(前回からの続き)
本ブログでは以前から日銀の「異次元緩和」、そしてこれに大きく依存する「アベノミクス」のことを、黒田日銀総裁のお名前にちなんで「黒田魔術」、略して「黒魔術」と呼んでいます。実質的にはソンをしているにもかかわらず、名目値を良く見せることで、あたかもトクをした気分にさせる魔法のことをいいます(もっとも最近は実質値どころか名目値までソンした様子を伝える指標が続出していますが・・・)。
これについてはアベノミクス当初の「経済成長」が典型例。いっとき、GDPの年間(2013年)伸び率は円安などの効果でけっこう高まるのでは、なんて期待がありました。たしかにそうったかもしれません、円建てで計算すれば(って、結局1.54%で、大したことはなかった)・・・。
でも、こちらの記事で示したとおり、国際的な基準、つまりドルベースで測定すると、急激に進んだ政策的な円安で、わが国は昨年15%以上もの「超」マイナス成長に落ち込みました。当然、同じことがドル換算した国民所得の額にも当てはまります。このあたりはIMFとかOECDなどの統計を見れば、誰でもそのトホホな実態を確認することができます。さらに加えると、わたしたちの賃金もこちらに書いたとおりの惨状・・・。しかし、マジックのネタばれを恐れる(?)政府、日銀、経済学会、そしてマスコミはこれらを国民に伝えようとはしません。こうしてわたしたちは真実を知らされることなく、「黒魔術」のもとでますます貧しくなっていく・・・。
・・・といったように考えていました。でも先述のとおり、これってわが国をひたすら弱体化させるだけの売国的政策に過ぎません。そんなことを日銀が意図するわけはない、だから異次元緩和の本意は違うところにあるのだろう、と思う(願う)わけです。ではそれは何か、ですが・・・日銀は、あえて低利マネーを金融マーケットにじゃんじゃん投入することでアメリカ、そして世界各国に拡散・拡大したバブルを目一杯膨らませ、そして破裂させることで、その自己崩壊を促そうとしているのだろう―――いまはそう推察しています。
そしてそのためにはまだまだバブルのサイズが物足りないと見る日銀は、ここで批判を受けたからといって中途半端に円安誘導を止めるわけにはいきません。で、「国際的な理解を得た」なんて言い訳をして異次元緩和の正当性を強調しつつ、うつろなバブルにマネーがどんどん吹き込まれていくよう煽りまくります。やがて赤色巨星クラスに膨れ上がったバブルは最終的に大爆発!でもそれはバブルに突き進んだ側の自業自得であって、日銀のせいではない・・・。これこそ真の「黒魔術」―――滅びのマジックですね・・・。
先述のように、日銀の現状の金融政策は日本経済と国民生活にとってはマイナス面のほうがはるかに大きいと考えています。しかし「肉を切らせて骨を断つ」ではありませんが、その究極の目的がバブルの極大化と自爆への誘導、そしてそこに群がっていたカネの亡者たちを吹き飛ばすこと、さらにその後の世界経済・金融覇権を日本が握ること(!?)だと思えば、いまのわたしたちの円安にともなう数々の苦しみも少しは癒される・・・!?
・・・って、あり得ないでしょうね。日銀首脳陣はそこまで「悪人」に徹し切れないでしょうから。でも日銀が意識していようがいまいが、日銀の緩和マネーに導かれ、どのみちアメリカと世界はこうなっていく!?
(「日銀『円安誘導』真の狙い」おわり)
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