なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

線維筋痛症

2021年05月03日 | Weblog

 先週、地域医療連携室の職員が線維筋痛症の患者さんの紹介状を持ってきた。一度外来に来てもらった方がいいでしょうか、という。

 紹介してきたのは、県庁所在地の総合病院に勤務する内科の先生で、以前当院に勤務していたことがある。

 

 患者さんは40歳女性で、7年前に全身の痛み・頭痛・慢性疲労で発症した。県内の医療機関を複数受診した後に、東京の専門クリニックを受診していた。そこで線維筋痛症fibromyalia syndrome(FMS)と診断された。

 クリニックのホームページを見ると、その分野で有名な先生方が名を連ねている。線維筋痛症を専門とするクリニックがあるのだった。

 定期的にクリニックに通院していたが、コロナの問題もあり、最近は勤務先の当市内にある整形外科クリニックから処方してもらっていた。(患者さんは看護師さんらしい)

 しかし痛みが時にひどくなり、勤務先のクリニックや近所の内科医院で治療を希望した。どちらでも適切な治療薬がないということで、内科医院で今回紹介してきた病院に回したのだった。

 東京のクリニックよりは近いが、そちらの病院まで行くのも1時間はかかる(手続きもあるから治療まで2時間はかかるか)。それで痛みが強くなった時に当院で点滴静注をしてほしいという内容だった。

 ただ点滴してほしいというのが、アセリオ600mg(1バック1000mgのうち6/10を使用)というのが、不思議な気がした。

 アセトアミノフェン600mgなので、内服薬のカロナール(200mg)3錠相当になる。アセトアミノフェンは内服してもほぼ100%吸収されるので、点滴静注に比べれば効くまで30分かかるが、効果は同じはずだ。

 当院を受診しても点滴静注するまで1時間弱はかかるだろう。カロナール(200㎎)3錠を疼痛時屯用として、自分で内服した方が早いのではないだろうか。

 

 今回の紹介で、疑問に思ったのは2点。

 1)アセリオ1000mg点滴静注バックは、開業医が使いやすい薬剤であり、常備してもいいのではないか。(実際他のクリニックでは使用している)

 2)痛みがひどい時の治療としてはそんなに特別な治療ではない。内服でもいいくらいなのではないか。ということは、その痛みの程度はそれほどのものではない?。ふだん内服しているトラムセット(トラマドール+アセトアミノフェン)の方が強いわけだから。

 先週来た癌性疼痛の患者さんはアセトアミノフェンを処方されていたが、痛みが強くなり、トラマドールを追加されて軽快していた。これは弱い薬から強い薬(中等度)にレベルを上げて効いたので理解できる。

 ただ線維筋痛症の患者さんに対して、それは心理的な影響が強いのではというのは禁忌なので、言い方は難しい。患者さんは来週受診してくるが、どうしようか。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする