なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

大球性貧血

2020年10月03日 | Weblog

 水曜日に内科クリニックから、貧血で81歳男性が内科新患に紹介されてきた。内科の若い先生が担当していたが、Hb5.9g/dlでどうしましょうかと相談された。

 MCV132と大球性貧血だった。ここまで高いとビタミンB12欠乏による巨赤芽球性貧血が疑われる。胃切除の既往はなかった。悪性貧血だろうか。白血球2700と低下していたが、血小板は22.9万と正常域だった。白血球分画で芽球はない。

 診療情報提供書には鉄欠乏貧血とあったが、血清鉄やフェリチンを測定していたわけではない。MCVは気にしていなかったようだ。直腸指診では普通便でタール便はない。胸腹部CT(単純)も撮影していたが、明らかな異常は指摘できなかった。

 患者さんは一人暮らしで頼れる親族はいないようだ。ふらつきを感じることもあるというが、それほど困っていない。病院には自分で車を運転してきていた。認知障害はない。

 地域医療連携室に連絡して、これまでの検査結果を取り寄せてもらうと、昨年8月はHb11.4(MCV115)、そこから1年経過して今年の8月はHb7.5(MCV126)、9月28日がHb5.7(MCV132)だった。

 血清鉄・フェリチンは軽度高値だった。ビタミンB12 を静注して、金曜日に再検して悪化していなければ輸血なしで経過をみるものある。

 ところが、金曜日はHb4.8(MCV132)と低下してしまい、結局輸血を開始した。外注検査が案外早く結果が帰ってきて、血清ビタミンB12は267pg/ml(180-914)、血清葉酸5.0ng/dl(4.0以上)と正常域にはあった。

 血清ビタミンB12は正常域内でも低い方だと、ビタミンB12欠乏性貧血は否定できないらしいので、投与は継続して経過をみることにした。

 ビタミンB12欠乏性でなければ骨髄疾患になるので、血液内科のある病院に紹介するしかない。輸血して貧血が改善したところで外来受診になる。紹介するとなると、上下消化管内視鏡検査はしておいた方がいいか(上部消化管内視鏡+便潜血2日間でもいいかもしれないが)。

 

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