5月27日木曜日に施設から意識低下・食事摂取不可の94歳女性が紹介されてきた。診療情報提供書の最後に体温37.6℃とあったので発熱外来扱いになる。
5月10日に転倒して頭部を打撲している。11日から発熱があり、14日には立てなくなって当院に紹介された。発熱外来扱い(その日は外科医)になって、コロナの抗原検査(陰性)をしてから通常の検査が行われた。
頭部CTで頭蓋骨骨折・外傷性くも膜下出血・硬膜下血種を認めて、地域の基幹病院救急科へ搬送となった。入院治療となったが、保存的に経過をみる方針だったので、17日には退院して施設に戻った(戻された)。
先方の病院を退院したばかりで、それも頭蓋骨骨折・外傷性頭蓋内出血だ。当院に寄こされてもと思ったが、数日で退院になっているので、施設は当院紹介にしたらしい。
当院でも、頭部CTで再確認して、発熱が肺炎か尿路感染症か確認するくらいはできる。とりあえず当院で診てから対応を考えることにした。
14日に受診した時も37.9℃の発熱があったが、搬送後や施設に戻ってからの発熱はどうだったのか。意識はぼんやりして、呼びかけると開眼するくらいだった。
項部硬直といえるくらいに首が硬いが、前後左右どの方向でも硬い。発熱・意識障害・項部硬直だと髄膜炎になってしまうが、あるのか?。
頭部CTでは14日より軽減しているが、まだクモ膜下出血が残っていた。硬膜下血種は吸収されていた。骨条件でも画像を作成していたが、環軸関節の歯突起周囲に石灰化がある。
胸部X線・CTで肺炎像はなく、尿混濁はなかった。白血球10600・CRP13.3と炎症反応が上昇していた。低ナトリウム血症(128)もあった。肝機能障害・腎機能障害はない。
両側に膝関節を診ると、左膝関節に熱感があるようだ。X線では膝関節内に薄く石灰化があるかもしれない。発熱の原因は偽痛風?。
ちょっと怖いが、1日だけNSAIDs投与で経過をみて、病状が変わらなければ、髄膜炎疑いで基幹病院と相談することにした。確実に内服できない可能性があり、ジクロフェナク座薬を1日2回使用して、点滴を行った。
今日は解熱していて、患者さんは普通に開眼していた、認知症があるが、簡単な会話もできる。NSAIDsが効いたようだ。まあ、血液培養を提出して抗菌薬(セフトリアキソン)も使用したが、髄膜炎に効く量ではない。NSAIDsでこのままいけそうだ。
(その後の経過)
ジクロフェナク座薬からセレコキシブ内服にして、炎症反応も改善してほぼ陰性化した。認知症で朝は覚醒が悪かったりしてあまり食べないが、昼夕は食事摂取できた。
セレコキシブ内服を継続(2~3週間は使用)で退院とした。