At The Living Room Reloaded

忙しい毎日の中で少し足を止めてみる、そんな時間に聴きたい素晴らしい音楽の紹介です。

Solens Born / Ariel

2006-09-30 | Free Soul
上にはきちんと表示できなかったのですが、正式タイトルは「Solens Børn」。知っている人には最早説明不要なアルバムですね。デンマークのブラジリアン・フュージョン・バンドによる2nd。以前当ブログでも紹介した1stはインスト曲の割合が高かったのですが、この盤では全編にLei Aloha Moeなる女性ヴォーカリストが配されていて、非常に聴き易いアルバムに仕上がっています。最も楽器の演奏力自体は1st同様に抜群に高いので、聴き易いとは言っても決して薄い内容のものではありませんが…。テンポ的には速いものから遅いものまでいろいろあるものの、全体のカラーはきちんと統一されていて、良い意味で陰りのある雰囲気がヨーロッパらしいスタイリッシュな一枚。ソウルフルと言うよりはロック寄りの声質を持つLei Aloha Moeの退廃的なヴォーカルもまた、その演奏に非常にあっていますね。初期Organ b. SUITEに収録されていたA-2のSkatを始め、どこか哀愁を帯びたフュージョンが満載です。ちょうど今の季節にぴったりかもしれませんね。個人的にはどこか神秘的な匂いの漂うB-3のReflektionerが好き。中盤のスピリチュアルなピアノ・ソロが絶品で、レア・グルーヴ・ファンのみならずプログレ・ファンからも受けそうな好曲です。一時期のフリーソウル・ブームが去って日本では人気が落ちてきた盤ですが、海外では相変わらず高い人気を誇っているそう。そこそこのレア盤なので、どこにも置いてあるというわけではありませんが、5桁未満で見つけたらチェックしてみるのも良いかもしれません。ちなみにプログレッシヴなジャケットも結構気に入ってます。
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Midnight In Tokyo Volume One / Various Artists

2006-09-24 | Hard Bop & Modal
ここ日本におけるジャズLP黎明期の輝かしき記録。1956年末にそれぞれ別の場所で行われた6組のアーティストによるライブを実況録音し、それを半年がかりでまとめて67年にリリースしたという一枚です。驚くべきことに、本作とこれと続くVol.2(未聴です)を合わせて制作予算費は5万円だったそう。まだまだ一般にジャズが浸透していなかった時代の話ですけれどね。さて、そんな低予算で作られた本作ですが内容のほうは悪くなく、また当時の和ジャズ・シーンを知るための資料価値もあるということで、その筋の人たちの間では古くから結構な人気盤。年代柄ディキシーランドやスウィングをやっているバンドがあったりもして、今となっては時代を感じざるを得ないところも若干あるのですが、そこはまぁご愛嬌…。ここでの注目はA-3、A-4に収録された「渡辺明とエンバース・ファイブ」による演奏です。特にピアニスト兼アレンジャーである三保敬太郎のペンによるオリジナルA-3のStopperは、同時代におけるDon Rendell辺りのUK Jazzなんかと比べても遜色のない軽快なバップ・ナンバーで、今の耳で聴いても普通に格好いいと思える名曲。「鈴木章治とリズム・エース」によるA-1の「浜辺の歌」もクラリネット使いながら、それほど古臭い演奏ではなくむしろ夜ジャズ感満点で良い感じ。洒落てます。そして、僕の中で本作の魅力を高めているのは、何と言ってもこのジャケット。銀座や赤坂のネオンを切り貼りしただけのはずなのに、この夜感たっぷりな完成度の高さは何なのでしょう。以前どこかでジャケが掲載されているのを見た瞬間、ぜひとも欲しくなりました。ちなみにWaveから10年ほど前に再発LPがリリースされているのでご参考に。
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Voce Ainda Nao Ouviu Nada ! / Sergio Mendes

