なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

腹部リンパ節が一塊

2022年12月25日 | Weblog

 木曜日に腎臓内科の若い先生に相談された。糖尿病外来に通院している71歳男性が腎機能障害・高カリウム血症を来して、入院治療を依頼されたそうだ。

 糖尿病外来担当の先生(大学病院糖尿病代謝科からバイト)は、単に急性腎不全・高カリウム血症(7.3)としていて、要するに腎性そのものと判断したらしい。

 もともと腎症があり、血清クレアチニンは1.3~1.5mg/dlで推移していた患者さんだったが、2か月前に1.9mg/dl、今回は3.9mg/dlと亜急性に上昇していた。

 この患者さんは約20年前に大学病院泌尿器科で膀胱癌の手術を受けていて、尿管瘻(回腸導管)が造設されている。翌年に肺癌(右上葉)も受けている(膀胱癌と別?)。いずれもフォローは10年経過したところで終了していた。

 腎臓内科の先生が胸腹部CT(単純)を撮影すると、腹部大動脈周囲にリンパ節が多数腫大していて、腹腔内リンパ節も腫大していた。原発巣と考えられそうな内臓病変は指摘できなかった。

 両側腎臓は水腎症(水尿管も)を呈していて、尿管が腫瘍に巻き込まれている可能性がある。右腎臓には腫瘍が浸潤しているかもしれない。

 放射線科の読影レポートでは「多発性リンパ節腫大、転移あるいは悪性リンパ腫」とされていた。(放射線科医が読影に来る日だったのですぐにレポートが出た)

 患者さんの話では尿は出ているというが、糖尿病腎症に腎後性腎不全が加わって悪化していると推定される。腫瘍の診断の問題はあるが、まずは腎不全・高カリウム血症を改善させるために、腎瘻造設が必要と思われる。

 ちょうど金曜日には大学病院泌尿器科の先生が泌尿器外来に来るので(バイト)、そこで相談して高次医療機関に紹介してもらうましょう、ということになった。可溶性IL2受容体抗体を含めて腫瘍マーカーを提出してもらった(外注)。

 泌尿器科医から、右腎臓から出た腫瘍(腎盂癌)が外側に浸潤している可能性も指摘された。翌週の月曜日に大学病院泌尿器科を受診することになった。

 

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