なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

総胆管結石

2022年12月08日 | Weblog

 糖尿病で通院している84歳男性が月曜日(予約日)に受診した。施設に入所してからは、HbA1cは6.4~7.2%で血糖コントロールは良好だった。

 慢性アルコール性(石灰化)膵炎があり、膵内に膵石が多数見られる。夜間低血糖の可能性があるが、日中の直後は高血糖になるので、毎食前超速効型を少量使用している。(施設側で注射)

 その時の検査で思いがけなく肝機能障害を認めた。AST 155・ALT 121・ALP 155・γ-GTP 163で、血清総ビリルビンは0.5と黄疸はない。

 腹部エコーを追加すると、総胆管が拡張して(胆嚢摘出術後)、結石を認めた。腹部CTで確認すると(腎障害があり単純のみ)、肝内胆管~総胆管は拡張しているが、結石がわからなかった(放射線科の遠隔診断で指摘あり)。

 MRCPを予約しようとしたが、付き添ってきた施設職員が待ってもいいので今日撮れませんか、という。忙しいので二度手間になるのは困るようだ。MRI担当の技師さんに訊くと、午後になるが待っていれば撮れるそうだ。

 MRCPでは総胆管内の結石が描出された。膵頭部の主膵管内に膵石がある。血清アミラーゼは正常域で(枯渇している?)、CRPの有意な上昇はなかった。もともと発熱、腹痛はない。

 認知症があり、COPD・肺性心に、心電図でいつのまにか心筋梗塞が発症した可能性があった。胸水貯留は残存している。総胆管胆管結石の内視鏡治療の適応がないように思われたが、一度は紹介して教示を仰ぐことにした。地域の基幹病院消化器内科の予約が翌週にとれたので、画像のCDと診療情報提供書を準備した。

 

 昨年9月に低アルブミン血症(血清蛋白は正常域、つまりγグロブリンが高い)で血液免疫電気泳動を行うと、IgMλ型M蛋白を認めた。骨髄穿刺では骨髄腫ではなく、リンパ形質細胞性リンパ腫・ワルデンシュトレームマクログロブリン血症と診断された(骨髄像診断は外注)。

 キーパーソンである妹さんに説明して、がんセンター血液内科の受診を勧めた。しかし、施設入所だけでもお金がかかり、遠方の病院の受診や入院治療まで賄いきれないと言われていた。今回の紹介も、妹さんにとっては余計なことなのかもしれない。(受診は施設職員が連れて行ってくれると思うが、治療対象だと家族が呼ばれる)

 

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