2006-09-23 | Brasil
周知の通り後にブラジル音楽の伝道師として世界に羽ばたいていくことになるセルメン。本作はそんな彼がブレイクする数年前の1964年にPhillipsからリリースされた一枚です。セルメンというとブラジル音楽とソフトロックを組み合わせたような独特のアレンジの曲が有名で、各国に多くのフォロワーを生み出したポップス界の名アレンジャーというイメージが強いですが、実はそのキャリアのスタートはれっきとしたジャズ・ピアニスト。「ベッコ・ダス・ガハーファス」にあったナイト・クラブで夜な夜なピアノを弾いていたという過去を持つ人だったりします。ちなみに当時そこに集まっていた誰も彼もが、今ではジャズ・ボッサ界の伝説的人物ばかり。と言うわけで、本作もまた参加メンバーが凄いことになっています。ハウルジーニョやエディソン・マシャード、セバスチャン・ネトなどを含む3管セクステット編成での録音。もちろん悪いわけがありません。Os Cobrasやメイレレースのアルバムにも引けを取らないブラジル産ハードバップ。特にA-5のPrimitivoやB-5のNeurotico辺りはヨーロピアン・ジャズとも相性が良さそうな高速ジャズ・サンバ。あまり「らしさ」は感じられませんがジョビンによるアレンジが素晴らしいです。そして、個人的なお気に入りはA-4のDesafinado。ボサノヴァのスタンダードとして有名な曲ですが、数あるカヴァーの中でも5本の指には入るであろう名演。夜感漂うジャケットも素敵ですね。セルメンの作品ってだけでコアなジャズ・ファンには見落とされがちですが、そんな先見だけで敬遠するのはもったいなすぎる一枚。再発は良く見るので、是非一度聴いてみてください。ジャズ・サンバとしてのみならず純粋にジャズとして見ても文句なしに格好いい一枚ですよ。
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Opus One / Hank Bagby Soultet

2006-09-20 | Hard Bop & Modal
1964年のハリウッドで録音された奇跡の一枚。ロス出身のHank Bagbyなるサックス奏者が、自身のソウルテットを率いてマイナー・レーベルに吹き込んだ本作は、星の数あるほどアメ・ジャズのLP中で、おそらく最もユーロ・ジャズに近い質感を持つ盤です。今月のPremium Cutsコーナーで鈴木さんがUKジャズ風と評していましたが、どちらかと言うとこの音はブリティッシュと言うよりダニッシュ。というかテーマからソロに至るまでJazz Quintet '60周りのプレイ・スタイルにあまりにもそっくり。本当にそう評する以外に言葉が見つからないです。落ち着いた4ビートで始まるA-1のDee Deeを数秒でも聴いた瞬間、辺りは一瞬にして真夜中の空気に包まれます。別に何か特別なことをやっているわけではないのですが、そのあまりにもストレートな演奏の雰囲気が素晴らし過ぎ。重厚なドラムのイントロで始まるA-2のThe Great Wallは、尋常じゃなく格好いいモーダル・バップを約10分間という長丁場で味わえる本作最初のハイライト。まるでDusko GoykovichのBalcan Blueのような、2管による高速アフロ・キューバン・ビートのテーマが強烈なA-3のSoul Sonnetはクラブ受けも非常に良さそうです。そして、個人的に一番好きなのはB-2のIborian。少しラテンの要素が入ったモーダル・ジャズ・ワルツで、テーマの後に続くバグビーのメロディアスなテナー・ソロが最高です。もう、本当にとにかくUS産とは全く思えないプレイに驚愕の一枚。僕の中でのエヴァー・グリーン認定盤です。
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Jazz Journey / Bjarne Rostvold Quartet & Trio

2006-09-18 | Hard Bop & Modal
デンマークのドラマーBjarne Rostvoldがマイナー・レーベルHitにて61年に残した鬼レア盤。ここ日本ではジャケットから「馬車」の通称で知られているLPで、4年ほど前に例の澤野工房からリイシューされた一枚です。クラブ・ジャズ・ファンとしては、その通称とジャケットの雰囲気から何となく牧歌的で緩い雰囲気を想像してしまうかもしれませんが、実はそんなことは全くなく列記としたハードバップ盤。Bjarne Rostvoldという名前に聴き覚えがなくても、あのJazz Quintet '60のドラマーだと言えばピンと来るはず。おまけにピアノでBent Axenが参加している上に、A面ではフロント・プレーヤーとしてAllan Botschinskyまでもが参加。そう、この面子がこの時期に凡庸な曲をやるわけがないのです。心配するまでもなく、その演奏スタイルは夜ジャズ一直線。たとえテンポが遅い曲でも、ピーンと張り詰めた緊張感を持って演奏しているため、そのプレイは決してだれることないのでご安心を。A面で聴くことの出来るボッチンスキーのトランペットもさることながら、この盤は全編通してアクセンのピアノが素晴らし過ぎ。とにかく音の粒が極め細やかで美しいです。特に気に入っているのはB-3のYou Don't Know What Love IsとA-4のYou Stepped Out Of A Dream。どちらもLPの中では比較的地味な曲ながら、気品に満ちたヨーロピアン・ジャズで真夜中によく似合う名演中の名演。とりあえず、若いジャズ・ファンの方も見かけたら敬遠せずに聴いてみてください。間違いなくオススメ盤です。
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Jazz Sur Seine / Barney Wilen

