なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

コロナ肺炎の自然経過

2022年12月21日 | Weblog

 火曜日に保健所の依頼で、新型コロナウイルス感染症に罹患した61歳男性の外来アセスメントを行った。

 その日は発症11日目に当たる。自宅療養だと7日間で隔離解除になるが、その時期になっても発熱・咳が続いていた。保健所の聞き取りの内容が送られてきたが、細かい字でびっしりと埋められていた。症状が多彩というよりは、性格的なものがあるらしい。

 透析も行っている私立病院に、糖尿病・慢性閉塞性肺疾患で通院している。住所は地域の基幹病院の近くだったが、アセスメントは当院に回されていた。

 胸部CTで両側肺野に胸膜直下に散在していたすりガラス陰影が、浸潤影様・索状影様となっていて、炎症期から瘢痕期へと向かう様子が見て取れた。

 バイタルは問題がなく、酸素飽和度は99%(室内気)だった。前日は微熱だったが、その日は解熱して平熱になっていた。

 血液検査ではCRPが5.4とまだ上昇していた。肝機能障害はAST>>ALT・γ-GTP上昇で、アルコール性肝障害と思われる。糖尿病はインスリンを使用していて、HbA1c8.5%だった。ヘビースモーカーだったが、肺炎になって最近やめた(ということになっていた)。

 食欲もあり、動きはスムーズだった。少なくとも入院の適応はない。使用するとすればステロイド(デキサメサゾン)だが、血糖がさらに上昇することになる。

 症状は軽減してきていて、そのまま経過を見る方がよいと判断された。症状が遷延する時は、基幹病院などの呼吸器内科の外来を受診させてくださいと記載して保健所に送った。

 この患者さんはコロナワクチンは全く受けていなかった。オミクロン株になってから上気道感染が主になって、肺炎(下気道感染)は減少しているとされるが、ワクチンを受けていないと肺炎になるようだ。(以前に記載した精神科病院からきた患者さんもそうだった)

 

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DPB

2022年12月20日 | Weblog

 びまん性汎細気管支炎の72歳女性は、当院に通院するようになってから10回の入院歴がある。通院していた病院から紹介された時から、呼吸器科外来(非常勤医担当)に通院していた。

 びまん性汎細気管支炎deffuse panbronchiolitis(DPB)といえば、マイクロライド少量長期療法だが、この患者さんは効果がなかった(不応例)。

 喀痰培養では緑膿菌が検出されていた。緑膿菌に効果のある抗菌薬は当初感受性があったが、カルバペネムは温存していたにもかかわらず、感受性がなくなったりしていた。

 ピペラシリン/タゾバクタムは何度か使用されたが、薬剤熱が生じるようになり、使用できなくなった。第4世代セフェムは感受性があり、最近はもっぱらこれを使用していた。

 入院治療を要する時に外来担当医から依頼があり、何度か担当していた。そのうちに在宅酸素療法(HOT)が導入されていた。

 前回の入院後は、外来担当医が家族を呼んで、病状が厳しくなっていることを伝えていた。いよいよの時にどうするかだが、気管挿管・人工呼吸になると抜管できなくなる可能性が高いと見込まれた。

 

 今回は先週末から発熱があり、受診していた。土日の日当直は外部の先生で、コロナの検査をして陰性だと基本的にはそのまま帰宅としている。

 月曜日には呼吸困難で救急要請をした。救急当番だった神経内科医がコロナの検査をして(陰性)、あとはよろしくと連絡がきた。外来(再来)をしていたので、必要な検査を出しておいた。

 病棟や検査からの連絡を何度か受けながら、何とか外来を済ませて診に行くと、ちょうど検査結果が出たところだった。肺野全体に陰影があるので判読し難いが、いつもは今回はここの陰影が増えていると指摘できた。

 今回は両側肺野全体に陰影が多発している。酸素吸入は2~3L/分だが、痰がからんでくるとそれでは90%を維持できない。5L/分にして少し落ちついた。

 

 

