At The Living Room Reloaded

忙しい毎日の中で少し足を止めてみる、そんな時間に聴きたい素晴らしい音楽の紹介です。

Piano Jazz / Guido Manusardi

2007-02-26 | Hard Bop & Modal
イタリア出身のピアニストであるギド・マヌサルディによる、おそらく70's後半の録音と思われるアルバム。リリースは伊Direから。60年代の大半をスウェーデンとルーマニアで過ごした彼が、その後イタリアに帰ってきてから製作したと思われる一枚です。基本的にわりと前衛の人のようで、初リーダー作であるBlue Train(過去に当ブログでも紹介済み)の時点から既にその傾向は伺えたのですが、ルーマニア時代の作品などは完全なフリージャズ。その前衛志向はイタリア帰還後も健在で、本作も8割方は普通にフリーをやっています。この辺りの音がからきし苦手な僕としては、聴いていて少しツラめというのが正直な感想ですね。ただ、そんなフリー指数が高めの本作において、他とは一線を画した輝きを放っているのが冒頭A-1に収録されたDoina。イントロの十数秒こそ少々前衛がかっているものの、その後の展開は完全なバップで、しかもこれがとびきり優れたテーマを持つワルツだと言うのだから驚きです。マヌサルディのピアノの上に乗るシャープな2管のアンサンブル(実質ワンホーンで多重録音の可能性アリ)が異常に格好良く、おそらく僕と同じような趣味をお持ちの方ならば、一瞬でそのフレーズの虜になるはず。かく言う僕も何年か前に曲だけ聴いて以来、収録アルバムも分からぬままずっと探していました。と言うか、このアルバムはタイトルに偽りありですよね。何度か中古盤屋では見かけたものの、Piano Jazzというタイトルからピアノ・トリオ作品だと思い込んでしまっていて、完全にスルーしていました。裏にも特にクレジットが記載されていないので、ジャケットだけ見ただけだとコンボ編成すら分からないもので…。ちなみにこのジャケは2ndプレス。オリジナルはこのレーベル特有の数字ジャケのものになります。あちらだとますますジャケのみでは内容が分かりませんね…。それほど高い盤でもないので、見つけたらこのDoinaだけでも聴いてみてください。
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Out Front / Clifford Scott

2007-02-25 | Hard Bop & Modal
テキサス生まれのサキソニストClifford Scottが、米World Pacific参加のPacific Jazzレーベルに吹き込んだ隠れ名盤。彼の名自体はさほど知られてはいないかもしれませんが、サイドとして参加しているピアノのLes McCannと、ギターのJoe Passはわりと有名かと思われます。特にマッキャンはこの後、ジャズファンク方面で名を馳せることになるので、その手のリスナーにとっては割とお馴染みな名前ではないでしょうか。さて、本作はそんな2人を含むギター入りクインテットで63年に録音された一枚。収録された7曲全てがオリジナル作品で、そのうち6曲がマッキャンのペンによるものとなっています。ちょうどあの「ゲッツ/ジルベルト」が録音されたのと同じ時期の作品と言うこともあり、アレンジにブラジル音楽を取り入れているのが興味深いですね。白眉はそんな彼のブラジル志向が、タイトルからしてストレートに曲に表れたA-1のSamba De Bamba。リズム自体はアップテンポなものの、マイナー・コード仕立ての一曲となっていて、モーダルな夜感漂う素晴らしいジャズ・ボッサに仕上がっています。途中でJoe Passのギター・ソロも挟まれますが、イージー・リスニング的な要素は一切なく、一曲通してクールな演奏に徹した大人のボサノバと言ったところ。ヘタに派手さがなくタイトなプレイとなっているため、クラブ映えも良いのではないでしょうか。テンポは若干違いますが、Nick Ayoub QuintetによるReport From Cairo辺りと相性が良さそうです。ストレートにスウィングするB-3のタイトル曲も良い雰囲気。クリフォードのテナーもさることながら、マッキャン以下3名のリズム隊の演奏がまた抜群に格好良いです。ちなみにモノ/ステ共に存在するようですが僕の持っているのはモノラル盤。ステレオ盤は聴いてみたことがありませんが、どちらかと言うとモノラル向きの演奏かと思われます。モーダルなジャズ・ボッサをお探しの方には是非オススメ。
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Midnight Sessions / Various Artists

