地域の基幹病院脳神経内科に心原性脳塞栓症で入院した89歳男性は、もともと当院の糖尿病外来(大学病院糖尿病代謝科から)に通院していた。
嚥下障害のため経口摂取が困難で、経鼻胃管による経管栄養が行われていた。胃切除術後で内視鏡的胃瘻造設術はできない。肺炎を繰り返し、喀痰が増えるため経管栄養は中止した。
高カロリー輸液に切り替えて、療養型病床のある病院へお願いする方針とした。(今週の水曜日に転院予定)経鼻胃管を抜去してからは肺炎はない。
糖尿病外来での治療は、SU薬(グリクラジド40mg)・メトホルミン500mg/日・GLP1受容体作動薬(注射は家族)だった。HbA1cが7.8%でまずまずの血糖コントロールだった(SU薬使用の高齢者)。
転院してきた時はHbA1c8.2%だった。速効型のヒューマリンRを毎食直前(経管栄養剤注入前)に5単位ずつ皮下注となっていた。
血中Cペプチドを測定すると、0.51ng/mlとインスリン依存状態(<0.6)だった。末梢用の点滴では5%グルコース混合の500mlにヒューマリンRを2単位ずつ混合していた。そこから10%グルコース混合の500mlにヒューマリンR4単位混合にした。(血糖値により皮下注で補正もする)
通常はグルコース5gにつきヒューマリンR1単位となっているが、実際にはそれよりも少なめにするのが多い。5%グルコース含有500mlに3~4単位が目安になる。グルコース5gにつきヒューマリンR0.5~1単位(グルコース10gに1~2単位)ということになるか。
高カロリー輸液にしてからは、エルネオパNF1号1500ml(グルコース180g)にヒューマリンR6単位混合から開始して8単位混合にした。グルコース22.5gにつきヒューマリンR1単位相当になる。
さらにエルネオパNF2号1500ml(グルコース262.5g)にヒューマリンR10単位混合から開始して13単位混合にした。グルコース20gにつきヒューマリンR1単位相当になる。
グルコース10~15gにつきヒューマリンR1単位という記載もある。末梢用輸液だとそれでいいかもしれないが、高カロリー輸液はその量では低血糖になるかもしれない。
低血糖になるとヒューマリンRを混合した輸液自体を交換することになる。少なめの量で開始して、途中で追加するのがいいようだ。あとは皮下注での補正を行って、今後の混合量を調整する。