 家族を呼んで病状を説明したが、患者さんは「今度入院する時は死んでしまう」と語っていたそうだ。今回も大丈夫、とはとてもいえなかった。

 粘稠な喀痰が常時排出されて、灰色痰に時々淡い血性の痰が混じっている。もともとやせているが、最近の食欲不振でさらに体重が減っている、

 

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COVID-19の講演会

2022年12月19日 | Weblog

 先週の金曜日は午後7時から感染管理のカンファランスがあった。地域の基幹病院が中小病院を指導するという立場になり、今回は実習もあった。ただし、web開催なので実習といっても見ているだけになる。

 発言を求められることもないので、感染管理ナースは画面上は病院名だけの表示にしましょうという。その日は同時刻にCOVID-19のwebセミナーもあって、ぜひ聴きたかった。最初の5分だけ出て、後は医局でwebセミナーの方を視聴した。

 

 第7波と第8波の特徴は、罹患者は超高齢の割合が多く、そのため誤嚥性肺炎の合併が多く、身体機能低下(特に摂食機能低下)を伴う要介護者になる。

 隔離期間までに身体機能が回復しないために、看護師の負担が大きい。高齢者が多く、合併症(褥瘡、誤嚥性肺炎、尿路感染症)を起こしやすい。

 そのため、元の施設がクラスターを起こしていて施設に戻れない。また摂食できないため、入院継続を要する(点滴の継続、高カロリー輸液への移行)。

 現在COVID-19の診療は高齢者の総合診療になっている、というのが結論だった。

 

 当院でも、クラスターが発生した施設入所者がほとんどになっている。隔離期間を過ぎても、経口摂取ができない、またADLが低下して動けない、ということで一般病棟への転棟になってしまう。

 認知症のBPSD(不穏)の問題もあり、体幹抑制・手にミトン装着(点滴を抜かれないため)と、抗精神薬の投与という診療になる。

 当院は感染病棟もあるが、どちらかというと後方支援病院相当なので、コロナ治癒後(隔離期間終了後)の入院もそれほど気にしない。純粋な急性期病院は、後方支援病院への転院が進まないと大変だと思う。

 

 経口摂取できない90歳代女性の家族は、もう十分在宅介護はしましたということで、末梢点滴での看取りでいいと言われた。それ以外は、結局高カロリー輸液に移行することになることが多い。

 

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デキサメサゾンの効果

2022年12月18日 | Weblog

 12月12日に記載した「コロナらしい肺炎像」のその後。

 精神科病院に入院していた統合失調症の75歳女性が、11月27日にCOVID-19に罹患した。そのままその病院で経過をみていたいが、発症時から12日間発熱が続いていた。12月8日に保健所の指示で外来アセスメントを依頼された。

 胸部CTで両側肺にすりガラス陰影が広がり、酸素飽和度の低下していた。

 保健所によれば、入院している患者はそこで最後まで診ることになっているというが、精神科病院だったので当院入院とした。

 発症12日目で炎症期になっている。抗炎症薬デキサメサゾンの投与を開始した。デキサメサゾン8mg(6.6mg)から開始して5日間続けた。解熱して炎症反応が経過したので、そこからは漸減することにした。

 発症19日目の12月15日に胸部CTを再検した。すりガラス陰影はまだ残っていたが、索状影も出て、全体に軽快していた。炎症の影響で(低蛋白血症もある)胸水が少量貯留していた。(その前にポータブル胸部X線で見たが、悪化なく、むしろ軽減かというくらいで判読し難かった。ステロイドの問題があるのでCTで診ておきたかった。)

 呼吸器外来に来てもらっている大学感染症科の先生に相談すると、ステロイドは予定通り10日でいいでしょうということだった。(細かく漸減して続けるか迷った。)

 コロナらしい肺炎像も久しぶりだったが、デキサメサゾンの効果を見るのも久しぶりだった。

 