2007-02-24 | Hard Bop & Modal
5年ほど前にNormaからリリースされた60年代スイス産モダンジャズの編集盤。ざっとライナーに目を通したところによると、何やら当時の放送音源(ライブラリーのことを言っているのかな?)を元にしている一枚だそうなので、一連の再発作品とは違いNormaが独自に作った盤だと思われます。7つの異なる編成によるコンボ録音が1曲ずつ収められているのですが、これがなかなかに玄人好みしそうなセレクトとなっていて侮れません。フラヴィオ&フランコのアンブロゼッティ親子がケニー・クラークやジョルジュ・グランツらを迎え吹き込んだA-1のHushから、この時代における端正なヨーロピアン・バップの佳作と言った趣きで良い感じ。続くA-2は何とエルシー・ビアンキのトリオによる62年の未発表音源。優しくそしてどことなく切なさの漂う、彼女特有のアレンジでI Remember Cliffordをスロウに弾き語っています。さらにB-1のBag's Grooveに至っては、Panレーベルからの2枚の激レアEPで一部マニアに知られる、あのMetronome Quintetによるプレイ。ヴァイブ入りのワンホーン・クインテットによる夜感漂うモーダルな演奏が非常に格好いいです。Ueli StaubのヴァイブとBruno Spoerriのテナーの絡みが抜群。機会があれば、この人たちの演奏をもっと聴いてみたいものです。クラブ世代の人にとって嬉しいのは、B-2のWhat Is Thing Called Loveでしょうか。ジョルジュ・グランツの流麗なトリオをバックに歌うのは、当時ヨーロッパで活動していたヘレン・メリル。フロア・キラーとまではいかないものの、急速調のアフロ・キューバン及び4ビートで演奏されているので、上手く使えばDJプレイも可能かと思います。このように素晴らしい曲ばかりが収録された編集盤ですが難点が一つ。他の何作かのNorma盤にも共通する妙なコンプ処理が、どうしても気になってしまいます。これさえなければ自信を持ってオススメする盤なのですが…。
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Prussian Blue / Native

2007-02-23 | Contemporary Jazz
昨年Raw Fusionから12インチをリリースし、日本のシーンをあっと驚かせたクオシモードに続き、今年は彼らが世界デビュー。以前に2ndアルバムをここでも取り上げたことのある、新世代ジャズ・バンドNativeによる話題の新譜EPです。ちなみにリリースはInfracomレーベルから。数年前に一連の【re:Jazz】シリーズが話題になったことでも記憶に新しい、ドイツのクラブ・ジャズ系レーベルですね。さて、そんな彼らによる(オリジナル作としては)初のワールドワイド・リリースとなる本EPは、昨年国内のみでリリースされたUpstairsというアルバムからの3曲に、2ndアルバムIntentionsからのトラックとお馴染みニコラ・コンテによるリミックスを1曲ずつ加えた5曲構成。オリジナルのメンバーにトロンボーンをゲストとして招き、アルトとの2管で熱い演奏を展開するB-3のStep It!辺り、好きな人も多いのではないでしょうか。エレピ使いではありながらも、その演奏はしっかりとバップ・マナーに沿っているため、モダン派のリスナーにも違和感なく受け入れられるはず。何となく後期のゴイコヴィッチにも近い雰囲気を感じます。ただ、やはり個人的に本作中白眉としたいのは、ニコラ・コンテによるリミックスが施されたA-1のPrussian Blue(Nicola Conte Jazz Dance Rework)。最もリミックスとは言っても、いつもの通りお抱えコンボによる完全な弾き直しではありますけれど…。すぐ次に収められている原曲と聴き比べてみれば分かりますが、今回のリミックスは彼の作品にしてはわりとオリジナルに忠実なカヴァー。しかしながら、そこはやはり御大ニコラのこと。オリジナルにはないヨーロピアンな気品を、まるで魔法のようにこっそりと曲に振りかけています。武骨な雰囲気漂うオリジナルも悪くはないですが、個人的にはこのリミックスに軍配。毎度のことながら、彼の手腕にはさすがとしか言いようがありませんね。オススメ盤です。
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Anthropology / Don Byas

