(前回からの続き)
以下に超シュールな未来予想図を―――
先述のように、中国がアメリカ(FRB)を上回る1万トンの金塊を集め終え、米「トランプノミクス」の大成功(?)でドルが対人民元で1/2に暴落したとします。
・・・このとき中国人民銀行(人民銀:中国の中央銀行)は、ドルの伴連れで人民元が急落するのを防ぐため、バランスシートの「外貨」(すべてがドルと想定)の元換算額を1/2に圧縮する一方、その圧縮額と等しい額を「貨幣用金」に振り替えます。同行の総資産額(約34.2兆元:今年5月)が維持されたとすると、この貨幣用金の額は約11兆元と、現在(約2500億元)の40倍以上に急膨張します。同時に人民銀は、自身が抱える金準備がそれまでの1843トンから5倍あまり増の1万トンになったと公表します。この際の金の1トロイオンス当たりの元建て価格は・・・現在の約4290元から34300元強へとほぼ8倍に膨らむことに。もちろん金の市場価格の方も・・・アメリカを優に上回る金を持つに至ったという中国当局の上記発表を受け、この金額前後にまで爆騰します・・・(?)
・・・こうして人民元は、インフレな他国の通貨に依拠するばかりの「疑似ドル」的なものから、その価値の1/3あまりが純金(ゴールド)によって裏打ちされた真に強い通貨に変貌します。その為替レートは上記のようにドルの倍になるほか、決済・準備通貨としての国際金融界における地位も一気に高まり、SDR構成比率はドルを抜き去って1位に浮上し、とうとう人民元はドルに替わる基軸通貨の座に上り詰める・・・!?
―――以上、中国の金融当局者が夢に描く(一方のアメリカにとっては悪夢の?)人民元の将来をシミュレーションしてみました。実際に中国はこれに近いイメージの通貨戦略を持っているのではないか、と想像するものです。少なくとも、自国の通貨・金融政策が米ドルやアメリカの動静に縛られることのないようにしたいと切に願っているに違いない・・・
いずれにせよ、中国がこれらに対処するために不可欠の条件は・・・アメリカを圧倒するだけの世界最大の金準備量を用意すること。なので中国は間違いなく(?)1万トンに向けていまも金をひそかに蓄え続けていますよ・・・って、本当にもう集めちゃった可能性も十分にあったりします(?)。中国はいまや世界最大の産金国(450トン:2015年)であるほか、毎年数百トンの金を輸入(2016年は香港経由で約770トンを輸入)していますから。そのうえ同国は金の輸出=海外流出を禁じていますしね。ということは少なくとも毎年、千数百トンの金塊が中国国内に貯まるわけで、そのうちの大半(?)が、いま・・・(中銀に倉入れする前の仮置きとして?)人民解放軍の秘密倉庫をパンパンに膨らましているかもしれない・・・(?)