なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

胆管ステントが抜けた

2021年05月21日 | Weblog

 昨日の早朝に66歳男性が発熱で受診した。前日の当直は皮膚科医だった。コロナの抗原検査(陰性)を確認した後に、出勤の早い外科医に相談した。

 昨年11月に発熱・黄疸で当院に救急搬入されていた。総胆管結石で地域の基幹病院・消化器内科に転送して、内視鏡的に結石を除去して、胆管ステントが挿入された。

 その後のフォローで胆管ステント抜去は希望されず、ということで、そのまま経過観察になっていた。

 今回も黄疸・肝機能障害を認めた。腹部CTでステントが総胆管から抜けていた。抜けただけでは問題ないはずだが、総胆管結石が再発しているのだろうか。(胆管ステントが詰まったが、その後抜けた可能性もある?)

 また先方の病院に連絡すると、その日は受けられないので明日転院で、となった。無事に一晩過ごして、今日搬送された。

 

 この外科医は座骨骨折の81歳男性を先月から診ていた。昼食後に患者さんが嘔吐して、看護師さんが徐脈に気づいた。心電図で完全房室ブロックになっていて、やはり基幹病院の循環器内科に搬送していた。(外科医が所用で昼に出かけた後に判明して、当方が病棟から呼ばれた)

 

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前回はモラキセラ

2021年05月20日 | Weblog

 月曜日に内科クリニックから肺炎の85歳男性が紹介されてきた。

 2年前にも肺炎で入院していて、その時は喀痰培養でモラキセラMoraxella catarrhalisが検出されていた。細菌性肺炎の3大原因だが、喀痰培養で検出されることは少ない。70歳くらいまでの喫煙歴があり、COPDだと検出されてもおかしくない菌種だろうか。

 胸部X線・CTでは、主に右上葉と左下葉に浸潤影を認めた。最初喀痰が出ないと言っていたが、出る時は検査に出すのでと説明していると、ゲホッと咳が出て黄色のいい喀痰が取れた。

 

 肺炎球菌尿中抗原は陰性だった(レジオネラも)。今回検出されるのは同じモラキセラだろうか。酸素飽和度90%前後(室内気)で、酸素吸入2L/分で開始した。

 入院後は解熱して、酸素吸入1L/分に減量している。炎症反応も軽減してきた。

 

 今日呼吸器外来に大学病院から来ている先生に、昨日地域の基幹病院呼吸器内科に搬送して患者さんの画像を見てもらった。心不全ではないですか、ということだった。確かに両側胸水貯留もあり、肺門部から広がる陰影に見える。

 循環器内科もあるので、適切な診療科に回してくれるでしょう、という。専門科のそろった病院だと、肺炎・心不全で両者併発の時に、循環器内科の扱いになるか、呼吸器内科の扱いになるかという問題がある。(当院は単純に、全部内科になる)

 昨日入院した新型コロナの86歳男性のことも相談した。できるだけ応援(バイト)で来ている専門医の先生方に相談して診療にあたるしかない。

 

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急性間質性肺炎?

2021年05月19日 | Weblog

 内科の若い先生が診ていた患者さんの病状が悪化した。

 1週間前にレスパイト入院(家族の介護疲れ対応の短期入院)した93歳女性だった。入院してみると、食欲不振があり、炎症反応の軽度上昇と低ナトリウム血症(124)があった。

 レスパイト入院から通常の一般入院に切り替えた。胸部CTで両側肺の背側に陰影があり、肺炎?としてセフトリアキソンを投与して、ナトリウムを補正した。

 低ナトリウム血症の軽快とともに食事摂取が少しできるようになってきた。ところが、酸素飽和度低下と高熱が出現した。胸部X線(ポータブル)を撮影してすりガラス様の陰影が増加していた。

 

 この患者さんは地域の基幹病院内科にネフローゼ症候群で通院している。施設宛の診療情報提供書を入院時に施設で持たせていた。詳細がわからないので、問い合わせて当院宛に診療情報提供書をもらったそうだ。

 それによるとネフローゼ症候群としてプレドニゾロン50mg/日で治療を開始していた。血清クレアチニンの上昇を認め、シクロスポリンが追加されていた。

 ネフローゼ症候群を来した原疾患の記載はないが、急速進行性糸球体腎炎なのだろうか。検査結果ではANCA(MPO、PR3はともに)陰性だった。現在の処方はネオーラル(シクロスポリン)75mg/日、プレドニゾロン20mg/日になっていた。