2007-02-21 | Hard Bop & Modal
1930年代から様々なビッグバンドで活躍を続けてきたテナー奏者のDon Byasが、渡欧後の63年、自身の活動30周年を記念しカフェ・モンマルトルにて行ったライブの模様をLP化したのが本作。最も現在ではバイアス本人のネーム・バリューでというよりも、絶頂期のアクセンとペデルセンがサイドで参加していることで知られている気がしますが…。レコード屋のキャプションなどでも、リーダー本人よりこちらの2人の名前がプッシュされていますしね。さてそんな本作ですが、内容としては愛すべきダニッシュ・ハードバップの佳作と言ったところ。ワン・ホーン編成ではあるもののバイアスのテナーが良く歌っていて、聴いてて飽きの来ない一枚に仕上がっています。同年に同じ場所で録音された例のサヒブのジャズ・パーティーのようなパンチ力はありませんが、あまり構えずとも自然に聴ける作品なので、普段のリスニングには逆にこちらの方がオススメ。10分以上の長尺で演奏されるB-1のA Night In Tunisiaや、同じく急速調のバップであるA-1のタイトル曲辺りは、わりと好きな人も多いかと思われます。個人的にはラストを飾るバラードのB-2、Don't Blame Meがお気に入り。バイアスの円やかなテナーとアクセンの美しいピアノが相性抜群で、聴いていると心が洗われるようです。なお、オリジナルはデンマークDebut盤ですが、おそらくその同時期に作られたと思われる蘭Fontana盤もあります。僕の所有しているのはBlack Lionのおそらく傍系レーベルであるIntercordからリリースされたもの。ジャケットもオリジナルのデザインではなく、Black Lion盤と同じものが使われています。たしかこのジャケの方で日本盤もあったはず。オリジナルやFontana盤は値が張りますが、こちらの2ndジャケは一様に安価なので興味を持たれた方は是非お試し下さい。
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Roy Haynes / Same

2007-02-21 | Hard Bop & Modal
クラブ世代からは63年リリースのBooker Ervinをフィーチャーした米New Jazz盤が有名なドラマー、Roy Haynesによる54年の仏Swing盤。あちらの盤ではその名もDorianというドリアン・モード使いの1曲が、それこそモーダル・ジャズの代名詞のような感じであちこちで紹介されていますが、本作はまだモード・ジャズ前夜の吹き込みということで、そうしたモーダルな雰囲気はなく、全体にウェストコースト風な一枚に仕上がっています。バルネ・ウィランとアンリ・ルノーという2人の現地ミュージシャンの起用のせいか、どこかフランスの片田舎を想像させる素朴な演奏が印象的。ちなみにウィランは本作が初のレコーディング作品らしいです。フロア向きの作品では決してありませんが、部屋聴き用としてはなかなか良い作品で、たとえば休日の午後に少し古いジャズを聴きたくなったときなどには打ってつけでしょう。曲単位で言うのならば、A-1のRed Roseが急速調のウエストコースト・ナンバーでお気に入り。唯一ピアノ・トリオで演奏されるB-3のDillonも、ルノーのピアノとヘインズのドラムの絡みが綺麗な小品で悪くないです。仮にむりやりクラブでかけるとすればB-2のSubscription辺りかな。ちなみにこのロイ・ヘインズには、本作とほぼ同時期にスウェーデンで録音したセッションがあって、そちらにはサヒブ・シハブやオキ・ペルソンなどの人気プレーヤーも参加しているのですが、全体の完成度の高さとしては本作に軍配が上がるかと…。例によってオリジナル盤は相当レアですが、数年前にBMGから10インチで再発が出ています。しかしまぁ、こんな盤までオリジナルと同じ体裁で再発があるとは、さすがはレコード(というかジャズ)大国の日本ですね。この辺りまで来るとオリジナルは最早手が出ないので、安価な再発盤は大歓迎です。
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Eternal Development / Grooveman Spot

