抜けた完成度。フリーソウル好きなら一発でやられる気持ちの良いメロディーラインがたまりません。いわゆる甘茶系に特有な黒人っぽさも良い意味で控え目なため、前後の繋がりさえ少し考えてあげれば、AORに混ぜてかけても違和感なく溶け込ませることが可能かと思います。続くB-2のYou've Got Me Girlも同系統のポップソウル。たとえばリロイ・ハトソンがプロデュースしたVoices Of East Harlemの2ndや3rdあたりが好きな人なら、この気持ちよさに虜になること間違いなしでしょう。ちなみにジャケットには女性が写っているため誤解する人もいるかもしれませんが、この人たちはあくまで男性ヴォーカル&コーラス・グループ。全編通じて女性ヴォーカル曲はないため、お間違えの無いようご注意ください。オリジナル盤は非常にレアかつ高額なため高嶺の花ですが、再発盤ならばまだ手軽に入手可能と思われますので気になる方はお早めに購入ください。洗練されたポップソウルが聴きたい人には絶対にお勧め。甘茶と聴いて抵抗のある方にこそ聴いてみてもらいたい一枚です。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする