なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

コロナらしい肺炎像

2022年12月12日 | Weblog

 木曜日に保健所から、精神科病院に入院している75歳女性の外来アセスメントが依頼された。

 精神科病院内でクラスターが発生しているらしい。この患者さんは発熱で発症して、12日間高熱が続いていた。外来アセスメントに来た時は病院の車でPPEを着た看護師さんが付いて来ていた。

 外来アセスメントは胸部CT撮影から始めるが(そのままCT台で採血する)、両側肺野にすりガラス陰影の広がりを認めた。最近はコロナのすりガラス陰影が広がる症例はほとんど見ていなかった。

 放射線科の技師さんから、久しぶりに見ましたといわれた。患者さんは長期に入院しているので、コロナのワクチンはまったく受けていないらしい。

 酸素飽和度が低く、酸素吸入を開始したが、3L/分では足りず6L/分になった。保健所を介して、地域の基幹病院で診てもらえないか訊いてもらったが、寝たきり状態の患者さんなので高次医療機関での適応はないといわれた。

 保健所も、入院している患者さんがCOVID-19に罹患した時は、その病院で診ることになっています、というだけだった。といっても入院しているのは精神科(単科)病院だった。当院の感染病棟は1床空いていたので当院入院とした。

 すでにレムデシビル投与期間は過ぎている。抗炎症薬としてデキサメサゾンを開始した。抗菌薬も併用する。呼吸器外来で来ていた先生に相談すると、コロナとしては背側のみの陰影で、腹側にも陰影があるとよりコロナらしいがといわれた。

 精神科病院ではセフトリアキソンを投与していたが、まったく反応していなかった。コロナの炎症期でいいと思うが、抗菌薬は外しにくい。

 

 この患者さんは別の問題があった。Hb4.9g/dlの貧血があった。左下腹部から臀部にかけて皮下出血が広がっていて、転倒打撲したらしい。下肢の痛みはなさそうだ。寝たきりの血栓予防にDOACが処方されていて、皮下出血が一気に悪化したらしい。

 入院日から輸血を要したが、不規則抗体が陽性という別の問題があった。

 

 精神科病院の看護師さんは、言われた通りにPPEを着用していたのだろう。ただ、PPEを着たまま(手袋もしたまま)普通に自分のバックから携帯電話を取り出して、病院に連絡していた。

 

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