ブリザ・ブラジレイラやJazz Next Standardへの掲載で、以前その筋の一部の人たちの間で話題になったアルバム。アルゼンチンのテナー&アルト奏者ホルヘ・アンダース(で読み方合ってるのでしょうか?)が、自身のカルテットを率いて65年に吹き込んだ実況録音盤です。さすがにアルゼンチン・ジャズともなると情報も少なく、あまり詳しいことは分からないものの、このアンダースとベースを務めるホルヘ・ゴンザレスはジャズ批評に掲載された例のTrovaの同ジャケEPシリーズにも参加していたりする人なので、当時のアルゼンチン・ジャズ界ではわりと中心的な人物だったのかもしれません。なお、アンダースさんの方はガブリエラ・アンダースなる美人女性シンガーの父親なんだそう。僕は恥ずかしながら全く存じ上げませんでしたが、このガブリエラさんの方は日本でもそこそこ知られる方のようです。閑話休題。さて、肝心の中身の方ですが、さすがサックス奏者の実況盤と言うことで全体的に管の音が前面に出た一枚になっています。その筋の人たちの間で人気が出たのは、アフロ・キューバン風味に味付けしてあるアップテンポなA-3のSuave Como Un Amanecer (Softly as in a Morning Sunrise)でしたが、個人的に好きなのはバラードでのプレイ。特にA-2のSobre El Arco Iris (Over The Rainbow)に関しては、古今東西に数あるこの曲のカバーの中でもベストトラックの一つだと思います。コルトレーンのBalladの雰囲気でOver The Rainbowを演奏していると言えば、なんとなくそのニュアンスが伝わるでしょうか。もう1曲バラードをやっているB-2のPodria Ser Primavera (It Might as Well Be Spring)もなかなかに素敵。ディスクガイドには「ロリンズばりの力強い演奏で鳴らした」とありますが、このアルバムを聴く限りでは、個人的にバラードでの優しく雄大なプレイの方が彼の真骨頂と言うような気がします。と言うわけで、その辺りの雰囲気が好きな人にはわりとお薦めな一枚。クラブ向けと言うよりは部屋聴きが似合う作品だと思います。
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