 ただこの患者さんは、診療情報提供書によると「統合失調症、拒食症」となっていた。嚥下訓練を開始したが、吐き出してしまう(薬は飲んでくれるが)。

 酸素吸入もやめて、治療も終了すれば、そのまま精神科病院に戻ってもらう方がいいのだろう(先方が受けれくれれば)。

 

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LEAD

2022年12月17日 | Weblog

 水曜日に外来を受診した79歳男性に、おかげさまで良くなりました、といわれた。糖尿病で通院していて、HbA1cは6%台後半で経過している。

 その後に左下肢を触りながら、痛みがなくなったと言われたので、そこで思い出した。3月に、労作時に左下肢の痛みが生じて、そこで歩行が止まってしまうと訴えた。つまり間欠性跛行があった。

 腰椎脊柱管狭窄症かと思われて、腰椎MRIを検査したが、有意な異常はなかった。

 その後に、下肢の閉塞性動脈硬化症疑いとしてCTで下肢の造影検査をすると、両側下肢動脈に石灰化が目立ち、左総腸骨動脈の高度狭窄を認めた。

 

 腰椎脊柱管狭窄症だと歩行を止めただけでは症状は改善せず、前傾姿勢になる必要がある。下肢の閉塞性動脈硬化症では歩行を止めただけで症状が改善するので、症状で鑑別は付くのだった。

 地域の基幹病院では、血管外科の外来(大学病院から週1回)があったが、1年くらい前から血管外科医が赴任していた。外来に紹介すると、経過をみて手術を考慮するという返事が来ていた。その後、当院受診時には下肢の症状を訴えなかったので、ほとんど忘れていたのだった。

 手術はステント留置と内膜血栓摘除術を行ったと記載されていた。外来で抗血小板薬(プラビックス75mg)を開始していて、当院で継続処方してほしいとあった。

 今どきは、下肢閉塞性動脈疾患(lower extremity artery disease:LEADリード)というそうだ。

 

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低体温症

2022年12月16日 | Weblog

  火曜日に地域の基幹病院救急科から、低体温症の81歳女性の転院依頼がきた。入院が満床状態なので、その日のうちに引き取ってほしいという。内科の若い先生は入院患者数が少なかったので、担当をお願いした。

 月曜日の午前8時ごろに同居の息子さんが、自室にいないのに気付いて探したところ、暖房のない離れ(自宅の構造がわからないが)で倒れているのを発見した。通院はしていないが、認知症が進んでいたらしい。

 救急隊到着時、腋窩温28.6℃(30℃未満で測定できる?)で血圧は測定不能だった。開眼はしていたが、発語はなかった。住所からは当院の方が近いが、血圧測定不可の重症なので、救急隊は直接基幹病院の方に搬入依頼したようだ。

 病院到着時、深部体温27.4℃で血圧は測定不能だった。心電図では心拍数61/分で心房細動を呈していた。体外式保温を開始して、2時間後には36.0℃まで戻っている。認知症で見当識障害があるが、名前を言えるようになっていた。

 頭部CT、胸腹部CTで脳血管障害や肺炎はなかった。腎機能障害・CK上昇(筋挫滅)などの問題はあるが、後は点滴を継続して食事摂取できるか経過をみるだけになる。

 介護保険は受けていないので、そこからスタートになる。生活保護受給者なので、入所できる施設は限られる。福祉サービスを入れて、在宅介護になるが、手続きとリハビリを行うと2か月はかかりそうだ。急性期を診てもらえれば、その後の対応は当院でできるので、いい連携だと思う。

 当院に来てからの心電図は洞調律だった。心房細動は低体温による症状(30℃<で心房細動)ということになる。搬入時の心電図は送られてきてないが、低体温のOsborn J波は認めたのだろうか。

 

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GAVE

2022年12月15日 | Weblog

 先週木曜日の夕方に、めまい・ふらつきの74歳男性の救急搬入依頼がきた。救急当番は外科医(大学病院外科からバイト)だった。検査をオーダーして、その日当直だった常勤医に診てほしいと依頼した。

