なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

肺と肝臓に腫瘍

2022年12月02日 | Weblog

 水曜日の夕方に、救急外来をみていた外科医(大学病院からバイト)から連絡がきた。その日は当直だったが、当直の先生に引き継ぎたいということだった。

 患者さんは73歳男性で、肺と肝臓に腫瘍があるという。大変な状態のようだ。救急室に診に行った。

 

 9月ごろから咳・痰が続いていて、市販の薬を購入していた。1か月前から食事摂取も少なくなっていた。その日は家族(同居の妻と別居の娘)が救急要請していた。患者さん本人は病院嫌いということだった(診断されるのが怖いのかもしれない)。

 単純胸腹部CTだけだったので、造影CTを追加した。左肺下葉に腫瘍があり、胸水が貯留している。右肺にも腫瘍があった。肺門リンパ節などのリンパ節にも転移している。肝臓内に腫瘤が多発して、一塊になっているところも腫瘍が合わさったように見える。

 腫瘍マーカーを提出すると、CEAとCA19-9が著増していた。AFPは正常域だった。造影所見からも肝細胞癌らしい造影効果はないようだ。肺腺癌が原発で、肺門リンパ節転移・肺内転移・肝転移したということだろう。胸水は癌性胸膜炎ということになる。

 

 年齢的には、一度はがんセンターなどに紹介する年齢になるが、治療は困難だろう(当院で癌末期と言っても、信用されないこともある)。家族には検査結果と治療困難と予後不良を説明した。

 入院してもらって、家族の希望があれば、診療情報提供書と画像を持って、家族に専門病院に行ってもらうしかない。ところが、本人が頑として入院を拒否した。自宅に帰るという。

 家族からは、本人は気が弱い人で癌(それもかなりの進行期)と伝えると、どうなるかわからないといわれた。救急室で、さらに点滴室に移動してからもスタッフと家族で入院を勧めたが、結局拒否してその日は自宅に帰ることになった。

 その気になったら来て下さい、と帰すしかなかった。

 

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