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【「石油交換券」米ドルだけは別】通貨の価値はモノ・サービスの価値③

2016-08-21 00:02:49 | 世界共通

前回からの続き)

 前回、「通貨発行国のモノとの交換券」という個人的な通貨の定義に照らせば、多くの産業分野ですでに競争力を失った欧米諸国の通貨―――ドルユーロポンド等は、いまやそれら通貨自体の現在価値にふさわしい彼らの産品に裏付けられていないという意味で、中身のともなわない抜け殻みたいだ・・・なんて私的な印象を綴りました。

 で、このままだとこれら諸国は「なんだ、アナタの発行通貨を手にしたところで価値あるモノと交換できないじゃん」とみなされて通貨を投げ売りされ、激しいインフレ長期金利の暴騰で破綻してしまいます。そんな破局を食い止めるためには、内外の投資家に引き続き自分たちの通貨を持ってもらうよう、それと交換できる自国製品に魅力をつける必要がありますが、トホホなことに彼らには付加価値の高いモノを作れない。で結局、大半は「地べた」くらいしか売り物がない、ということになって・・・「いーえ、わが国の通貨があれば、わが国の高級不動産を買えまっせ!」みたいに不動産バブルにどっぷりと依存することになるわけです・・・(?)

 ただし、「ドル」だけは別。たしかに上述のとおり、メイド・イン・USAの多くには現状のドルの価値に見合うだけの付加価値が見い出せないのは事実(?)。でもドルには、他の通貨にはない「石油交換券」としてのスペシャルな機能があります。ドルがあれば、WTI等のアメリカ産石油はもちろん、ドル発行国ではないサウジアラビアやロシアなどの石油をも買えるということです。現代社会における最重要の戦略物資である石油と交換できる通貨―――これこそがドルであり、ドルが「基軸通貨」たる所以。ということでドルは、その発行国のモノすなわちメイド・イン・USAというよりはむしろ石油の価値に裏付けられる通貨になっているわけです。

 ドルが石油に結びついた具体的なプロセスはここでは書きませんが、アメリカが世界政策的に両者のリンケージを進めてきたことは間違いないところ。このあたりの裏を返すとアメリカは、自分に実力が無いことが分かっていた―――本来はドルの価値を支えるべき自国産品に付加価値も競争力も乏しいことに早くから気が付いていた。だからこそアメリカはドルを、それらの代わりに世界の誰もが必要とする石油の唯一の交換券に仕立て上げ、ときには戦争という手段を取ってでも(?)、その特権を死守してきたわけです。こうしてドルの価値は、アメリカ製品の魅力低下に関係なく、いまに至るまで一定レベルに維持されてきたという面がある・・・と思っています。

 ・・・いっぽう、上記ドルの特別な地位は、アメリカ製造業を弱体化させる要因になったともいえるでしょう。石油交換券のドルは誰もが受け取ってくれるため、アメリカは他国産品を買うのにドルを印刷して渡すだけでよいことになります。となればアメリカ人は、何も苦労して自国製品の品質向上等に努めなくてもドル払いで外国から買えばいいや、となって、モノ作りを怠ってしまうことに・・・

続く

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