 

 胸部CTをみると、両側肺野にすりガラス陰影が広がっていた。気管支血管束に沿った分布で、牽引性気管支拡張もある。LDHが入院時も441と高いが、618とさらに上昇していた。

 急性間質性肺炎疑いとして、基幹病院の呼吸器内科に連絡して、救急搬送となった。シクロスポリンの薬剤性肺炎でなければ、原疾患に伴う肺病変なのだろうか。(これは当院では対応できない)

 

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胸部異常影~肺癌疑い

2021年05月18日 | Weblog

 健診で胸部異常影を指摘された60歳女性が、内科医院から呼吸器外来に紹介されてきた。正確には、内科医院から当院放射線科に胸部CTが依頼されて、その肺癌疑いという読影レポートをもとに紹介されていた。

 当院は放射線科常勤医は不在で、定年延長した先生が退職して非常勤医となり、それに大学病院放射線科のリモート診断で診断している。

 右上葉(S2)にすりガラス影の結節(ground-glass nodule:GGN)で軟部組織濃度の結節(solid nodule)を伴う陰影がある。part-solid GGN相当で、胸膜嵌入像があり、血管・気管支の収束像もあるかもしれない。結節の肺門側に空洞様の気腫性変化があり、肺野全体にも気腫像がある。

 確定診断のために精査する対象になる。今日の呼吸器外来は呼吸器病センターのある専門病院から来ている先生だった。自分の病院の放射線科にPET-CTを予約していた。その後は入院で気管支鏡検査か。

 これはほぼ肺癌だと思う。胸膜嵌入像があるが、胸膜浸潤でなければ手術は可能なのだろうか。

 

 新型コロナの患者さんたちは全体的に回復傾向にあり、感染病棟の雰囲気も良くなっている。今日退院にするつもりだった患者さんは、大安の明日を希望された。1日くらいなら強制的に退院にしない方がいいかと思ったが、感染病棟は公共の施設のようになっているので、本来はダメなのだろう。

 

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ドネペジルで高度徐脈

2021年05月17日 | Weblog

 4月6日に91歳女性が右上下肢のけいれんで入院した。左後頭葉の脳梗塞の既往があり、症候性てんかんでイーケプラ1000mg/日を内服していた。

 イーケプラ500mgの点滴静注で軽減はしたが、治まらず、ちょうど夕の内服の時間だったこともあり、さらに500mg点滴静注を追加してけいれんが消失した。

 頭部CTで左後頭葉の脳梗塞を来した部位に硬膜下出血を認めた。けいれんと硬膜下血腫のフォローのため入院とした。イーケプラ1500mg/日内服で、入院後にけいれんはなかった。(その後、腎機能障害があり、1000mg/日に戻した)

 硬膜下血種は脳実質を圧排していて、通常の硬膜下血種ではないのかもしれない。途中から脳外科で使用する五苓散を追加しているが、悪化はないものの軽快もない。

 内科の若い先生(自治医科大学の義務年限できていた)が診ていた2019年には、すでに梗塞巣に一致した硬膜下血腫が軽度にあった。その後のフォローが抜けていて、引き継いだ当方も検査していなかった。

 

 入院中に高度の徐脈になった。P波はなく、規則的なnarrow QRSの27~30台/分の心拍数だった。洞徐脈で房室結節近傍からの脈が補充収縮で出ているようだ。

 最初は、心臓ペースメーカー植え込み術しかないが、適応はどうかと思った。ところで、認知症で以前からドネペジル5mgを内服していた。(もともと内科の別の先生たちが診ていて、引き継いだ時には出ていた)

 ドネペジルの副作用の高度徐脈が疑われた。ドネペジルの添付文書には、重大な副作用として、「QT延長、心室頻拍、心室細動、洞不全症候群、洞停止、高度徐脈、心ブロック(洞房ブロック、房室ブロック)、失神があらわれ、心停止にいたることがあるのでこのような症状が現れた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと」、とある。

 ドネペジルの半減期は4日間なので、やめてすぐには変わらない。それでも先週末から中止して、(徐脈傾向の)洞調律には戻った。

 ドネペジルによる高度徐脈はあまり意識していなかったが、頻用薬なので案外あるのだろうか。

 