 当直医は皮膚科だった。検査の結果、Hb6g/dl台の貧血があり、胸腹部CTで腹水貯留を認めた。貧血は小球性貧血(鉄欠乏性貧血で、吐血・下血がないことから緊急性はなさそうだった)内科当番の先生に連絡して、その日は診てくれた。

 翌日内科医の担当となった。腹部CTで胃前庭部の壁肥厚があり、胃癌疑いという放射線科の読影レポートだった(大学病院の遠隔診断)。(たぶん腹水は癌性腹膜炎と判断したのだろう)

 今週この患者さんが入院していたことに気づいて、経過をチェックした。入院後の貧血の進行はなく、程度は横ばいだった。担当医は、水曜日に上部消化管内視鏡検査が予約できたので、その結果待ちとしていたようだ。

 肝機能障害があり、AST>>ALT・γ-GTP上昇があり、アルコール性のようだ。画像上は肝表面の凹凸があると言い難く、脾腫もないが、アルコール性肝硬変が疑われた。

 入院時に発熱があり(コロナは陰性)、肺炎や尿路感染症とはいえなかったが、抗菌薬投与(セフトリアキソン)であっさい解熱していた。5~7割の食事摂取もできていた。

 

 上部内視鏡検査(大学病院消化器内科からバイト)では「萎縮性胃炎・浮腫状変化あり」となっていた。実際の画像を確認すると、胃前庭部の幽門輪周囲の毛細血管拡張による多数の小発赤を認めた。また胃体部に同様の所見が散在していて、噴門部にもあった。(胃食道静脈瘤はなかった)

 前庭部の変化は胃前庭部毛細血管拡張症(gastric antral vascular ectasia:GAVE)に相当する。胃体部にもびまん性にあり、肝硬変が関係している(門脈圧亢進症も関係)。

 検査時には小発赤(毛細血管拡張)の数か所からoozingがあり、検査処置(胃を広げたことや擦ったこと)に関連しているのだろう。小腸・大腸の検査はしていないが、この胃病変による慢性的なoozingが貧血の原因になった可能性が高い。

 

 常勤の消化器科医に内視鏡画像を見てもらうと、GAVEだろうという。とりあえず、PPI(ラベプラゾール)をP-CAB(タケキャブ)にして、鉄剤投与で経過をみましょうとなった。

 内視鏡処置としては焼灼術になるので、以前していたアルゴンプラズマ凝固(argon plasma coagulation:APC)は?というと、予算がなくて維持管理できないのでやめてしまっていた。

 地域の基幹病院消化器内科には上部消化管の専門医が2名はいるので、内視鏡処置について紹介したほうがいいかもしれない。

 

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コロナの誤嚥性肺炎

2022年12月14日 | Weblog

 先週の金曜日に隣町の老人施設から、コロナの患者さんを紹介したいという連絡がきた。

 COVID-19のクラスターが発生した施設だった。11月26日に高熱があり、コロナの抗原検査で陽性と出た。経口の抗ウイルス薬(ラゲブリオ)を出したが、実際は飲めなかったようだ。

 高熱が続き、食事摂取もできず、反応も鈍くなっていた。12月1日に地域の基幹病院で外来アセスメントが行われて、コロナの肺炎ではなく、誤嚥性肺炎と診断されていた。

 入院にはならず、外来アセスメントだけだった。その後も症状が続いて、施設内で点滴(500mlを2本)をしていた。さらには酸素飽和度低下で酸素吸入もしていた。

 12月9日に、コロナの隔離期間は過ぎたとして、施設で町立病院に入院依頼をした。コロナの検査が陽性になるので(?)、入院させられないと断られていた。

 ふだんから時間外の入院は受けていない病院だと思うが、隔離期間を過ぎているといっても、過ぎたばかりというのは(本当に感染性はないのかと疑心暗鬼になり)いやなのだろう。