2006-09-18 | Hard Bop & Modal
ジャケットにはメイン・プレーヤー4人の名前が並列に記載されているため、正確にはBarney Wilenのリーダー作ではないと思うのですが、どうやらここ日本ではバルネのリーダー作ということになっているらしいので、当ブログでもそう紹介しておきます。さて、本作は1958年のパリで録音されたハードバップの佳作。しかしながら、Barneyを除く他のミュージシャンはModern Jazz Quartetの面々なので、そうした意味から言うと純然たるヨーロピアン・ジャズとは少し違うかもしれませんね。米仏親善交歓セッションとでも言うべきところでしょうか。とは言え、やはりLP通して最も目立っているのはバルネの吹くテナーであり、それがアルバム全体の雰囲気をヨーロッパ色に染めています。全体的に洒落ていて良い雰囲気なのですが、Gana M'Bowなるパーカス奏者を加えたクインテット編成で演奏される2曲が抜群。例のArt Blakeyによる「危険な関係のブルース」前夜と言った雰囲気のパーカッシヴな高速ハードバップ、A-1のSwing 39は現代のクラブでも充分に通用するのではないかと思います。いつものヴァイブではなくピアノを演奏するMilt Jacksonも良い感じ。アフロ・キューバン気味のB-6、Minor's Swingも取り立てた派手さはないものの、エスプリの効いたオシャレなバップで格好いいです。イギリスやイタリア、それからドイツ辺りに比べると、どうにも優れた作品が少ないように思えるフランスのジャズですが、中にはこう言った作品もあるので、やはり見落としは禁物。たしかJazz Next Standard誌にも掲載されていたはずです。
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Milkyway Galaxy / Crazy Ken Band

2006-09-18 | Japanese Groove
Crazy Ken Band約1年ぶりの新作から、フライングでアナログ・カットされたミニ・アルバム。まぁ全10曲収録なんで、ミニ・アルバムと言うか立派にLP仕様なわけですけれど…。さて、本作は新作アルバムの収録曲のちょうど半分ということで、これだけではアルバム全体の評価は出来ないとは思いますが、一聴してみたところの感想は、良くも悪くもクレイジーケンバンドらしい音だな…というところ。いろんなジャンルが雑多に交じり合う中に、そこはかとなく漂う東洋フレーヴァーとポップなメロディーが乗ると言った、いつも通りの曲が続きます。ワルツ・タイムのA-5、「黒い傷跡のブルース」あたりも、イントロだけ聞いたらヨーロッパのジャズ・ワルツ風なのですが、歌が始まってしまえばいつも通りの剣さん節炸裂だし…。わりと気に入っているのは先行マキシに収録されていたB-2の「メリメリ」。最初に聴いたときは微妙だと思ったのですが、こうやってちゃんと聴いてみると、なかなかに悪くないかな…と。夏の終わりを懐かしむようなB-3のShock Hawaian Shockもライトメロウで疾走する佳作と言ったところでしょうか。そして、本作最大の目玉はA-4に収録された「プレイボーイ・ツイスト」。タイトル通りのお馴染みプレイボーイ賛歌ながら、今までの同系統の楽曲から良いとこ取りしたかのような歌詞が格好いい。一歩間違えればゴールデン・フィンガーになってしまうところなのですが、ギリギリのところで格好よさを保つ手腕はさすが。まぁ、とりあえず先行アナログを聴いた感想はこんなところですね。アルバム出たらまた試聴してみます。
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The Night Is Still Young / Karly