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また社内研修会

2021年05月16日 | Weblog

 製薬メーカーから社内研修会の依頼がきた。研修会といっても、社員(MR)の製品プレゼンテーションを聴いて、アドバイスをするというものだった。当方が講演をするわけではない。

 昨年同じ製薬メーカーから同じ依頼が来て、当時いた循環器科医も行ったことがあるといっていた。その先生は気さくな人気がある先生だったが、何度もやる気はないような話だった。

 昨年は初めてなので、どんなものかと行ってみた。20分くらいのプレゼンテーションを聴いてコメントするのを、2回(2製品)行った。少し長くなって、1時間の予定が1時間半くらいになった。

 社員は昨年と代わっているのかもしれないが、今年も製品は同じだから代わり映えはしない。

 また依頼してきたということは、あまり引き受けてくれる医師がいない、ということなのだろう。(講演をするわけでもないので、謝礼はその半分くらいが出る)

 「日常診療(外来・入院・救急)+ひとりコロナ診療(PCR検査毎日+入院治療)」を行っているので、それほど暇ではないが、めちゃくちゃ忙しいわけでもない。一応今年も引き受けることにする。

 

 プレゼンテーションするのはSGLT2阻害薬と脂質異常症の薬。製薬メーカーの宣伝したいところと、医師側の知りたいところは案外ずれているので、その点を指摘している。忙しい診療の合間に聴くのと、基本的なところはすでに知っているので、「へえ~」と思うような1点があると効果的だ。

 

 「ゼロから始める認知症診療」川上忠孝著(文光堂)を読み返していた。同じ著者のパーキンソン病の本とせん妄の本もある。非専門医にわかりやすく説明していて良書だと思う。高齢者のてんかんについての項目がいい。

ゼロから始める 認知症診療

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わからない肺陰影

2021年05月15日 | Weblog

 内科の若い先生が診ている86歳男性は肺陰影が進行していた。

 今年になって発熱が続き、地域の基幹病院を受診していた。内科の各科で精査したが、原因不明だったそうだ。その後、当院を受診した(順番が逆だと思うが)。

 4月28日に両側肺野に淡いすりガラス陰影が散在していた。新型コロナウイルスのPCR検査は陰性だった。

 5月6日に入院した時には、肺野にすりガラス陰影と浸潤影が混合していた。

 通常の抗菌薬には反応せず、抗真菌薬・ステロイドも投与している。結核菌検査をしようとしたが、喀痰が出ないため、胃液3日間を提出したが、最初の胃液内に多数の真菌を認めた。肺病変は真菌?と思われたが、その後の胃液には真菌は目立たなかった。

 両側肺野にすりガラス陰影と浸潤影が進行して、胸水貯留も認めた。大学病院から来ている感染症科・呼吸器科にも相談したが、可能性は上がるが、確定は難しいという。

 これはいったい、どういう病態なのだろうか。

 

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βブロッカーで喘息顕在化

2021年05月14日 | Weblog

 日曜日に夜間に80歳女性が救急搬入された。(当直は大学病院からバイトで来ている外科医)金曜日に38℃の発熱があり、通院しているクリニックを受診して、経口セフェムを処方されていた。

 その後は解熱していたが、土曜日にふらついて転倒していた。その日もトイレに行こうとしてふらついて転倒したため、家族が救急要請していた。救急車には自分で歩いて乗っていた。

 頭部MRIを検査したが、特に所見はなかった。炎症反応の上昇があり、感染巣の検索を行っていた。胸部X線・CTで肺炎はないと判断していた。尿所見は白血球2+だったが、細菌は認めなかった。

 当直医は、急性腎盂腎炎がクリニック処方の抗菌薬で少し軽快しているところと判断した。内科入院の依頼が来たので、抗菌薬処方後ではあるが、血液培養2セットと尿培養を提出してもらって、入院治療とした。抗菌薬はセフトリアキソン点滴静注を開始した。

 入院後は解熱して、食事摂取も良好だった。1週間くらい抗菌薬を点滴静注して、その後は中止か経口薬に変更して退院にできる思われた。

 放射線科のCT読影レポートでは、右下葉に淡い斑状影があり、肺炎疑いとされた。以前当院でCTを撮影しており、比べてみると確かに肺炎でいいようだ。(胸部X線でも右下肺野に肺炎が疑われる)