2007-02-18 | Mellow Hiphop
昨年一部で話題になったGrooveman SpotことDJ Kou-Gの1stが、今年になってようやく待望のヴァイナル化。最近は僕もすっかりジャズに傾倒しまっているので、どうにもこの辺りの新譜はチェックが怠りがちなのですが、久しぶりに行ったD.M.R.で発見したために即買いしてしまいました。知らない人のために説明すると、彼は例のDJ Mitsu The Beatsなんかと同じで、いわゆるJazzy Sport周りのDJ兼トラックメイカー。数年前にひっそりと出したミックステープや、当ブログ立ち上げ当初に紹介したEP盤が、その筋のコアなリスナーの間で話題になったため、今や日本のアンダーグラウンド・ヒップホップ業界ではちょっとした有名人です。そのクロスオーヴァー色の強い音作りは、どうやら西ロンドン辺りのジャズDJにも人気がある模様。僕自身もEPの頃から彼の音は大好きで、未だに時々思い出したようにターンテーブルに乗せています。さて、本作はそんな彼が満を持してリリースした1stアルバム。個人的には期待通りの出来だと思っています。フェンダーローズやミニムーグを多用したスペーシーな音作りが醸し出す、程よいレトロ・フューチャー感が素直に心地良いです。それでいて全体の雰囲気はどこか都会的かつメロウでスムース。ジャジー・ヒップホップと言うよりも、何年か前に流行ったAlison Crocket辺りのネオ・ソウルに近い世界観を感じます。ちなみに個人的なアルバム中のベスト・トラックは、先行シングルとしても切られたA-2のThe Blow。心地良い高揚感に満ちた跳ねるビートに、真夜中の大都会を思わせるキラキラとした上ネタ、おまけにCapitol Aによる渋くスムースなライミングがたまりません。フリーソウルの雰囲気とか好きな人は確実にやられるはず。ヒップホップだからと毛嫌いせずに、たまにはこういう音に触れてみるのも悪くはないと思います。
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Special Brew / Ib Glindemann And His Orchestra

2007-02-17 | Hard Bop & Modal
デンマークのアレンジャー兼コンダクターであるIb Glindemannが、自身のオーケストラを率いて1957年に吹き込んだ一枚。ちなみにライブ録音で、リリース元はデンマークColumbiaからです。2年位前にユニヴァーサルから再発された63年のFontana盤(以前にここでも紹介済み)が、当時マニアの間で話題になりましたが、本作はそれよりも6年ほど前のものということで、良い意味であちらの盤に比べて荒削りと言った印象ですね。ドラムのJørn Elniffとお馴染みボッチンスキーを除き、アクセンやイェーディグなどJazz Quintet 60周りの面々は参加していないものの、なかなかに迫力と勢いのあるビッグバンド・サウンドを堪能出来る一枚になっています。Fontana盤でも再演していたB-2のHav-A-Havanaは、ラテンタッチの硬派なハードバップでクラブ筋から人気の高いナンバー。カツカツとしたアフロキューバン・ビートの上に乗る豪快なホーン・アンサンブルが格好いいですね。同系統のラテン・ジャズであるA-5のタイトル曲も、途中で一度テンポ・ダウンしてしまうものの、なかなかに悪くないナンバーです。個人的に気に入っているのは、流れるようにソロでリードを取り続けるRolf Billbergのアルトが気持ちいいB-3のIn Lighter Vein。また、Jørn Elniffの捲くし立てるようなドラム・ブレイクが印象的なA-2のCousin Jackも良い感じ。と言うか全体的に相当クォリティ高めです。これぞモダン・ビックバンドの真髄とでも言ったところでしょうか。50年も前のデンマークの10インチなので、なかなか中古市場にも顔を出しにくい一枚かとは思いますが、もしも見つけることが出来たなら耳を傾けても良いかもしれません。総勢12名のオーケストラがズラりと並んだジャケット・ワークもまた素晴らしいですね。文句なしのオススメ盤です。
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Focus Jazz / Various Artsits