2006-09-17 | Japanese Groove
予想通り一瞬で店頭から姿を消した野本かりあヴァージョンの「東京は夜の七時」。いや、まぁCDでは普通に買えるでしょうし、多分i tunesなんかでもダウンロード出来るとは思うのですが、ファンならばやはりここは12インチで持っていたいところ。収録曲自体は確かCDと同じだったはずですが、何と言ってもこのモノクロームのジャケットが抜群。CDのジャケットも悪くはなかったけれど、やっぱり個人的にはこちらの方が好きですね。それはそうと、ネットサーフィン(死語?)をしていると、このカアリィ版「東京は夜の七時」は何気に賛否両論のよう…。たしかに野宮さんとは声の質感や歌い方も違うし、往年のファンからすればそこに違和感を感じるのでしょうが、個人的には全然アリです。と言うか、僕自身も初めて聴いた時はちょっと違和感ありましたけれど、何度も繰り返し聴いているうちに、いつの間にかこの声にも慣れてきました。カァリイ自身によって新しく書き換えられた詞も、ところどころにファン・サービスが見え隠れして良い感じ。ファン・サービスと言えば、ピチカート版から主演だけ変えて、ほぼそっくりそのままに再現したプロモも、きっとその一貫なんでしょう。まぁ何はともあれ、これまでも何度もリメイクが繰り返されてきた名曲「東京は夜の七時」の2006年ヴァージョン。世紀は変われど、この名曲の輝きは相変わらず色褪せません。ピチカート=野宮さんな人ではなく、僕のようにピチカート=小西さんな人なら、きっと今回もハマれるはず。ちなみに2ヴァージョン収録されたリミックスについては、ノーコメントで…。
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Trombone Recordings 1972 - 1987 / Torolf Molgaard

2006-09-17 | Hard Bop & Modal
基本的に無名のプレーヤーでありながら、ここ最近クラブ界隈で密かな話題となっているデンマークのトロンボーン奏者Torolf Mølgaard。と言うよりも1972年にArtistというレーベルからリリースされたLone Riderというアルバムのみが、テープ収録及び雑誌掲載によって話題になっているだけという気もしますが…。さて、本作はそんな彼が1972年から1987年までに吹き込んだ曲を集めたベスト盤。やはり注目なのはそのLone Riderから抜粋された冒頭5曲でしょう。まずM-1のA Night In Tunisiaは夜ジャズ<裏>N°2にも収められたチューン。曲自体の説明は今さら不要とは思いますが、アフロキューバンとボッサの巧みな切り替えが気持ちいい好カヴァーに仕上がっています。やはりNHØPとBjarne Rostvoldの2人によるリズム・セクションは素晴らしいですね。そして続くM-2のA Bossa For Youは一転して気持ちいいボッサ・ジャズ。Kenny Drewによるアレンジがお洒落で、昼下がりに聴くとよく映える牧歌的な楽曲。先日紹介したDon Rendell = Ian CarrによるLatin Blue辺りにも近いヨーロピアン・ボッサに仕上がっています。各ソロとも良いですが特にメロディアスなピアノ・ソロが幸せ。そしてM-4のSafariはSahib Shihabが提供/アレンジした重厚かつアフロなナンバー。Oktavからリリースされた例のビッグバンド盤にそのまま収録出来そうな、シハブ節全開の名演になっています。まぁオリジナル盤はレアなのですが、話題のこの3曲は当ベストCDで聴けるので、まずはこちらを買ってみてはいかがでしょう。
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駅ニテe.p. / 荘野ジュリ

2006-09-17 | Japanese Groove
けっこう久しぶりとなるJ-Popsからの紹介。ちょうど僕と同い年に当たる大阪のヴォーカリスト「荘野ジュリ」さんの12インチです。タイトルトラックのA-2、「駅ニテ」は元々2004年にリリースされた曲なんですが、1年半くらい前に須永辰緒さんに「発見」されたことで、一気に人気に火が点いたキラー・チューン。疾走感溢れるブラジリアン・ビートに体温低めのヴォーカルが乗るというJazztronik風のナンバーです。また、B-1の「ひととき」はBobby ColeのA Perfect Dayのピアノ・リフを下敷きにしたラテン・ジャズ風の1曲。まだまだ新進気鋭ヴォーカリストの粋を出ていない彼女が本当に歌いたい曲がどういうものかは分かりませんが、少なくとも製作者サイドは確実に小洒落系クラバー及びリスナーを意識しているようです。さて、そんなクラバー向けの本EPですが、何と言っても目玉はA-1の「駅ニテ(Sunaga t Experience Remix)」。最近の夜ジャズ志向は少し影を潜め、ちょうどJ-Popのりミックスを量産していた3~4年前頃の氏の曲風に近い雰囲気に仕上がっています。心地良いブラジリアン・ビートに、硬質かつセンチメンタルなキーボード、哀愁漂うスパニッシュ・ギター、そして控えめながらもダビーなエレクトロニクスが乗った、これぞ初期Sunaga t Experienceなナンバーです。最近の夜ジャズな曲もいいですけれど、たまにはこういう曲調もいいですね。ちなみにAfters Or Recordsからのリリースです。それほどプレス数も多くないと思うので、気になった人はお早めにどうぞ。
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