 入院後に洞性頻脈から頻拍性心房細動になった。クリニックの処方はビソプロロール2.5mg・サンリズム25mg(何故か朝1回)・ジピリダモール(抗凝固薬ではない)があり、たぶん発作性心房細動があると推定されるような処方だった。

 とりあえず、βブロッカーを追加して心拍数をコントロールすることにした。ビソノテープ4mgを貼付すると、翌日には正常洞調律に戻っていた。

 ところが、患者さんは喘鳴を呈していた。気管支喘息があるかと訊くと、わからないという。定年後というから、約20年前からふだんも喘鳴があるそうだ。夜間朝方にもある。クリニックでは喘鳴についての話はしていなくて、特に指摘されたこともない。

 もともと喘息がある患者さんにβブロッカーを追加したので誘発したことになったようだ。ビソノテープは中止して(剥がした)、喘息に治療を追加した。

 デキサメサゾンを点滴静注して(3日使用)、吸入ステロイド・ロイコトリエン受容体拮抗薬(モンテルカスト)を開始した。今日は喘鳴が軽度になっていた。(ICS/LABAは避けた)

 

 20年間自然経過をみていた喘息の患者さんということになる。クリニックのβブロッカー内服も中止したいが、継続して経過をみることにした。ワソラン+ジゴキシンに切り替えた方がいいのだろうか。

 

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中心静脈カテーテル関連血流感染

2021年05月13日 | Weblog

 4月15日に地域の基幹病院呼吸器内科から81歳男性が転院してきた。内科の若い先生に担当をお願いしていた。

 2月1日に歩行障害・構語障害で先方の病院の脳神経内科に入院した。(そのことについての詳細は記載されていない)入院中に右肺は腫瘤性病変が疑われたが、結論としては右膿胸と診断された。

 胸腔ドレナージと抗菌薬投与で軽快したが、経口摂取が進まなかった。転院直前まで、膿胸に対する抗菌薬投与が行われていて、当院に転院後も37℃台の発熱が続いた。

 胸部X線では右膿胸は軽快していたが、当院で抗菌薬投与を継続していた。1週間後から38℃の発熱があり、肺炎の悪化はないことから、右内頸静脈から挿入されていた中心静脈カテーテル関連血流感染が疑われた。

 血液培養2セットとカテーテル先端(抜去後)培養からカンジダが検出された。カンジダの菌種同定は外注検査として提出され、カンジダ・パラプシローシスだった。投与していたミカファンギン(ファンガード)は感受性があった。

 右大腿静脈から中心静脈カテーテルを再挿入していた。内頚静脈のカテーテル抜後も発熱が続き、カンジダの菌種が判明する前だったので、感受性がない可能性も考えられていた。

 再度行った、血液培養からグラム陽性球菌が検出されて、(大腿静脈から挿入した)中心静脈カテーテル関連血流感染が疑われた。

 またカテーテルを抜去して、末梢静脈からの点滴に切り替えていた。グラム陽性球菌の菌種・感受性判明までバンコマイシン併用も開始された。

 血流感染が続くのはちょっと珍しいかもしれない。

 

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脳出血

2021年05月12日 | Weblog

 地域の基幹病院の脳神経内科から、脳出血(右被殻出血)の79歳女性が転院してきた。嚥下障害があり、経鼻胃管からの経管栄養が行われていた。

 これまでの転院では、まだ脳室穿破の出血が残っている意識障害遷延の患者さんもいた。この患者さんは、被殻出血で脳室穿破はしてなかった。

 フローのCTでは出血はほとんど吸収されていたが、脳浮腫は残っている。今日診察した限りでは、嚥下はむずかしそうだが、浮腫の軽快とともに神経症状が軽快する可能性はある。

 嚥下訓練を行って、それでも経口摂取ができなければ、内視鏡的胃瘻造設術を行う方針とした。ただ、4月30日の胸部X線で、左下葉に誤嚥性肺炎を認める。

 転院後も37.4℃の発熱があった。明日当院でも画像と血液検査を行って評価するが、肺炎の治療が必要かもしれない。

 

 当地域でも新型コロナの患者さんが増えている。基幹病院では今日100名のPCR検査を行っていて、そこからあふれた24名の検査を当院でおこなった。隣の市内にあるデイサービス施設で発生して、通所者の検査だった。

 

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