 当院で引き受けることにした。救急車の到着は時間外になるので、事務・放射線科・検査・感染管理看護師がそれまで残るようになる(当方も)。

 胸部CTをみると両側肺の下葉背側に浸潤影を認めて、確かに誤嚥性肺炎らしい。コロナのすりガラス陰影が浸潤影に変化してきた可能性も考えたが、基幹病院のアセスメントで誤嚥性肺炎と診断されているので、そうではないのだろう。

 

 通常の誤嚥性肺炎として治療を開始したが、肺炎が治ったとしても経口摂取は難しそうだ。状況が良い方に展開すればになるが、高カロリー輸液に切り替えて町立病院への転院を考慮することになるか。

 

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多発肋骨骨折

2022年12月13日 | Weblog

 先週の木曜日の夕方に、地域の基幹病院の救急外来から96歳女性が紹介されてきた。内科の別の先生が受けていた。そういえばその日は、帰りにまだその先生の車が駐車場にあって、何かしているのだろうかと思った。

 後で話を聞くと、浮腫で医院から基幹病院に紹介された患者さんだった。心不全ということで、循環器科内科医が診ていた。当院に連絡が来た時は、慢性不全の症状と思われます、ということだったそうだ。

 

 来てみると、診療情報提供書の中に(病名ではなく経過のところ)、転倒による肋骨骨折の記載があった。少量の血胸?、という記載もあった。(整形外科で確認していただけますと幸いです、とあった)

 送られてきたCTを確認すると、多発肋骨骨折(左第7~12肋骨)があり、血胸になっているようだ。保存的治療にはなるが、血胸は経過をみないと何ともいえない(少量とはいえない)。

 

 さらに全身に皮下出血があり、単に転倒したというのではなく、家庭内暴力の可能性があった。今週になって、地域医療連携室から警察に連絡して事情聴取となった。

 

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コロナらしい肺炎像

2022年12月12日 | Weblog

 木曜日に保健所から、精神科病院に入院している75歳女性の外来アセスメントが依頼された。

 精神科病院内でクラスターが発生しているらしい。この患者さんは発熱で発症して、12日間高熱が続いていた。外来アセスメントに来た時は病院の車でPPEを着た看護師さんが付いて来ていた。

 外来アセスメントは胸部CT撮影から始めるが(そのままCT台で採血する)、両側肺野にすりガラス陰影の広がりを認めた。最近はコロナのすりガラス陰影が広がる症例はほとんど見ていなかった。

 放射線科の技師さんから、久しぶりに見ましたといわれた。患者さんは長期に入院しているので、コロナのワクチンはまったく受けていないらしい。

 酸素飽和度が低く、酸素吸入を開始したが、3L/分では足りず6L/分になった。保健所を介して、地域の基幹病院で診てもらえないか訊いてもらったが、寝たきり状態の患者さんなので高次医療機関での適応はないといわれた。

 保健所も、入院している患者さんがCOVID-19に罹患した時は、その病院で診ることになっています、というだけだった。といっても入院しているのは精神科(単科)病院だった。当院の感染病棟は1床空いていたので当院入院とした。

 すでにレムデシビル投与期間は過ぎている。抗炎症薬としてデキサメサゾンを開始した。抗菌薬も併用する。呼吸器外来で来ていた先生に相談すると、コロナとしては背側のみの陰影で、腹側にも陰影があるとよりコロナらしいがといわれた。

 精神科病院ではセフトリアキソンを投与していたが、まったく反応していなかった。コロナの炎症期でいいと思うが、抗菌薬は外しにくい。

 

 この患者さんは別の問題があった。Hb4.9g/dlの貧血があった。左下腹部から臀部にかけて皮下出血が広がっていて、転倒打撲したらしい。下肢の痛みはなさそうだ。寝たきりの血栓予防にDOACが処方されていて、皮下出血が一気に悪化したらしい。

 入院日から輸血を要したが、不規則抗体が陽性という別の問題があった。

 

 精神科病院の看護師さんは、言われた通りにPPEを着用していたのだろう。ただ、PPEを着たまま(手袋もしたまま)普通に自分のバックから携帯電話を取り出して、病院に連絡していた。

 

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