なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

発症2週間目の脳梗塞

2020年10月05日 | Weblog

 土曜日に2週間前から構語障害がある88歳男性が娘に連れられて救急外来を受診した。

 妻との二人暮らしで、妻が呂律が回らない夫の症状に気づいて医療機関受診を勧めたが、同意しなかった。金曜日に娘が母親(患者さんの妻)の病院受診のため訪問した。

 その日はかかりつけの内科クリニックに連絡したが、(脳血管障害が疑われるので)大きな病院で診てもらうようにと言われた。母親が受診する病院がちょっと遠方なので、父親を受診させる余裕がなく、翌日の土曜日になった。

 患者さんは普通に歩いていて、明らかな四肢の麻痺はなかった。構語障害は1週間前の方がひどかったが、軽減しているという。すでに脳血管障害としての急性期は過ぎている。意識清明で、年齢を考慮すると構語障害といわれればそうだが、こんなものと思ってしまうかもしれない。

 頭部MRIで確認すると、右頭頂葉に一番大きな(といってもラクナ梗塞相当)梗塞巣を認めたが、左右の大脳半球と左右の小脳半球に小梗塞が散在している。

 聴診では心音は整かと思ったが、心電図を確認すると心房細動だった。f波がほとんど平坦になっていて年季の入った心房細動なのだろう。

 心腔内の血栓が細かくばらばらになって、脳塞栓を来したと考えられた。内臓の方にも飛び散ったのかもしれないが、症状はないので、造影CTで全身を検査するのは不要でいいか。(内科クリニックの処方に抗凝固薬はなかった)

 

コメント (2)
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