2007-02-17 | Hard Bop & Modal
昨年夏頃にリリースされ巷で密かな話題となった、Jazzanova監修による未発表ジャーマン・ジャズ・コンピから、半年遅れで最近カットされたサンプラー12インチ。6月からずっと待っていたのですが、あまりの音沙汰のなさに発売自体が見送りになったのかと思っていたところ、ここに来てようやくの正規リリースです。既に多くのレコード店が取り上げていますが、本サンプラーの目玉はThird EyeによるMacedonia。クラブ界隈ではお馴染み、ダスコ・ゴイコヴィッチによる大名盤Swinging Macedoniaのタイトル曲ですね。CDの方にはダスコによるオリジナルが収録されていましたが、こちらのサンプラーでは謎の匿名アーティストThird Eyeによるリミックス(リコンストラクト?)を収録。まぁ最も実際のところは匿名も何も、Nicola Conteが手がけたものであることがバレバレなのですが…。アーティスト名こそ匿名という体裁なものの、実際にプレイするメンバーはFabrizio Bosso以下いつもの通りのメンバーが実名でクレジット記載されていますしね。気になるその内容はというと、既に一度このブログでも取り上げた通り、2管クインテットによるOther Direction直系の高速モーダル・バップ。変拍子だったオリジナルをストレートな4ビートに変換し、Michael NauraのDown In The Village的な転調をアクセントに加えた、抜群にユースフルなキラー・ジャズ・ダンサーに仕上がっています。フロアー発信のジャズとしては相当に出来が良いので、僕も以前紹介した自分のCDに収録させてもらいました。おそらく今後、多くの生音ジャズDJがプレイすることになるのでしょうね。ちなみに残り2曲はCDの方にも収録されていた旧譜もの。ちょっとスピリチュアル色が強すぎて、僕としては正直あまり得意ではないです。まぁこのThird Eyeだけで充分過ぎるほど買う価値があるかとは思いますけれど。DJにはもちろんのこと、普段クラブジャズを聴かないモダン派の方々にもオススメです。
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European Suite E.P.2 / Sunaga t Experience

2007-02-16 | Club Music
昨年リリースされたSunaga t Experience名義での3rdアルバム、A Letter From Allnightersから切られた都合4枚目のシングルが本作。タイトル的には昨年話題となったEuropean Suite E.P.の続編という体裁になっていますが、ヨーロピアン・ジャズのカヴァー集であった前作とは異なり、本作は全3曲いずれも須永氏のペンによるオリジナル曲で構成されています。先日7インチでもカットされ瞬く間に完売したA Healing Blueは、今回はアルバム未収録だったニコラ・コンテによるリミックス(というかリコンストラクト)を収録。この盤の目玉はおそらくそのリミックスとなるのでしょうね。オリジナルをほとんど無視した独特の手法は相変わらずですが、先日のThird Eye名義でのMacedoniaと同じく、彼ののリミックス・ワークの中でも一際ジャズ度が濃い内容となっていて僕は非常に好きです。名盤Other Directionの世界観を正統に引き継いだとも言える非常に完成度の高いリミックスではないでしょうか。最も、申し訳程度に挿入されるSheila Landisのヴォーカルは、いっそ全く排してしまった方が良かったのではないかと思いますが…。ちなみに残りの2曲は既発のものですが、アルバムの中でもクラブ度が高かったナンバーを収録。A-2のDig The Nu Breed(タイトルのみThe Jamの曲から引用)のカットが嬉しいです。適度なヨーロピアン・バップ的解釈のNu Jazzで、オールド・ジャズの流れからでも、逆に新譜の流れからでもプレイ可能という非常にDJフレンドリーな1曲。こういう曲って意外にありそうでないんですよね。全体的に前作European Suite E.P.よりもクラブ・ユースな一枚となっているので、生音ジャズを中心にプレイするDJの方には重宝されるのではないでしょうか。ちなみに次はライブのレパートリーでもあるNaimaやHelsinki At Noonあたりをカットしてくれるとファンとしては嬉しいですね。
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