なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

脳委縮の進行

2021年05月22日 | Weblog

 木曜日に施設(老人保健施設)から食欲不振の85歳女性が紹介されてきた。

 1年半の一昨年の12月に急性肺炎で当院に入院していた。当時内科専攻医の地域医療研修で当院に来ていた、内科の若い先生が担当した。

 肺炎は治癒したが、経口摂取が進まなかった。高カロリー輸液を行って、療養型病床のある病院に転院となっていた。その後、細々と経口摂取できるようになって施設に入所していたのだった。

 今回も肺炎では、という紹介だった。発熱はなかったが、ふだん低体温とすれば、患者さんにとっては微熱なのかもしれない。一通り検査したが、今回は肺炎は認めなかった。

 軽度の炎症反応上昇と尿混濁があり、尿路感染症(急性腎盂腎炎)の可能性がある。しかしそれが食欲不振の原因かどうかわらかない。

 家族には感染症の治療と点滴で経過をみるとお話した。ただしそれで食事摂取が進むかどうかはわらかない。また高カロリー輸液になって療養型病床へということもあると伝えた。

 脳血管障害が進行している可能性もあるので、頭部CTも行った。新規の病変はなかった。1年半の経過で比較すると、脳委縮が進行(増悪)していた。前回の時点でも脳委縮はある。

 今回の頭部CTでは脳実質の萎縮・脳溝脳室の拡大が進行していた。1年半でこれだけの変化があるのだった。

 STさん(聴覚言語療法士)に依頼して嚥下訓練を開始した。飲み込めないことはない、そうだ。1~2週間嚥下訓練をして、難しい時は高カロリー輸液にすることも伝えた。

 

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